中小企業経営・中小企業政策(令和6年度)
令和6年度(2024)中小企業診断士第1次試験 中小企業経営・中小企業政策の全25問解説
概要
令和6年度(2024年)中小企業診断士第1次試験「中小企業経営・中小企業政策」は、全25問で構成されています。本科目は制度・統計データを厚く扱う特徴があり、中小企業基本法、中小企業白書、各種政策制度の理解が合格に不可欠です。
問題文は J-SMECA 公式サイト(令和6年度(2024) 中小企業経営・中小企業政策) から入手できます。手元に PDF を用意したうえでお読みください。全年度の問題は J-SMECA 試験問題ページ で公開されています。
解説の読み方
各問について「問題要旨 → 分類タグ → 正解 → 必要知識 → 解法の思考プロセス → 誤答の落とし穴 → 学習アドバイス」の順で解説しています。分類タグの意味は本ページ末尾の凡例を参照してください。
出題構成
| 大項目 | 出題数 | 主要テーマ |
|---|---|---|
| 中小企業定義・規模基準・経営課題 | 5問 | 定義、規模データ、経営基盤 |
| 中小企業政策制度 | 10問 | 政策フレームワーク、融資、補助金 |
| 経営管理と組織・人事 | 4問 | ガイドライン、事業承継、退職金 |
| 経営戦略・事業展開 | 3問 | 海外進出、業態転換、事業承継支援 |
| 中小企業基本法と政策枠組み | 3問 | 基本法条文、支援のあり方 |
全問分類マップ
統計・データ重視問(K5層)
1問、2問、3問、4問、6問、14問、16問
制度・施策理解(K4層)
7問、8問、18問、19問、20問、21問、22問、23問
基本概念・定義(K3層)
5問、11問、12問、13問、15問、17問、24問、25問
思考プロセス・応用(A層・B層・L層)
9問、10問
第1問:中小企業白書の統計基礎
問題要旨 平成28年経活センサスと令和3年経活センサスの企業規模別従業者総数の構成について、中小企業の従業者総数の割合を求める。
分類タグ K5:統計データ | 企業規模 | 中小企業定義
正解 ア:A:7 B:大企業 C:小規模企業 D:中規模企業(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- 平成28年経活センサスを基準として、従業者総数に占める中小企業の割合を特定する
- 中小企業 = 民営企業 - 大企業のため、中小企業従業者数を確定する
- 選択肢から、「約7割」という比率を確認する
誤答の落とし穴
- センサス年度を読み間違える(平成28年と令和3年の区別)
- 大企業と中小企業の区分を逆に読む
- 従業者総数と企業数を混同する
学習アドバイス 中小企業白書のデータセクションは頻出です。「約7割」という比率は重要な基準値として暗記しましょう。常に「何年度のセンサスか」を明確にしてから数値を読むこと。
第2問:小規模企業の統計分析
問題要旨 小規模企業の付加価値額が全企業に占める割合について、統計データから正確な数値を選択する。
分類タグ K5:統計データ | 小規模企業 | 経済的役割
正解 ア:A:75 B:5 C:24(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- 全企業の付加価値額を100%とする基準軸を設定する
- 小規模企業単独の付加価値額割合(約5%)と中規模・大企業の割合を確認する
- 各選択肢の組み合わせパターンから、統計的整合性を確認する
誤答の落とし穴
- A値の読み間違え(75vs85の区別が難しい)
- 中小企業全体の割合と小規模企業単独の割合を混同する
- 企業数ベースの割合と付加価値ベースの割合を区別できない
学習アドバイス 付加価値分析では「企業数」と「付加価値額」の分布が大きく異なります。小規模企業は企業数では約70%を占めますが、付加価値では約5%です。この対比を理解することが重要です。
第3問:産業別採算性の比較
問題要旨 製造業、卸売業、小売業の売上高経常利益率と自己資本純利益率を比較し、各産業の採算力を評価する。
分類タグ K5:統計データ | 産業別経営指標 | 採算性分析
正解 ア:売上高経常利益率は卸売業が最も高く、自己資本純利益率は小売業が最も低い。(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- 売上高経常利益率 = (経常利益 / 売上高) × 100で計算される効率指標
