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財務・会計(平成24年度)

平成24年度(2012)中小企業診断士第1次試験 財務・会計の全22問解説

概要

平成24年度(2012)の財務・会計は全22問です。ただし、第10問、第17問、第20問が各2設問なので、公式正答は25件あります。

前半は簿記、連結、原価計算、管理会計が中心で、後半は経営分析、CVP、キャッシュフロー、資本コスト、MM理論、デリバティブまで幅広く問われています。平成24年度は、設問が枝分かれしている問を落とすと、以後の正答が全部ずれて見える 年度です。

問題文は J-SMECA 試験問題ページ から、正答は 平成24年度 一次試験正答 PDF を参照してください。

簿記・原価計算

第1問 仕訳の意味

問題要旨: 借方:仕入 / 貸方:売掛金 という仕訳がどの取引を表すかを選ぶ。

K1 定義・用語 T2 分類判断 L1 Trap-D 類似混同

正解: ウ

必要知識: 勘定科目と基本仕訳 — 掛取引と為替手形の処理

解法の思考プロセス:

借方が 仕入 なので、商品を仕入れた取引です。貸方が 売掛金 になっているので、仕入代金の支払いに もともと得意先に対して持っていた債権 を使っている形だと分かります。

これは、得意先を名宛人とする為替手形を振り出し、引受けを得て仕入先へ渡した場面です。自社の売掛金が減るので貸方は 売掛金 になります。

誤答の落とし穴:

  • 返品と見ると、借方は 仕入 ではなく 買掛金仕入戻し の整理を考えるべきで、形が合いません。
  • 単純な掛仕入れなら貸方は 買掛金 であり、売掛金 にはなりません。

学習アドバイス:

仕訳問題は、まず 借方が何を意味するか を見て取引の大枠を決めると速いです。その上で、貸方が どの債務・債権の減少か を当てにいくと崩れません。


第2問 先入先出法による月間売上総利益

問題要旨: 商品有高帳、仕入帳、売上帳から、甲品の月間売上総利益を求める。

K4 手続・手順 T3 計算実行 L2 Trap-E 計算ミス

正解: エ(9,000円)

必要知識: 棚卸資産の評価方法 — 先入先出法

解法の思考プロセス:

甲品だけを抜き出して追います。

  • 純売上高: 22,000 + 16,800 - 800 = 38,000
  • 7月6日売上40個の原価: 20個×410 + 20個×420 = 16,600
  • 7月25日売上30個の原価: 20個×420 + 10個×400 = 12,400

したがって売上原価は 16,600 + 12,400 = 29,000、売上総利益は

38,000 - 29,000 = 9,000

です。

誤答の落とし穴:

  • 乙品の売上や仕入まで混ぜてしまう
  • 7月5日の掛返品を反映せず、4日仕入を50個のまま使ってしまう

学習アドバイス:

総合問題でも、まず 対象商品だけを別紙に抜き出す のが安全です。先入先出法は、売上日ごとに在庫の層を崩していけば機械的に解けます。


第3問 仕入割引の定義

問題要旨: 仕入割引の意味として最も適切なものを選ぶ。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 類似混同

正解: ウ

必要知識: 商品売買の諸論点 — 値引き、返品、割引

解法の思考プロセス:

仕入割引は、支払期日前に代金を支払ったことに対する買掛金の一部免除 です。品質不良や数量不足による減額ではありません。

したがって、ウが正解です。

誤答の落とし穴:

  • 品質不良や破損による減額は 仕入値引仕入返品
  • 大量取引による返戻はリベート系の話で、仕入割引とは別です

学習アドバイス:

割引は早く払ったことへの対価値引は品質や取引条件の調整返品は物が戻る と3つに分けて覚えると整理しやすくなります。


第4問 支払利息勘定の空欄補充

問題要旨: キャッシュ・フロー計算書と支払利息勘定から、前払利息の空欄Aを求める。

K4 手続・手順 T3 計算実行 L2 Trap-B 条件見落とし

正解: イ(300千円)

必要知識: キャッシュ・フロー計算書 — 利息費用と利息支払額の違い

解法の思考プロセス:

