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経営法務(平成24年度)

平成24年度(2012)中小企業診断士第1次試験 経営法務の第10問〜第20問解説

概要

平成24年度(2012)の経営法務は全20問(設問を含め25問、各4点、100点満点)で出題されました。本ページでは第10問〜第20問の解説を掲載しています。

問題文は JF-CMCA 公式サイト(試験問題) から入手できます。手元に PDF を用意したうえでお読みください。全年度の問題は JF-CMCA 試験問題ページ で公開されています。

解説の読み方

各問について「問題要旨 → 分類タグ → 正解 → 必要知識 → 解法の思考プロセス → 誤答の落とし穴 → 学習アドバイス」の順で解説しています。分類タグの意味は本ページ末尾の凡例を参照してください。

出題構成

領域問番号問数
不正競争防止法・商標法第10〜11問2問
事業承継法第12問2問(設問1・2)
知的財産権第13〜14問3問(第13問は設問1・2)
商取引法第15問1問
企業金融第16問2問(設問1・2)
証券取引法第17問2問(設問1・2)
会社法第18・20問2問
商業登記法第19問2問(設問1・2)

問題別解説

第10問

問題要旨: 不正競争防止法の不正競争に該当する商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するもの)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 応用

正解: イ

必要知識: 不正競争防止法 — 商品等表示、混同惹起、類似判断の基本

解法の思考プロセス: 本問は不正競争防止法における商品等表示の類似性に関する記述を正誤判断する問題です。選択肢を個別に検討する際は、外国での商品等表示の使用、国内での使用、標識の類似性、混同誘発性などの条件が適切に記載されているかをチェックします。正解は、商品等表示の類似について混同を生じさせるような表示が不正競争に該当することを正しく説明している選択肢です。

誤答の落とし穴: Trap-C(部分正解)。複数の選択肢が「類似」「混同」という正しい用語を使用していますが、適用される場面や条件に誤りがあるものが含まれています。各選択肢が説明する「どの場合に」該当するのかという条件部分を慎重に読む必要があります。

学習アドバイス: 不正競争防止法は法務試験で頻出です。商品等表示の定義、類似の判断基準、混同誘発性などの概念をしっかり理解することが重要です。法律上の用語(類似、混同、一般的認識等)が正確に使われているかを確認する習慣をつけましょう。


第11問

問題要旨: 商標の使用に関する記述として最も適切なものはどれか。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 概念

正解: ウ

必要知識: 商標法 — 商標法上の「使用」として認められる行為、広告表示やECでの表示

解法の思考プロセス: 商標法では「商標の使用」が登録要件や権利維持の要件となります。選択肢を検討する際は、単なる装飾的な表示では足りず、商品・役務を表示する機能を持つ必要があることを確認します。本問は「使用」の定義について、複数の形態(商品への表示、広告表示、データ処理等)が該当するかを判断します。最も適切な選択肢は、商標法上の「使用」として認められる形態を正しく説明しているものです。

誤答の落とし穴: Trap-D(混同誘発)。「使用」という用語は法律で厳密に定義されていますが、選択肢によっては日常的な使用と法律的な使用の区別があいまいになっています。オンライン配信、家庭用TV番組、ゲーム利用プログラムなどが具体例として登場します。

学習アドバイス: 商標法の「使用」概念は実務的で重要です。教科書の定義にとどまらず、どのような行為が法律上の「使用」に該当するか、判例を踏まえた具体例で理解することをお勧めします。


第12問(設問1)

問題要旨: 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(平成20年法律第33号)における遺留分に関する民法の特例について、最も適切なものはどれか。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 応用

正解: イ

必要知識: 事業承継・M&A支援 — 事業承継税制、遺留分民法特例、経営承継円滑化法

解法の思考プロセス: 本問は事業承継の円滑化を目的とする制度について出題されています。遺留分特例制度では、後継者が会社の主要な株式を確保しやすくするため、民法の遺留分に関する規定について特別な扱いをしています。各選択肢は、後継者に対する優遇措置、相続人との間での権利関係、特例の適用要件などについて述べています。正解は、遺留分の計算や代償請求において、後継者の利益を保護する特例を正しく説明しているものです。

