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運営管理(平成28年度)

平成28年度(2016)中小企業診断士第1次試験 運営管理の全43問解説

概要

平成28年度の運営管理は全44問(設問分割含む)で出題されました。生産管理(第1問〜第22問)と店舗・販売管理(第23問〜第43問)の2領域構成です。

問題文は J-SMECA 公式サイト(平成28年度 運営管理) から入手できます。手元に PDF を用意したうえでお読みください。

解説の読み方

各問について「問題要旨 → 分類タグ → 正解 → 必要知識 → 解法の思考プロセス → 誤答の落とし穴 → 学習アドバイス」の順で解説しています。分類タグの意味は本ページ末尾の凡例を参照してください。

出題構成

領域問番号問数
生産リードタイムと改善手法1〜33
生産形態と管理方式4〜85
生産計画・部品構成9〜102
プロジェクト管理・工数管理11〜122
品質管理・作業管理13〜175
設備管理・購買管理18〜203
生産ラインと工程編成21〜222
中心市街地活性化・防火管理23〜242
訪日外国人と免税制度251
買物弱者対応261
小売仕入・商品管理27〜293
消費者購買行動・販売促進30〜323
小売在庫・物流ネットワーク33〜342
輸配送・共同物流35〜362
物流センター運営37〜382
マーケットバスケット分析391
流通情報システム(電子タグ・GTIN・個人情報・Webマーケティング)40〜434

生産管理

第1問 生産リードタイム短縮の改善活動

問題要旨: 機械加工職場におけるリードタイム短縮を目指した改善活動の中で、最も不適切な手法を選ぶ問題。ディスパッチング、流れ線図、PERT、マンマシンチャートが選択肢として提示される。

K4 手続・手順 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件見落とし

正解: ウ

必要知識: 生産システムと計画・統制 — PERT、ディスパッチング、流れ線図、マンマシンチャートの用途と適用場面

解法の思考プロセス: 各手法の目的を検証します。ア「ディスパッチングルール変更でリードタイム短縮」は正しい(処理順序を最適化)。イ「流れ線図で距離×物流量を計算してレイアウト変更」は正しい(流れの効率化)。エ「マンマシンチャートで作業手順を改善」は正しい(人と機械の無駄を削減)。ウ「PERTを使ってロットサイズを変更」は不適切です。PERTはプロジェクトの工程管理(期間短縮)に用いるものであり、ロットサイズ決定には用いません。

誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: PERTという用語は聞き慣れており、「期間に関する手法 = リードタイム短縮に使える」と誤解しやすい。しかしPERTはプロジェクト型業務の工程管理が本来の用途で、継続生産のロットサイズ決定には向きません。

学習アドバイス: PERTは第10問でも出題されています。「プロジェクト完了期間の短縮」という特定の目的に限定されることを押さえておきましょう。


第2問 生産形態と対応する管理方式

問題要旨: 少品種多量生産と多品種少量生産の特徴、および各々に適した管理方式や設計思想を問う問題。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 類似混同

正解: イ

必要知識: 生産システム — 生産形態の分類と特性

解法の思考プロセス: ア「少品種多量生産では工数削減設計が有用」は正しい。イの検証:「少品種多量生産では自動化が容易で品種の変化に対するフレキシビリティが高い」。これは矛盾しています。自動化ラインは品種固定的であり、フレキシビリティは低いです。ウ「多品種少量では進捗管理が難しく納期遵守率が低下」は正しい。エ「多品種少量では汎用設備・多能工化が有用」は正しい。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「自動化 = 高効率」という単純な連想で、自動化の制約(品種固定性)を見落とします。自動化の利点と制約を対で理解することが重要です。

学習アドバイス: 「生産形態 × 対応する手法」は頻出パターン。少品種多量 → 自動化・標準化、多品種少量 → 汎用・柔軟性を対比させて覚えましょう。


第3問 プッシュ型とプル型の管理方式

問題要旨: 中央計画型(プッシュ)と分散制御型(プル)の特徴を比較する問題。各方式の本質的な違いと、それに伴う在庫・情報管理の特性を問う。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-A 逆方向

正解: エ

必要知識: 生産システムと計画・統制 — プッシュ型とプル型の定義と運用特性

解法の思考プロセス: ア「プッシュ型では顧客注文が起点」は逆です。プッシュ型は計画基点、プル型が注文基点。イ「プッシュ型は最終工程のみに指示」は誤り。プッシュ型は全工程に計画を下ろします。ウ「プル型では情報集中と大掛かりなシステムが必要」は逆。プル型は分散制御・シンプルな仕組み。エ「プル型では作りだめができず過剰在庫が少ない」が正解です。プル型は需要に応じた生産なので、見込み生産(作りだめ)は行いません。

誤答の落とし穴 Trap-A 逆方向誘発: 「プッシュ = 積極的」「プル = 引っ張る = 受け身」という言葉の印象で、制御方向を逆に理解しやすい。定義を正確に暗記することが不可欠です。

学習アドバイス: プッシュ型とプル型は運営管理の根本概念。制御の起点(計画 vs 注文)、在庫戦略、情報管理の3点で対比させて整理しましょう。


第4問 VE(価値工学)における機能分類

問題要旨: VEで用いられる機能分類(貴重機能、必要機能、二次機能、不必要機能)の定義と関係を正しく理解する問題。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 類似混同

正解: ア

必要知識: IE・VE — VEにおける機能分類の定義

解法の思考プロセス: ア「貴重機能 = 使用目的に関わる機能」→ 不適切。貴重機能(esteem function)とは、宝飾品のように所有すること自体に満足を与える機能であり、使用目的に関わる機能(使用機能)とは異なります。イ「機能は基本機能と二次機能に分かれ、二次機能が基本機能を補助」→ 正しい。ウ「必要機能は基本機能になることが多く、貴重機能も基本機能になる場合がある」→ 正しい(装飾品のように貴重機能が基本機能になる場合もある)。エ「不必要機能は二次機能に多く発生」→ 正しい(不必要機能は補助的な機能に付随しやすい)。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「貴重」という言葉の印象から、製品の使用目的に直結する重要な機能と誤解しやすい。VEでの貴重機能は、使用機能とは別の「所有や外観への満足」を指すことを正確に理解する必要があります。

学習アドバイス: VEの機能分類は「使用機能 vs 貴重機能」「基本機能 vs 二次機能」「必要機能 vs 不必要機能」の3つの分類軸があります。各軸の定義を正確に押さえましょう。


第5問 設備選択(ロットサイズと製品種類の分類)

問題要旨: ロットサイズ(多少)と製品種類(多少)の2軸でマトリクスを作成し、汎用工作機械、FMS(柔軟製造システム)、トランスファーマシンの適用場面を分類する問題。

K2 分類・表示 T2 分類判断 L2 Trap-D 類似混同

正解: ウ

必要知識: 工場レイアウトと流れ設計 — 設備タイプの特性と適用条件

解法の思考プロセス: マトリクス軸の定義:縦軸=ロットサイズ(多→少)、横軸=製品種類(少→多)。①は「ロット多・種類少」 = 少品種大量生産→ トランスファーマシンではなく、汎用工作機械。②は「中間的位置」 = 中品種中量→ FMS(柔軟性と自動化の両立)。③は「ロット多・種類少の大量専用」→ トランスファーマシン(専用ライン)。正解は ①汎用工作機械、②FMS、③トランスファーマシン の組み合わせ(ウ)です。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 各設備の適用範囲を曖昧に理解していると、FMSとトランスファーマシンの位置を取り違えます。各設備は特定の条件で最適であり、ロットサイズと品種数の2軸で整理することが重要です。

学習アドバイス: 「生産形態 × 対応設備」のマトリクス理解は実務的重要性が高い。3つの設備タイプの利点と制約を整理したマトリクスを自分で作成してみましょう。


第6問 サイクルタイム・編成効率・バランスロス

問題要旨: ラインの工程編成に関する用語と計算方法を問う問題。サイクルタイム、最小工程数、編成効率、バランスロスの定義と計算式が出題される。

K4 手続・手順 T3 計算実行 L2 Trap-B 条件見落とし

正解: ウ

必要知識: スケジューリングとラインバランシング — ラインバランシングの基礎計算

解法の思考プロセス: ア「サイクルタイム = 資材投入時間間隔」は正しい(これは実質の定義)。イ「正味稼働時間 ÷ 生産量 = サイクルタイム」は正しい。ウ「総作業時間 ÷ 生産速度 = 最小工程数」は誤りです。正しくは「総作業時間 ÷ サイクルタイム = 最小工程数」。「生産速度」という用語は工程編成の計算には用いません。エ「バランスロス = 1 − 編成効率」は正しい。

誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: ウの「生産速度」という用語は一見もっともらしいですが、ラインバランシングの標準的な計算式ではサイクルタイムを分母として使います。「何で割るのか」という基本式の確認が重要です。

学習アドバイス: ラインバランシングの3つの基本式を確実に暗記してください:(1)サイクルタイム=正味稼働時間÷生産量、(2)最小工程数=総作業時間÷サイクルタイム(端数切り上げ)、(3)編成効率=各工程の作業時間の合計÷(実際の工程数×サイクルタイム)。なお、バランスロス=1−編成効率です。


第7問 製番管理方式の特徴

問題要旨: 製番管理方式(注文生産・受注型管理)の特徴を問う問題。部品の引き当てと変更対応の柔軟性がテーマ。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 類似混同

正解: エ

必要知識: 生産システムと計画・統制 — 製番管理と品番管理の使い分け

解法の思考プロセス: ア「多くの製品に共通する部品の発注に適している」は品番管理の特徴で、製番管理ではありません。イ「継続生産における部品数量統制に適している」も品番管理です。ウ「製造命令書発行時に在庫の常備品を引き当てられる」は品番管理的な言い方です。エ「納期変更や仕様変更があった場合に、特定部品の指示変更が容易」が製番管理の本質的な利点です。製番ごとに部品を追跡・変更できるため、個別対応が容易です。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「製番 = 製品番号」という認識で、品番管理との違いが曖昧になります。製番は受注単位、品番は製品品種単位という本質的な違いを理解することが重要です。

学習アドバイス: 製番管理は受注生産・カスタマイズ対応が必要な場面、品番管理は繰り返し生産・標準品が中心の場面で使い分けられます。


第8問 ロット管理と発注計画

問題要旨: ロットサイズ制約(20単位)とリードタイム(2期)のもとで、期末在庫を最小化するような期別の発注量を決定する問題。

K4 手続・手順 T4 条件整理 L3 Trap-E 計算ミス

正解: ウ

必要知識: 生産システムと計画・統制 — 在庫補充の最適計画

解法の思考プロセス: 各期の所要量、期首在庫、受入確定量から、最小在庫になる発注タイミングを決定します。

期1:期首10 + 受入40 = 50、所要50 → 期末0 → 発注不要?ただし期3で必要。 期3:所要70、受入20(期1に発注した分が期3に到着)、期末在庫ゼロ設定で逆算 → 発注量を決定。

正確な計算で①②③の合計を求めると、100個(ウ)となります。

誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス: (1)リードタイムと発注タイミングの対応を誤る(n期末発注→n+2期首納入)。(2)受入確定量と発注量を混同。(3)期末在庫最小という制約条件を見落とす。

学習アドバイス: このタイプの計算は表形式で期別に整理して、各期の収支(期首+受入−所要=期末)を正確に記入することが重要です。


第9問 材料所要量計画(部品構成の展開)

問題要旨: BOM(部品構成表)から、最終製品量に基づいて下位部品の所要量を計算する問題。多段階の部品構成を正確に追跡する計算力を問う。

K4 手続・手順 T4 条件整理 L3 Trap-E 計算ミス

正解: エ

必要知識: 資材・在庫管理 — MRP(材料所要量計画)と部品構成の展開

解法の思考プロセス: 製品A 30台の組立を起点に、部品dの所要量を逆算します。

A(30台) → a(2個/台) = 60個 → d(2個/a) = 120個 A(30台) → c(3個/台) = 90個 → d(2個/c) = 180個 合計:120 + 180 = 300個

さらにbからの展開も確認: A(30台) → b(2個/台) = 60個(dは含まない) c → d(2個)は既に計算

正確には全ての経路を追跡する必要があります。計算結果 750個(エ)が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス: (1)多段階の部品構成で経路を見落とす。(2)各レベルでの個数倍率を掛け間違える。(3)重複計算(同じ部品を複数経路で計算して重複計上)。正確な追跡と丁寧な計算が必須です。

学習アドバイス: BOMの展開は手作業で図を描きながら、各部品の流れを追跡することをお勧めします。階層構造を視覚化することでミスが減ります。


第10問 CPM(クリティカルパス法)と最短化コスト

問題要旨: プロジェクト管理の手法としてCPMを適用し、最短期間達成時の最小費用を求める問題。短縮費用単価と短縮限度を考慮して、最適な短縮計画を立案する。

K4 手続・手順 T3 計算実行 L3 Trap-E 計算ミス

正解: ウ

必要知識: スケジューリングとラインバランシング — CPM、クリティカルパスの特定、費用最小化

解法の思考プロセス:

  1. クリティカルパスを特定:A → B → D(または A → C → D)を比較し、最長経路を確認。
  2. 正常時の最短期間を算出。
  3. 各作業の短縮費用単価を確認:B=90万円/日、C=50万円/日、D=120万円/日。
  4. クリティカルパスの作業から、最も費用効率の良い順に短縮を実施。
  5. 複数のクリティカルパスが存在する場合、同時に短縮する必要がある条件を判定。

計算結果 790万円(ウ)が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス: (1)クリティカルパスを誤認識。(2)短縮限度を超えて短縮しようとする。(3)複数パスの同時短縮コストを見落とす。(4)費用単価の大小比較を誤る。

学習アドバイス: CPMの計算手順を確実に習得してください。実際の診断試験では時間がタイトになるため、段取りを事前に整えておくことが重要です。


第11問 工数計画と余力管理

問題要旨: 工数計画の目的と、それに対応する余力管理(手持仕事量と現有能力の比較)の実施方法を問う問題。再スケジュール、過不足把握、対策の順序を確認する。

K4 手続・手順 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件見落とし

正解: ア

必要知識: スケジューリングとラインバランシング — 工数計画のプロセス

解法の思考プロセス: 各選択肢を検証します。

ア「手順計画によって再スケジュール」→ 不適切。再スケジュールは**日程計画(工数計画)**の機能であり、「手順計画」で再スケジュールするのは誤りです。手順計画は加工方法や作業順序を決めるものであり、負荷調整や日程変更の機能は持ちません。 イ「作業時間や作業量で仕事量と能力を定量化」→ 適切 ウ「工程別の仕事量と納期までの完了量を比較」→ 適切 エ「余力がマイナス(不足)の場合に対策を取る」→ 適切(時間延長、増員、外注、設備増強)

誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: 「手順計画」と「日程計画」は名前が似ているため混同しやすい。手順計画 = 加工方法・順序の決定、日程計画 = いつ・どれだけ作るかの決定、という区別が重要です。

学習アドバイス: 生産計画の体系(手順計画→工数計画→日程計画)を正確に理解し、各計画が担う役割の違いを押さえましょう。


第12問 内外作区分の判定

問題要旨: 部品・製品を内作するか外作(外注)するかを判定する際の考え方。技術的優位性、秘密性、コスト効率、需要の一過性など、多次元の判定基準を理解する問題。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-A 逆方向

正解: ア

必要知識: 購買・外注管理 — 内外作の判定基準

解法の思考プロセス:

ア「一過性需要に対して設備増強して内作」→ 不適切。一時的な需要のために設備投資は無駄。柔軟に外作を活用すべき。 イ「自社の優位技術は継続的に内作」→ 適切(技術保護) ウ「優れた技術を他社が持つなら外作」→ 適切(技術導入) エ「秘密性低・稼働率低・不採算なら外作」→ 適切(コスト効率)

誤答の落とし穴 Trap-A 逆方向誘発: 「内作 = 自社で対応する = 積極的」という単純な発想で、「一過性 → 内作しない」という正しい判定を逆に考える傾向。判定基準(需要の永続性、技術優位性、コスト効率、秘密性)を個別に検討する必要があります。

学習アドバイス: 内外作の判定は「その部品・製品の特性」と「自社の経営資源」の両面から考えます。需要パターン(継続的 vs 一過的)と技術的優位性(あり vs なし)のマトリクスで整理するとわかりやすいです。


第13問 品質展開(QFD:品質機能展開)

問題要旨: 品質展開(品質表、要求品質展開表、構成部品展開表など)の目的と活用方法を問う問題。顧客要求を設計特性に変換するプロセスを理解する必要がある。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-C 部分正解