- 自己資本純利益率 = (当期純利益 / 自己資本) × 100で計算される収益性指標
- 各産業の典型的な採算構造を認識:卸売業は低粗利率・高回転率型、小売業は薄利多売傾向
- 業態別のレバレッジ効果(負債比率)の違いを勘案する
誤答の落とし穴
- 売上高経常利益率と自己資本純利益率の定義を混同する
- 各指標の産業差を一方向的に理解してしまう
- レバレッジ倍率(負債 / 自己資本)の影響を過小評価する
学習アドバイス 経営指標は「分子」「分母」を常に意識してください。「率」は業態により大きく異なるため、過去問で各産業の典型値を覚えることが合格への近道です。
第4問:設備投資動向の推移
問題要旨 2012年から2022年までの中小企業の設備投資動向について、ソフトウェア、生産設備(機械)、建設の変化を読み取る。
分類タグ K5:統計トレンド | 設備投資 | 経営環境の変化
正解 (認定1)A:減少 B:増加 C:減少 (認定2)D:減少 E:減少 F:増加(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- 2012~2015年:ソフトウェアは増加傾向、以降はほぼ横這い
- 2016~2020年:建設・生産設備は減少傾向(アベノミクス後の投資縮小)
- 2021以降:生産設備が増加に転じる(回復局面)
- ソフトウェア投資は低位ながら比較的安定推移
誤答の落とし穴
- 時期区分を正確に読み取れずに全期間で単一トレンドと誤認する
- 「減少」と「横這い」の区別
- 2020年以降の回復トレンドを見落とす
学習アドバイス 統計トレンド問は「グラフの傾き」を視覚的に把握することが重要です。3項目の時系列変化を同時に読む訓練が必要です。過去問で同様の形式を繰り返し解くことをお勧めします。
第5問:従業者給与の産業別分析
問題要旨 厚生労働省のデータから、卸売業、小売業、建設業、製造業の従業者給与を比較し、格差が大きい産業を特定する。
分類タグ K3:経営管理基礎 | 産業別給与 | 人事管理
正解 ア:卸売業・小売業――建設業――製造業(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- 卸売・小売業は総じて低給与傾向(非一次産業、サービス業性質)
- 建設業は中位給与水準(技能・労務給与の変動大)
- 製造業は相対的に高給与(産業としての付加価値が高い)
- 給与格差 = 高給業種 - 低給業種の差を比較する
誤答の落とし穴
- 個々の産業給与水準を正確に把握していない
- 全産業平均を基準とした相対比較ができていない
- 季節変動や一時金の影響を考慮しない
学習アドバイス 産業別給与は、その産業の「付加価値」「技能水準」「労働需給」に規定されます。総務省統計や中小企業白書で、各産業の給与水準を数値で確認しておくこと。
第6問:企業規模別の利益率推移
問題要旨 1980年から2020年までの大企業、中堅企業、中小企業の総資本経常利益率の推移を比較する。
分類タグ K5:統計推移 | 企業規模別業績 | 採算性分析
正解 ア:大企業が中堅企業を下回り、中小企業の総資本経常利益率は低下している。(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- バブル期(1980年代後半):企業規模による利益率格差は相対的に小さい
- バブル崩壊後(1990年代):大企業と中小企業の格差が拡大
- 2000年代~:中小企業の利益率が継続的に低位推移
- 直近20年間の傾向:企業規模による階層化が固定化
誤答の落とし穴
- 時系列で複数の企業規模をトラッキングできていない
- 「低下」と「低位維持」の区別ができない
- バブル期から現在までの長期トレンドを認識していない
学習アドバイス 経営格差は政策課題の重要テーマです。40年間の推移から、日本経済の構造変化と中小企業への影響を理解してください。
第7問:中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン
問題要旨 令和5年6月に公表された「中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン」の改定内容について、人材課題解決のための3つのステップの説明から正しい記述を選択する。
