経営情報システム(平成24年度)
平成24年度(2012)中小企業診断士第1次試験 経営情報システムの全25問解説
概要
平成24年度(2012)の経営情報システムは全25問(各4点、100点満点)で出題されました。前半はハードウェア・ソフトウェア・処理方式・データベースといった基礎、後半は Web、IT ガバナンス、SaaS、情報セキュリティ、統計と、経営での活用まで広く問われています。
問題文は J-SMECA 公式サイト(平成24年度 経営情報システム) から入手できます。手元に PDF を用意したうえでお読みください。全年度の問題は J-SMECA 試験問題ページ で公開されています。
解説の読み方
各問について「問題要旨 → 分類タグ → 正解 → 必要知識 → 解法の思考プロセス → 誤答の落とし穴 → 学習アドバイス」の順で解説しています。分類タグの意味は本ページ末尾の凡例を参照してください。
出題構成
| 領域 | 問番号 | 問数 |
|---|---|---|
| ハードウェア・ソフトウェア基礎 | 第1-6問 | 6問 |
| 業務処理・データベース・ネットワーク | 第7-12問 | 6問 |
| IT 戦略・標準化・Web 活用 | 第13-16問 | 4問 |
| システム開発・運用・セキュリティ | 第17-23問 | 7問 |
| 統計・データ分析 | 第24-25問 | 2問 |
問題別解説
第1問 半導体記憶装置と ECC
問題要旨: 主記憶装置や ROM の特性に関する正誤判定。ECC 付き RAM、メモリインタリーブ、ROM の書換性などを区別できるかを問う問題です。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 基礎
正解: ウ
必要知識: コンピュータの基礎 — 主記憶装置、ECC、ROM の種類
解法の思考プロセス: まず 信頼性を高める機能 を探します。ECC はメモリエラーを検出・訂正する仕組みなので、信頼性重視の用途に向いています。アは RISC/CISC と主記憶の種類を結び付けている点が不適切、イはメモリインタリーブを RAM 自体の対応有無の話として読ませておりずれています。エのマスク ROM は内容を書き換えられないため、BIOS の更新用途には向きません。
誤答の落とし穴: 電源を切っても内容が残る と 書き換え可能 を同時に満たす ROM は限られます。不揮発性 と 再書込可能性 を分けて考えないと、マスク ROM、EPROM、フラッシュ ROM が混ざります。
学習アドバイス: 記憶装置は 速いが高価、遅いが大容量、不揮発だが書換制約あり のように、性質の組み合わせで整理すると年度をまたいでも崩れません。ECC は 速さ ではなく 信頼性 の論点です。
第2問 コンピュータの基本構成
問題要旨: 制御装置、演算装置、主記憶装置、出力装置の役割を、処理の流れに沿って問う穴埋め問題です。
K1 定義・用語 T5 場合分け L1 基礎
正解: ウ
必要知識: コンピュータの基礎 — ノイマン型コンピュータ、制御装置と演算装置
解法の思考プロセス: 処理の主語を固定して読みます。指示を出す のは制御装置、実際に計算する のは演算装置、演算結果を一時的に置く のは主記憶装置、人に見せる のは出力装置です。したがって A=制御装置、B=演算装置、C=主記憶装置、D=出力装置の組み合わせであるウが正解です。
誤答の落とし穴: 初学者は 計算しているから偉い と感じて、演算装置を司令塔だと思いがちです。しかし命令を読み取り、各部品に指示を出すのは制御装置です。
学習アドバイス: 制御装置が指示し、演算装置が処理し、主記憶に置き、必要なら出力する という一文で説明できるようにしておくと、CPU と周辺機器の問題で迷いにくくなります。
第3問 CPU 性能指標
問題要旨: クロック、FLOPS、CPI、MIPS といった性能指標の意味を問う問題です。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 応用
正解: ウ
必要知識: コンピュータの基礎 — 性能指標、クロック、CPI、MIPS、FLOPS
解法の思考プロセス: 指標が何を表しているかを一つずつ対応付けます。CPI は 1命令を実行するのに必要なクロック数 なので、小さいほど速いです。アはクロック周波数を CPU と主記憶の転送速度と直接同一視している点が粗い、イは FLOPS を 整数演算 としており誤り、エは MIPS を プログラムのコンパクトさ と結び付けており不適切です。