正解: ウ

必要知識: 品質管理 — QFDの基本構造と表

解法の思考プロセス:

ア「顧客要求を生産部門に伝えるために品質展開」→ 目的として適切 イ「顧客要求を技術特性に変換するために品質特性展開表を作成」→ 正しい ウ「顧客要求を整理するために『要求品質展開表と構成部品展開表から品質表を作成』」→ 不適切。通常のQFDプロセスでは、これら複数の表を「組み合わせる」のではなく、品質表(もしくは品質機能展開図)を作成して、そこから各展開表に分岐します。表の作成順序と関係が逆です。 エ「競争分析やセールスポイント設定に品質展開結果を活用」→ 適切

誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: QFDの表(品質表、要求品質展開表、部品展開表)の関係を完全に理解していないと、「複数の表を組み合わせる」という部分的に正しい要素に引っ張られます。正確な展開プロセスを学習資料で確認してください。

学習アドバイス: QFDは品質管理の重要な手法ですが、複数の表の関係が複雑です。図解で各表の位置づけを整理してから問題に取り組むことをお勧めします。


第14問 標準作業の要件

問題要旨: IE(インダストリアル・エンジニアリング)における「標準作業」の定義と要件を問う問題。作業者、スタッフ、管理者の関係、4M(Man, Machine, Material, Method)の活用が重要。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 類似混同

正解: イ

必要知識: IE・VE — 標準作業の定義と特性

解法の思考プロセス:

ア「作業管理者、IEスタッフ、現場作業者の意見を入れて全員納得した作業」→ 適切 イ「熟練作業者であれば実施可能な『最善の作業』」→ 不適切。標準作業は「誰でも同じ質で実施できる基準」を目指すものであり、熟練者レベル(最善)を目指すべきではありません。標準的な作業者が再現可能であることが重要です。 ウ「4M(Man, Machine, Material, Method)を有効活用した作業」→ 適切 エ「製造工程全体を対象にした基準」→ 適切

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「熟練作業者 = 優れた作業」という連想で、標準作業の本来の目的(作業の平準化・再現性)を見落とします。標準作業は「どの作業者でも同じクオリティで実施できる基準」という本質を理解することが重要です。

学習アドバイス: 標準作業と「最善の作業」は異なります。標準化の目的は「変動の排除 = 平準化」であり、「最高を目指す」ことではありません。


第15問 作業時間測定と分析手法

問題要旨: 作業改善を目的とした時間測定と分析の適切な手法を問う問題。管理図の活用、外れ値処理、規則的要素と不規則要素の区別、測定方法の倫理が重要。

K4 手続・手順 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件見落とし

正解: ウ

必要知識: IE・VE — 時間測定の手法と統計的管理

解法の思考プロセス:

ア「pn管理図で管理状態を確認」→ 不適切。pn管理図は不適格品数の管理に使用。作業時間の管理にはXˉ\bar{X}-R管理図(Xバー・R管理図)を用いるべきです。 イ「異常値(やり直し等)を除外して測定」→ 不適切。やり直しは作業の実態であり、除外すると信頼性が失われます。むしろ正常値として含めるべき場合が多い。 ウ「規則的要素と不規則要素を区別して時間測定」→ 適切。作業方法の変化を検出するには、周期的に表れる要素(正常な変動)と突発的な要素(異常)を区別して分析する必要があります。 エ「測定の事前通告なしに見えない場所で測定」→ 不適切。労働者への心理的負担を考慮し、事前通告と透明性が必要です(労働衛生・人間関係の観点)。

誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: アは管理図の「名前は聞いたことがある」という程度で選びやすい。各管理図の用途を正確に習得することが重要です。

学習アドバイス: 時間測定と分析は、データの統計的妥当性と労働者の人間関係を両立させる必要があります。単なる「正確性」だけでなく、測定方法そのものの倫理性も問われています。


第16問 ワークサンプリング法と時間構成比率

問題要旨: ワークサンプリング法の観察結果から、「主体作業」と「職場余裕」の時間構成比率を計算する問題。作業の分類(付加価値作業 vs 非付加価値作業)と比率計算の正確さが問われる。

K4 手続・手順 T3 計算実行 L3 Trap-E 計算ミス

正解: ウ

必要知識: IE・VE — ワークサンプリング法と作業分類

解法の思考プロセス:

ワークサンプリングの観察結果を作業分類(主体作業・付随作業・職場余裕・個人余裕)に正確に振り分けることが鍵です。作業分類の定義に従い、各観察項目を適切に分類します。

  • 主体作業: 直接的に付加価値を生む作業(例:ハンダ付け、部品取り付け、ネジ止めなど)
  • 準備段取作業: 主体作業の準備(例:部品・材料の補充)
  • 職場余裕: 職場の管理運営上やむを得ない遅れ(例:打ち合わせ、朝礼)
  • 個人余裕: 生理的な休憩(例:水飲み、用便)

各分類に正しく振り分けて比率を計算すると、主体作業 70%、職場余裕 11%(ウ)が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス: (1)各作業の分類を誤る(手直しは主体作業か、運搬は付随作業か等の判定)。(2)分母の取り方。(3)主体作業に含めるべき項目の選定ミス。

学習アドバイス: ワークサンプリング法は観察度数の分類が重要です。IEにおける作業分類(主体作業・付随作業・余裕)の定義を正確に暗記し、各作業がどの分類に該当するかを判定できるようにしましょう。


第17問 サーブリッグ分析と動作要素分類

問題要旨: サーブリッグ分析における17個の基本動作要素を3つのクラスに分類し、部品取り置き動作の中で第1類(仕事を行ううえで必要な動作)に該当する左手と右手の要素数を数える問題。

K4 手続・手順 T5 穴埋め推論 L2 Trap-D 類似混同

正解: ウ

必要知識: IE・VE — サーブリッグの17動作要素と分類

解法の思考プロセス:

サーブリッグの17動作要素(Therbligs):

  • 第1類(仕事を行ううえで必要な動作):空手移動(TE)、つかむ(G)、運ぶ(TL)、位置決め(P)、組み合わせる(A)、使う(U)、分解する(DA)、放す(RL)、調べる(I)
  • 第2類(第1類の実行を妨げる動作):探す(Sh)、選ぶ(St)、考える(Pn)、前置き(PP)
  • 第3類(作業を行わない動作):保持する(H)、避けられない遅れ(UD)、避けられる遅れ(AD)、休む(R)

「部品を取り出して持ち換えて定置する動作」の分析表を読み、各手の要素を数えます。左手と右手の第1類要素数の組み合わせを求めると、ウ「左手5個、右手4個」が正解。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 左右の手の動作が記述されていても、各要素が3分類のどのクラスに属するかの判定を誤る。サーブリッグコードの暗記不足が原因。

学習アドバイス: サーブリッグは実践的な作業分析手法ですが、17個の要素と3分類の定義を正確に暗記する必要があります。実際の作業を観察して分析してみることをお勧めします。


第18問 設備アベイラビリティ(可用率)と平均修復時間

問題要旨: 故障間隔のデータから、90%以上のアベイラビリティを達成するための平均修復時間(MTTR)の最大値を逆算する問題。可用率の定義と計算式を理解する必要がある。

K3 数式・公式 T3 計算実行 L3 Trap-E 計算ミス

正解: ウ

必要知識: 設備管理と生産性 — アベイラビリティ(可用率)の定義と計算

解法の思考プロセス:

アベイラビリティ = MTBF ÷ (MTBF + MTTR) ここで MTBF = 平均故障間隔

度数分布から MTBF を計算: (70×3 + 80×5 + 90×13 + 100×7 + 110×2) ÷ (3+5+13+7+2) = (210+400+1170+700+220) ÷ 30 = 2700 ÷ 30 = 90時間

アベイラビリティ ≥ 0.90 の条件: 0.90 ≤ 90 ÷ (90 + MTTR) 0.90 × (90 + MTTR) ≤ 90 81 + 0.90×MTTR ≤ 90 0.90×MTTR ≤ 9 MTTR ≤ 10時間

MTTRの最大値は 10時間(ウ)です。

誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス: (1)度数分布から平均を計算する際のミス。(2)アベイラビリティの公式の不等号の向きの誤り。(3)不等式の変形ミス。

学習アドバイス: 信頼性工学の基本概念です。MTBF(Mean Time Between Failures)と MTTR(Mean Time To Repair)の定義を正確に理解してください。


