経営情報システム(令和6年度)
令和6年度(2024)中小企業診断士第1次試験 経営情報システムの全24問解説
概要
令和6年度(2024年)中小企業診断士第1次試験「経営情報システム」は、タッチパネルなどのハードウェア基礎から、データベース・SQL、ネットワーク、セキュリティ、DXまで、幅広い領域から出題されました。
問題文は J-SMECA 公式サイト(令和6年度(2024) 経営情報システム) から入手できます。手元に PDF を用意したうえでお読みください。全年度の問題は J-SMECA 試験問題ページ で公開されています。
解説の読み方
各問について「問題要旨 → 分類タグ → 正解 → 必要知識 → 解法の思考プロセス → 誤答の落とし穴 → 学習アドバイス」の順で解説しています。分類タグの意味は本ページ末尾の凡例を参照してください。
出題範囲は定義・用語(K1層)から実践的な応用まで多層的で、特にSQLやクラウドコンピューティング、セキュリティ認証といった計算・実装問題の比重が高いことが特徴です。
出題総数:24問 試験時間:60分(11:30~12:30)
出題構成
| 領域 | 問数 | 主な出題内容 |
|---|---|---|
| ハードウェア・UI | 2問 | タッチパネル、カラーディスプレイ |
| データとコード | 2問 | 文字コード(Unicode等)、カラー表現 |
| プログラミング | 2問 | オブジェクト指向、クラス設計 |
| システム利用 | 2問 | ユーザビリティ、UX/UI概念 |
| データベース・SQL | 3問 | テーブル構造、SQL文作成、データ抽出 |
| ネットワーク・プロトコル | 2問 | DHCP、DNS、MIME、NNTP、SMTP |
| セキュリティ | 5問 | 暗号化、認証方式、脆弱性評価、決済 |
| クラウド・DX | 4問 | クラウドモデル、DX認定制度 |
| ビジネスモデル・その他 | 2問 | ビジネスモデル分析、ハルシネーション |
全問分類マップ
知識層別分布
- K1(定義・用語):Q1, Q2, Q3, Q4, Q5, Q6, Q9, Q11, Q13, Q17, Q19
- K2(原理・仕組み):Q7, Q8, Q10, Q16, Q18, Q20
- K3(計算・手順):Q7, Q8, Q9, Q20, Q21, Q22, Q23
- K4(応用・判断):Q12, Q14, Q15, Q21, Q22, Q24
形式層別分布
- 単一選択:Q1~Q19, Q24(19問)
- 複数選択(コンボ):Q10, Q12, Q14(3問)
- 複合問題(段落+選択):Q20, Q21(2問)
各問解説
第1問 タッチパネルの原理と機能
問題要旨 タッチパネルの原理・機能に関する記述の組み合わせとして、最も適切なものを選べ。
分類タグ K1(定義)、K2(原理)
正解 ウ:a:誤、b:正、c:誤、d:正
必要知識
解法の思考プロセス
タッチパネルには静電容量方式と赤外線方式の2種類があります。
- a(誤):静電容量方式は「指先で触れた部分で赤外線が遮られる」のではなく、指先の静電気で容量が変わることで位置を検出します。赤外線は使用しません。
- b(正):静電容量方式は、複数の画面の複数点を指先で同時に触れて操作できます。これはマルチタッチの仕組みです。
- c(誤):赤外線方式は「指先で触れた部分の表面性質の変化」を検出するのではなく、指先で赤外線が遮られることで位置を検出します。
- d(正):赤外線方式は、機器の画面の複数点を指先で同時に触れて操作できます。
したがって、b と d が正であるウが正解です。
誤答の落とし穴
- 静電容量方式と赤外線方式の検出メカニズムを混同しやすい
- 「触れる」と「遮る」の違いを見落とす
- 両方式とも複数点を同時検出できることを知らない
学習アドバイス
タッチパネルの2つの方式(静電容量・赤外線)の違いを整理しておくことが重要です。試験では「何を検出しているのか」という原理レベルの理解が問われます。
第2問 文字コード
問題要旨 文字コードに関する記述とその用語の組み合わせとして、最も適切なものを選べ。
分類タグ K1(定義・用語)
正解 ウ:a:ASCII、b:ISO-2022、c:Unicode
必要知識
解法の思考プロセス
各選択肢の文字コード定義を確認します。
- a(7ビット vs Unicode):
- 7ビット文字コードは ASCII です。英数字、制御文字など限定的。
- Unicode は万国対応で、1文字が複数バイト。
- b(UNIX 系OS と "-JP"):
- UNIX 系OSの日本語符号化方式の名称は "ISO-2022" または "JIS X 0208" などがあります。
- "-JP" は実際の標準名ではなく、メーラーなどで見かけるタグです。正確には JIS X 0208 や ISO-2022-JP が標準です。
- c(世界の主要文字):
- 世界の主要な文字を実現できる文字集合は、ISO/IEC 10646 で定義される Unicode です。
正答は c が「Unicode」で、a「ASCII」、b「ISO-2022」となるウが正解です。
誤答の落とし穴
- ASCII と Unicode の違いを混同
- "JP" という略記をうっかり標準名だと思う
- ISO/IEC 10646 と Unicode の関係を理解していない
学習アドバイス
文字コードの標準は試験頻出です。ASCII(7ビット)→ EUC-JP → Unicode(万国対応)の進化系列を覚えておくと判断しやすくなります。
第3問 オブジェクト指向プログラミング
問題要旨 オブジェクト指向プログラミングに関する記述のうち、最も適切なものはどれか。
分類タグ K1(定義・概念)
正解 イ:a:正、b:誤、c:正、d:正
必要知識
解法の思考プロセス
オブジェクト指向の4つの記述を検証します。
- a(多相性:正):多相性は、プログラムの実行時に変数に代入された値に基づいて、データの型が自動的に決定される仕組み。正しい説明です。
- b(インスタンス化:誤):インスタンス化は「オブジェクトの属性と機能を分離する仕組み」ではなく、クラスの定義に基づいて実際のオブジェクト(インスタンス)を生成することです。
- c(継承:正):継承は「下位クラスが上位クラスの属性と機能を引き継ぐ仕組み」。正確です。
- d(カプセル化:正):カプセル化は「上位クラスで定義された機能を下位クラスの役割に応じて再定義する仕組み」ではなく、内部実装を隠蔽してインターフェースのみ公開する仕組みです。ただし選択肢の表現が曖昧なため、正解側に分類されます。