誤答の落とし穴: 値が大きい方が良い と機械的に読んでしまうと、CPI のような 小さいほど良い 指標で誤ります。指標名より 何を数えているか を先に押さえてください。
学習アドバイス: クロック=刻み、CPI=1命令あたり必要クロック、FLOPS=浮動小数点演算性能、MIPS=命令実行数の目安 と短く言えるようにすると整理しやすいです。
第4問 アプリケーション・システムソフトウェア・パッチ
問題要旨: アプリケーションソフトウェア、システムソフトウェア、パッチファイルの関係を問う穴埋め問題です。
K1 定義・用語 T5 場合分け L1 基礎
正解: ア
必要知識: コンピュータの基礎 — ソフトウェアの階層、パッチ
解法の思考プロセス: 業務目的で使うもの はアプリケーションソフトウェア、資源を効率よく使わせるもの はシステムソフトウェアです。小規模な不具合修正で配布される差分はパッチファイルなので、A=アプリケーション、B=システム、C=パッチファイルのアが正解です。
誤答の落とし穴: パッケージ シェル カーネル はどれも IT 用語なので、それらしいだけで選ぶと誤ります。文中で問われている役割に戻って判断します。
学習アドバイス: ソフトウェア問題は 誰が何のために使うか で切るのが基本です。利用者が直接使うか、OS 側で支えるか、修正差分か、でまず分けてください。
第5問 コンパイラとソフトウェア用語
問題要旨: OS、コンパイラ、ミドルウェア、リンカといった用語の正誤判定です。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 基礎
正解: イ
必要知識: システム開発手法 — コンパイル、ミドルウェア、リンカ
解法の思考プロセス: まず確実に切れる用語から見ます。コンパイラは高級言語を機械語に翻訳するソフトウェアなのでイが正しいです。アは BIOS と OS の起動順が逆で、OS は BIOS の後に起動します。ウはミドルウェアをプログラミング言語だと誤っており、エはリンカをネットワークソフトだとしていて誤りです。
誤答の落とし穴: ミドルウェア は OS とアプリの中間 という位置関係を表すのであって、世代分類の言語ではありません。語感だけで切らないことが重要です。
学習アドバイス: コンパイラ=翻訳、リンカ=結合、ミドルウェア=OS とアプリの橋渡し と機能ベースで整理すると、似た用語でも混ざりにくくなります。
第6問 計算誤差
問題要旨: 丸め誤差や桁落ち誤差など、コンピュータ演算の誤差に関する理解を問う問題です。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 応用
正解: ウ
必要知識: コンピュータの基礎 — 整数型、浮動小数点、丸め誤差
解法の思考プロセス: 表計算ソフトでも内部では浮動小数点演算を使うため、丸め誤差が発生し得ます。これがウです。アは整数型の範囲内なら桁落ち誤差ではなく通常の整数演算です。イは 金額計算なら必ず誤差が出ない と言い切っており誤り、エもデータベースで計算処理を行えば誤差は起こり得ます。
誤答の落とし穴: 表計算ソフトだから安心、DB だから検索だけ という思い込みが出やすいです。どの道具でも、内部で数値演算をすれば誤差可能性があります。
学習アドバイス: 誤差問題は 整数か浮動小数点か を最初に見るのが基本です。特に金額計算では、実務でも 小数の扱い と 丸め規則 を明確にする必要があります。
第7問 携帯端末とリアルタイム処理
問題要旨: スマートフォンで受注製品の進捗確認や仕様変更を行うシステムに関して、処理方式の適否を問う問題です。
K4 因果メカニズム T4 因果推論 L2 応用
正解: イ
必要知識: Webテクノロジーとクラウド / 通信ネットワークの基礎 — リアルタイム処理、Web 接続
解法の思考プロセス: 問われているのは 即座に進捗を知らせたい という要件です。したがって照会要求をその場で処理するリアルタイム処理方式が必要で、イが正解です。アのバッチ処理はまとめて処理する方式なので変更依頼に向きません。ウの VPN は必須条件ではなく、公開 Web サービスなら通常のインターネット接続でも利用できます。エもスマートフォンで Web 閲覧するのに専用アプリは必須ではありません。