営業CFの調整欄から、当期の 支払利息費用 は 1,100 千円、利息の 実際支払額 は 1,000 千円と分かります。

前払利息のT字勘定で考えると、

期首前払利息 400 + 当期支払 1,000 = 当期費用 1,100 + 期末前払利息 A

です。よって

A = 400 + 1,000 - 1,100 = 300

となります。

誤答の落とし穴:

  • 支払利息 1,100 をそのまま現金支払額だと思ってしまう
  • 前払利息の増減を見ずに、CF計算書の 1,000 と 1,100 の差額だけで判断してしまう

学習アドバイス:

費用と現金支出がずれているときは、前払 / 未払 を挟んでT字勘定で見るのが最短です。文章で考えるより事故が減ります。


第5問 連結当期純利益の控除項目

問題要旨: 親会社と子会社の当期純利益合計から、連結当期純利益を求める際に控除する金額の式を選ぶ。

K2 因果メカニズム T2 分類判断 L2 Trap-D 類似混同

正解: イ

必要知識: 連結会計の基本 — 未実現利益消去、受取配当金消去、少数株主持分

解法の思考プロセス:

親会社Pと子会社Sの純利益を単純合算すると、次の3つを控除しないと連結利益になりません。

  • 子会社利益のうち少数株主持分相当額
  • 親会社が受け取った子会社配当金
  • 親会社から子会社への販売で、子会社の期末在庫に残っている未実現利益

この問題は P→S のダウンストリーム取引なので、未実現利益消去は親会社側の利益修正であり、少数株主持分の計算式から差し引く形ではありません。したがってイです。

誤答の落とし穴:

  • 未実現利益を少数株主持分の計算にまで混ぜてしまう
  • 受取配当金消去を忘れて、グループ内取引を利益として残してしまう

学習アドバイス:

連結の基本は グループ外との取引だけを残す ことです。配当も在庫利益も、グループ内ならいったん消すと覚えてください。


第6問 原価に算入される項目

問題要旨: 原価計算制度において原価に入るものを選ぶ。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 類似混同

正解: ウ

必要知識: 原価計算の目的と分類 — 製造原価と非原価項目

解法の思考プロセス:

福利施設負担額は、工場や従業員福利に関する正常な製造関連費用であり、製造間接費として原価に算入されます。

一方で、

  • 支払利息は財務費用
  • 任意積立金繰入額は利益処分
  • 臨時多額の退職手当は異常・臨時損失

なので原価には入れません。

誤答の落とし穴:

  • 会社からお金が出るものは全部原価 と考えてしまう
  • 退職手当を人件費の延長として機械的に原価へ入れてしまう

学習アドバイス:

原価は 正常な製造活動との関係 で判定します。財務費用や利益処分、異常損失は原価から切り離すのが原則です。


第7問 個別原価計算の売上原価

問題要旨: 製造指図書別データから、当月の売上原価を求める。

K4 手続・手順 T3 計算実行 L2 Trap-E 計算ミス

正解: イ(13,200千円)

必要知識: 個別原価計算 — 予定配賦と完成・販売の違い

解法の思考プロセス:

製造間接費の予定配賦率は

48,000 / 24,000 = 2 千円 / 時間

です。各指図書の原価は次のとおりです。

  • #121: 5,600 + 300 + 100×2 = 6,100
  • #122: 3,200 + 2,100 + 900×2 = 7,100
  • #123: 2,400 + 1,860 + 700×2 = 5,660
  • #124: 1,200 + 460 + 200×2 = 2,060

このうち 完成・引渡 なのは #121 と #122 だけなので、売上原価は

6,100 + 7,100 = 13,200

です。

誤答の落とし穴:

  • 完成・未渡 の #123 まで売上原価に入れてしまう
  • 製造間接費率を 48,000 / 1,900 と当月実績で割ってしまう

学習アドバイス:

個別原価計算は、原価を出すこと売上原価に振り替えること が別です。完成しただけなのか、引き渡しまで終わったのかを必ず見分けてください。


第8問 単位当たり利益の変化による売上総利益差異

問題要旨: 売上総利益の増減分析で、単位当たり利益の変化による増減額を求める。

K3 数式・公式 T3 計算実行 L2 Trap-A 逆方向

正解: ア(4,000円の減少)

必要知識: 差異分析と利益分析 — 単位利益と数量の分解

解法の思考プロセス:

単位当たり利益は、

  • 前期: 820 - 500 = 320
  • 当期: 800 - 490 = 310

なので、1kg当たり 10円悪化しています。

単位当たり利益の変化による影響額は、当期販売数量 400kg を掛けて

(310 - 320) × 400 = -4,000

です。したがってアです。

誤答の落とし穴:

  • 総利益の増減 2,400円をそのまま選んでしまう
  • 販売数量差異と単位利益差異を混ぜてしまう

学習アドバイス:

差異分析は、1個当たりの差個数の差 を分けて考えるのが基本です。式の前に「何が何円変わったか」を言葉で書くと迷いにくくなります。


第9問 共通固定費回収への貢献を示す利益

問題要旨: 事業部が共通固定費を回収し、さらに利益獲得に貢献する度合いを表す利益を選ぶ。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-D 類似混同

正解: エ

必要知識: 管理会計とセグメント利益 — 限界利益、事業部利益、セグメントマージン

解法の思考プロセス:

共通固定費を回収する前に、まず各事業部が自分に直接ひもづく固定費をまかなえているかを見る必要があります。

その指標は

売上高 - 変動費 - 個別固定費

であり、一般に事業部利益やセグメントマージンに当たります。したがってエです。

誤答の落とし穴:

  • 売上高 - 変動費 の限界利益で止めてしまう
  • 管理可能固定費と個別固定費を同じものとして扱ってしまう

学習アドバイス:

共通固定費まで回収できるか を見たいなら、少なくとも 事業部固有の固定費 は引いた後の利益を見る必要があります。


経営分析・キャッシュフロー

第10問 比較損益計算書の読み取り

問題要旨: 比較損益計算書から、生産性と成長性に関する設問に答える。

設問1 生産性の変化

K2 因果メカニズム T2 分類判断 L2 Trap-B 条件見落とし

正解: ア

必要知識: 成長性と生産性 — 付加価値率と労働生産性

解法の思考プロセス:

従業員1人当たり売上高は、

  • 前期: 1,000 / 30 = 33.3
  • 当期: 1,200 / 32 = 37.5

で上昇しています。

さらに 付加価値率は不変 とあるので、売上高が増えれば付加価値も同率で増えます。したがって、付加価値労働生産性も上昇します。

誤答の落とし穴:

  • 従業員数が増えたことだけを見て、生産性低下と早合点する
  • 付加価値率不変の条件を読み落とす

学習アドバイス:

生産性問題では、まず 1人当たり に直してから判断してください。総額だけ見ても方向は切れません。

設問2 成長性の変化

K2 因果メカニズム T2 分類判断 L2 Trap-A 逆方向

正解: ウ

必要知識: 成長性分析 — 成長率の比較

解法の思考プロセス:

売上高成長率は

  • 第21期→第22期: (1,000 - 950) / 950 ≒ 5.3%
  • 第22期→第23期: (1,200 - 1,000) / 1,000 = 20%

なので上昇です。

経常利益成長率は

  • 第21期→第22期: (130 - 133) / 133 ≒ -2.3%
  • 第22期→第23期: (120 - 130) / 130 ≒ -7.7%

なので低下です。したがってウです。

誤答の落とし穴:

  • 利益額の大小だけで見て、成長率 の比較をしない
  • 前々期データを使わず、前期と当期だけで判断する

学習アドバイス:

成長性は 増えたか減ったか ではなく 伸び率がどう変わったか です。比較対象の期間を1段前まで戻して見てください。


第11問 損益分岐点分析の用語関係

問題要旨: 空欄A〜Cに入る用語の組み合わせを選ぶ。

K3 数式・公式 T2 分類判断 L2 Trap-D 類似混同

正解: ア

必要知識: CVP分析と損益分岐点 — 安全余裕率、限界利益率、売上利益率

解法の思考プロセス:

利益は

売上高 × 限界利益率 - 損益分岐点売上高 × 限界利益率

です。これを整理すると

利益 = (売上高 - 損益分岐点売上高) × 限界利益率

となります。両辺を売上高で割ると

売上利益率 = 安全余裕率 × 限界利益率

なので、Aが売上利益率、Bが安全余裕率、Cが限界利益率のアです。

誤答の落とし穴:

  • 損益分岐点比率安全余裕率 を逆に置く
  • 利益率の式に直さず、言葉の印象だけで選ぶ

学習アドバイス:

CVPの用語問題でも、一度 式に戻す 方が安全です。言葉だけで覚えるよりも、どの比率を掛けると何になるかで整理してください。


第12問 資金繰り表の経常外収支

問題要旨: 資金繰り表の項目のうち、経常外収支に当たるものの組み合わせを選ぶ。

K1 定義・用語 T2 分類判断 L1 Trap-D 類似混同

正解: ウ

必要知識: 資金繰りとキャッシュ管理 — 経常収支と経常外収支

解法の思考プロセス:

経常収支は日常の営業活動に伴う資金の出入りです。これに対し、設備投資や資金調達に近い項目は経常外収支に入ります。

  • 設備投資 は臨時的・投資的支出
  • 手形割引 は資金調達的な収入

したがって、d と e のウが正解です。

誤答の落とし穴:

  • 未払金の支払 を何でも経常外と見てしまう
  • 手形関連だから全部営業収支だと思い込む

学習アドバイス:

資金繰り表は、日常営業か、それ以外か で切ります。設備と金融は経常外に寄りやすいと覚えておくと速いです。


第13問 営業キャッシュフロー

問題要旨: 売上高、現金支出費用、減価償却費、税率から営業キャッシュフローを求める。

K3 数式・公式 T3 計算実行 L1 Trap-E 計算ミス

正解: ウ(36百万円)

必要知識: 営業キャッシュフローとFCF — 税引後営業利益と減価償却

解法の思考プロセス:

まず営業利益は

100 - 50 - 15 = 35

百万円です。税引後営業利益は

35 × (1 - 0.4) = 21

百万円です。減価償却費15百万円は費用ですが現金支出を伴わないので足し戻します。

21 + 15 = 36

よってウです。

誤答の落とし穴:

  • 減価償却費に税率を掛けた額だけ足し戻してしまう
  • 現金支出費用50百万円を税引後に直す前に混乱する

学習アドバイス:

この型は 税引後営業利益 + 減価償却費 にすぐ直すと安定します。式を覚えるより、非現金費用を戻す と理解してください。


第14問 正味運転資本の増減

問題要旨: 前期と当期の流動資産・流動負債から、正味運転資本の増減額を求める。

K3 数式・公式 T3 計算実行 L1 Trap-A 逆方向

正解: ア(30百万円の減少)

必要知識: キャッシュフローと運転資本 — 正味運転資本

解法の思考プロセス:

この問題では、正味運転資本を

流動資産 - 流動負債

で計算します。

  • 前期: (32 + 20 + 30) - (5 + 10 + 50) = 17
  • 当期: (5 + 30 + 40) - (20 + 8 + 60) = -13

したがって増減額は

-13 - 17 = -30

で、30百万円の減少です。

誤答の落とし穴:

  • 現金や未払税金を勝手に除いて別の定義で計算してしまう
  • 当期 - 前期 ではなく 前期 - 当期 を取って符号を逆にする

学習アドバイス:

運転資本は文脈で定義が揺れます。問題文に別条件がなければ、まずは 流動資産 - 流動負債 を素直に当ててください。


第15問 内部金融

問題要旨: 内部金融の説明として最も適切なものを選ぶ。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 類似混同

正解: エ

必要知識: 資金調達の基本 — 内部金融と外部金融

解法の思考プロセス:

内部金融は、企業が事業活動の中で自ら生み出す資金です。代表例は

  • 利益の内部留保
  • 減価償却

です。これらは継続的に企業内部へ蓄積されるため、長期資金源として捉えられます。したがってエが正解です。

誤答の落とし穴:

  • 企業間信用を内部金融に入れてしまう
  • ファイナンス・リースのような外部調達を混ぜてしまう

学習アドバイス:

内部か外部か は資金の出どころで分けます。利益と減価償却は内部、借入やリースは外部と切ってください。


ファイナンスと証券

第16問 加重平均資本コスト

問題要旨: 配当割引モデルで自己資本コストを求め、WACCを計算する。

K4 手続・手順 T3 計算実行 L3 Trap-E 計算ミス

正解: エ(11.7%)