分類タグ K4:政策ガイドライン | 人材活用 | 経営支援
正解 ア:a:正 b:正 c:正(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- ガイドラインの3ステップ:「課題の整理」「戦略策定」「実行管理」
- a項:「人材課題解決のための人材戦略の方向性」として、中核人材の用法・育成・長期維持が示されている(正)
- b項:3つのステップ「経営課題を見つめ直す」「人材戦略を実行する」「『人材戦略を実行する』の順に示されている」(正)
- c項:「中核人材を採用するためには、求人像の明確化、求める人材がここで働きたいと思う職場環境づくり、人事評価制度の見直し、キャリアパスの見える化を示している」(正)
誤答の落とし穴
- ガイドラインの存在を知らない受験生が推測で答える
- 3ステップの順序を誤認する
- 「人材戦略」と「経営戦略」の区別が不明確
学習アドバイス 政策ガイドラインの改定は頻出です。公表日「令和5年6月」は固有の知識として暗記してください。官公庁サイトで最新ガイドラインを確認することは、試験対策の習慣化に有効です。
第8問:エクイティ・ファイナンスの基礎知識
問題要旨 中小企業のエクイティ・ファイナンスに関する基礎知識について、定義と活用場面の正しい組み合わせを選択する。
分類タグ K3:経営管理基礎 | 資本調達 | ファイナンス
正解 ア:a:正 b:正 c:正(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- エクイティ・ファイナンスの定義:会社の事業や取り組みに対する評価と株式発行によって資金調達
- a項:エクイティ・ファイナンスについて、会社の事業を取り組みなどに対する評価と株式を発行すること(正)
- b項:エクイティ・ファイナンスの主な利用目的として、返済が伴わないことから、新しい取り組み(新規事業や事業拡大など)や事業の転換に資金として活用(正)
- c項:エクイティ・ファイナンスのメリットとして、返済が伴わないことから、財務基盤の安定につながり、企業としての信用力向上効果がある点が挙げられる(正)
誤答の落とし穴
- エクイティの定義を「資本」として一般的に理解しており、中小企業における具体的活用を理解していない
- 「返済義務なし」という特徴を見落とす
- メリット・デメリット(希薄化など)の両面を把握していない
学習アドバイス エクイティ・ファイナンスは中小企業にとって重要な資金調達手段です。クラウドファンディング、ベンチャーキャピタル、個人投資家などの具体的な事例とセットで理解することが効果的です。
第9問:経済産業省「企業活動基本調査」の読解
問題要旨 経済産業省の企業活動基本調査に基づき、1997年から2020年までの中小企業の海外展開企業割合と直接投資の推移を比較分析する。
分類タグ K5:統計データ | 海外展開 | グローバル経営
正解 (認定1)A:上回って B:上回って C:上回って (認定2)D:が多く E:より高く F:より低い(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- 1997年の直接投資企業割合と2020年を比較:直接投資企業割合は一貫して上回っている
- 中小企業の直接輸出企業割合と輸出非実施企業の労働生産性比較:輸出非実施企業の労働生産性が低位
- 輸出を実施している企業とそうでない企業の生産性差を見ると、海外展開の重要性が示唆される
- アンケート調査として、製造業、卸売業、情報通信業の海外展開の実施状況を読む
誤答の落とし穴
- 「直接投資」と「間接投資」の定義が不確実
- グラフの「上」「下」方向を読み誤る
- 複数グラフを同時に比較する際に、軸のスケールを見落とす
学習アドバイス 海外展開統計は「企業活動基本調査」「貿易統計」の2つの統計系が出題されます。前者は企業ベース、後者は取引ベースという違いを理解してください。
第10問:開業率と廃業率の産業別推移
問題要旨 厚生労働省「雇用保険事業年報」に基づき、1981年から2021年までの開業率と廃業率の産業別推移を分析する。
分類タグ K3:基礎統計 | 開業・廃業 | 動態統計
正解 (認定1)A:上昇 B:上昇 C:低下 (認定2)D:小売業 E:情報通信業 F:小売業(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- 1988年までは開業率が廃業率を上回る拡張期
