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中小企業経営・中小企業政策(平成28年度)

平成28年度(2016)中小企業診断士第1次試験 中小企業経営・中小企業政策(全29問のうち第1問〜第13問)解説

概要

平成28年度(2016)の中小企業経営・中小企業政策は全29問(設問合計42問、各2〜3点、100点満点)で出題されました。本ページでは第1問〜第13問を解説しています。中小企業基本法、統計データ、中小企業白書に基づく定量問題、政策制度に関する知識問題が中心です。

問題文は J-SMECA 公式サイト(平成28年度 中小企業経営・中小企業政策) から入手できます。手元に PDF を用意したうえでお読みください。

解説の読み方

各問について「問題要旨 → 分類タグ → 正解 → 必要知識 → 解法の思考プロセス → 誤答の落とし穴 → 学習アドバイス」の順で解説しています。分類タグの意味は本ページ末尾の凡例を参照してください。

出題構成

領域問番号問数
中小企業の定義と統計1~33
業況調査と企業統計2, 122
中小企業白書の分析5, 6, 10~11, 135
政策制度(金融支援)71
政策制度(女性労働)81
地域経済と中小企業61
グローバル化・海外展開9, 132
新規創業・イノベーション101

全問分類マップ

テーマ知識種類思考法形式層罠パターン
1中小企業の売上高経常利益率比較K5 制度・データT2 分類判断L2Trap-B 条件見落とし
2企業規模別売上高経常利益率の推移K5 制度・データT3 計算実行L3Trap-E 計算ミス
3企業規模別従業者数の業際別組成K5 制度・データT2 分類判断L2Trap-D 類似混同
4中小企業の分類(資本金基準)K1 定義・用語T1 正誤判定L1Trap-B 条件見落とし
5中小企業白書の事業所数・従業者数推移K5 制度・データT3 計算実行L3Trap-E 計算ミス
6三大都市圏と地方の中小企業比較K5 制度・データT1 正誤判定L2Trap-C 部分正解
7小規模企業の資金調達手段K5 制度・基準T1 正誤判定L2Trap-B 条件見落とし
8女性労働者の就業率と産業別構成K5 制度・データT1 正誤判定L2Trap-A 逆方向
9グローバル経済下の中小企業課題K5 制度・データT1 正誤判定L2Trap-B 条件見落とし
10イノベーション活動の実施主体K1 定義・用語T2 分類判断L2Trap-D 類似混同
11既存市場と新規市場での取り組みK5 制度・データT1 正誤判定L2Trap-A 逆方向
12地域経済における中小企業の役割K5 制度・データT1 正誤判定L2Trap-B 条件見落とし
13海外進出企業の売上高経常利益率K5 制度・データT3 計算実行L3Trap-E 計算ミス

思考法の分布

思考法問数割合該当問
T1 正誤判定754%4, 6, 7, 8, 9, 11, 12
T2 分類判断323%1, 3, 10
T3 計算実行323%2, 5, 13

中小企業経営・中小企業政策は正誤判定(T1)が過半数を占めるため、中小企業白書や政策制度の知識を体系的に理解することが合格の鍵です。

形式層の分布

形式層問数割合該当問
L1 基礎知識18%4
L2 応用理解969%1, 3, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12
L3 計算応用323%2, 5, 13

L2(応用理解)が大部分を占めており、統計データの細部や政策制度の条件を正確に読み取る力が合格ラインを分けます。

罠パターンの分布

罠パターン問数割合該当問
Trap-A 逆方向215%8, 11
Trap-B 条件見落とし538%1, 4, 7, 9, 12
Trap-C 部分正解18%6
Trap-D 類似混同215%3, 10
Trap-E 計算ミス323%2, 5, 13

Trap-B(条件見落とし)が最多で、「資本金基準」「常用従業者数」「業種区分」など定義の細かな条件を見落とすと誤答に陥りやすい科目です。


中小企業の経営実態と政策

第1問 中小企業の売上高経常利益率比較

問題要旨: 1980〜2013年の期間において、中小企業と大企業の売上高経常利益率がどのように推移したかを分析する問題。題文の空欄AとBに当てはまる文章を選ぶ。中小企業が大企業より利益率が高い時期と低い時期の違いを理解している必要がある。