誤答の落とし穴: Trap-B(条件すり替え)。遺留分の基本ルールは民法で定められていますが、本特例法ではどこが変更されるのか、また誰が恩恵を受けるのかが曖昧な選択肢があります。「遺留分相続人」「先代経営者」「後継者」など、複数の立場が関係することに注意。

学習アドバイス: 中小企業経営者にとって事業承継は最大の課題です。遺留分特例制度、納税猶予制度、経営承継円滑化法など、関連する制度をセットで理解することで、この分野の理解が深まります。


第12問(設問2)

問題要旨: 経営承継円滑化法に基づく遺留分の特例に関する設問2。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 応用

正解: ウ

必要知識: 事業承継・M&A支援 — 遺留分民法特例の除外合意・固定合意


第13問(設問1)

問題要旨: 特許権を取得した会社の専務取締役甲氏と中小企業診断士の間の会話で、特許権のライセンス契約に関して、甲氏の「ライセンスを許諾するのに際して、第三者に許諾できることを確認する必要がある」という発言に対して、適切な回答として空欄ア~エに入る語句の組み合わせを選ぶ問題。

K4 因果メカニズム T4 因果推論 L2 応用

正解: エ

必要知識: 特許法 — 特許ライセンス、独占・通常実施権、再許諾の考え方

解法の思考プロセス: 本問は会話形式で特許権ライセンスの実務的な問題を取り上げています。甲氏の質問「知財管理におけるライセンスの基本的なリスク」に対して、診断士は「ライセンス契約の内容によって、再許諾が可能かどうかが決まる」と回答する必要があります。複数の空欄に入る用語を検討し、最も文脈に合致する組み合わせを選択します。本問のポイントは、ライセンス許諾後に生じる可能性のある「リスク」に焦点を当てることです。

誤答の落とし穴: Trap-C(部分正解)。複数の選択肢が適切な用語を含んでいますが、全ての空欄に入る語句の組み合わせが正確である必要があります。

学習アドバイス: 知的財産権(特許、商標、著作権)のライセンス契約は、新製品開発やビジネス展開を考える企業にとって極めて重要です。この分野は実務的で、教科書的な理解だけでは対応できません。会話形式の問題を通じて、実際のライセンス交渉で生じる問題とその対応方法を学ぶことが効果的です。


第13問(設問2)

問題要旨: 特許権ライセンスに関する会話の続きで、ライセンス契約の条件に関する設問2。

K4 因果メカニズム T4 因果推論 L2 応用

正解: エ

必要知識: 特許法 — 特許ライセンス契約の条件・制約


第14問

問題要旨: オープンソースソフトウェア(OSS)のライセンス規定に関する記述で、特定の条項に表題を付与し内容を説明する際に、最も適切な組み合わせはどれか。条項は「Program with a covenant from each author and conveyor of the Program...」という英文で、特許請求権(patent claim)に関する約束を述べている。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 応用

正解: ア

必要知識: 知的財産の基礎用語と体系 — OSSライセンス、コピーレフト、特許条項の読み方

解法の思考プロセス: 本問は英語のライセンス条文の日本語での理解を問うもので、法律用語の正確な翻訳と概念の理解が必要です。提示された英文は特許権に関する「約束」(covenant)について述べており、ライセンスを受けた者が第三者に対して特許請求権を行使しないという約束を含んでいます。選択肢は、この条項を表現する最も適切な表題を求めており、「不争義務」「非独占的ライセンス許諾」「不侵害保証」など複数の解釈が可能です。

誤答の落とし穴: Trap-D(混同誘発)。「著作権侵害に対する保証」と「特許請求権の放棄」という異なる概念が混在している選択肢があります。また「共有」概念(第二著作者への義務)と「特許」概念を混同させないことが重要です。

学習アドバイス: OSSライセンスは国際的な標準となっており、M&A、提携、新規事業の場面で頻繁に登場します。GPLやApache Licenseなど主要なライセンスの特徴(Copyleft有無、特許クレーム放棄の有無等)を理解することは、ビジネスパーソンにとって必須の知識です。