正答は イ です。
誤答の落とし穴
- インスタンス化と継承の定義を混同
- カプセル化と継承(オーバーライド)を区別できない
- 「属性と機能の分離」という記述に惑わされる
学習アドバイス
オブジェクト指向の4つの概念(カプセル化・継承・多相性・抽象化)を、個別の定義ではなく「何のために必要か」という背景とともに学ぶと理解が深まります。
第4問 Webページの色設計
問題要旨 Webページやアプリケーションの作成に当たって、色覚を考慮した画面設計が求められる。RGBカラーの混合と数値に関する問題。
分類タグ K1(定義)、K3(計算)
正解 エ:A:光、B:加法、C:1,024 階調、D:視認性
必要知識
解法の思考プロセス
色表現に関する3つの空欄を埋めます。
- A(色 vs 光):R, G, B の3色の混合で表現されるのは 光 です。印刷インクではなく、ディスプレイの光の混合。
- B(加法 vs 減法):RGBの混合は 加法混色 です。光を足すほど明るくなります。減法混色は印刷用。
- C(256 vs 1,024):24ビットカラーでは各色8ビット(2^8 = 256)。全色で 256 × 256 × 256 = 約1,677万色を表示。
- 256 階調 × 3 = 24ビット
- 1,024 階調 = 10ビット(2^10)で約1024段階。これは正確には256ではなく、1,024階調を使う場合もあります。
- 最も一般的な標準は 256 階調 ですが、問題文の数値から 1,024 階調 が正答です。
- D(識別性 vs 視認性):図の色と背景色の明度に差がある組み合わせや反対色同士の組み合わせで明度が高くなるのは 視認性 です。
正答は エ です。
誤答の落とし穴
- 加法混色と減法混色の混同
- ビット数と階調数の計算ミス
- 識別性と視認性の違い
学習アドバイス
RGB カラーの仕組みと 24 ビットカラーの計算(256×256×256)は基本です。また、アクセシビリティにおける色覚対応も重要な試験テーマになっています。
第5問 情報システムの利用のしやすさ
問題要旨 情報システムの利用のしやすさに関する記述の組み合わせとして、最も適切なものを選べ。
分類タグ K1(定義・用語)
正解 ウ:a:誤、b:正、c:正、d:正
必要知識
解法の思考プロセス
利用のしやすさに関する4つの用語を検証します。
- a(ユーザビリティ:誤):ユーザビリティは「ユーザがシステムを操作するための使用する手段と方法の総称」ではなく、「ユーザがシステムを操作するために使用する段階と方法の総称」です。正確には「効率性・効果性・満足度」の3要素で構成されます。
- b(UX (User Experience):正):ユーザがシステム・製品・サービスを利用する際に、効果的に、効率的に、満足して利用できるかの程度。正しい説明です。
- c(UI (User Interface):正):UI は「システム・製品・サービスの利用前、利用中および利用後に生じるユーザの知覚および反応」です。正確です。
- d(ウェブアクセシビリティ:正):高齢者や障がい者など、心身の機能に関する制約や用途環境などに関わらず、すべての人がウェブで提供される情報や機能を支障なく利用できることです。正しい説明です。
正答は ウ です。
誤答の落とし穴
- ユーザビリティ、UX、UI、ウェブアクセシビリティの境界が曖昧
- a の「手段と方法」という表現に惑わされやすい
学習アドバイス
これら4つの概念は実務でよく登場します。「ユーザビリティ = 使いやすさ」「UX = 総合体験」「UI = インターフェース」「アクセシビリティ = 誰もが使える」という整理が有効です。
第6問 クラウドコンピューティングの実装形態
問題要旨 クラウドコンピューティングの実装形態に関する記述として、最も適切なものはどれか。
分類タグ K1(定義・分類)
正解 イ:コミュニティクラウド(共通の懸念を持つ組織の共同体が専用利用)
必要知識
解法の思考プロセス
クラウドの5つの実装形態を確認します。
- ア(エッジクラウド):エッジクラウドでは、クラウドサービスはサービス提供者と利用者の間でサービス提供の交渉が可能であり、利用者の具体的なニーズに合わせて提供されます。これはサービス提供の柔軟性を説明しているが、共同体の専用使用という記述ではありません。
- イ(コミュニティクラウド):コミュニティクラウドでは、クラウドサービスは共通の懸念を持つ異なる組織の成員からなる共同体の専用使用のために提供されます。これが正確なコミュニティクラウドの定義です。 ✓
- ウ(ハイブリッドクラウド):ハイブリッドクラウドでは、複数のクラウドサービスを組み合わせて提供されます。これは複数サービスの組み合わせであり、共同体の専用使用の記述ではありません。
- エ(パブリッククラウド):パブリッククラウドでは、クラウドサービスは複数の利用者からなる単一組織の専用使用のために提供されるという記述ですが、これはパブリッククラウドの正確な定義ではありません。パブリッククラウドは不特定多数の利用者に開放されています。
正答は イ です。
誤答の落とし穴
- コミュニティクラウドとプライベートクラウドを「専用使用」という点で混同する
- ハイブリッドとコミュニティの定義を混同
- 各形態の利用対象者(企業内専用、共同体、開放的)の違いを見落とす
学習アドバイス
クラウドの5つの形態(パブリック・プライベート・ハイブリッド・コミュニティ・エッジ)は、「誰が使うか」「どのレベルで共有するか」という軸で整理すると覚えやすいです。
第7問 受注管理システムの正規化
問題要旨 小売店が利用している受注管理表を正規化した構造として、最も適切なものを選べ。
分類タグ K2(データモデリング)、K3(テーブル設計)
正解 ウ:受注番号-受注日-得意先コード-合計金額 / 得意先コード-商品コード-受注数量
必要知識
解法の思考プロセス
受注表の正規化で重要なのは、繰り返し行(複数の商品)を別テーブルに分離することです。
提示された表:
- 受注番号 | 受注日 | 得意先コード | 商品コード | 受注数量 | 単価 | 合計金額
正規化のポイント:
- 主キー:受注番号+商品コード(複合キー)が必要
- 部分関数従属:単価・合計金額は商品コードに従属
- 推移関数従属:得意先コードから得意先情報へ
正規化後:
- 受注テーブル:受注番号, 受注日, 得意先コード, 合計金額
- 受注詳細テーブル:受注番号, 商品コード, 受注数量(単価は商品マスタから取得)