K5 制度・データ T2 分類判断 L2 Trap-B 条件見落とし

正解: 設問1=ア、設問2=イ

必要知識: 中小企業白書の読み方 — 経年データ分析、業況の景気循環、中小企業と大企業の経営環境の相違

解法の思考プロセス: 題文は1980〜2013年の売上高経常利益率の推移について述べています。期間を分割して考えます。まず、2000年以前は中小企業の売上高経常利益率が大企業より高かったとされています(空欄A)。次に、2000年以降は景気後退の影響を受け、状況が変わります。特に選択肢を読むときに、「上昇幅が上回った」と「下回った」の相対関係を正確に把握することが重要です。イが「中小企業の売上高経常利益率が低下する一方、大企業の売上高経常利益率が上昇したため」という因果関係を正確に述べています。

誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: ア「中小企業の売上高経常利益率の上昇幅を、大企業の売上高経常利益率の上昇幅が上回ったため」は逆向き。ウ「中小企業の売上高経常利益率の低下幅を、大企業の売上高経常利益率の低下幅が下回ったため」は因果関係が不正確。期間区分の「前半」「後半」と業績の「高低」を混同しやすいです。

学習アドバイス: 中小企業白書の経年比較問題では、常に「どの時期」「どちらが」「どの程度」の3つの要素を確認してください。グラフを読み取る際は、2つの曲線の交差点と傾斜方向に注目します。


第2問 企業規模別売上高経常利益率の推移

問題要旨: 経営環境の変化を企業規模別に見たとき、売上高経常利益率の推移がどのように変化したか、1986年と2012年の時点で比較し、記述として最も適切なものを選ぶ問題。従業者数4名以上の事業所を対象としている点に注意。

K5 制度・データ T3 計算実行 L3 Trap-E 計算ミス

正解: 設問1=ウ、設問2=ア

必要知識: 中小企業白書の読み方 — 企業規模別の経営分析、時系列データの比較、業況指標の解釈

解法の思考プロセス: 1986年と2012年の売上高経常利益率を企業規模(従業者数)別に比較します。各選択肢は「Aが1980年、Bが1980年」などの形式で、空欄に当てはまる西暦を選びます。ここで重要なのは、各企業規模がどの時点で構成比が変化したかを把握することです。1986年時点と2012年時点での構成比の変化を追跡し、「1980年」「1990年」「2000年」のいずれが境目となったかを判定します。ウの「A:1980、B:1990」が最も整合性の高い記述です。

誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス: 計算ミスより、むしろ**「どの企業規模がどの時期に変化したか」の因果関係を正確に読み取れるか**が問われています。表を見るときに、全ての列を確認せず、一部の列だけ見て判断すると誤答に陥ります。

学習アドバイス: 複数行・複数列の表を読むときは、「行の推移」と「列の推移」の両方を確認してください。特に「いつ変化が起きたか」という時間軸の認識が重要です。


第3問 企業規模別従業者数の業際別組成

問題要旨: 企業規模別に見た従業者数の業界別組成について、最適な組み合わせを選ぶ問題。空欄CとDに当てはまる業種を選択する形式。

K5 制度・データ T2 分類判断 L2 Trap-D 類似混同

正解: ウ

必要知識: 中小企業白書の読み方 — 業種分類、産業構造、企業規模と業種の相関

解法の思考プロセス: 空欄CとDに当てはまる業種を判定します。選択肢は「C:建設業、D:製造業」のような組み合わせです。従業者数が4名以上の事業所を対象としたとき、建設業、小売業、製造業などの組成比がどのように分布するかを理解する必要があります。ウの「C:小売業、D:建設業」が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: イとウの「小売業」「建設業」の順序を逆に選んでしまうことが最大の陥阱です。企業規模と業種の標準的な分布パターンを覚えていないと、推測に頼ることになり、混同しやすくなります。

学習アドバイス: 業種分類(建設、製造、卸売、小売、サービス)と中小企業の分布を関連付けて覚えておくと、表がなくても判定できます。統計データを何度も見直して、「どの業種に小規模企業が多いか」というパターン認識を身に付けましょう。


第4問 中小企業の分類(資本金基準)

問題要旨: 法人税法人企業統計年報に基づき、業種別に法人企業である中小企業の労働生産性(2013年、中央値)を比較した場合、企業規模分類に当たるもう一つの基準は何かを選ぶ問題。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-B 条件見落とし

正解: エ

必要知識: 中小企業の定義と規模基準 — 資本金、常用従業者数、業種別の分類基準

解法の思考プロセス: 中小企業基本法では、資本金と常用従業者数の2つの基準で企業規模を定義します。法律上、中小企業の定義は業種別に異なります。製造業では「資本金3億円以下または従業者300人以下」、卸売業では「資本金1億円以下または従業者100人以下」など、業種によって基準が異なります(いずれか一方を満たせば中小企業に該当)。

誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: 「資本金基準」と「従業者数基準」の2つが存在すること、そして業種によって基準値が異なることを見落としやすいです。単に「資本金いくら以下か」だけで答えるのではなく、「業種別に異なる」という条件を押さえることが重要です。

学習アドバイス: 中小企業基本法第2条を正確に把握してください。各業種の資本金・従業者数基準は暗記必須です。特に「どの業種がどの基準か」という対応表を作成すると、この類の問題に強くなります。


中小企業の業況と統計

第5問 中小企業白書の事業所数・従業者数推移

問題要旨: 経営環境の変化を事業所数と従業者数の推移から分析する問題。空欄に当てはまる記述として、最も適切なものを選ぶ。データは2002年と2011年時点での比較。

K5 制度・データ T3 計算実行 L3 Trap-E 計算ミス

正解: 設問1=イ、設問2=ウ

必要知識: 中小企業白書の読み方 — 事業所の統計定義、従業者1人当たりの年間販売額、業況指標

解法の思考プロセス: 2002年から2011年にかけて、事業所数が減少する一方、従業者数の減少幅が異なる業種があることを読み取ります。従業者1人当たりの年間販売額がどのように変化したかを計算する必要があります。選択肢は「ア:事業所数、イ:従業者数、ウ:従業者1人当たりの年間販売額、エ:年間販売額」です。題文の空欄に当てはまるのは、従業者1人当たりの年間販売額の増加を示しています。

誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス: 分子と分母を逆にする、あるいは増減の方向を間違えるなどの計算ミスが多発します。「従業者数は減ったが、販売額は増えた」という相反する事実から、「効率化が進んだ」という結論を導くロジックを理解することが重要です。

学習アドバイス: 経営分析の基本として「売上÷従業者数」「利益÷従業者数」といった「1人当たり」の指標を常に意識してください。統計問題では、このような派生指標の計算が頻出です。


第6問 三大都市圏と地方の中小企業比較

問題要旨: 三大都市圏(東京、名古屋、大阪周辺)と地方における中小企業の特性を比較する問題。空欄A~Cに「高い」「低い」を当てはめ、最も適切な組み合わせを選ぶ。

K5 制度・データ T1 正誤判定 L2 Trap-C 部分正解

正解: イ

必要知識: 地域経済と中小企業 — 地域差、三大都市圏と地方の産業構造の違い

解法の思考プロセス: 題文では、三大都市圏の中小企業と地方の中小企業の経営規模・従業者規模などを比較しています。一般的に、三大都市圏は経営規模が大きく、地方は小規模傾向にあります。空欄に当てはまる高低の組み合わせを、統計データの実態に照らして判断する必要があります。

誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 各選択肢の「A、B、C」の部分正解が多いです。例えば、AとBは正解だがCが誤りというパターンが選択肢に混在しているため、3つ全てを一度に検証する必要があります。

学習アドバイス: 三大都市圏と地方の中小企業差は、中小企業白書の定番テーマです。地域ごとの産業構成、企業規模分布、給与水準などの基本統計を整理しておくと、この類の問題に容易に対応できます。


中小企業政策と支援制度

第7問 小規模企業の資金調達手段

問題要旨: 経営資源の限られた小規模企業にとって、安定的な資金調達と事業を円滑に遂行するうえで最も重要とされる資金調達手段の認識を問う問題。運転資金と設備資金それぞれの調達方法と、金融機関の選択について。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件見落とし

正解: イ

必要知識: 中小企業の金融支援 — 運転資金・設備資金の区別、金融機関の種類(銀行、信金、政府系金融機関)、融資条件

解法の思考プロセス: 小規模企業は運転資金と設備資金の両方を必要としますが、確保方法が異なります。運転資金は短期で回転の速い資産に充当され、銀行からの短期借入が中心です。設備資金は長期で、政府系金融機関(日本政策金融公庫など)からの融資が活用されます。題文は「流動資金を確保し」(運転資金)と「機械・設備を購入」(設備資金)の2つを挙げており、最も効率的な調達手段は何かを問うています。各選択肢の資金調達手段とその回答割合の記述を、統計データと照合して判断します。

誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: 「運転資金と設備資金の違い」「銀行と信用金庫の役割の違い」「政府系と民間金融の区別」など、複数の条件を同時に検討する必要があるため、一つの条件を見落とすと誤答に陥ります。

学習アドバイス: 金融制度は経営課題と連動しています。小規模企業が直面する資金調達の現実(返済負担の軽さ、審査の厳しさなど)を理解したうえで、政策支援の仕組み(利子補給、保証制度)を学ぶと、より深い理解につながります。


第8問 女性労働者の就業率と産業別構成

問題要旨: 生産年齢人口の減少が高齢化する中で、女性の労働参加が経営課題として注視されている。女性労働者の就業率データから、最も適切な記述を選ぶ問題。年代別・産業別の特性が出題のキーポイント。

K5 制度・データ T1 正誤判定 L2 Trap-A 逆方向

正解: 設問1=イ、設問2=ア

必要知識: 人的資源と雇用政策 — 女性労働力、就業率、出産・育児による就業中断

解法の思考プロセス: 女性の就業率は年代によって大きく異なり、特に出産・育児期(20代後半〜30代)に低下し、その後回復する「M字カーブ」を描きます。各設問では年代別・産業別の具体的なデータの相対比較が問われており、統計データに基づいて正誤を判断する必要があります。

誤答の落とし穴 Trap-A 逆方向誘発: 「高い」と「低い」の逆向きの誤解、あるいは「男性より高い」と「男性より低い」の比較方向を間違えやすいです。題文をよく読み、「何を比較しているのか」(年代間比較か、性別比較か)を明確にしてから選択肢を検討してください。

学習アドバイス: 労働統計のデータとしての女性就業率は、中小企業の経営課題に直結しています。特に小規模企業では女性従業者の割合が高いため、このテーマは試験出題が多いです。統計グラフを実際に見て、パターンを認識することをお勧めします。


第9問 グローバル経済下の中小企業課題

問題要旨: グローバル経済化が加速する中で、中小企業が直面する課題について、正確な記述を選ぶ問題。海外進出、サプライチェーン、競争環境の変化などが論点。

K5 制度・データ T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件見落とし

正解: エ

必要知識: 海外展開支援政策 — 貿易構造、中小企業の国際競争力、グローバル経済下での経営課題

解法の思考プロセス: グローバル化が中小企業に与える影響は、正と負の両面があります。原材料の輸入増加により仕入れコストが低下する反面、海外企業との競争激化により価格圧力が高まります。大企業と中小企業では、グローバル対応力に大きな差があります。下請取引する中小企業は減少傾向にあり、取引額の最も大きい親事業者への依存度の変化など、中小企業の経営環境を正確に把握する必要があります。

誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: 「グローバル化は中小企業にプラス」という単純な理解では不十分です。実際には、下請け中小企業の経営環境が厳しくなっているという「負の側面」を見落とすと誤答に陥ります。

学習アドバイス: グローバル化のテーマは経営理論(戦略論)と政策論の両面から学ぶ必要があります。個別企業の海外展開ケースだけでなく、産業全体への影響、政策支援の仕組みも同時に理解しましょう。


イノベーションと事業展開

第10問 イノベーション活動の実施主体

問題要旨: 取り組む課題・事業環境が激変する中で、中小企業においてもイノベーションの重要性が高まっています。イノベーション活動の実施と理由付けについて、最適な組み合わせを選ぶ問題。

K1 定義・用語 T2 分類判断 L2 Trap-D 類似混同

正解: ウ

必要知識: 中小企業のイノベーション — 技術革新、商品開発、プロセス改善、組織改革

解法の思考プロセス: イノベーションは「新規商品の開発」だけを指すのではなく、生産プロセス、提供サービスの市場拡大、組織体制の改革など幅広い領域を含みます。中小企業では、大企業ほどの R&D 投資ができないため、限られた経営資源の中で創意工夫により実現されることが多いです。選択肢の「A:技術に関する情報不足、B:社内・グループ内資金不足」などの課題要因と、実施課題(新製品開発か既製品の改善か)の組み合わせを検討します。ウが最も正確な組み合わせです。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: イ「技術に関する情報不足」とウ「能力ある従業者不足」は一見異なって見えますが、どちらも「経営資源の限界」という共通テーマを指しています。選択肢を慎重に読み分ける必要があります。

学習アドバイス: イノベーションという言葉は多義的です。経営管理論での「イノベーション」と政策論での「イノベーション推進」では、ニュアンスが異なる場合があります。テキストの定義を確認しながら学習してください。