第15問

問題要旨: フランチャイズ契約に関する記述として、最も適切なものはどれか。フランチャイズシステムの本部(フランチャイザー)と加盟店(フランチャイジー)の関係について述べた4つの選択肢から選ぶ。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 概念

正解: ウ

必要知識: 契約・債権・物権・担保 — フランチャイズ契約、本部と加盟店の関係

解法の思考プロセス: フランチャイズは、本部(フランチャイザー)が商標や経営ノウハウを加盟店(フランチャイジー)に提供し、加盟店がそれらを使用して事業を行う関係です。本問は、フランチャイズ特有の法律関係を理解しているか確認するものです。各選択肢は、フランチャイザーの加盟店に対する関与度、加盟店の独立性、知識提供の責任などについて述べています。正解は、フランチャイズの本質を正しく説明しているもので、単なる販売代理でもなく、単なるライセンスでもない、フランチャイズ固有の特徴を反映しているものです。

誤答の落とし穴: Trap-B(条件すり替え)。選択肢によっては「フランチャイズ本部には加盟店の指導義務がない」「加盟店に完全な独立性がある」など、フランチャイズの実態と異なる記述が含まれています。ただし法的には加盟店は独立した事業者であり、雇用関係にはないというバランスが重要です。

学習アドバイス: フランチャイズシステムは、成長性の高いビジネスモデルとして、多くの企業が採用しています。この分野の課題は、本部と加盟店のトラブルが増加していることです。法的な支援義務、競業避止義務、契約終了時の対応などについて、関連する法律や判例を交えて学習することが効果的です。


第16問(設問1)

問題要旨: 電子部品メーカーX社の資金調達に関する会話で、メインバンクからの融資と担保提供についての会話を読み、信用保証に関する最も適切な記述を選ぶ。

K4 因果メカニズム T4 因果推論 L3 因果連鎖

正解: イ

必要知識: 契約・債権・物権・担保 — ABL、信用保証、担保の役割の違い

解法の思考プロセス: 本問は「紙の手形から電子記録へのシフト」「流動資産(売掛金)を担保とした融資」という現代的な企業金融の課題を扱っています。X社社長甲氏とあなた(診断士)の会話を通じて、従来の担保(不動産)から流動資産担保融資(ABL)へのシフトと、それに伴うリスク管理の変化が説明されています。複数の発言の中から、最も適切な記述を選ぶ際は、担保の価値変動、管理コスト、企業の実情との適合性などを総合的に判断します。

誤答の落とし穴: Trap-A(逆方向)およびTrap-B(条件すり替え)。融資を受ける企業のメリット(取引拡大の可能性)と銀行のリスク(流動資産の不安定性)が逆になっている選択肢があります。また「電子記録」は便利だが「セキュリティリスク」「証拠力」という新しい課題をもたらすことが見落とされやすいです。

学習アドバイス: 現代の企業金融は、従来の「三大信用」(人的信用、物的信用、財務信用)から、より柔軟で動的な仕組みへシフトしています。ABL、ファクタリング、売掛債権担保融資など、新しい融資形態を理解することは、経営診断の現場で極めて重要です。銀行業務の実務知識を交えた学習が効果的です。


第16問(設問2)

問題要旨: 同じくX社の資金調達に関する会話の続きで、「貸金業者からのファクタリング」と「手形による資金調達」の比較について、最も適切な発言組み合わせを選ぶ。

K5 制度・基準 T4 因果推論 L3 因果連鎖

正解: イ

必要知識: 契約・債権・物権・担保 — ファクタリングと債権譲渡、融資との違い

解法の思考プロセス: ファクタリングと手形は、どちらも企業の資金繰り改善の手段ですが、法的性質、費用構造、リスク配分が異なります。本問では、X社がメインバンクからの借入に加え、貸金業者のファクタリングを活用する場面が描かれています。甲氏と診断士の発言の中で、「ファクタリングはいつでも利用できるのか」「手形に比べてコストは高いのか」「信用管理はどうなるのか」という実務的な問題が議論されています。正解は、ファクタリングの特徴と課題を最も正確に述べているものです。