- 1988~2000年代:開業率の低下と廃業率の上昇傾向
- 2010年以降:開業率と廃業率がほぼ同水準で推移
- 産業別では:小売業は開業が最も高く廃業は最も低い、情報通信業の開業率も相対的に高い
誤答の落とし穴
- 全期間を一貫したトレンドと誤認する
- 開業率と廃業率の大小関係を逆に読む
- 2020年以降のコロナ禍の影響が統計に反映されていることを認識していない
学習アドバイス 開業・廃業動向は政策評価の重要指標です。「事業所統計」「経済センサス」「雇用保険統計」の3系統が出題されるため、統計源ごとの定義の違いを理解することが重要です。
第11問:経営基本法と小規模企業の定義
問題要旨 中小企業基本法における中小企業者に合致する企業について、常時雇用従業者数と資本金額の基準から正しい定義を選択する。
分類タグ K3:制度基礎 | 企業定義 | 法制度
正解 ア:a:0~4年 b:10~21年 c:32年以上(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- 中小企業基本法第2条で定義される中小企業者:製造業・その他は資本3億円以下または従業者300人以下
- 卸売・小売・サービス業は資本1億円以下または従業者100人以下
- 小規模企業者:従業者数によるさらに狭い範囲(製造業は20人以下、卸小売等は5人以下)
- 企業年齢別の経営実績分類も考慮される場合がある
誤答の落とし穴
- 基本法の定義を正確に暗記していない
- 資本金と従業者数の「OR条件」と「AND条件」を混同する
- 業種別による基準の違いを認識していない
学習アドバイス 中小企業の定義は政策全体の基礎です。必ず正確に暗記してください。定期的(毎年)に法改正がないかを確認することが重要です。
第12問:人材確保に関する経営課題
問題要旨 (株)日本政策金融公庫が実施した中小企業向けアンケートから、人材確保の課題について、給与水準の引上げ、再雇用など、シニア人材の活用、長時間労働の是正の3つの対策の組み合わせから最適な順位を選択する。
分類タグ K3:経営課題 | 人材確保 | 経営実態
正解 ア:a:[給与水準の引き上げ] b:[再雇用などシニア人材の活用] c:[長時間労働の是正](正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- 人材確保の最優先課題:給与水準の引き上げ(求人倍率が高い中での競争力向上)
- 次点:シニア人材・女性人材の活用による供給側の拡大
- 働き方改革:長時間労働の是正による労働条件改善
誤答の落とし穴
- 対策の優先順位を自分の経験則で判断してしまう
- アンケート結果の中央値と平均値を区別していない
- 複数回答方式と単一回答方式の違いを認識していない
学習アドバイス 人材課題は中小企業の経営課題ランキングで常に上位です。日本政策金融公庫のアンケート結果は信頼性が高く、試験出題頻度も高いため、定期的に結果を確認することをお勧めします。
第13問:エネルギー価格と原材料費の変動
問題要旨 東京商工会議所の令和4年度引取り条件改善状況調査から、エネルギー・原材料費の変動について、「反映された」と「反映されない」に分類し、回答比率の正誤判定を行う。
分類タグ K5:統計データ | 経営環境 | エネルギー政策
正解 ア:エネルギー価格および原材料費については、「反映されなかった」とする回答割合が、「反映された」とする回答割合を上回っている。(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- 令和4年度時点(2022年):ウクライナ危機によるエネルギー価格高騰期
- 中小企業の価格転嫁率:大企業比較で低位(売上規模や交渉力が劣位)
- エネルギー価格は「反映されない」が多数派
- 労働費の上昇も同様に「反映されない」傾向
誤答の落とし穴
- 一般的な「インフレーション転嫁」のイメージで、価格転嫁が進んでいると誤認する
- 調査年度の経済情勢を正確に把握していない
- 「反映」の定義(完全転嫁vs部分転嫁)が曖昧
学習アドバイス 価格転嫁は中小企業の重要課題です。東京商工会議所、全国中小企業団体中央会などの定期調査から、最新動向を把握することが効果的です。
第14問:下請取引に関する実態調査