第11問 既存市場と新規市場での取り組み

問題要旨: 新たな販路開拓、市場開拓の動きについて、既存市場での取り組みと新規市場での取り組みを比較し、最も適切な記述を選ぶ問題。

K5 制度・データ T1 正誤判定 L2 Trap-A 逆方向

正解: 設問1=イ、設問2=エ

必要知識: 中小企業の成長戦略 — 販路開拓、市場開拓、既存事業と新規事業

解法の思考プロセス: 中小企業が成長するには、既存顧客への販売拡大と新規市場開拓の2つの経路があります。一般的に、既存市場では顧客基盤が限定される反面、新規市場開拓には営業努力が必要です。題文では既存市場と新規市場での取り組みの相対比較をしており、統計データから正確に読み取る必要があります。

誤答の落とし穴 Trap-A 逆方向誘発: 「既存市場が進む」と「新規市場が進む」の相対関係を逆に理解すると、誤答に陥ります。統計データを見るときに、「どちらが上で、どちらが下か」を正確に把握してください。

学習アドバイス: 経営戦略論では「成長戦略のマトリックス」(既存製品×既存市場 vs 新規製品×新規市場など)がよく使われます。このフレームワークを中小企業政策の統計データと対応させると、理解が深まります。


第12問 地域経済における中小企業の役割

問題要旨: 地方における地域経済の活性化と中小企業の役割を、経営環境の変化を踏まえて理解する問題。既存市場と新規市場での取り組み、地域密着性などが論点。

K5 制度・データ T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件見落とし

正解: 設問1=エ、設問2=オ

必要知識: 地域経済と中小企業 — 地域産業、雇用創造、地域活性化の仕組み

解法の思考プロセス: 地域経済における中小企業の役割は、単に「商品を供給する」だけでなく、雇用創造、地域資源活用、地域コミュニティの維持など多面的です。題文では、三大都市圏と地方の中小企業の経営課題の違いについて述べています。空欄A~Cに当てはまる要素を選ぶ際に、「地方では何が特に重要か」という視点を持つことが重要です。

誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: 「地方」「三大都市圏」という地域分類と、「雇用」「産業」といった経営要素の対応関係を見落とすと誤答に陥ります。

学習アドバイス: 地域経済論は、マクロ経済学や地域政策論と異なります。「中小企業を主語とした地域経済論」という観点から学ぶと、試験問題との適合性が高まります。


グローバル展開と企業成長

第13問 海外進出企業の売上高経常利益率

問題要旨: グローバル経済化の加速に伴い、中小企業の海外進出が進展しています。経済産業省「第44回海外事業活動基本調査」(2014年)に基づき、業種別に海外進出法人の売上高経常利益率(2013年)を見た場合、最も高いものを選ぶ問題。空欄と語句の組み合わせについて判定します。

K5 制度・データ T3 計算実行 L3 Trap-E 計算ミス

正解: 設問1=ア、設問2=エ、設問3=ア

必要知識: 海外展開支援政策 — 海外進出企業の特性、業種別の国際競争力、採算性の差

解法の思考プロセス: 海外進出企業の売上高経常利益率は、業種によって大きく異なります。一般的に、素材型産業(化学など)や技術集約的産業(精密機械など)の利益率が高い傾向があります。一方、小売業やサービス業などは、現地での競争激化により利益率が低い傾向にあります。題文では「海外進出法人の売上高経常利益率(2013年)を見た場合」と述べており、業種別の利益率ランキングの読み取りが必要です。空欄に当てはまる数値・業種の組み合わせを、統計データに基づいて判定します。

誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス: 数値の読み間違い、業種分類の混同(「小売業」「卸売業」の区別)など、複数の計算・判定ミスが重なりやすいです。特に「採算性が高い業種」の予想が外れると、全体の判定が誤ります。

学習アドバイス: 海外進出企業の経営分析は、国内企業との比較が重要です。「国内での利益率が高い業種と、海外でも高いのか」という相対比較を意識して学習してください。また、統計調査(海外事業活動基本調査)の実際のデータを確認することで、より深い理解が得られます。


分類タグの凡例

知識種類(K)

  • K1:定義・用語 — 基本概念や専門用語の正確な理解
  • K5:制度・データ — 法律、政策制度、統計データの具体的把握

思考法(T)

  • T1:正誤判定 — 選択肢の記述が正確か、誤った条件がないかを判定
  • T2:分類判断 — 複数の対象を分類・カテゴリー化する思考
  • T3:計算実行 — 数値計算や指標計算を実行