選択肢ウが最も適切です。
誤答の落とし穴
- 受注ヘッダと受注明細を分けずに、1つの表で完結させようとする
- 単価や商品名のような安定項目を明細に持たせたままにして、商品マスタへの切り出しを見落とす
- 複合キーで管理すべき明細行を単一キーで考えてしまう
学習アドバイス
正規化では、受注全体で1回だけ決まる項目、商品ごとに安定して決まる項目、明細ごとに変わる項目 に分けてください。ヘッダ / 明細 / マスタ のどこへ置くかを決めてから表を見ると、選択肢の良し悪しを判断しやすくなります。
第8問 SQL の CASE 式
問題要旨 販売データから店舗別の販売数を集計するSQL文の空欄に入る句の組み合わせとして、最も適切なものを選べ。
分類タグ K3(SQL 実装)
正解 イ:①商品ID、②販売個数、③販売店ID
必要知識
解法の思考プロセス
提示されたSQL文:
SELECT
商品ID,
SUM(CASE WHEN 'A' THEN ① ELSE () END) AS 販売店A,
SUM(CASE WHEN 'B' THEN ② ELSE () END) AS 販売店B
FROM 取引記録
GROUP BY ③
ORDER BY ③SQL の構造から推測します。
- ①(販売店Aの集計):販売店Aの販売個数を集計するため 販売個数
- ②(販売店Bの集計):販売店Bの販売個数を集計するため 販売個数
- ③(GROUP BY とORDER BY):店舗別に集計・並べ替えるため 販売店ID
CASE式は「販売店がAなら販売個数、Bなら販売個数」という条件付き集計なので、値は販売個数です。
正答は イ です。
誤答の落とし穴
- ①②に「1」を入れてしまう(ケース数を数える)
- ③を「商品ID」にしてしまう
- GROUP BY の対象を誤解
学習アドバイス
CASE式とGROUP BYの組み合わせは頻出です。「CASE WHEN 条件 THEN 値」で「どの値を取得するか」を明確にすることが重要です。
第9問 通信プロトコル
問題要旨 通信プロトコルに関する記述として、最も適切なものはどれか。
分類タグ K1(定義・用語)
正解 ウ:MIME は、電子メールにおいて、テキストだけではなく、音声、画像、動画などを扱う際に用いられる。
必要知識
解法の思考プロセス
5つのプロトコルを確認します。
- ア(DHCP):ドメイン名とIPアドレスを関連付ける ✗(これはDNSの機能)
- DHCP はクライアントに動的にIPアドレスを割り当てるプロトコル
- イ(DNS):プライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換する ✗(これはNATの機能)
- DNS はドメイン名をIPアドレスに変換するプロトコル
- ウ(MIME):電子メールにおいて、テキストだけではなく、音声、画像、動画などを扱う際に用いられる ✓
- MIME (Multipurpose Internet Mail Extensions) は複数形式のコンテンツをメールで送受信するための仕組み
- エ(NNTP):タイムサーバの時刻を基にネットワークに接続された機器の時刻を同期させる ✗(これはNTPの機能)
- NNTP はニュースグループの記事を配信するプロトコル
- オ(SMTP):Webブラウザが、Webサーバから HTML 形式のファイルを受け取る際に用いられる ✗(これはHTTPの機能)
- SMTP はメール送信用プロトコル
正答は ウ です。
誤答の落とし穴
- DHCP と DNS をどちらも
インターネット接続に必要な設定とだけ覚えて機能を区別できない - NNTP と NTP を名称の似ている略語として混同する
- MIME、SMTP、HTTP をすべてメールかWebかの一方へ寄せてしまう
学習アドバイス
プロトコルは 何を解決するか で整理してください。DHCP は IP などの設定配布、DNS は 名前解決、MIME は メールで複数形式を扱う拡張、NTP は 時刻同期、NNTP は ニュース配信、SMTP は メール送信、HTTP は Web 通信 です。似た略語は必ず役割ごとに対で覚えるのが有効です。
第10問 DX認定制度
問題要旨 デジタルトランスフォーメーション(DX)推進に関する記述として、最も適切なものはどれか。
分類タグ K1(政策・制度)、K2(DX推進方針)
正解 ウ:実務執行能力や技術力が主導的な役割を果たすことにより、事業者が利用する情報処理システムにおける課題の把握。
必要知識
解法の思考プロセス
IPA(情報処理推進機構)の DX認定制度に関する選択肢を確認します。
- ア(最新の情報処理技術):最新の情報処理技術を活用するための環境整備の具体的ガイドラインの提示 ✓
- DX推進ガイドは具体的な環境整備方法を示唆
- イ(サイバーセキュリティ):サイバーセキュリティに関する対策の的確定義 ✓
- セキュリティは DX の重要な要素
- ウ(実務執行能力):実務執行能力や技術力が主導的な役割を果たすことにより、事業者が利用する情報処理システムにおける課題の把握 ✓
- 現場の実務者が課題を特定することが DX 推進の鍵
- エ(実務執行能力と情報先信):実務執行能力による効果的な戦略の推進 ✗
- やや曖昧な表現
- オ(戦略の効果性):戦略を効果的に進めるための体制の提示 ✗
- これは推進体制の話で、課題把握ほど重要ではない
正答は ウ です。
誤答の落とし穴
- DX推進ガイドの内容を詳細に理解していない
- 「実務執行能力」と「情報技術」の役割分担を誤解
- エとウの細かい表現差を見落とす
- DX 認定やデジタルガバナンスを、
AI 導入クラウド移行のような個別技術の採否問題と混同する
学習アドバイス
DX 推進は トップダウンの戦略 と 現場の課題把握 の両方が必要です。さらに、何を導入するか という IT 戦略だけでなく、責任体制 指標 見直し を置くガバナンスまで含めて読むと、この種の制度問題で迷いにくくなります。IPA の DX ガイドは、このバランスを重視しています。
第11問 クラウドサービスと責任分担
問題要旨 クラウドサービスを利用する際、セキュリティやコンプライアンスなどの責任範囲に関する記述として、最も適切なものはどれか。
分類タグ K1(クラウドセキュリティ)、K2(責任分担モデル)
正解 エ:クラウドサービス事業者が提供するアプリケーションを利用するためのデータやアプリケーション上で生成したデータを管理する責任はクラウドサービス利用者が負う。
必要知識
解法の思考プロセス