問題要旨 中小企業庁の下請取引実態調査に基づき、直接納入と間接納入の企業割合、直接取引企業の納入先企業の規模を分析する。
分類タグ K5:統計データ | 下請構造 | 取引関係
正解 ア:A:上回って B:上回って C:上回って(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- 直接納入企業数:間接納入企業数を比較する
- 産業別に下請構造が異なる:製造業は多層下請が多い
- 直接取引先企業規模:大企業との直接取引がメジャー
誤答の落とし穴
- 企業数と取引額を混同する
- 産業別の多様性を過度に一般化する
学習アドバイス 下請構造は中小企業庁の継続的な調査対象です。「多層下請」「下請代金支払い遅延」などの用語とセットで理解してください。
第15問:中小企業基本法の理念と支援のあり方
問題要旨 中小企業基本法に規定された基本理念を踏まえ、中小企業施策の基本方針として最も適切な記述を選択する。
分類タグ K3:法制度基礎 | 基本法理念 | 政策枠組み
正解 ア:a:正 b:正 c:正(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- 第2条で「中小企業者の経営の革新及び創業の促進並びに経営合理化を図ること」が示されている
- 第3条では「基本理念を述べている」
- 第5条では「基本方針を定める」
誤答の落とし穴
- 法文の正確な理解がない場合は推測で答える傾向
- 条文順序と内容を正確に暗記していない
学習アドバイス 基本法の条文は繰り返し出題されます。少なくとも第2条~第5条は正確に暗記することをお勧めします。
第16問:企業規模別総資本経常利益率の比較
問題要旨 財務省「法人企業統計年報」に基づき、1980年と2020年度における大企業、中堅企業、中小企業の総資本経常利益率を比較する。
分類タグ K5:統計推移 | 企業規模別業績 | ファイナンス
正解 ア:大企業が中堅企業を下回り、中小企業の総資本経常利益率は低下している。(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- バブル期(1980年代後半)との比較:40年間の長期トレンド
- 企業規模による階層化:バブル崩壊以降に拡大
- 中小企業の採算性:相対的に低位で推移
誤答の落とし穴
- 長期統計の読み取りが困難
- 複数企業規模の同時比較ができていない
学習アドバイス 企業規模による採算性格差は政策課題の重要テーマです。過去問で何度も同じテーマが出題されているため、時系列数値を暗記することが効果的です。
第17問:中小企業基本法と施策の基本方針
問題要旨 中小企業基本法の規定に基づき、中小企業者に合致する企業についての正確な定義を選択する。
分類タグ K3:法制度基礎 | 定義規定 | 企業規模
正解 認定1:a:常時雇用する従業員数が60人の日本料理店(資本金3千万円) 認定2:a:常時雇用する従業員数が80人の旅館(資本金6千万円)
必要知識
解法の思考プロセス
- 中小企業基本法第2条による業種別分類
- 宿泊業・飲食サービス業:資本金5千万円以下または従業者100人以下
- 具体的事例で基準判定を練習する
誤答の落とし穴
- 業種別基準の記憶が不確実
- 「かつ」と「または」の論理演算を誤認する
学習アドバイス 定義問は確実に正解を目指しましょう。業種表とセットで暗記することが効果的です。
第18問:小規模企業基本法と中小企業支援
問題要旨 中小企業基本法における小規模企業の定義と中小企業支援の関係について、正確な記述を選択する。
分類タグ K4:政策制度 | 小規模企業 | 支援の枠組み
正解 ア:a:正 b:正 c:誤(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- 小規模企業:中小企業のサブセット(制度上の位置づけ)
- 小規模企業経営改善資金(マル経融資):日本政策金融公庫による制度融資
- 条件:商工会議所の経営指導を受けること
誤答の落とし穴
- 小規模企業と小規模企業者の定義を区別していない
- 政策制度の要件(経営指導の必須性など)を正確に理解していない
学習アドバイス 小規模企業向けの政策制度は複数存在します。各制度の対象者、条件、内容を整理表で暗記することが効果的です。
第19問:金融機関と融資制度
問題要旨 経済産業省のアンケート調査に基づき、中小企業の海外展開(1997年~2020年)の推移と実施状況を読み取る。