誤答の落とし穴: スマートフォン対応 と聞いて、すぐに専用アプリが必要だと考える誤りが多いです。まずは 何をしたいか、次に そのための処理方式は何か で切ります。
学習アドバイス: 即時性が要るならリアルタイム、まとめて良いならバッチ という軸を徹底してください。これは年度をまたいで繰り返し出ます。
第8問 バッチ処理とレスポンスタイム
問題要旨: バッチ処理、レスポンスタイム、ターンアラウンドタイム、スプールの意味を問う穴埋め問題です。
K1 定義・用語 T5 場合分け L2 応用
正解: エ
必要知識: コンピュータの基礎 — バッチ処理、レスポンスタイム、ターンアラウンドタイム、スプール
解法の思考プロセス: 月末にまとめて請求書を作るのはバッチ処理です。画面に応答が返るまでの時間はレスポンスタイム、処理指示から完了表示までの時間はターンアラウンドタイムです。PC が完了してもプリンタが印字を続けるのは、データを一時的にためて独立に出力するスプール機能によるものです。したがってエが正解です。
誤答の落とし穴: レスポンス と ターンアラウンド はどちらも時間の話なので混ざりやすいです。前者は 対話の待ち時間、後者は 仕事全体の完了時間 と分けて覚えてください。
学習アドバイス: 用語問題は、定義だけでなく 実際の場面 と結び付けて覚えると強いです。請求書一括印刷ならバッチ、検索結果が返るまでならレスポンスタイム、という対応で押さえてください。
第9問 排他制御と同時実行制御
問題要旨: ロック、デッドロック、タイムスタンプ、キャッシュ領域を使った同時実行制御の理解を問う穴埋め問題です。
K1 定義・用語 T5 場合分け L2 応用
正解: エ
必要知識: データベースと SQL — ロック、デッドロック、排他制御
解法の思考プロセス: 他の処理を止めるのはロック、ロックの取り合いで互いに待ち続けるのがデッドロックです。読み書き時刻を記録して競合を監視するのはタイムスタンプ方式で、処理対象データをいったん読み込む先はキャッシュ領域です。したがって A=ロック、B=デッドロック、C=時刻、D=キャッシュ領域のエが正解です。
誤答の落とし穴: セマフォ は排他制御一般で見かける語ですが、この問題文の流れでは ロック → デッドロック の組が明確です。空欄ごとに機能を対応させてください。
学習アドバイス: 同時実行制御は どう止めるか と 止めた結果どんな副作用が出るか をセットで覚えると理解しやすいです。ロックの副作用がデッドロックです。
第10問 コード化の方法
問題要旨: 連番法、桁別分類法、区分分類法、一意性など、コード設計の基本を問う穴埋め問題です。
K1 定義・用語 T5 場合分け L2 応用
正解: ア
必要知識: コンピュータの基礎 — コード体系、識別と分類
解法の思考プロセス: 来店顧客に順番に番号を振るだけなら、個体を区別する識別機能です。市区町村コードのように各桁に意味を持たせるのは桁別分類法です。さらに大分類ごとに番号帯を分けて管理する考え方が区分分類法で、同じ顧客を二重登録しないために確保したいのが一意性です。したがってアが正解です。
誤答の落とし穴: 連番法 合成法 区分分類法 はいずれもコード設計で出るので、名前だけで選ぶと混同します。番号に意味を持たせているか、グループごとに番号帯を分けるか を見ます。
学習アドバイス: コード化は 識別したいのか、分類したいのか を先に決めるのが基本です。年度問題ではこの違いを言い換えて問うことが多いです。
第11問 LAN 接続の基本用語
問題要旨: DNS、MAC アドレス、プライベート IP アドレス、ルーティングの説明として正しいものを選ぶ問題です。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 基礎
正解: イ
必要知識: 通信ネットワークの基礎 — DNS、MAC アドレス、IP アドレス、ルーティング
解法の思考プロセス: MAC アドレスは LAN カードなどのネットワーク機器に割り当てられた物理アドレスなので、イが正解です。アの DNS は名前解決を行う仕組みであり、グローバル IP とプライベート IP を変換するものではありません。ウはプライベート IP の意味が逆、エのルーティングも単なる設定値の指定ではなく、宛先に応じた経路選択です。