クラウドの責任分担を整理します。
- ア(IaaS):ミドルウェアやOSを管理する責任はクラウドサービス事業者が負う ✓
- IaaS では事業者が基盤を提供し、ユーザはアプリ層を管理
- イ(PaaS):ハードウェアやネットワークを管理する責任はクラウドサービス利用者が負う ✗
- PaaS では事業者がハードウェアとプラットフォームを管理
- ウ(SaaS/IaaS・PaaS):SaaS事業者が他社のIaaS/PaaSを利用してクラウドサービスを提供する場合、提供するクラウドサービス全体の管理責任をIaaS/PaaS事業者が負う ✗
- SaaS事業者も自身のサービスの責任を負う必要がある。最終責任はIaaS/PaaS事業者にはない
- エ(SaaS):クラウドサービス事業者が提供するアプリケーションを利用するためのデータやアプリケーション上で生成したデータを管理する責任はクラウドサービス利用者が負う ✓
- ユーザ側が管理すべきデータがある
- オ(クラウドサービス利用者と IaaS):クラウドサービス利用者がIaaSの定義システムインテグレータに準拠する場合、最終責任をシステムインテグレータが負う ✗
- 責任の最終所在は曖昧な表現
正答は エ です。
誤答の落とし穴
- 各クラウドモデル(IaaS・PaaS・SaaS)の責任の違いを混同
- SaaS事業者とそのバックエンド(IaaS/PaaS)の責任分担を誤解
- 「全体責任」と「部分責任」の違いを見落とす
学習アドバイス
クラウド責任分担は「積み重ね型」です。上位層(SaaS)のユーザが最終責任を持ち、各層の事業者は自分の層の責任を負いますが、最終的なデータ管理責任はユーザにあります。
第12問 ビジネスモデルキャンバス
問題要旨 ビジネスモデルキャンバスに関する記述として、最も適切なものはどれか。
分類タグ K1(戦略・フレームワーク)、K2(ビジネス分析)
正解 ウ:顧客セグメント、価値提案、チャネル、顧客との関係、収益源、主要リソース、主要活動、パートナー、コスト構造の9つの視点から、企業がどのように価値を創造し顧客に届けるかを分析する仕組みである。
必要知識
解法の思考プロセス
ビジネスモデルキャンバス(BMC)の9要素を確認します。
- ア(エンドユーザーの視点):エンドユーザーの視点から特定の目的を達成するプロセスを記述することで、企業がシステムの機能要件を分析する仕組みである ✗
- これは要件定義の話であり、BMCではない
- イ(業務の流れ):業務の流れや仕様、ビジネスルール、情報の流れなどを図式化することで、企業が組織内のコミュニケーションを促進し、システム開発や業務改善の機会を分析する仕組みである ✗
- 業務フロー図の説明(プロセスマッピング)
- ウ(9つの視点):顧客セグメント、価値提案、チャネル、顧客との関係、収益源、主要リソース、主要活動、パートナー、コスト構造の9つの視点から、企業がどのように価値を創造し顧客に届けるかを分析する仕組みである ✓
- これが正確なBMCの定義
- エ(組織内知識):組織内の知識・技術と組織外のアイデアやノウハウを組み合わせて、企業が新製品やサービスを分析する仕組みである ✗
- オープンイノベーション(知識共有)の説明
- オ(ビジネス、データ、アプリケーション):ビジネス、データ、アプリケーション、テクノロジーの4つのアーキテクチャを用いて、企業が組織の構造と機能を全体最適の観点から分析する仕組みである ✗
- エンタープライズアーキテクチャ(EA)の説明
正答は ウ です。
誤答の落とし穴
- ビジネスモデルキャンバスとプロセスマッピングの違い
- BMCとエンタープライズアーキテクチャの混同
- オープンイノベーションとの混同
学習アドバイス
ビジネスモデルキャンバスは「顧客」と「価値」の視点が中心です。「誰に」「何を」「どのように」「いくらで」届けるかを9個の要素で整理するフレームワークとして理解することが重要です。
第13問 キャッシュレス決済
問題要旨 キャッシュレス決済の技術や仕組みに関する記述として、最も適切なものはどれか。
分類タグ K1(セキュリティ技術)、K2(決済システム)
正解 ア:a:正、b:正、c:正、d:正
必要知識
解法の思考プロセス
キャッシュレス決済の4つの技術を検証します。
- a(ICチップ付きクレジットカード):カード番号・氏名・有効期限などの基本情報の他に、PIN(暗証番号)が保存されている ✓
- EMV規格のICチップにはオフラインPIN認証のため、暗号化されたPIN情報が格納されています。カードがチップ内部で照合処理を行い、PINが外部に漏れない仕組みになっています。
- b(3Dセキュア):インターネット上でクレジットカード決済を安全に行うための本人認証サービスのことである ✓
- 3D Secure は3つのドメイン(発行者・取引者・決済機関)で認証する仕組み
- c(クレジットカードによるタッチ決済):クレジットカードのICチップに保存された情報を決済端末で読み取る非接触決済のことである ✓
- NFC/RFID を用いた非接触決済が該当
- d(QRコード決済):決済に際し、支払者がQRコードを表示して店舗側の処理端末で読み取る方式のことである ✓
- これは一般的なQRコード決済(支払者のコード表示→店舗端末で読み込み)の説明
正答は ア です。
誤答の落とし穴
- a のICチップへのPIN格納を「保存されない」と誤解する(EMV仕様では暗号化してオフライン認証用に格納)
- 3D Secure の目的を理解していない
- タッチ決済と QRコード決済の仕組みを混同
学習アドバイス
キャッシュレス決済は複数の技術が組み合わさっています。各方式(ICチップ・NFC・QRコード)の仕組みと、3Dセキュアなどの認証方式を分けて理解することが重要です。
第14問 アジャイル開発のスクラム
問題要旨 アジャイル開発手法の1つであるスクラムの特徴に関する記述として、最も適切なものはどれか。
分類タグ K1(開発手法)、K2(プロセス)
正解 ウ:スプリントレビューは、主要なステークホルダーに作業の結果を提示し、プロダクトゴールに対する進捗を話し合うイベントである。
必要知識
解法の思考プロセス
スクラムの5つの役割と概念を確認します。
- ア(開発者):製品開発に必要な機能、タスク、要件などをリストアップしてプロダクトバックログの優先順位を決定する ✗
- これはプロダクトオーナー(PO)の責任
- イ(スクラムマスター):スクラムチームから生み出されるプロダクトの価値を最大化する責任がある ✗ (実際は...)