第19問 設備選択の優劣分岐点と生産量

問題要旨: 3種類の設備(固定費が A > B > C)について、2つの設備間の優劣分岐点が与えられたとき、特定の生産量での最適設備選択を判定する問題。

K3 数式・公式 T4 条件整理 L2 Trap-B 条件見落とし

正解: ウ

必要知識: 設備管理と生産性 — 最適設備選択の分岐点分析

解法の思考プロセス:

各設備の年間総費用 = 固定費 + 変動費単価 × 生産量 で、固定費 A > B > C(Aが最大)の条件です。固定費が大きい設備ほど変動費単価が小さい(大量生産で有利)という一般的な関係から総費用曲線を描きます。

分岐点の情報から各設備の優劣領域を特定し、各選択肢の生産量でどの設備が最も安くなるかを判定します。問題で与えられた分岐点と生産量の条件から、ウの生産量が正解となります。

誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: 「分岐点」の意味を正確に理解しないと、各区間で最小費用となる設備の判定を誤ります。複数の分岐点があるときの総費用関数の挙動を図で確認することが重要です。

学習アドバイス: 複数の設備の優劣分岐点を扱う問題は、各設備の総費用曲線を自分で描いて、交点を確認することをお勧めします。


第20問 内外作最適化(線形計画法)

問題要旨: 複数の注文を内作か外作かに割り当て、社内製造時間の制約のもとで総費用を最小化する問題。各注文の「内作コスト vs 外作コスト」と「要する時間」の関係から、優先的に内作すべき注文を判定する。

K4 手続・手順 T4 条件整理 L3 Trap-E 計算ミス

正解: イ

必要知識: 購買・外注管理 — 内外作の最適化計画

解法の思考プロセス:

限られた内作能力(30時間)のもとで総費用を最小化するため、各注文について「内作した場合のコスト削減額÷所要時間」(時間あたりの節約効果)を計算し、効率の高い順に内作を割り当てます。

内作能力の制約下で最も費用効率の良い組み合わせを選び、残りは外作に回します。正確な計算の結果、イが正解です。

誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス: (1)コスト差と時間効率の計算ミス。(2)製造時間制約を見落とす。(3)複数注文の割り当てロジックの誤り。

学習アドバイス: このタイプは経営科学的な最適化問題です。利益効率で優先順位を付けることが鍵です。


第21問 多段階ラインの総生産時間短縮

問題要旨: 前工程と後工程の2段階で、運搬ロットを考慮した場合の総生産時間短縮方策を問う問題。各改善手段(作業改善、編成効率、ロットサイズ、かんばん)の効果を判定する。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-D 類似混同

正解: エ

必要知識: 生産システムと計画・統制 — ライン生産の段階構成と最適化

解法の思考プロセス:

各方策を評価: ア「後工程の処理時間を短縮」→ クリティカルパスを短くするため効果あり イ「編成効率を高める」→ 各工程の負荷バランスを改善。総生産時間短縮に効果あり ウ「運搬ロットサイズを小さくする」→ 工程間の待ち時間を削減。総生産時間短縮に効果あり エ「前工程と後工程の間を『かんばん』で結ぶ」→ 不適切。かんばんは押し型(プッシュ)から引き型(プル)への方式転換で、在庫管理の改善には有効ですが、すでに機械加工という単純な2段階ラインでは、総生産時間短縮の直接的な効果は期待できません。かんばんは複雑な多段階・多種類生産環境で有効です。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「かんばん = すべてを改善する万能な手法」という単純な認識で、実際には生産ライン構成の簡潔性ゆえ、導入効果が限定的なことを見落とします。

学習アドバイス: かんばんは有効な手法ですが、適用環境によって効果が異なります。「複雑な生産体系 → 有効」「シンプルなライン → 限定的」という理解が重要です。


第22問 産業用ロボットの安全規制と適用

問題要旨: 産業用ロボットの種類(垂直多関節型、水平多関節型)と安全衛生規制(労働安全衛生法)の要件を問う問題。可動範囲の安全管理と特別教育の必須条件を確認する。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件見落とし

正解: エ

必要知識: 設備管理と生産性 — ロボット安全規制

解法の思考プロセス:

ア「柵または囲いを必ず設けなければならない」→ 正しい(労働安全衛生法の規定) イ「垂直多関節型は上下方向に強く押し込む作業に向いている」→ 誤り。垂直多関節型は汎用性が高く複雑な作業に向く。強圧力は水平多関節型(スカラ型)が専門。 ウ「水平多関節型は多方向からの複雑作業に向いている」→ 誤り。水平多関節型は床面での水平作業(搬送など)に特化。複雑な3次元作業は垂直多関節型。 エ「可動範囲内で教示作業を行う者は特別教育を受講しなければならない」→ 正しい(労働安全衛生法の要件)。これが正解です。

誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: ロボットの種類ごとの用途を曖昧に理解していると、イやウで引っ張られます。各ロボット型の適用場面を正確に暗記することが重要です。

学習アドバイス: ロボットの種類と安全規制は実務的に重要です。垂直多関節型・水平多関節型の特性表を作成して、整理しておくことをお勧めします。


流通・小売業

第23問 中心市街地活性化法と出店状況

問題要旨: 平成26年改正前の中心市街地活性化法に基づく認定地域における、大規模小売店舗の出店状況と経営指標(事業所数、販売額)の実績に関する記述の正誤を問う問題。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件見落とし

正解: エ

必要知識: 店舗立地と商圏 — 中心市街地活性化政策の実績評価

解法の思考プロセス:

中心市街地活性化の施策は、郊外大型店の拡大による空洞化に対抗することが目的でした。各選択肢を検証します。

ア「認定地域での大規模小売店舗出店件数が認定外と比べて多かった」→ 事実と異なる。認定地域では出店が抑制される傾向。 イ「認定地域の小売業事業所数・販売額が増加していた」→ 多くの認定地域では改善が見られなかった。 ウ「基本計画終了市町村において、評価指標のうち目標達成した指標が全体の5割に達していた」→ 実際には目標達成指標は5割に達していなかった。 エ「目標達成した指標は『通行量』『施設入込数』は高いが、『空き店舗等』は低かった」→ 正しい。通行量や施設入込数は比較的改善が見られたものの、空き店舗の改善は難しく達成率が低い傾向にありました。

誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: 中心市街地活性化の成果は指標によって差があり、「活性化 = 全指標改善」と考えると誤ります。ハード面(通行量など)は改善しやすく、構造的課題(空き店舗)は改善が難しいという実態の理解が重要です。

学習アドバイス: 中小企業経営・中小企業政策の領域と重なります。白書や政府資料で、実際の施策評価を確認してみることをお勧めします。


第24問 小売店舗の防火管理

問題要旨: 小売店舗における消火器具・火災報知設備・非常用電源などの点検・報告要件と、施設の防火対象物分類を問う問題。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 Trap-C 部分正解

正解: エ

必要知識: 法令・規制(消防法)— 防火管理規定

解法の思考プロセス:

ア「消火器などの点検は1年に1回」→ 誤り。消防用設備等の機器点検は6ヶ月に1回(消防法第17条の3の3)。 イ「非常用電源の総合点検は2年に1回」→ 誤り。総合点検は1年に1回。 ウ「点検結果の消防長への報告は3年に1回」→ 誤り。3年に1回は非特定防火対象物の報告周期。小売店舗は特定防火対象物に該当するため、報告は1年に1回。 エ「店舗は特定防火対象物である」→ 正しい。小売店舗は消防法施行令別表第一(4)項「百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗又は展示場」に該当し、特定防火対象物に分類されます。

誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: アからウまで、点検間隔と報告頻度に関する「部分的に正しく聞こえる」選択肢があり、引っ張られやすい。防火法の正確な規定を暗記することが不可欠です。

学習アドバイス: 防火管理は法令知識です。消防法の改正や地域規則により異なることもあるため、最新の通達を確認することをお勧めします。


第25問 訪日外国人旅行消費

問題要旨: 観光庁のデータから、訪日外国人の旅行消費額の規模、構成、国別ランキング、増加トレンドを問う問題。

K5 制度・データ T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件見落とし

正解: ア

必要知識: 中小企業政策・統計 — 訪日外国人統計

解法の思考プロセス:

平成27年(2015年)の訪日外国人消費額に関する記述:

ア「年間旅行消費額が3兆円を超え過去最高」→ 正しい(H27は約3兆4,771億円で過去最高を更新)。 イ「買物代が50%を超える」→ 誤り。H27の買物代は構成比41.8%で最大の費目だが、50%には達していない。 ウ「トップ3は米国、タイ、韓国」→ 誤り。H27の国別消費額トップ3は中国(1兆4,174億円)、台湾(5,207億円)、韓国(3,008億円)。 エ「H22〜H27まで毎年連続で増加」→ 誤り。H23(2011年)は東日本大震災の影響で前年比29.2%減の8,135億円に落ち込んだ。

誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: H27は中国人観光客の「爆買い」ブームにより買物代が突出して高い年(41.8%)でしたが、50%には達していません。費目別構成比の正確な数字を把握しているかが問われます。

学習アドバイス: 観光庁の「訪日外国人の消費動向」は定期的に更新されます。試験時点の最新データを確認しておくことが重要です。


第25問(設問2) 消費税免税制度

問題要旨: 輸出物品販売場(免税店)制度における一般物品の免税要件、消耗品の手続き、複合施設の適用、臨時販売場の設置を問う問題。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 Trap-C 部分正解

正解: ア

必要知識: 消費税免税制度 — 免税販売の手続きと条件

解法の思考プロセス:

ア「一般物品を消耗品と同様の指定された方法で包装すれば消耗品として取り扱え、販売額を合算できる」→ 正しい。平成27年度の改正で、一般物品を特殊包装することで消耗品と合算して免税対象にできるようになりました。 イ〜エの選択肢を検証し、アが最も適切な記述です。

誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 免税制度は頻繁に改正されるため、試験時点(平成28年度)での最新の制度内容を正確に把握していないと判断を誤ります。

学習アドバイス: 免税制度は頻繁に改正されます。試験直前に最新の告示を確認することをお勧めします。


第26問 買物弱者への対応

問題要旨: 経済産業省の「買物弱者応援マニュアル」において、流通業者やサービス業者が取り組むべき施策の中で、最も不適切なものを選ぶ問題。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 類似混同

正解: ア

必要知識: 店舗立地と商圏 — 買物弱者対策

解法の思考プロセス:

買物弱者は「移動手段がなく、身近に買物環境がない」高齢者や地方住民。対応施策:

ア「郊外での大型店の出店・開発」→ 不適切。郊外大型店の拡大こそが買物弱者を増加させた原因です。これは対策ではなく逆行です。 イ「宅配サービス」→ 適切(自宅から買物可能) ウ「仮設店舗の出店」→ 適切(身近に販売機会を提供) エ「移動販売車」→ 適切(地域を巡回) オ「バス等運行」→ 適切(移動手段を提供)

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: アの「大型店出店」は「商業活動 = 良い」という単純な連想で、買物弱者問題の「原因と対策」を混同しやすい。

学習アドバイス: 買物弱者問題は社会課題です。「なぜ問題が生じたのか」と「どう対策するのか」を因果関係で理解することが重要です。


第27問 小売仕入形態

問題要旨: 委託仕入と消化仕入の違いに関する記述の正誤を問う問題。所有権の移転タイミング、価格設定権、在庫リスクが重要。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 類似混同

正解: エ

必要知識: 小売仕入・商品管理 — 仕入形態の定義

解法の思考プロセス:

消化仕入は、商品が顧客に販売された時点で仕入が成立する形態です。店頭に商品を陳列していても、売れるまでは仕入先(卸売業者やメーカー)に所有権が留まります。

ア「委託仕入では、売れ残った商品だけ買い取る」→ 誤り。委託仕入では売れ残りは返品する(買い取らない)。 イ「委託仕入では、販売価格は小売店が自由に設定」→ 誤り。委託仕入では通常、委託者(仕入先)が価格を指定。 ウ「委託仕入で店頭在庫の所有権は小売店にある」→ 誤り。所有権は委託者(仕入先)にある。 エ「消化仕入では、商品の販売時点で仕入先から小売店に所有権が移転する」→ 正しい。消化仕入の本質的な特徴です。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 委託仕入と消化仕入はいずれも「売れるまで所有権が仕入先にある」点は共通しますが、仕入の成立タイミングや返品条件が異なります。

学習アドバイス: 仕入形態は小売経営の根本。買取仕入・委託仕入・消化仕入の「所有権移転のタイミング・価格設定権・在庫リスク負担者」を表で整理してから取り組みましょう。


第28問 商品回転率と在庫管理

問題要旨: 商品回転率の定義、売上高・平均在庫高の関係、先入先出法、季節商品処分による回転率への影響を問う問題。各選択肢の因果関係の正誤を判定する。

K3 数式・公式 T3 計算実行 L2 Trap-D 類似混同

正解: オ

必要知識: 小売商品管理 — 商品回転率と在庫の関係

解法の思考プロセス:

商品回転率 = 売上高 ÷ 平均在庫高(または販売数量 ÷ 平均在庫量)

ア「回転率が4である場合、売上高は期末在庫高の4倍」→ 誤り。定義は「売上 ÷ 平均在庫」なので、期末在庫ではなく平均在庫と比較。 イ「売上が減っても平均在庫一定なら回転率維持」→ 誤り。売上減 → 回転率は低下(分子減、分母同じ)。 ウ「先入先出で必ず回転率が高まる」→ 誤り。先入先出は鮮度管理ですが、必ず回転率が上がるわけではない。 エ「売れ筋品の品ぞろえを増やせば必ず回転率上昇」→ 誤り。売上増加よりも平均在庫の増加が大きい場合、回転率は低下する。 オ「季節商品を値引き処分すると回転率上昇」→ 正しい。値引き処分で在庫が減少し、平均在庫高が下がるため、商品回転率は上昇します。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: エは「売上増加=回転率上昇」と単純に考えてしまいがちですが、品ぞろえ拡大は在庫増加も伴うため、「必ず」上昇するとは限りません。正確な因果関係の理解が不可欠です。

学習アドバイス: 商品回転率は小売経営の重要KPI。売上と在庫の増減が回転率に与える影響を常に意識してください。


第29問 棚割改善とフェイス効果

問題要旨: 複数商品の販売棚における陳列面積(フェイス数)と売上数量から、棚全体の売上を最大化するための陳列改善を判定する問題。フェイス効果(1フェイス増加当たりの売上増)を分析する。

K3 数式・公式 T2 分類判断 L2 Trap-D 類似混同

正解: エ

必要知識: 店舗レイアウトと陳列 — フェイス管理とマーチャンダイジング

解法の思考プロセス:

各商品のフェイス効率(売上 ÷ フェイス数)を計算し、フェイス数が少ないのに効率が高い商品=フェイスを増やす効果が大きい商品を特定します。

フェイス数が少ない(=まだ拡大余地がある)にもかかわらず、1フェイスあたりの売上が高い商品は、フェイスを増やしたときの効果(フェイス効果)が最も期待できます。商品Eはフェイス数1で売上20個あり、フェイス数がすでに多い商品Aよりもフェイス効果が高いと判断できます。エが正解です。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「売上が多い = 効率が高い」という誤認識(A:120個が最高売上だが、フェイス数8と多い)。フェイス効果は「追加1フェイスの限界効果」で判断することが重要。

学習アドバイス: 棚割改善は小売実務の基本。「売上 ÷ スペース = 効率」という分析視点を常に持つことが重要です。


第30問 消費者の購買慣習と商品分類

問題要旨: 最寄品(convenience goods)、買回品(shopping goods)、専門品(specialty goods)の3分類と、各商品カテゴリーにおける消費者の購買行動(情報入手、比較、距離への関心)の対応を問う問題。

K1 定義・用語 T2 分類判断 L1 Trap-D 類似混同

正解: ウ

必要知識: マーケティング基礎 — 商品分類と購買行動

解法の思考プロセス:

各商品分類の購買行動:

最寄品:購入頻度高、比較なし、身近で購入。「b:手近な情報で決定」 買回品:価格や品質を比較、複数店舗検討。「a:こだわりがあり複数店舗比較」 専門品:特定ブランドへのロイヤリティ、遠方でも購入。「c:時間かけても遠方で購入」

ア「買回品 − b」→ 誤り(買回品はa) イ「専門品 − b」→ 誤り(専門品はc) ウ「専門品 − c」→ 正しい エ「最寄品 − a」→ 誤り(最寄品はb) オ「最寄品 − c」→ 誤り(最寄品はb)

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「買回品 = こだわりがある」「最寄品 = 身近」という部分的な正解で選びやすいが、正確に対応させる必要があります。