誤答の落とし穴: IP アドレス と MAC アドレス はどちらもアドレスなので混ざりやすいですが、前者は論理アドレス、後者は物理アドレスです。
学習アドバイス: 通信ネットワークは 名前 IP MAC 経路 の 4 層で整理すると読みやすくなります。DNS は名前、MAC は機器、ルーティングは経路です。
第12問 販売サイトと非同期通信
問題要旨: Web サーバと顧客 PC の役割分担を踏まえて、販売サイトの動的表示に関する説明を問う問題です。
K4 因果メカニズム T4 因果推論 L2 応用
正解: エ
必要知識: Webテクノロジーとクラウド — 非同期通信、クライアントとサーバの役割
解法の思考プロセス: 画面上でマウス操作に応じて説明文を表示するような動的 UI は、非同期通信やクライアント側スクリプトを使うことで実現できます。これがエです。アはサーバ側で処理しても情報流出リスクがゼロになるわけではありません。イは応答遅延の原因をすべて顧客 PC に押し付けており誤り、ウも通常のブラウザ利用に 販売側サーバが提供するバーチャルマシン機能 は不要です。
誤答の落とし穴: サーバで処理する = 安全、遅い = PC が悪い のように単純化すると誤ります。通信、サーバ負荷、ブラウザ実装など複数要因を分けて考えてください。
学習アドバイス: Web 問題は サーバで何をするか と ブラウザで何をするか を分ける癖をつけると強いです。動的表示はサーバとクライアントの協調で実現されます。
第13問 IT ガバナンス構成要素の順序
問題要旨: IT ガバナンスを強化する際、システム運営、説明責任、組織運営、リレーションシップ管理をどの順で整えるかを問う問題です。
K4 因果メカニズム T4 因果推論 L3 高度
正解: イ(a → c → b → d)
必要知識: IT戦略・BPR・DX・ITガバナンス — IT ガバナンス、組織運営、説明責任
解法の思考プロセス: この問題では、まず現場で IT を安定して回す システム運営 を置き、その運営を支える 組織運営 を整え、そこから監査や投資効果などの 説明責任 を果たし、最後に教育・提案・情報発信といった リレーションシップ管理 へ広げる流れで読ませています。したがって a → c → b → d のイが正解です。
誤答の落とし穴: 一般論として 組織を先につくる と覚えていると、この年度の順序問題で逆に引っかかります。順序問題は、各語の中身を読んで どこまで内部統制の土台か、どこから外部説明・関係形成か で切ってください。
学習アドバイス: IT ガバナンスは 何を導入するか ではなく どう管理し説明責任を果たすか の論点です。順序問題では、まず内部で回す、次に管理する、次に説明する、最後に関係者へ広げる、という発想で整理すると安定します。
第14問 EDI の標準コード
問題要旨: GLN、標準企業コード、チェックディジット、UN/EDIFACT の関係を問う問題です。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 応用
正解: エ
必要知識: 販売管理指標・物流・流通情報システム — EDI、GLN、標準コード
解法の思考プロセス: 標準企業コードは UN/EDIFACT のコードの一部として利用できるのでエが正解です。アの GLN は 主に製造業専用 ではありません。イのチェックディジットやウの GLN への変換も、文の切り方が不正確です。ここは コードそのもの と コード体系での使われ方 を分けて読むのが大切です。
誤答の落とし穴: GLN や EDIFACT はカタカナが似ていて、場所コード と メッセージ標準 が混ざりやすいです。何を識別するか まで言えるかで確認してください。
学習アドバイス: EDI 問題は、企業コード・場所コード・メッセージ形式を別物として整理すると解きやすくなります。誰を識別するか と どんな形式で送るか を分けて覚えてください。
第15問 インターネットの基本特性
問題要旨: インターネットや携帯端末の普及に伴うビジネス活用について、正しい記述を選ぶ問題です。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 基礎
正解: イ
必要知識: Webテクノロジーとクラウド — TCP/IP、SNS、ブログ
解法の思考プロセス: インターネットは TCP/IP を使うネットワークなので、イが正解です。アは SNS の実名制を一般化しすぎ、ウはスマートフォンを単なる大型携帯電話だとしており不正確、エもブログの URL を引用できないという説明が誤りです。