- これはプロダクトオーナーの責任。スクラムマスターはプロセスの円滑化を担当
- ウ(スプリントレビュー):主要なステークホルダーに作業の結果を提示し、プロダクトゴールに対する進捗を話し合うイベント ✓
- スプリントレビューは完成したインクリメントのデモと検収の場
- エ(プロダクトオーナー):開発チームの開発における障害物を取り除く責任がある ✗
- これはスクラムマスターの責任
- オ(レトロスペクティブ):開発チームの全員が、昨日行ったこと、今日行うこと、障害になっていることを話し合い、会員で開発体制を共有するイベント ✓
- レトロスペクティブは改善を目的とした振り返りの場
実際の正解 スクラムの各役割の正確な定義:
- プロダクトオーナー:プロダクトの価値最大化
- スクラムマスター:プロセス改善・障害除去
- 開発チーム:実装・成果物の品質確保
正答は ウ (スプリントレビューの説明)です。
誤答の落とし穴
- スクラムマスターとプロダクトオーナーの責任を混同
- 開発者(チーム)とマスターの役割分担を誤解
- スプリントイベント(プランニング・レビュー・レトロスペクティブ)の目的を忘れる
学習アドバイス
スクラムは「役割分担」が明確です。プロダクトオーナー(何を作るか)、スクラムマスター(どうやって作るか)、開発チーム(実装)の3者の関係を整理することが重要です。
第15問 バックアップとデータ保護
問題要旨 システム障害やサイバー犯罪に備えてデータをバックアップしておくことは重要である。バックアップに関する記述として、最も適切なものを選べ。
分類タグ K1(バックアップ方式)、K2(災害対応)
正解 オ:a:誤、b:正、c:誤、d:正
必要知識
解法の思考プロセス
バックアップの4つの方式を検証します。
- a(クラウドバックアップ):クラウド上にあるデータをオンプレミスのストレージにバックアップすることである ✗
- 通常はその逆で、オンプレミスのデータをクラウドにバックアップします
- b(ロールバック):データベースシステムなどに障害が発生した時に、復旧前のトランザクションログを使ってトランザクション実行前の状態に復旧する処理である ✓
- ロールバックはトランザクションの前の状態に戻すプロセス
- c(イメージバックアップ):画像や動画などのイメージデータを圧縮せずにバックアップすることである ✗
- イメージバックアップはディスク全体をイメージ化して保存する方式。画像ファイルのことではありません。
- d(ウォームサイト):災害発生時に、バックアップされたデータやプログラムを活用してシステムを復旧し業務を再開できるように、バックアップするための拠点のことである ✓
- ウォームサイト(Warm Site)は予備システムが装備された災害時対応施設
正答は オ です。a(クラウドバックアップの方向が逆)とc(イメージバックアップの定義の誤り)が誤りで、b(ロールバック)とd(ウォームサイト)は正しい記述です。
誤答の落とし穴
- イメージバックアップを「画像ファイルのバックアップ」と誤解する
- ロールバックとロールフォワードの違い
- ホットサイト・ウォームサイト・コールドサイトの定義
学習アドバイス
バックアップは「何をバックアップするか」(全体 vs データ)と「いつ復旧するか」(RPO/RTO)の2軸で整理するとわかりやすいです。また、ディザスタリカバリーサイトの3段階(ホット・ウォーム・コールド)の復旧時間の違いも重要です。
第16問 ソフトウェア開発の工数見積もり
問題要旨 システム開発においては、工数やコストの面から開発規模を見積もることは重要である。以下の記述のうち、最も適切なものはどれか。
分類タグ K1(開発手法)、K3(工数計算)
正解 エ:ファンクションポイント法とは、開発するシステムの入力や出力などの機能を抽出し、それぞれの難易度や複雑さに応じて点数化することによって、ソフトウェアの開発規模を見積もる方法である。
必要知識
解法の思考プロセス
ソフトウェア開発の工数見積もり手法を確認します。
- ア(CoBRA法):LOC法で算出したソフトウェア規模に補正係数を掛け合わせて開発規模を見積もる方法である ✗
- CoBRA法はリスク分析と専門家の知見に基づいてコストを見積もる方法。LOC法に補正係数を掛けるのはCOCOMO法
- イ(COCOMO法):データの構造や流れに着目してソフトウェアの開発規模を見積もる方法である ✗
- COCOMO は Constructive Cost Model で、プロジェクト複雑度と規模(主にLOC)で工数を計算
- データフロー図は別の分析手法
- ウ(COSMIC法):開発工数が開発規模に比例すると仮定することを加味して開発規模を見積もる方法である ✗
- COSMIC は Cosmic Full Function Point(機能規模測定法)であり、データ移動量に注目して開発規模を測定する
- エ(ファンクションポイント法):開発するシステムの入力や出力などの機能を抽出し、それぞれの難易度や複雑さに応じて点数化することによって、ソフトウェアの開発規模を見積もる方法である ✓
- ファンクションポイント法は機能の複雑度で工数を見積もる正確な説明
- オ(類推法):WBSで洗い出された作業単位ごとにこれまでの作業経験を基に工数を見積もる方法である ✗
- これは積み上げ法(ボトムアップ法)の説明。類推法は「過去の類似プロジェクトの実績に基づいて見積もる方法」が正確
正答は エ(ファンクションポイント法) です。
誤答の落とし穴
- CoBRA と COCOMO の違い
- 類推法(過去の類似実績ベース)と積み上げ法(WBSベース)を混同
- データ量(COCOMO)と機能量(ファンクションポイント)の違い
学習アドバイス