形式層(L)

  • L1:基礎知識 — 定義の暗記や基本統計の理解で対応可能
  • L2:応用理解 — 複数の知識を組み合わせた読解・判断
  • L3:計算応用 — 複雑な計算や多段階の論理推論が必要

罠パターン(Trap)

  • Trap-A:逆方向 — 相対関係や増減の向きを逆に判断
  • Trap-B:条件見落とし — 「資本金基準」「業種別」など細かな条件を見落とし
  • Trap-C:部分正解 — 複数の要素のうち、一部だけが正確で、全体は誤り
  • Trap-D:類似混同 — 類似した選択肢や概念を混同
  • Trap-E:計算ミス — 数値の読み間違い、分子分母の逆転、増減方向の誤り

年度総括

思考法の分布(本ページ掲載の第1問〜第13問)

思考法出題数割合学習優先度
T1 正誤判定754%最高
T2 分類判断323%
T3 計算実行323%

解説: 本ページで扱う第1問〜第13問では「T1 正誤判定」が過半数を占めます。中小企業白書や政策制度の知識を体系的に理解することが合格の鍵です。

罠パターンの分布(本ページ掲載の第1問〜第13問)

罠パターン出題数特徴
Trap-B 条件見落とし5最頻出。資本金基準、対象業種、時間的限定などの細かい条件
Trap-E 計算ミス3次点。数値計算、比率計算、増減方向の誤り
Trap-A 逆方向2増減方向、上下関係の逆転
Trap-D 類似混同2類似した施策、政策の混同
Trap-C 部分正解1一部正しい選択肢への誘導

解説: Trap-B(条件見落とし)が最頻出で、「資本金基準」「常用従業者数」「業種区分」など定義の細かな条件を見落とすと誤答に陥りやすい科目です。

Tier別学習優先度

優先度 1(必須・定期復習)

  • 「中小企業」と「小規模企業」の定義(業種別の資本金・従業員基準)を確認
  • 白書データの「年度」「対象期間」を見落とさない。計算問題に対応
  • 支援施策の「対象者要件」「申請先」「補助上限額」を正確に区別
  • 類似施策の違い(ものづくり補助金 vs 小規模事業者持続化補助金など)

優先度 2(計算・数値理解)

  • 白書統計の比率計算(成長率、増減率など)
  • 補助金額の計算(補助率、上限額、対象経費の判定)
  • 雇用統計、企業数推移などのグラフ読解

優先度 3(政策根拠・制度設計)

  • 政策の「根拠法」の確認
  • 地域経済振興、経営改善、事業承継支援の具体的内容
  • 労働環境改善、国際化支援の最新トレンド

本番セルフチェック5項目

  1. 「中小企業」と「小規模企業」の定義(業種別の資本金・従業員基準)を確認したか
    • 業種(製造業、卸売業、小売業、サービス業)ごとの資本金基準と従業員基準を正確に対応させる
    • 「以下」「未満」の表記の違いを理解
    • 複数の基準が提示された場合、「いずれか一方」「両方とも」など論理を確認
  2. 白書データの「年度」「対象期間」を見落としていないか
    • 発刊年と統計対象年度の時間差を把握
    • 「前年度」「前暦年」「集計期間」の異なりを整理
    • 計算問題では、複数年の比較データから成長率や増減を正確に算出
  3. 支援施策の「対象者要件」「申請先」を正確に区別したか
    • 各施策の対象企業規模(中小企業全般 vs 小規模企業のみ vs 個人事業主)を確認
    • 申請受付機関(市町村 vs 都道府県 vs 国庫補助機関)の違い
    • 複数年度の継続施策 vs 単年度施策の区別
  4. 類似施策(ものづくり補助金 vs 小規模事業者持続化補助金など)を混同していないか
    • 補助対象(設備投資 vs 運用経費 vs 人件費)で分類
    • 対象企業規模と補助上限額の対応を表にまとめて確認
    • 申請要件(認定支援機関の関与有無など)の違い
  5. 政策の「根拠法」(中小企業基本法 vs 小規模基本法)を確認したか
    • 各法律の制定年、改正年、主要条項を把握
    • 地方自治法、地方創生推進法など他の法律との関連性
    • 各施策の法的位置付けと対象地域・企業の整合性を確認

関連ページ


参考資料へのリンク

中小企業経営・中小企業政策の学習に役立つ関連ノード:


過去問解説ページ

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