誤答の落とし穴: Trap-C(部分正解)。「ファクタリングの利点」と「手形の利点」が部分的に正しく述べられていますが、全体として企業の立場(売上拡大がしたい、でも資金繰りが逼迫している)に対する「最適な選択」として機能しているかが判断基準です。

学習アドバイス: 企業の資金繰り改善は、経営診断の重要な領域です。銀行融資、ファクタリング、売掛金譲渡、リース、クレジットラインなど、複数の選択肢の特徴と課題を理解し、企業の状況に応じた最適な提案ができることが診断士としての力量です。


第17問(設問1)

問題要旨: 株式上場にあたり証券取引所が行う審査基準は形式基準と実質基準の2つから構成されています。新規上場申請会社(以下「申請会社」)との関係で、形式基準に対する審査で最も適切なものはどれか。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 応用

正解: ア

必要知識: 資金調達・配当・計算書類 — IPO、形式基準と実質基準、上場審査の見方

解法の思考プロセス: 上場審査は、投資家保護と市場の信頼性維持を目的として、複数の基準で審査されます。形式基準は、申請会社が最低限の経営基盤を持っているかを客観的に判定します(存続期間3年以上、利益水準、監査証跡等)。実質基準は、企業ガバナンス、内部統制、経営の透明性など、より主観的な評価を含みます。本問では、形式基準として最も適切な説明を選択します。各選択肢は、審査項目の具体化と判定方法について述べています。

誤答の落とし穴: Trap-B(条件すり替え)。「形式基準は定量的であり、実質基準は定性的である」という一般的な理解は正しいですが、具体的な個々の審査項目(例:監査役の関与、会計監査人の品質等)については、形式的見方と実質的見方が混在する場合があります。

学習アドバイス: 上場は企業にとって大きな転機です。上場により得られるメリット(信用力向上、資金調達容易化)と負担(開示義務、ガバナンス強化)を理解し、診断の現場で企業へのコンサルティングができることが重要です。


第17問(設問2)

問題要旨: 株式上場に関連して、資本政策や経営陣のインセンティブに関する最も適切なものはどれか。

K5 制度・基準 T4 因果推論 L3 因果連鎖

正解: イ

必要知識: 資金調達・配当・計算書類 — 成長市場、ストックオプション、経営陣インセンティブ

解法の思考プロセス: JASDAQなど成長企業向けの市場では、企業の急速な成長に伴う経営陣の離職や分散が課題になります。本問は、「企業の成長を主導する経営者や幹部人材をつなぎとめるために、どのような仕組みが有効か」という実務的な問題を扱っています。選択肢は、企業の経営的な施策(株式インセンティブ、キャリア形成、役員報酬、外部からの人材招致等)について述べています。正解は、成長企業特有の課題(優秀な人材の流出)に対して、最も実効的な対策を示しているものです。

誤答の落とし穴: Trap-D(混同誘発)。「人材確保」と「資本政策」の違い、「短期的インセンティブ」と「長期的キャリア形成」の違いが混在している選択肢があります。JASDAQ企業の多くがベンチャーキャピタルやプライベートエクイティの支援下にあり、シンプルな「給与引き上げ」だけでは機能しません。

学習アドバイス: 成長企業、ベンチャー企業の経営は、従来の大企業とは異なる課題を抱えています。資本政策、インセンティブプラン、ガバナンスの構築などについて、実例を通じた学習が効果的です。


第18問

問題要旨: 会社法では機関設計が柔軟化され、監査役を設置しない株式会社も認められています。監査役の設置に関連した説明として最も適切なものはどれか。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 応用

正解: ア

必要知識: 機関設計と株主総会 — 監査役、公開会社・非公開会社、機関設計

解法の思考プロセス: 会社法改正により、監査役設置が必須ではなくなり、代わりに監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社など複数の機関設計が可能になりました。本問は、監査役の設置に関する法的制約、会社の規模・上場の有無による違い、監査役設置による会計・監査体制の変化について理解しているか確認するものです。各選択肢は、監査役設置の要件、監査役と取締役の関係、監査権限などについて述べています。