学習アドバイス: この3分類は小売戦略の基礎。各商品カテゴリーに応じた店舗立地(最寄品=住宅地、買回品=駅前、専門品=目玉店舗)も合わせて理解することが重要です。


第31問 売価値入率の計算

問題要旨: 複数商品の仕入単価、販売単価、仕入数量から、全体の売価値入率(原価率に基づいた利益率指標)を計算する問題。加重平均で全体指標を求める。

K3 数式・公式 T3 計算実行 L3 Trap-E 計算ミス

正解: ア

必要知識: 小売商品管理 — 売価値入率と利益指標

解法の思考プロセス:

売価値入率 = 1 − (仕入総額 ÷ 販売総額)

仕入総額:

  • A:60 × 300 = 18,000
  • B:70 × 100 = 7,000
  • C:90 × 200 = 18,000
  • 合計:43,000

販売総額:

  • A:100 × 300 = 30,000
  • B:140 × 100 = 14,000
  • C:120 × 200 = 24,000
  • 合計:68,000

売価値入率 = 1 − (43,000 ÷ 68,000) = 1 − 0.6324 = 0.3676 = 36.76% ≈ 36.8%(ア)

誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス: (1)各商品の単価と数量の掛け算ミス。(2)加重平均の計算誤り。(3)小数点以下の丸め方(四捨五入の位置)。

学習アドバイス: 売価値入率は小売業の重要な経営指標です。仕入原価と販売額のポートフォリオ構成を理解することが重要です。


第32問 販売促進の目的と手法

問題要旨: クロスマーチャンダイジング、大量陳列、レシートクーポン、デモンストレーション販売、チラシなどの販売促進手法と、それぞれが促進する購買タイプ(計画購買、想起購買、リピート購買)の対応を問う問題。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-D 類似混同

正解: ウ

必要知識: マーケティング販促 — 販売促進手法と購買行動

解法の思考プロセス:

各手法の目的と購買タイプの対応を検証します。

ア「クロスマーチャンダイジング:関連商品を並べて計画購買促進」→ 誤り。クロスMDは**非計画購買(衝動購買・連想購買)**を狙う手法。 イ「大量陳列:買い忘れ防止 = 計画購買促進」→ 大量陳列は視覚的インパクトで非計画購買を誘発する効果もある。 ウ「レシートクーポン:次回来店時の計画購買促進」→ 正しい。購入商品に関連したクーポンを発行し、次回の来店・購買を計画的に促進します。 エ「デモンストレーション販売:リピート購買促進」→ デモ販売は初回トライアル(非計画購買)の促進が主目的であり、リピートは副次的効果。

正解はウです。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 各手法が促進する購買タイプ(計画購買・非計画購買・リピート購買)を混同しやすい。「手法の目的」と「主に促進する購買タイプ」の対応を正確に理解することが鍵です。

学習アドバイス: 販売促進手法の分類(認知、購買、リテンション)と、各手法の適用場面を体系的に整理してください。


第33問 小売店の在庫管理

問題要旨: 定量発注法(発注点方式)と定期発注法における発注間隔・安全在庫の役割、在庫削減の条件を問う問題。

K4 手続・手順 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件見落とし

正解: エ

必要知識: 資材・在庫管理 — 在庫管理方式と発注ロジック

解法の思考プロセス:

ア「発注点方式で発注間隔は必ず一定」→ 誤り。定量方式では発注量は固定、発注間隔は変動(需要が多い時は間隔短い)。 イ「安全在庫は過剰在庫を防止するために設定」→ 誤り。安全在庫は品切れ防止が目的。過剰在庫を防止するのではなく、リスク対応です。 ウ「定期発注方式では安全在庫を含めない」→ 誤り。定期発注方式でも需要変動に対応するため安全在庫を含める必要があります。 エ「発注から補充までの期間が短いほど、安全在庫を少なくできる」→ 正しい。リードタイムが短い → 需要変動リスクが小さい → 安全在庫削減可能。

誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: イで「安全在庫 = 無駄」という誤解から、その役割(品切れ防止)を見落とします。安全在庫は戦略的に必要な在庫です。

学習アドバイス: 発注点方式と定期発注方式、および安全在庫の概念は小売実務の根本。各方式の長所・短所を整理してください。


第34問 物流ネットワーク設計

問題要旨: 商品回転率と物流拠点数の関係、物流ネットワークの統合による段階削減、営業所の物流機能の独立性、物流拠点決定の考慮要因を問う問題。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-D 類似混同

正解: ア

必要知識: 物流ネットワーク — 物流拠点の最適化

解法の思考プロセス:

ア「回転率が低い商品 → 少数拠点集中 vs 多数拠点分散」→ 回転率が低い = 保管期間が長い。在庫リスクを集約して管理する方が効率的。集中在庫が望ましい = 正しい。 イ「複数拠点の水平統合 → 物流段階数が減少」→ 正しい(統合により中間段階を削減) ウ「各営業所が独自に物流拠点を設けるべき」→ 誤り。共通の物流拠点を活用して共有化するべき(コスト効率)。 エ「物流拠点数は輸配送コスト以外に物流サービスだけを考慮」→ 誤り。両者を総合的に考慮する必要があります(トレードオフ)。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「回転率が低い」という情報から、単純に「在庫が多いから多数拠点必要」と誤認識しやすい。リスク管理の視点で「集約の利益」を理解することが重要です。

学習アドバイス: 物流ネットワーク設計は複数の制約条件(コスト、サービス水準、需要パターン、商品特性)を同時に満たす最適化問題です。


第35問 輸配送管理の用語

問題要旨: パレチゼーション、ユニットロード、プールパレット、複合一貫輸送などの物流用語の定義と適用場面を問う問題。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 類似混同

正解: オ

必要知識: 輸配送管理 — 物流用語の定義

解法の思考プロセス:

ア「一貫パレチゼーション:積載効率向上」→ 正しい イ「パレチゼーションは自家施設内では行わず、施設間で行う」→ 誤り。施設内外両方で行われます。 ウ「プールパレット:施設内保管が主目的」→ 誤り。プールパレットは往復運搬用で、各拠点で返却される共有パレット。保管ではなく、循環利用が目的。 エ「複合一貫輸送:運送単位の組み替えで異なる輸送機関を組み合わせ」→ 表現が曖昧。正確には「複数の輸送手段を組み合わせて一貫サービスを提供」。 オ「ユニットロード:複数の物品をパレット・コンテナなどで一単位にまとめた貨物」→ 正しい。これが標準的な定義です。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 各用語が似た文脈にあり、「物流関連の用語 = 全部似たもの」という誤認識から混同しやすい。各用語の定義を正確に暗記することが不可欠です。

学習アドバイス: 物流用語は業界標準用語です。教科書で定義を確認して、用語集を作成しておくことをお勧めします。


第36問 共同物流

問題要旨: 共同物流の定義、実施条件、指定権、配送数量への影響、共同保管の可能性を問う問題。複数企業の協働によるコスト効率化と、その制約条件を理解する必要がある。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-D 類似混同

正解: エ

必要知識: 共同物流 — 共同物流の枠組みと条件

解法の思考プロセス:

ア「共同物流は同業種のみで、異業種では行われない」→ 誤り。異業種間でも共同配送は行われます(相補的な商品など)。 イ「配送先が共通のときのみ共同物流」→ 誤り。実際には配送先が異なっていても、ルート最適化で共同配送可能です。 ウ「発荷主が指定、着荷主は指定しない」→ 誤り。むしろ着荷主(受け手)も協議に参加します。 エ「共同配送で配送車の積載効率は高まるが、各企業の配送数量は減らない」→ 正しい。積載効率向上(複数企業の荷を一度に運ぶ)と、各企業の配送回数削減は両立します。 オ「複数企業の商品を共同配送はするが、共同保管はしない」→ 誤り。共同保管(共同センター)も一般的です。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「共同 = 全部統合」という単純な理解で、実際には「配送と保管は独立」「各企業の商品は区別管理」という要素を見落とします。

学習アドバイス: 共同物流は中小企業協同組合などでも実践されている実務的な仕組みです。メリット(コスト削減)と制約(管理複雑性)の両面から理解しましょう。


第37問 物流センターの機能

問題要旨: クロスドッキング、一括物流、在庫の有無による納期への影響、包装の分類、保管機能を問う問題。各機能の定義と相互関係を理解する必要がある。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-C 部分正解

正解: ア

必要知識: 物流センター — 物流センター機能

解法の思考プロセス:

ア「クロスドッキング:事前出荷通知(ASN)に基づいて、入荷した商品を保管せず直接仕分け・出荷する」→ 正しい。クロスドッキングは保管を省略して通過型で処理する手法であり、ASNに基づく事前仕分け計画が前提です。 イ「一括物流には在庫が必須」→ 必ずしもそうではない。通過型(TC)での一括物流もある。 ウ「在庫なし物流センターの方が納期が短い」→ 誤り。在庫保有型(DC)の方が即出荷可能で短納期対応しやすい。 エ「包装 = 内装(商業)と外装(工業)」→ 個装・内装・外装の定義が不正確。 オ「保管機能:空間的懸隔と時間的懸隔を克服」→ 保管機能の説明としては正しいが、物流センター機能全体の説明としては限定的。

誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: オは物流の根本的定義として正しく見えるが、問題で問われているクロスドッキングの具体的な運用プロセスの正確性(ア)を見落としやすい。

学習アドバイス: 物流センターの各機能を「何のためか」という目的から理解することが重要です。


第38問 物流センター運営

問題要旨: 仕分け・ピッキングの順序、循環棚卸の目的、荷主と物流事業者の関係、ピッカーの作業形態を問う問題。運営プロセスと人員配置の効率化がテーマ。

K4 手続・手順 T1 正誤判定 L2 Trap-C 部分正解

正解: イ

必要知識: 物流センター運営 — ピッキングと仕分けの工程

解法の思考プロセス:

ア「仕分けはシングルピッキングの後に行われ、トータルピッキングの後には行われない」→ 誤り。実際は逆です。シングルピッキング(摘み取り方式)は注文ごとに商品を集めるため、ピッキング完了時点で既に顧客別に分かれており仕分け不要。トータルピッキング(種まき方式)は複数注文分をまとめて集品した後、顧客別に仕分ける工程が必要。 イ「循環棚卸は実在庫と理論在庫の差異を補正するために行われる」→ 正しい。循環棚卸は在庫の一部を順番に棚卸しし、実在庫量と帳簿上の理論在庫量の差異を確認・補正する方法です。 ウ「荷主は委託先の物流センターを利用しなければならない」→ 誤り。自社センター or 3PLセンターなど、複数選択肢がある。委託先の所有する施設に限定されません。 エ「ピッキングはピッカーが保管場所まで移動する作業」→ 誤り。ピッキングは保管場所から必要な物品を取り出す作業ですが、GTP(Goods to Person)方式やロボット活用など、必ずしもピッカーが移動するとは限りません。

誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: アは「仕分け」という物流用語の定義部分は正しいが、シングルとトータルの関係が逆になっている。エはピッキングの定義の前半は正しいが、「ピッカーが移動しなければならない」が誤り。

学習アドバイス: ピッキング方式と仕分けの関係を整理しましょう。シングルピッキング(摘み取り方式)= 注文ごとに集品 → 仕分け不要。トータルピッキング(種まき方式)= まとめて集品 → 仕分け必要。移動距離はトータルの方が短いが、仕分け工程が追加されるトレードオフがあります。


第39問 マーケットバスケット分析

問題要旨: ID-POSデータを用いたマーケットバスケット分析の結果から、支持度(サポート)とリフト値を計算する問題。

設問1: 支持度に関連する記述の正誤判定

K3 数式・公式 T3 計算実行 L3 Trap-E 計算ミス

正解: エ

必要知識: マーケットバスケット分析 — サポート・コンフィデンス・リフト値

解法の思考プロセス:

与えられたデータから、2×2のクロス集計表(商品aの購買有無 × 商品bの購買有無)を作成し、各セルの人数を求めます。各選択肢の記述と計算結果を照合し、正しい記述を選びます。

問題の条件と選択肢の具体的な数値を丁寧に検証することが必要です。公式正解はエです。

設問2: リフト値の計算

K3 数式・公式 T3 計算実行 L3 Trap-E 計算ミス

正解: エ

解法の思考プロセス:

リフト値(a ⇒ b) = P(a AND b) ÷ P(a) × P(b) = (a AND b / 全体) ÷ (a / 全体) × (b / 全体) = (10 / 100) ÷ (20 / 100) × (40 / 100) = 0.10 ÷ (0.20 × 0.40) = 0.10 ÷ 0.08 = 1.25(エ)

誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス: リフト値の分子分母を逆に計算したり、周辺度数(b単独)を分母にしたりして誤る。正確な公式の理解が必須です。

学習アドバイス: マーケットバスケット分析は小売DXの基本。サポート(同時購買率)とリフト値(購買の独立性を超える相互効果)の違いを理解しましょう。


第40問 電子タグ(RFタグ)の特徴

問題要旨: RFID(電子タグ)の特性、メモリ、セキュリティ、金属環境での読み取り、形状バリエーションを問う問題。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件見落とし

正解: イ

必要知識: 流通情報システム — 電子タグ技術

解法の思考プロセス:

ア「ICチップにメモリ搭載」→ 正しい イ「金属被覆しても非接触読取可能」→ 不適切。RFIDは電磁波を使うため、金属は信号を遮断し、読取が困難になります。 ウ「メモリデータ保護とセキュリティ強化が可能」→ 正しい エ「無線通信で非接触読取」→ 正しい オ「カード型やボタン型など形状バリエーションがある」→ 正しい

誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: イの「金属環境でも読取可能」という誤りは、RFID技術の物理的制約(電磁波遮蔽)を見落とします。バーコードとの違い(バーコードは金属に直接貼付可)も意識することが重要です。

学習アドバイス: RFID導入時の最大の課題は「金属環境での読取不良」です。倉庫や工場での導入では、この制約を考慮した設置計画が必須です。


第41問 GTINアロケーション(商品コード設定)

問題要旨: GTIN(Global Trade Item Number)を個々に設定すべき要素の判定。正味量、等級、ブランド、商品名などが対象か否かを問う。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件見落とし

正解: ウ

必要知識: 流通情報システム — GTIN・バーコード管理

解法の思考プロセス:

GTINは商品の「販売単位」ごとに付与される一意識別子です。

ア「正味量」→ 正しい(500gと1kgで異なるGTIN) イ「等級」→ 正しい(等級が異なれば販売単位が異なる) ウ「販売店舗」→ 不適切。同じ商品でも複数の店舗で販売される場合、GTINは同じです。店舗別のコードは流通情報の付加情報ですが、GTINそのものではありません。 エ「ブランド名」→ 正しい(ブランド異なれば商品が異なる) オ「商品名」→ 正しい(商品名異なれば別商品扱い)

誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: ウの「販売店舗」は「商品の属性」に見えて、実際には「商品そのもの」ではなく「流通経路」の要素です。GTINは商品の「物理的・製品的特性」で決まり、「どこで売るか」ではなく「何を売るか」で決まることを理解する必要があります。

学習アドバイス: GTIN設定は流通業界の重要な標準化規則。EAN/UPC体系の理解を深めることをお勧めします。


第42問 個人情報保護法(経済産業分野ガイドライン)

問題要旨: 個人情報保護法の対象となる「個人情報」の定義から、対象外(または対象外とみなされる)情報を選ぶ問題。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件見落とし

正解: イ

必要知識: 個人情報保護 — 個人情報の定義と適用範囲

解法の思考プロセス:

個人情報保護法の「個人情報」の定義:「生きた個人に関する情報」で、個人を識別できるもの。

ア「企業が保有する雇用管理情報」→ 従業員の個人情報 = 対象 イ「企業の財務情報等、法人の団体そのものに関する情報」→ 対象外。法人情報は個人情報ではありません。 ウ「周知情報の補完で個人識別できる情報」→ 対象(準個人情報) エ「日本国民でない外国人の個人情報」→ 対象(国籍は関係なく、生きた個人) オ「防犯カメラの映像情報」→ 対象(顔認識可能なら個人識別可能)

誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: ウやエが「個人情報」として聞こえ、対象に含まれることを見落とします。イの「法人団体そのもの」という限定が、個人情報保護法の範囲外であることを理解することが重要です。

学習アドバイス: 個人情報保護法は「個人 = 生きた人間」を対象とする法律です。企業秘密や法人情報は別の法制度で保護されます。


第43問 フラッシュマーケティングと期待効果

問題要旨: 共同購入クーポンサイトでの限定期間・限定数量・高割引率のフラッシュマーケティングの期待効果から、最も不適切な効果を選ぶ問題。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-D 類似混同

正解: エ

必要知識: デジタルマーケティング — フラッシュマーケティングの特性と効果

解法の思考プロセス:

フラッシュマーケティングの特徴:期間限定・数量限定・大割引で、緊急性を演出。

ア「初回トライアル商品の新規顧客獲得」→ 適切(高割引で購買試行) イ「ソーシャルメディアでの情報拡散」→ 適切(限定感と割引率がシェア促進) ウ「閑散期における稼働率向上」→ 適切(季節的低迷を刺激) エ「リピーターの増大」→ 不適切。フラッシュマーケティングは「価格敏感な一度限りの購買」を目指すもので、顧客ロイヤリティやリピート購買を生む仕組みではありません。むしろ「セール機会を待つ」という購買行動を定着させるリスクがあります。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「マーケティング = リピート顧客化」という一般的な目的と、「フラッシュマーケティング = 一時的な需要喚起」という限定的な目的を混同しやすい。各マーケティング手法の適用場面を理解することが重要です。

学習アドバイス: フラッシュマーケティングは新規顧客獲得と短期的な売上増加を目指すもので、顧客維持戦略ではありません。短期と中長期のマーケティング目標の違いを理解しましょう。


分類タグの凡例

知識種類(K)

タグ説明
K1定義・用語「プル型管理方式の定義」「サイクルタイムの定義」
K2分類・表示「設備の分類」「資産の表示方法」
K3数式・公式「売価値入率の計算式」「バランスロスの公式」
K4手続・手順「MRPの計算手順」「部品展開の順序」
K5制度・基準「個人情報保護法」「防火管理規定」

思考法(T)

タグ説明
T1正誤判定「記述の正誤を判定する」
T2分類判断「どの設備に分類されるか」
T3計算実行「値を計算して選択肢から選ぶ」
T4条件整理「複数条件から最適値を決定する」
T5穴埋め推論「表の空欄を推論して埋める」

形式層(L)

タグ説明
L1基礎知識のみで取れる問題
L2応用理解が必要な問題
L3計算や多段階の論理が必要な問題

罠パターン(Trap)

タグ説明
Trap-A逆方向プッシュとプルの制御方向を逆に理解
Trap-B条件見落としリードタイムの変更による影響を見落とし
Trap-C部分正解表の一部が正しく、全体として誤り
Trap-D類似混同委託と消化、サポートとリフトなどを混同
Trap-E計算ミス多段階計算での誤り、四捨五入の誤り

年度総括

思考法の分布

平成28年度の運営管理試験(全43問)における思考法(T分類)の出現頻度です。

思考法出題数割合特徴
T1 正誤判定22問51%記述内容の正誤を判定する基本的な思考法。試験の過半を占める。
T3 計算実行9問21%公式を使って数値を計算する問題。マーケットバスケット分析など。
T2 分類判断6問14%複数の概念をカテゴリーに分類する判定。
T4 条件整理4問9%複数の条件から制約下での最適解を見つける問題。
T5 穴埋め推論2問5%不完全な情報から欠落部分を推論する問題。

傾向: T1(正誤判定)が過半、T3(計算実行)の比率が2割と高い。計算問題が増加傾向。正確な定義理解と計算手法の両方が必須。

罠パターンの分布

平成28年度で検出された罠パターン(Trap分類)の出現頻度です。

罠パターン出題数割合典型的な間違い
Trap-B 条件見落とし12問28%問題文の細かい条件(RFID の金属環境での読取、GTIN の販売店舗属性など)を読み落とす。
Trap-D 類似混同9問21%サポート と リフト、マテリアルコスト と システムコスト、個人情報 と 法人情報など、似た概念を混同。
Trap-E 計算ミス8問19%リフト値の分子分母誤り、複数段階の計算での誤り、四捨五入誤り。
Trap-C 部分正解7問16%複数の選択肢が部分的に正しく、「最も適切」「最も不適切」を誤る。
Trap-A 逆方向3問7%因果関係、マテリアルフロー、在庫変動の方向を逆に理解する。

傾向: Trap-B と Trap-E がほぼ同等の失点要因(計28%、19%)。条件読み落としと計算ミスが並行する。計算問題が増加したことを反映。

Tier別学習優先度

運営管理の試験対策を3段階で整理しました。

Tier 1: 必須(全員が取るべき単元)

  • 生産リードタイムと改善手法(第1〜3問)
  • VE・設備選択・ラインバランシング(第4〜6問)
  • 製番管理・MRP・発注計画(第7〜9問)
  • CPM・工数計画・内外作(第10〜12問)
  • 品質管理・IE(第13〜17問)
  • マーケットバスケット分析(第39問)

Tier 2: 重要(確実に得点すべき単元)

  • 設備管理・生産性(第18〜20問)
  • 生産ラインと工程編成(第21〜22問)
  • 店舗立地・中心市街地活性化(第23〜24問)
  • 小売仕入・商品管理(第27〜31問)
  • 流通情報システム(電子タグ、GTIN)(第40〜41問)

Tier 3: 発展的(時間に余裕がある場合)

  • 訪日外国人と免税制度(第25問)
  • 個人情報保護法の詳細(第42問)
  • フラッシュマーケティング(第43問)

本番セルフチェック5項目

試験当日に見直すべき5項目です。試験後15分以内にこのチェックリストを実行しましょう。

  1. 生産管理の手順系問題で「工程の順序」を書き出したか
    • スケジューリング、ラインバランシング、改善ステップの流れが正確か確認
    • 「何をやるか」だけでなく「どの順序でやるか」に注意
  2. 在庫管理の計算で「発注点」「安全在庫」の公式を正しく適用したか
    • 発注点(ROP)= 平均需要 × リードタイム + 安全在庫
    • マーケットバスケット分析での支持度・リフト値の公式混同を避ける
  3. 品質管理手法(QC七つ道具など)の名称と用途を混同していないか
    • 散布図、管理図、パレート図、層別など各手法の「何を発見するのか」が正確か
    • HACCP の CCP(重要管理点)と管理基準の区別
  4. 店舗管理で「売場効率」「交差比率」などの指標計算が正確か
    • 用途地域ごとの床面積制限の判定(出店可否)が逆になっていないか
    • マーケットバスケット分析での計算(支持度、リフト値)が正確か
  5. JIT・かんばん方式の前提条件を確認したか
    • 需要変動の安定性、納入リードタイムの短さ、品質保証の仕組み
    • RFID や電子タグの物理的制約(金属環境での読取不良など)の理解
    • すべての企業・全ての製品に適用可能か という条件判定

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概要出題構成生産管理第1問 生産リードタイム短縮の改善活動第2問 生産形態と対応する管理方式第3問 プッシュ型とプル型の管理方式第4問 VE(価値工学)における機能分類第5問 設備選択(ロットサイズと製品種類の分類)第6問 サイクルタイム・編成効率・バランスロス第7問 製番管理方式の特徴第8問 ロット管理と発注計画第9問 材料所要量計画(部品構成の展開)第10問 CPM(クリティカルパス法)と最短化コスト第11問 工数計画と余力管理第12問 内外作区分の判定第13問 品質展開(QFD:品質機能展開)第14問 標準作業の要件第15問 作業時間測定と分析手法第16問 ワークサンプリング法と時間構成比率第17問 サーブリッグ分析と動作要素分類第18問 設備アベイラビリティ(可用率)と平均修復時間第19問 設備選択の優劣分岐点と生産量第20問 内外作最適化(線形計画法)第21問 多段階ラインの総生産時間短縮第22問 産業用ロボットの安全規制と適用流通・小売業第23問 中心市街地活性化法と出店状況第24問 小売店舗の防火管理第25問 訪日外国人旅行消費第25問(設問2) 消費税免税制度第26問 買物弱者への対応第27問 小売仕入形態第28問 商品回転率と在庫管理第29問 棚割改善とフェイス効果第30問 消費者の購買慣習と商品分類第31問 売価値入率の計算第32問 販売促進の目的と手法第33問 小売店の在庫管理第34問 物流ネットワーク設計第35問 輸配送管理の用語第36問 共同物流第37問 物流センターの機能第38問 物流センター運営第39問 マーケットバスケット分析第40問 電子タグ(RFタグ)の特徴第41問 GTINアロケーション(商品コード設定)第42問 個人情報保護法(経済産業分野ガイドライン)第43問 フラッシュマーケティングと期待効果分類タグの凡例知識種類(K)思考法(T)形式層(L)罠パターン(Trap)年度総括思考法の分布罠パターンの分布Tier別学習優先度本番セルフチェック5項目関連ページ