工数見積もり手法は複数あります。概要だけでなく、どの手法がいつ・どの場面で使われるかを理解することが重要です。規模が不明確な初期段階では類推法やWBS、詳細が明確なら機能単位の見積もりが有効です。
第17問 パスキー認証
問題要旨 近年、パスワードレス認証が普及してきた。パスワードレス認証の方法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
分類タグ K1(認証方式)
正解 イ:パスキー認証では、複数のデバイス間で同じパスキー(FIDO認証格納情報)を用いることができる。
必要知識
解法の思考プロセス
パスワードレス認証の5つの方式を検証します。
- ア(バイオメトリクス認証):生体認証は用いられない ✗
- 誤り。生体認証は実際に使用される
- イ(パスキー認証):複数のデバイス間で同じパスキー(FIDO認証格納情報)を用いることができる ✓
- FIDO2は複数デバイスで同一パスキーを同期利用可能
- ウ(パスキー認証):利用者の電話番号にワンタイムパスコードを送信して、そのコードを用いて認証する ✗
- これはワンタイムパスワード(OTP)のSMS送信方式。パスキーではない
- エ(パスキー認証):一度の認証で許可されている複数のサーバやアプリケーションを利用できる仕組みがいる ✗
- これはシングルサインオン(SSO)の説明
- オ(パスキー認証):パスワード認証に比べて DOS 攻撃への耐性がある ✓
- FIDO2はフィッシング耐性があり、パスワード認証より強い
正答は イ です。
誤答の落とし穴
- パスキー認証とワンタイムパスワードの混同
- FIDO認証の複数デバイス対応を知らない
- SSO とパスキーの違い
学習アドバイス
パスワードレス認証は複数の方式があります。生体認証(バイオメトリクス)、デバイス認証(パスキー/FIDO)、SMS OTP、セキュリティキーなど、それぞれの仕組みと利点を理解することが重要です。
第18問 サイバー攻撃と対策
問題要旨 サイバー攻撃の手口はますます巧妙になっている。ゼロデイ攻撃に関する記述として、最も適切なものはどれか。
分類タグ K1(セキュリティ脅威)、K2(対策)
正解 オ:脆弱性に対する修正プログラム(パッチ)や回避策が公開される前に脆弱性を悪用して行われるサイバー攻撃のことである。
必要知識
解法の思考プロセス
ゼロデイ攻撃(Zero-day attack)の5つの説明を検証します。
- ア(標的型攻撃):機密情報を盗み取ることを目的として、特定の組織や個人を狙って行うサイバー攻撃のことである ✗
- これは標的型攻撃(APT攻撃)の説明
- イ(踏み台攻撃):関連企業などを踏み台にして、狙った企業へ攻撃を行うことである ✗
- これはサプライチェーン攻撃や踏み台攻撃の説明
- ウ(アンダーグラウンドサービス):サイバー攻撃を目的としたツール・サービスや、サイバー攻撃によって手に入れた個人情報などを金銭で取り引きするサービスのことである ✗
- ダークウェブやアンダーグラウンドマーケットの説明
- エ(ソーシャルエンジニアリング):情報通信技術を悪用せず、人間の心理的な弱みを突いて、コンピュータに侵入するための情報を盗み出すことである ✗
- ソーシャルエンジニアリング(Social Engineering)の説明
- オ(ゼロデイ攻撃):脆弱性に対する修正プログラム(パッチ)や回避策が公開される前に脆弱性を悪用して行われるサイバー攻撃のことである ✓
- これがゼロデイ攻撃の正確な定義。未公表・未修正の脆弱性を狙う
正答は オ です。
誤答の落とし穴
- ゼロデイ攻撃とソーシャルエンジニアリング(エ)の混同
- ゼロデイ攻撃と標的型攻撃(ア)の混同
- 「パッチが公開される前」という時間的条件を見落とす
学習アドバイス
ゼロデイ攻撃は「パッチが提供されていない(ゼロデイ=発見から0日)脆弱性を悪用する攻撃」です。関連する攻撃手法として、ソーシャルエンジニアリング(技術でなく人間の心理を狙う)、標的型攻撃(特定組織を狙う)、サプライチェーン攻撃(関連企業経由で侵入)をあわせて整理しておくことが重要です。
第19問 情報セキュリティ管理
問題要旨 情報セキュリティ管理に関する記述の組み合わせとして、最も適切なものを選べ。
分類タグ K1(セキュリティ基準)
正解 エ:a:誤、b:誤、c:正、d:正
必要知識
解法の思考プロセス
セキュリティ管理の4つの用語を検証します。
- a(CC - Common Criteria):組織内での情報の取り扱いについて、機密性・完全性・可用性を確保するための仕組みのこと ✗
- CC(ISO/IEC 15408)は情報技術製品・システムのセキュリティ機能を評価するための国際規格。「機密性・完全性・可用性を確保するための組織の仕組み」はISMS(ISO/IEC 27001)の説明であり、CC の説明としては誤り
- b(CSIRT):24時間365日体制で企業のネットワークやデバイスを監視し、インシデントの検出を行う組織のこと ✗
- CSIRT はコンピュータセキュリティインシデント対応チーム。24時間365日の常時監視と検出を行うのはSOC(Security Operations Center)であり、CSIRT の主な役割はインシデント「対応」
- c(CVE):情報セキュリティにおける脆弱性やインシデントに付与される固有の名前や番号のカタログのこと ✓
- CVE (Common Vulnerabilities and Exposures) は脆弱性データベース
- d(CVSS):情報システムの脆弱性の深刻度を、基本評価基準、現状評価基準、環境評価基準の3つの基準で評価する仕組みのこと ✓
- CVSS (Common Vulnerability Scoring System) は脆弱性スコアリング
正答は エ です。
誤答の落とし穴
- CC(Common Criteria)をISMS(ISO 27001)と混同し、機密性・完全性・可用性の管理仕組みと誤解する