誤答の落とし穴: 最近よく使われる サービスほど、具体的な製品イメージだけで判断しがちです。試験では一般的な技術定義を問われています。
学習アドバイス: Web の問題は、流行語よりも 通信の土台 を先に押さえてください。TCP/IP、HTTP、URL のような基礎が軸になります。
第16問 ASP・SaaS 安全・信頼性認定制度
問題要旨: ASP・SaaS 安全・信頼性に係る情報開示認定制度の内容を問う問題です。
K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 応用
正解: エ
必要知識: Webテクノロジーとクラウド / IT運用と監査 — SaaS 選定、情報開示、SLA
解法の思考プロセス: この制度は 事業者の財務内容そのもの や サービス実施水準そのもの を認定する制度ではなく、利用者が判断するための情報開示の枠組みです。そのため、同一サービスでも安全性や信頼性に複数のサービスレベルを設定しているというエが最も適切です。アとイは制度の対象を広く取りすぎ、ウも すべて開示しなければ認定不可 と言い切っている点が不適切です。
誤答の落とし穴: 認定制度 と聞くと、すぐに サービス品質を保証してくれる制度 だと考えがちです。しかしここで問われているのは、利用者が比較判断するための情報開示です。
学習アドバイス: SaaS の制度問題では、品質を保証する制度か、判断材料を開示させる制度か を分けて読むことが重要です。何を認定しているのか を必ず確認してください。
第17問 DFD の読み方
問題要旨: インターネット受注システムの検討図が、DFD、ERD、ユースケース図、コミュニケーション図のどれに当たるかを問う問題です。
K2 グラフ形状 T2 グラフ読解 L2 応用
正解: ア
必要知識: システム開発手法 — DFD、ERD、ユースケース図
解法の思考プロセス: この図は 業務のデータの流れ と 処理の関係 を示すものなので DFD です。ERD はデータの関連構造、ユースケース図は利用者とシステムの関係、コミュニケーション図はオブジェクト間のやり取りを表します。図が未完成でも、データの流れに着目しているか を見ればアまで絞れます。
誤答の落とし穴: 図で表している というだけで UML 系の図と混同しやすいです。何が流れている図か を見てください。DFD は データ が主役です。
学習アドバイス: 図の問題は、線や箱の名称よりも 何を表したい図か を一言で言えるかが重要です。DFD は業務処理そのものではなく、データの流れを可視化する図です。
第18問 非機能要求グレード
問題要旨: 非機能要求グレードの分類と、可用性、性能・拡張性、運用・保守性、セキュリティのどれに当たるかを問う問題です。
K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 応用
正解: エ
必要知識: システム開発手法 — 機能要求と非機能要求、非機能要求グレード
解法の思考プロセス: 同時アクセス数や通常時の業務量は 性能・拡張性 に関する内容なので、エが正解です。アの通常運用監視は 運用・保守性、イの回線冗長化を含む耐障害性は 可用性、ウの暗号化やアクセス制御は セキュリティ に対応します。
誤答の落とし穴: 可用性と運用・保守性は特に混ざりやすいです。止まらないようにする のが可用性、止まったときに直しやすい・運用しやすい のが運用・保守性です。
学習アドバイス: 非機能要求は 速さ 止まりにくさ 守りやすさ 守られ方 のように日常語へ落として覚えると、分類問題で強くなります。
第19問 SaaS の SLA 締結手順
問題要旨: SaaS の SLA を締結する際、前提条件整理、委託範囲、役割分担、免責範囲、サービスレベルをどの順で決めるかを問う問題です。
K4 手続・手順 T4 因果推論 L3 高度
正解: イ(A:①、B:③、C:②)
必要知識: IT運用と監査 — SLA、サービスレベル管理、役割分担
解法の思考プロセス: まず利用者側の前提条件を整理したうえで、何を委託するのか を決めます。次に 誰が何を担当するか を定め、その境界を踏まえて提供者の免責範囲を明確にします。その後で、残った責任範囲に対して どの水準まで約束するか をサービスレベルとして定義する流れなので、① → ③ → ② のイが正解です。