分類タグ K5:統計データ | 海外進出 | 国際経営
正解 A:上回って B:上回って C:上回って(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- 直接投資企業の割合:間接輸出企業と比較して上回っている
- 経営環境の変化による海外展開動機の多様化
- アジア主要国への進出が増加傾向
誤答の落とし穴
- グラフの軸と凡例を正確に読み取れていない
- 時期別の相互比較ができていない
学習アドバイス 海外展開統計は複数の政府統計が並行して実施されており、統計源ごとの定義の違いを認識することが重要です。
第20問:下請ガイドラインと小規模事業者
問題要旨 下請取引における「下請ガイドライン」の改定内容と運用について、親事業者・下請事業者の双方の責務に関する記述から正確な情報を選択する。
分類タグ K4:政策ガイドライン | 下請支援 | 公正取引
正解 認定1:ウ:「下請ガイドライン」 認定2:イ:「できるだけ、掛け取引を利用せず、現金払いを行うこと。」(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- 下請ガイドラインは親事業者の責務を規定
- 最新改定(令和4年2月):以下の2つの課題に対応
- 「取引適正化に向けた5つの取り組み」
- 「価格転嫁円滑化施策」を新たに追加
- 親事業者の義務:支払い方法の改善(現金払い推奨)
誤答の落とし穴
- ガイドラインの最新改定時期を知らない
- 親事業者と下請事業者の責務を逆に理解する
- 「掛け取引」と「手形」の経済的意味を理解していない
学習アドバイス ガイドラインは定期的に改定されます。公開日(令和4年2月10日)と改定のポイント(5つの取り組み)を確認することが重要です。
第21問:小規模企業基本法と経営支援
問題要旨 Y事業協同組合の経営課題について、資金面での支援と経営面での支援について、X診断士との相談内容から問題解決の優先順位を判定する。
分類タグ K3:経営課題 | 事業協同組合 | 経営支援
正解 (認定1)ア:「流通業務価額効率化(令和6年5月1日現在)」 (認定2)イ:「クラウド・ファンディング」ウ:「別事業の収益等の自己資金」
必要知識
解法の思考プロセス
- X診断士が検討する支援制度:小規模企業経営改善資金(マル経融資)
- Y理事長との協議内容:資金1,500万円超の融資調整
- 金融機関(A)と融資支援制度(B)の組み合わせ
誤答の落とし穴
- 対話形式の問題で、X診断士の発言内容を正確に読み取れていない
- 融資条件(借入期間、返済方法)の細部を見落とす
学習アドバイス 対話形式の問題は「登場人物の立場と発言内容」を整理することが重要です。X診断士とY理事長の役割を常に意識して解くこと。
第22問:企業経営と市場展開
問題要旨 金属部品製造のY社について、低価値製品の量産から複雑な加工技術を用いた製品へのシフトを図りたいと考えており、Y社の経営者との相談から「経営革新計画」の作成に向けた支援内容を評価する。
分類タグ K4:経営支援 | 経営革新 | 技術開発
正解 ア:「経営の向上」 イ:「どのような融資制度を利用できるのでしょうか。」 ウ:「経営革新計画を完成させていただく」
必要知識
解法の思考プロセス
- Y社の経営課題:製品の高付加価値化と新規市場開拓
- 経営革新計画:新商品開発・新サービス展開・生産技術向上などが対象
- X診断士の支援:計画策定とそれに基づく融資制度の提示
誤答の落とし穴
- 「経営革新」の定義(ビジネスモデル変更vs製品改善)を混同する
- X診断士の支援内容(計画策定vs融資実行)の役割分担を理解していない
学習アドバイス 経営革新計画は政策の重要な支援制度です。対象となる事業活動の種類を網羅的に把握することが重要です。
第23問:下請代金法と支払い条件
問題要旨 下請代金法における「下請代金」の定義について、親事業者からの受講者側の設問から、正しい条件を判定する。
分類タグ K4:法制度 | 下請取引 | 支払い条件
正解 ア:A:資本金1,000万円超3億円以下の法人 B:資本金1,000万円以下の法人または個人 イ:A:資本金1,000万円超3億円以下の法人 B:資本金3,000万円以下の法人または個人 ウ:A:資本金3,000万円超3億円以下の法人 B:資本金1,000万円以下の法人または個人 エ:A:資本金3,000万円超3億円以下の法人 B:資本金3,000万円以下の法人または個人(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- 下請代金法第2条:親事業者の定義と小規模企業者の定義を規定