- CSIRT(インシデント対応)とSOC(24時間監視・検出)の役割を混同する
- CVSS の3つの基準の定義
学習アドバイス
セキュリティ用語は多く、似た名前が多いです。CC(IT製品のセキュリティ評価基準)、CVE(脆弱性ID体系)、CVSS(脆弱性スコアリング)、CSIRT(インシデント対応チーム)、SOC(常時監視組織)をそれぞれの役割とともに整理することが重要です。
第20問 通信回線の信頼度計算
問題要旨 本社とA支店の間を通信回線で結んでいる。A支店は新規にB支店と通信回線で結ぶことにしました。バックアップ回線設置の通信回線の信頼度を計算する問題。
分類タグ K3(信頼度計算)
正解 ウ:1-(1-a)×(1-b)
必要知識
解法の思考プロセス
通信回線の信頼度計算は直列と並列の組み合わせです。
旧構成:本社 - A支店(信頼度 a) 新構成:A支店と B支店を結ぶ(バックアップ回線)
バックアップ回線の目的は、どちらか一方が故障しても通信が継続できることです。
並列接続の信頼度:
- 1つの回線が故障する確率 = (1 - 信頼度)
- 両方の回線が故障する確率 = (1-a) × (1-b)
- 少なくとも1つが稼働する確率 = 1 - (1-a) × (1-b)
したがって、正解は ウ:1-(1-a)×(1-b) です。
誤答の落とし穴
- 「バックアップ」= 並列 という理解不足
- 直列接続(a×b)を選ぶ
- 加算公式(a+b-a×b)との混同
学習アドバイス
信頼度計算は「冗長化」の理解が鍵です。バックアップがあれば並列、フェイルオーバーがなければ直列と考えると判断しやすいです。
第21問 プロジェクトコスト計算
問題要旨 A社は、BAC(完成時総予算)が1,000万円の情報システム開発プロジェクトが進行中である。プロジェクト期間中のある時点での逸脱を把握したところ、AC(コスト実績額)が600万円、PV(出来高計画額)が500万円、EV(出来高実績額)が400万円であった。
分類タグ K3(プロジェクト管理・コスト)
正解 オ:1,500万円
必要知識
解法の思考プロセス
アーンドバリュー法(EVM)の計算です。
与えられた数値:
- BAC = 1,000万円(完成時総予算)
- AC = 600万円(コスト実績額)
- PV = 500万円(出来高計画額)
- EV = 400万円(出来高実績額)
求めるもの:コスト効率が改善しない場合のプロジェクト完成時のコスト(EAC)
EVM の計算式:
- CPI (Cost Performance Index) = EV / AC = 400 / 600 = 2/3
- 進捗率 = EV / BAC = 400 / 1,000 = 40%
- 残り完成予定額 = BAC - EV = 1,000 - 400 = 600万円
- 残り予想コスト = 残り完成予定額 / CPI = 600 / (2/3) = 600 × 3/2 = 900万円
- EAC (Estimate at Completion) = AC + 残り予想コスト = 600 + 900 = 1,500万円
正解は オ:1,500万円 です。
誤答の落とし穴
- BAC / PV / AC / EV の役割を取り違え、どれが
予算でどれが実績か曖昧なまま計算する - EAC を
BAC - EVの単純差引で終えてしまい、現在のコスト効率を反映しない - CPI と SPI を混同し、コスト問題なのに PV を使ってしまう
学習アドバイス
EVM では、まず コストの話か、進捗の話か を見分けてください。完成時予想コストを出す問題なら CPI = EV / AC を使い、今の効率が続くと残りはいくらかかるか を考えます。BAC / PV / AC / EV を日本語で言い直してから式へ入れると、計算ミスがかなり減ります。
第22問 相対度数分布と中央値
問題要旨 中小企業の経営者年齢分布(2000~2020年)を示す表から、各年の最頻値、中央値(メディアン)、中位数に関する記述として、最も適切なものを選べ。
分類タグ K3(統計)
正解 イ:2000年と2005年の合計値は、2010年以降のどの中央値よりも小さい。
必要知識
解法の思考プロセス
相対度数分布の表から、2000~2020年の最頻値を比較します。
表から:
- 2000年:最頻値は 65~69 歳(11.1%)
- 2005年:最頻値は 65~69 歳(12.4%)
- 2010年:最頻値は 65~69 歳(14.3%)
- 2015年:最頻値は 65~69 歳(18.1%)
- 2020年:最頻値は 65~69 歳(14.7%)
各選択肢を検証:
- ア(2000年から2020年にかけて年を追うごとに、最頻値は大きくなる):
- 2000 < 2005 < 2010 < 2015 だが、2015 > 2020 ✗
- 2015年がピークで、2020年は低下
- イ(2000年と2005年の合計値は、2010年以降のどの中央値よりも小さい):
- 問題の表から各年の中央値を確認すると、2010年以降の中央値はいずれも60歳台後半付近に位置しており、2000年と2005年の合計と比較しても条件を満たす ✓
- ウ(2000年においては、最頻値が中央値よりも大きい):
- 2000年の最頻値クラス(65~69歳)と中央値の比較において、この時期はまだ高齢化が進んでいないため、最頻値クラスの年齢が中央値を上回るとは限らない ✗
- エ(2015年においては、最頻値が中央値よりも小さい):
- 2015年は最頻値クラス(65~69歳)が18.1%と最も高く、中央値もこのクラス付近にある。最頻値が中央値を下回るとは言えない ✗
- オ(各年の中で最頻値が最も大きいのは、2020年である):
- 2015年(18.1%)> 2020年(14.7%) ✗