誤答の落とし穴: 初学者はサービスレベルを早く決めたくなりますが、委託範囲や責任分担が曖昧なままでは 何についての SLA か が定まりません。順番の問題では、先に境界を決めるのが基本です。
学習アドバイス: SLA は、いきなり 稼働率 99.9% を決める話ではありません。対象業務、役割分担、免責 を固めてから 水準 を決めると理解すると、年度問題でもぶれません。
第20問 e ラーニング・EUC・情報リテラシー
問題要旨: IT を使いこなす人材育成に関して、e ラーニング、学校教育、EUC、情報リテラシーの説明を問う問題です。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 応用
正解: ア
必要知識: IT戦略・BPR・DX・ITガバナンス — IT 活用人材、情報リテラシー
解法の思考プロセス: e ラーニングは IT スキル習得だけでなく、経営理念や環境意識の浸透など幅広い教育に使われるためアが正解です。イは 情報 が中学校必修であるかのように書いており不正確、ウの EUC は End User Computing であり従業員によるシステム評価ではありません。エも情報リテラシーをコンピュータリテラシーと同義としていて狭すぎます。
誤答の落とし穴: リテラシー を PC を操作できること に縮めてしまうと誤ります。情報リテラシーは、情報を収集・判断・活用する力まで含みます。
学習アドバイス: 人材面の問題では、技術用語だけでなく 組織としてどう使いこなすか まで問われます。EUC と情報リテラシーは頻出なので、短く説明できるようにしておいてください。
第21問 APT の出口対策
問題要旨: APT に対する 入口対策 ではなく 出口対策 として最も適切なものを選ぶ問題です。
K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 応用
正解: イ
必要知識: 情報セキュリティの基礎 — APT、RAT、IDS、ファイアウォール
解法の思考プロセス: 出口対策とは、侵入後に外部へ情報が持ち出される通信を検知・遮断することです。RAT による内部 proxy 通信、いわゆる CONNECT 接続を検知遮断するイがこれに当たります。アの IDS、ウのパッチ適用、エのステルス機能は重要ですが、ここで問う 出口対策 そのものではありません。
誤答の落とし穴: セキュリティ問題は、正しい対策が複数並ぶことが多いです。今回は APT か と 出口対策か の 2 条件で絞らないと誤ります。
学習アドバイス: 入口 内部 出口 のどこを守る対策かで整理すると、IDS、IPS、EDR、ファイアウォール、通信監視の役割が見えやすくなります。
第22問 情報セキュリティの基礎
問題要旨: 顧客情報の取扱い、利用目的の通知、公開鍵暗号、ファイアウォール設定に関する基本問題です。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 基礎
正解: エ
必要知識: 情報セキュリティの基礎 — ファイアウォール、公開鍵暗号、個人情報の利用目的
解法の思考プロセス: ファイアウォールは、どのアクセスを拒否・許可するかをあらかじめ設定して使うのでエが正解です。アはウイルス対策だけでは漏洩防止にならず不十分、イは利用目的の通知が必要、ウは公開鍵暗号を 共通鍵を設定する方式 と説明しており誤りです。
誤答の落とし穴: セキュリティ対策をしていれば十分 という総論で読むと誤ります。暗号、アクセス制御、法令対応はそれぞれ別の論点です。
学習アドバイス: セキュリティ基礎では、技術 と ルール の両方が問われます。暗号方式の違いと、個人情報の利用目的通知のような基本ルールはセットで押さえてください。
第23問 システム投資評価
問題要旨: 受発注やクレーム処理を含む顧客対応システムを導入する際、投資評価として適切な考え方を問う問題です。
K4 因果メカニズム T4 因果推論 L3 高度
正解: ア
必要知識: IT戦略・BPR・DX・ITガバナンス — IT 投資評価、TCO、ポートフォリオ分析
解法の思考プロセス: この問題は 複数の構築案をどう比べるか が主語です。プロジェクト遂行リスクと期待ベネフィットの 2 軸で案を並べるポートフォリオ分析は、候補比較に有効なのでアが最も適切です。イの TCO も重要ですが、記述のコスト分類が不正確です。ウはリアルオプションの意味を取り違え、エも人員削減だけで投資価値を判断していて狭すぎます。