必要知識: 資本コストと企業価値 — 配当割引モデルとWACC

解法の思考プロセス:

時価ベースの構成比は、負債5,000万円、自己資本5,000万円なので 50%ずつ です。

まず株価は

5,000万円 / 100万株 = 50円

です。次期配当は

5 × 1.1 = 5.5円

なので、自己資本コストは

5.5 / 50 + 10% = 21%

です。

負債の税引後コストは

4% × (1 - 0.4) = 2.4%

です。したがってWACCは

21% × 0.5 + 2.4% × 0.5 = 11.7%

となります。

誤答の落とし穴:

  • 現在配当5円をそのまま使い、次期配当5.5円に直さない
  • 負債コストを税引後にせず 4% のまま使う

学習アドバイス:

WACC は 自己資本コストを出す負債を税引後にする時価で重み付けする の3段階です。どこで何を直すかを固定化すると得点源になります。


第17問 資本構成とROE・企業価値

問題要旨: 負債導入によるROEの変化と、法人税がある場合の企業価値への影響を答える。

設問1 負債導入後のROE

K3 数式・公式 T3 計算実行 L2 Trap-E 計算ミス

正解: ウ(16%)

必要知識: MM理論の基本 — レバレッジとROE

解法の思考プロセス:

総資本10億円、税引前総資本営業利益率12%なので、営業利益は

10億 × 12% = 1.2億円

です。資本構成変更後は負債4億円、自己資本6億円なので、支払利息は

4億 × 6% = 0.24億円

です。

税金なしなので利益は

1.2億 - 0.24億 = 0.96億円

となり、ROEは

0.96億 / 6億 = 16%

です。

誤答の落とし穴:

  • 総資本営業利益率12%をそのままROEだと思ってしまう
  • 利子負担を引かずに自己資本で割ってしまう

学習アドバイス:

レバレッジ問題は、利益率 から入るより 金額に直す 方が安全です。営業利益、利息、残り利益の順に置いてください。

設問2 法人税がある場合の企業価値

K2 因果メカニズム T2 分類判断 L2 Trap-B 条件見落とし

正解: エ

必要知識: MM理論の基本 — 利子の節税効果

解法の思考プロセス:

完全市場で法人税のみがあるMM理論では、負債の導入により 利子の節税効果 の分だけ企業価値が上昇します。

増加額は

税率 40% × 負債 4億円 = 1.6億円

です。万円表示に直すと 16,000万円 なので、エが正解です。

誤答の落とし穴:

  • 利子額に税率を掛けるのではなく、負債元本に税率を掛ける点を忘れる
  • 節税効果なのに企業価値が減少すると読んでしまう

学習アドバイス:

MM理論の基本形は、税金なしなら価値不変、法人税ありなら T×D だけ増える とまず押さえると、計算がかなり軽くなります。


第18問 資本制約下の投資案選択

問題要旨: 投資可能額5,000万円の制約下で、採択すべき投資案の組み合わせを選ぶ。

K2 因果メカニズム T2 分類判断 L2 Trap-D 類似混同

正解: ア

必要知識: 投資意思決定 — NPVと資本制約

解法の思考プロセス:

各投資案の初期投資額は同じ 2,500万円なので、2案だけ選べます。この条件では、企業価値増大の基準になるのは NPVの合計 です。

組み合わせごとのNPV合計は

  • 甲+乙: 280 + 300 = 580
  • 甲+丙: 280 + 180 = 460
  • 乙+丙: 300 + 180 = 480
  • 丙+丁: 180 - 25 = 155

なので、最大は甲と乙です。

誤答の落とし穴:

  • IRRや回収期間が高い組み合わせを選んでしまう
  • 企業価値最大化の基準がNPVであることを忘れる

学習アドバイス:

資本制約がある問題でも、まず 価値をいくら増やすか を見るのが原則です。規模が同じなら、NPVを単純合計して比較できます。


第19問 安全資産と危険資産の組み合わせ

問題要旨: 安全資産2%、投資信託8%・標準偏差6%を等額保有したときの期待収益率と標準偏差を求める。

K3 数式・公式 T3 計算実行 L2 Trap-E 計算ミス

正解: ア

必要知識: ポートフォリオ理論 — 期待収益率と標準偏差

解法の思考プロセス:

期待収益率は加重平均なので

0.5 × 2% + 0.5 × 8% = 5%

です。

安全資産の標準偏差は0なので、全体の標準偏差は危険資産部分の比率だけ縮みます。

0.5 × 6% = 3%

したがって、期待収益率5%、標準偏差3% のアです。

誤答の落とし穴:

  • 標準偏差も単純に (2% + 6%) / 2 と平均してしまう
  • 安全資産を入れても期待収益率が上がると思ってしまう

学習アドバイス:

安全資産との組み合わせでは、期待収益率は平均、リスクは比率分だけ薄まる が基本形です。まずこの型を覚えると応用が利きます。


第20問 企業価値評価とROE

問題要旨: PERを使った株価分解と、ROEを企業価値評価へ直接使うときの論点を問う。

設問1 空欄A・Bの組み合わせ

K1 定義・用語 T2 分類判断 L2 Trap-D 類似混同

正解: エ

必要知識: 株式価値評価 — PERと割引超過利益モデル

解法の思考プロセス:

株価を 1株当たり当期純利益 × A に分解するなら、Aは PER です。

また、会計数値やEVAを使った企業価値評価として文脈に合うのは 割引超過利益モデル です。したがってエが正解です。

誤答の落とし穴:

  • BPS × PBR = 株価 の式と混同してしまう
  • CAPMを企業価値評価モデルそのものだと思ってしまう

学習アドバイス:

倍率評価は EPSならPER、BPSならPBR の対応で覚えると切りやすいです。まず何を掛けて株価にしているかを見てください。

設問2 ROEを直接使う問題点

K2 因果メカニズム T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件見落とし

正解: ア

必要知識: ROEと企業価値評価 — ROEの限界

解法の思考プロセス:

ROEには、確かに次の弱点があります。

  • 株主資本コストを直接反映しない
  • 会計処理方法の影響を受ける
  • 財務レバレッジで見かけ上変動する

一方で、ROEは 利益 / 自己資本 という比率なので、企業規模の違いをある程度ならした上で比較するための指標です。したがって、企業規模による影響を考慮した比較が困難 というアは不適切です。

誤答の落とし穴:

  • 規模が大きい企業の利益額は大きい という感覚を、そのままROEにも当てはめてしまう
  • ROEと利益額を混同する

学習アドバイス:

指標問題では、比率か総額か を先に分けて考えると判断しやすくなります。ROEは比率なので、規模調整の役割をある程度持っています。


第21問 オプション取引の基礎

問題要旨: コール・プットのイン・ザ・マネー、アウト・オブ・ザ・マネーに関する記述を選ぶ。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-A 逆方向

正解: エ

必要知識: デリバティブとリスク管理 — コール、プット、イン・ザ・マネー

解法の思考プロセス:

プット・オプションの買いは、行使価格で売る権利 です。原資産価格が行使価格を下回るほど有利になるので、原資産価格 < 行使価格 のときイン・ザ・マネーです。

したがってエが正解です。

誤答の落とし穴:

  • コールとプットで有利になる方向を逆に覚える
  • アット・ザ・マネーを 少し有利 と誤解する

学習アドバイス:

オプションは、コールは買う権利、プットは売る権利 と声に出してから、どちらの価格方向で得かを考えると整理しやすいです。


第22問 先物取引の性質

問題要旨: 先物取引に関する記述のうち、最も不適切なものを選ぶ。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 類似混同

正解: ウ

必要知識: デリバティブとリスク管理 — 先物取引

解法の思考プロセス:

先物取引は取引所で定型化され、日々値洗いが行われ、最終的に現物受渡しをせず差金決済されることもあります。ここまでは正しいです。

不適切なのは、特定の受渡日に取引が決済される と断定しているウです。先物は反対売買で期日前にポジションを解消できるので、必ずその日に決済されるわけではありません。

誤答の落とし穴:

  • 満期日がある満期日まで保有しなければならない を混同する
  • 先渡取引と先物取引の性質を混ぜてしまう

学習アドバイス:

先物と先渡の違いは、取引所取引か定型化されているか反対売買で手仕舞いしやすいか に注目すると覚えやすいです。

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