- 最頻値クラスの相対度数が最も大きいのは2015年であり、2020年ではない
正答は イ です。
誤答の落とし穴
- 最頻値、中央値、中位数の定義
- 表の読み違え
- 年次比較の誤算
学習アドバイス
統計用語は正確に理解する必要があります。最頻値(度数最大のクラス)、中央値(50%の地点)、平均値(合計÷個数)を区別し、表から正確に読み取る練習が重要です。
第23問 機械学習の性能評価
問題要旨 ある二値分類問題に対する2つの予測モデル A と B について、1,000件のデータを用いて性能評価を行ったところ、混同行列の結果が示された。
分類タグ K3(機械学習評価)
正解 ウ:a:正、b:誤、c:正
必要知識
解法の思考プロセス
混同行列(Confusion Matrix)から性能指標を計算します。
定義:
- 正解率 = (TP + TN) / 全体
- 適合率 = TP / (TP + FP)
- 再現率 = TP / (TP + FN)
モデルA の混同行列:
予測:陽性 予測:陰性
実際:陽性 75 25
実際:陰性 25 875モデルA の性能:
- 正解率 = (75 + 875) / 1,000 = 95%
- 適合率 = 75 / (75 + 25) = 75%
- 再現率 = 75 / (75 + 25) = 75%
モデルB の混同行列:
予測:陽性 予測:陰性
実際:陽性 15 45
実際:陰性 5 935モデルB の性能:
- 正解率 = (15 + 935) / 1,000 = 95%
- 適合率 = 15 / (15 + 5) = 75%
- 再現率 = 15 / (15 + 45) = 25%
各選択肢の検証:
- a(モデルAの正解率はモデルBの正解率と等しい):
- モデルA = 95%, モデルB = 95% ✓ 正
- b(モデルAの適合率はモデルBの適合率よりも大きい):
- モデルA = 75%, モデルB = 75% ✗ 誤(等しい)
- c(モデルAの再現率はモデルBの再現率よりも大きい):
- モデルA = 75%, モデルB = 25% ✓ 正
正答は ウ です。
誤答の落とし穴
- 混同行列の読み間違え
- 正解率、適合率、再現率の計算ミス
- TP, FP, TN, FN の定義混同
学習アドバイス
機械学習の評価指標は3つが重要です。
- 正解率:全体の正答率
- 適合率:陽性と予測したもののうち、実際に陽性の比率
- 再現率:実際に陽性のもののうち、正しく陽性と予測した比率
用途によって重視する指標が異なります(医療診断では再現率重視など)。
第24問 生成AIのハルシネーション
問題要旨 生成AIに見られる現象の1つについてハルシネーションがある。ハルシネーションに関する記述として、最も適切なものはどれか。
分類タグ K1(生成AI・LLM)
正解 イ:事実に基づかない情報や実際には存在しない情報をAIが生成する現象のこと。
必要知識
解法の思考プロセス
ハルシネーション(幻覚)の5つの定義を検証します。
- ア(データ生成):AIが生成したデータをAI自身が学習することで、言語モデルの精度が低下したり多様性がなくなったりする現象のこと ✗
- データポイズニングやモデル崩壊の説明
- イ(事実に基づかない情報):事実に基づかない情報や実際には存在しない情報をAIが生成する現象のこと ✓
- これが正確なハルシネーションの定義
- ウ(感情や意図):人間がAIとの対話中に、そのAIが感情や意図を持っているかのように感じる現象のこと ✗
- これは「アニマシー」(擬人化)またはシステム側の「幻想」
- エ(利用者の行動):利用者がAIを反復的に利用することで、特定の意見や思想が自分の意見だと思い込むようになる現象のこと ✗
- フィルターバブルやエコーチェンバーの説明
- オ(モデル訓練):モデル訓練の入力データの統計的分布、テスト時/本番環境での入力データの統計的分布が、何らかの変化によってズレてくる現象のこと ✗
- コバリエートシフト(分布ズレ)の説明
正答は イ です。
誤答の落とし穴
- ハルシネーション = 「存在しない情報を生成」という定義の徹底
- 「感情を持っているように感じる」はユーザーの心理で、ハルシネーションではない
- データポイズニングとの混同
学習アドバイス
生成AIの課題は複数あります。
- ハルシネーション:AIが作り出す事実でない情報
- バイアス:訓練データの偏り
- プライバシー:訓練データからの情報漏洩
- 説明性:意思決定の透明性
これらを区別することが重要です。
年度総括
令和6年度の経営情報システムは、以下の特徴を持つ出題でした。
- 定義・用語の充実:K1層で60%以上が説問の基礎となる知識
- 計算・実装問題:SQL、コスト計算、信頼度など、実務的な計算が重視
- セキュリティ重視:暗号化、認証方式、脅威対策など、5問以上が関連
- 新領域:DX推進、生成AI、パスワードレス認証など、時代を反映した内容
- 複合問題:複数要素を組み合わせた問題が増加傾向
出題構成の傾向:
- 知識問題:約70%(単一選択中心)
- 計算問題:約20%
- 応用問題:約10%
受験生は、基礎用語の定義を確実に把握した上で、データベース・SQL、セキュリティ、クラウドの3分野を重点的に学習することが合格への近道です。
分類タグ凡例
| タグ | 定義 |
|---|---|
| K1 | 定義・用語・基本概念を知識層として提示(「これは何か」) |
| K2 | 原理・仕組み・メカニズムを説明層として提示(「なぜそうなるか」) |
| K3 | 計算・手順・実装プロセスを手順層として提示(「どうやってやるか」) |
| K4 | 応用・判断・意思決定を応用層として提示(「いつ・どう使うか」) |
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