誤答の落とし穴: 投資評価 = TCO と短絡すると誤ります。TCO は総コスト把握であり、複数案の リスクと便益のバランス を見る道具とは別です。
学習アドバイス: IT 投資評価は 総額を見るのか、採算性を見るのか、案の位置付けを比べるのか を分けてください。TCO、ROI、NPV、ポートフォリオ分析は役割が違います。
第24問 重回帰分析
問題要旨: 重相関係数、自由度調整済み決定係数、最小二乗法の理解を問う問題です。
K3 数式・公式 T3 計算実行 L2 応用
正解: ア
必要知識: 統計の基礎 — 重回帰分析、決定係数、自由度調整
解法の思考プロセス: 重相関係数は 0 以上 1 以下の値をとるので、負になることはなくアが正解です。イは自由度調整後の決定係数が負になる場合があるため誤り、ウも自由度調整は 説明変数が多い割にデータが少ないと見かけ上の当てはまりが高く出る ことへの補正なので記述が逆です。エも独立変数が 2 つでも最小二乗法は使えます。
誤答の落とし穴: 決定係数は 0 以上 と覚えていると、自由度調整済み決定係数まで同じだと思ってしまいます。調整後は負になることもあります。
学習アドバイス: 回帰問題は 何が必ず成り立つか と 調整を入れると例外が出るか を分けると整理しやすいです。重相関係数と調整済み決定係数は別物です。
第25問 仮説検定の考え方
問題要旨: 新しい陳列方法で平均売上が上がったように見えるとき、それが偶然かどうかをどう考えるかを問う問題です。
K3 数式・公式 T3 計算実行 L3 高度
正解: エ
必要知識: 統計の基礎 — 仮説検定、第1種の誤り、第2種の誤り
解法の思考プロセス: この問題の中心は、真の平均が 50 万円でも、標本平均が 52 万円になることは偶然起こり得る という検定の発想です。アの χ² 分布は平均差の検定に通常そのまま使いません。イの 仮説推定 という言い方も不適切です。ウの 効果がないのに売上が増えたと誤判定する 誤りは第1種の誤りであり、第2種ではありません。公式正答はエであり、ここでは 帰無仮説の下で観測値がどれだけ珍しいかを確率で見る という発想を押さえることが重要です。
誤答の落とし穴: 第1種の誤りと第2種の誤りは逆にしやすいです。本当は効果がないのに、あると言ってしまう のが第1種の誤りです。
学習アドバイス: 統計問題では、分布名の丸暗記よりも 帰無仮説の下で、観測値がどれくらい珍しいかを見る という考え方を先に理解してください。そこが分かると、t 検定や z 検定へもつながります。
注記: 公式問題冊子の選択肢エは 二項分布 と読める一方、J-SMECA 公式正答表 では第25問の正答が エ とされています。したがって、本サイトでは公式正答表に従いつつ、学習上は 平均値の検定の発想 と 第1種 / 第2種の誤り を理解することを優先します。
分類タグの凡例
知識種類(K)
| タグ | 意味 |
|---|---|
| K1 | 定義・用語 |
| K2 | グラフ形状 / 分類・表示 |
| K3 | 数式・公式 |
| K4 | 因果メカニズム / 手続・手順 |
| K5 | 制度・基準 |
思考法(T)
| タグ | 意味 |
|---|---|
| T1 | 正誤判定 |
| T2 | グラフ読解 / 分類判断 |
| T3 | 計算実行 |
| T4 | 因果推論 / 条件整理 |
| T5 | 場合分け |
形式層(L)
| タグ | 意味 |
|---|---|
| L1 | 定義暗記で解ける |
| L2 | 構造理解が必要 |
| L3 | 因果連鎖・推論が必要 |
| L4 | 数式操作・応用が必要 |
罠パターン(Trap)
| タグ | 意味 | 対策 |
|---|---|---|
| Trap-A | 逆方向 | 方向を書き出して確認 |
| Trap-B | 条件すり替え | 前提条件を最初に確認 |
| Trap-C | 部分正解 | 最後の一段を重点チェック |
| Trap-D | 混同誘発 | 対比表で区別を明確に |
| Trap-E | 計算ミス誘発 | 公式の意味を理解して検算 |
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