誤答の落とし穴: Trap-B(条件すり替え)。「大規模公開会社は監査役を設置しなければならない」「小規模非公開会社は監査役設置が任意」といった基本的な理解は正しいですが、個別の例外(例:取締役が少数の会社、特定の事業形態等)が見落とされやすいです。

学習アドバイス: 会社法はビジネス環境の変化に応じて頻繁に改正されています。最新の改正内容、特にガバナンス関連の変化を把握することが重要です。企業のガバナンス体制の選択肢が多様化したことで、企業のリスク許容度や成長段階に応じた最適な機関設計の提案ができることが求められます。


第19問(設問1)

問題要旨: 新たな取引先と商品の売買取引を開始することに関連して、「新たに取引を開始するにあたり、商業登記簿謄本(登記事項証明書)で確認できる内容」として最も重要な記述はどれか。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L1 概念

正解: エ

必要知識: 会社類型と設立手続 — 商業登記事項証明書で確認できる内容

解法の思考プロセス: 商業登記簿は、企業の基本的な情報(所有者、経営者、事業範囲、財務基盤等)を公開し、取引相手方がその企業の信用度を判断するための重要な制度です。本問は「新規取引先との初期接触段階で、どのような情報が登記簿から得られるか」「その情報がなぜ重要か」を理解しているか確認するものです。選択肢は、登記簿に記載される主要項目(商号、本店所在地、代表者、資本金、事業目的等)のうち、新規取引開始時に最優先で確認すべき項目を求めています。

誤答の落とし穴: Trap-A(逆方向)。複数の選択肢が「取引先の財務状況」「過去の取引記録」など、登記簿に記載されていない情報を含んでいます。登記簿に記載される情報と記載されない情報の区別が重要です。

学習アドバイス: 企業信用調査の基本は「相手方を正しく理解する」ことです。商業登記簿の確認は無料で容易に実施できるため、必ず実施すべきステップです。また登記簿の内容だけでなく、登記がいつ更新されたか(経営体制の変化の有無)も重要な情報です。


第19問(設問2)

問題要旨: 同じく新規取引開始時に関して、「取引先の資産額および所有権に関する確認方法」として最も適切な組み合わせはどれか。複数の調査手段(商業登記簿、登記事項証明書、帳簿確認、法務局照会等)の中から選択。

K4 因果メカニズム T4 因果推論 L2 応用

正解: ウ

必要知識: 会社類型と設立手続 — 商業登記と不動産登記の違い、信用調査での使い分け

解法の思考プロセス: 取引先の資産状況は、その企業の信用度を判断する重要な要素です。しかし「資産がどの程度あるか」と「その資産が本当に企業のものか」は別の問題です。本問は、複数の情報源(商業登記簿、決算書、不動産登記簿、税務申告書など)を組み合わせ、相互に矛盾がないか確認する手法を求めています。選択肢の組み合わせを検討する際は、各情報源の信頼度、更新頻度、入手容易性を総合的に評価します。

誤答の落とし穴: Trap-B(条件すり替え)。「商業登記簿だけで十分か」「不動産登記簿の確認は不可欠か」など、情報源の必要性に関する判断が選択肢によって異なります。実務では「複数の情報源の整合性確認」が重要ですが、その点が見落とされやすいです。

学習アドバイス: 企業信用分析は、単一の情報源に依存してはいけません。複数のルート(登記、決算書、税務、銀行取引など)から独立した情報を集め、相互に矛盾がないか確認する姿勢が、プロの診断士に求められます。


第20問

問題要旨: 株式会社が作成する計算書類および事業報告並びにこれらの附属明細書の取扱いに関する記述として、最も不適切なものはどれか。(注:本問は「不適切」を選ぶ問題)

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 応用

正解: イ

必要知識: 資金調達・配当・計算書類 — 計算書類の備置、事業報告、監査と承認手続

解法の思考プロセス: 計算書類(貸借対照表、損益計算書等)は、会社の財政状態と経営成績を示す重要書類で、各種利害関係者に提供されます。事業報告は経営方針と課題を述べた定性的書類です。本問は「最も不適切なもの」を選ぶため、会社法違反または実務の慣行に反する記述を見つけ出す必要があります。選択肢は、計算書類の作成主体、監査範囲、承認手続き、保管義務などについて述べています。

誤答の落とし穴: Trap-C(部分正解)。複数の選択肢が「部分的には正しい」が「完全には適切でない」という記述になっています。例えば「計算書類は取締役が作成する」は基本的に正しいが、「監査人による確認がない場合」「小規模企業の場合」など例外がある場合があります。

学習アドバイス: 会社法に基づく開示制度は、企業ガバナンスの基礎です。計算書類と事業報告の区別、各々が誰に対して責任を負うのか、どこまでの監査対象になるのか、を正確に理解することが重要です。


平成24年度 経営法務 年度総括

出題の特徴

  • 法律知識の実務適用:単なる法律条文の暗記ではなく、企業実務の現場で生じる課題(ライセンス、資金調達、上場準備等)に法律知識を適用できるかが問われています。
  • 会話形式による思考過程の確認:設問13、16、19では、実務家と診断士の対話を通じ、段階的な問題解決プロセスが示されています。単に「正解」を選ぶのではなく、「なぜそう考えるのか」の思考過程が重要です。
  • 複合的な知識の統合:知的財産権(特許、商標)、会社法、商取引法、金融法など複数の法分野が組み合わされており、全体的な法律体系の理解が求められます。

分野別出題内容

分野問番号主要テーマ
不正競争防止法第10問商品等表示と類似性
商標法第11問商標の使用
事業承継法第12問遺留分特例制度
知的財産権第13、14問特許ライセンス、OSS
商取引法第15問フランチャイズ契約
企業金融第16問担保融資、ファクタリング
証券取引法第17問上場審査、市場基準
会社法第18、20問監査役設置、計算書類
商業登記法第19問登記事項と企業信用

学習上のアドバイス

  1. 法律用語の正確な理解:同じ「ライセンス」という用語でも、特許法、著作権法、商標法で意味が異なります。各分野の定義を丁寧に押さえることが重要です。
  2. 企業の実務課題との結びつけ:法律知識を「企業がなぜこのような課題を抱えるのか」という実務コンテキストで理解することで、暗記から理解へと転換できます。
  3. 複数選択肢の細かな違いに注目:本年度の特徴として「部分的に正しい選択肢」が多く出題されています。全体的な文脈と矛盾がないか、条件が正確か、といった細部の確認が得点を分ける鍵になります。

自己チェック項目

試験前に以下の項目をセルフチェックしておきましょう。

  1. 不正競争防止法における「商品等表示」と「商標」の法的性質の違いを説明できるか
  2. オープンソースソフトウェアのライセンス形態(GPL、Apache等)と各々の義務を区別できるか
  3. フランチャイズ契約と代理店契約、ライセンス契約の違いを説明できるか
  4. 企業金融における担保融資とファクタリングの法的性質と会計処理を理解できるか
  5. 上場企業のガバナンス(監査役、監査委員会、指名委員会)の機能を説明できるか
  6. 商業登記簿から読み取れる情報と読み取れない情報を区別できるか
  7. 計算書類(決算書)と事業報告の役割分担を理解できるか
  8. 中小企業における事業承継の法的課題(相続税、遺留分等)を総合的に理解できるか

分類タグの凡例

知識種類(K)

タグ意味
K1定義・用語
K2グラフ形状 / 分類・表示
K3数式・公式
K4因果メカニズム / 手続・手順
K5制度・データ / 制度・基準

思考法(T)

タグ意味
T1正誤判定
T2グラフ読解 / 分類判断
T3計算実行
T4因果推論 / 条件整理
T5場合分け

形式層(L)

タグ意味
L1定義暗記で解ける
L2構造理解が必要
L3因果連鎖・推論が必要
L4数式操作・応用が必要

罠パターン(Trap)

タグ意味対策
Trap-A逆方向方向を書き出して確認
Trap-B条件すり替え前提条件を最初に確認
Trap-C部分正解最後の一段を重点チェック
Trap-D混同誘発対比表で区別を明確に
Trap-E計算ミス誘発公式の意味を理解して検算

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