- 親事業者:資本金の額および従業者数によって業種別に分類
- 小規模企業者:親事業者の基準より小さい企業規模
誤答の落とし穴
- 資本金額の区切り値(1,000万円vs3,000万円)を混同する
- 法人と個人の定義が曖昧
学習アドバイス 下請代金法の定義は複数回出題されているテーマです。必ず正確に暗記してください。
第24問:事業活動促進コンサルティング
問題要旨 中小企業支援機関が実施する「IoT・ロボット導入等に関する小規模事業者の支援」について、支援対象の企業規模を判定する。
分類タグ K4:政策支援 | 技術導入 | デジタル化
正解 ア:A:専用製品 B:「カタログ」に掲載し、中小企業などが選択して導入できる イ:A:専用製品 B:中小企業などが、事業環境に合わせて作成に導入できる ウ:A:汎用製品 B:「カタログ」に掲載し、中小企業などが選択して導入できる エ:A:汎用製品 B:中小企業などが、事業環境に合わせて作成に導入できる(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- IoT・ロボット導入支援は、生産性向上と人手不足対応が目的
- 専用製品vs汎用製品:企業の事業特性に応じた選択
- 「カタログ登録」制度:導入候補製品をリスト化する施策
誤答の落とし穴
- IoT導入の実装方法(カタログ活用vs独自開発)を理解していない
- 汎用製品と専用製品の選択基準が不明確
学習アドバイス デジタル化支援は最新のホットトピックです。政府サイトで最新施策を確認し、「カタログ登録」などの具体的な仕組みを理解することが重要です。
第25問:産業立地政策と支援措置
問題要旨 「産業競争力強化法」に基づく企業立地促進施策について、補助対象の企業規模と支援内容(補助対象経費・補助率)を判定する。
分類タグ K4:政策制度 | 地域振興 | 産業立地
正解 ア:A:市区町村 B:3年を限度とする イ:A:市区町村 B:継続的な ウ:A:都道府県 B:3年を限度とする エ:A:都道府県 B:継続的な(正答)
必要知識
解法の思考プロセス
- 産業競争力強化法:地域経済の活性化と産業振興が目的
- 補助対象自治体:都道府県が主体的に施策実施
- 補助期間:継続的な支援(3年限度ではなく)を想定
誤答の落とし穴
- 補助主体(市区町村vs都道府県)の判別が不確実
- 補助期間の定義(限定的vs継続的)を混同する
学習アドバイス 産業立地政策は地域差が大きいテーマです。各自治体の施策を把握することで、より深い理解につながります。
年度総括
出題分類の特徴
令和6年度の中小企業経営・中小企業政策は、制度・統計データ重視の特性が明確です。
- K5層(統計・制度データ) : 13問 ← 高比率
- K4層(政策制度・ガイドライン) : 7問
- K3層(基本概念・定義) : 4問
- 思考プロセス(A/B層) : 1問
合格者の学習パターン
- 中小企業白書の統計セクション → 毎年度最新版を確認
- 政策ガイドライン → 改定時期と主要ポイントを把握
- 基本法条文 → 第2~5条は正確に暗記
- 政府統計データ → 企業活動基本調査、経活センサス、雇用保険統計を理解
次年度に向けた学習アドバイス
- 6月〜8月 : 中小企業白書(最新版)の精読と統計理解
- 9月〜11月 : 政策制度ガイドラインの整理とケーススタディ
- 12月〜2月 : 過去問演習と時事的な政策改正の確認
分類タグ凡例
K層(知識層)
- K5 : 統計データ・制度規定・公的データベース
- K4 : 政策制度・ガイドライン・公式施策内容
- K3 : 基本概念・定義・法制度基礎
- K2 : 経営理論・学派・フレームワーク
- K1 : 一般常識・定義明示
A・B・L層(能力層)
- A層 : 分析能力(複数データ比較・因果推論)
- B層 : 判断能力(複数条件の統合判定)
- L層 : 法解釈能力(法令条文の正確な理解)
科目別タグ
- 企業定義 : 中小企業・小規模企業の定義規定
- 統計推移 : 時系列データの読み取り
- 政策制度 : 補助金・融資・支援施策
- 経営課題 : 採算性・人材・技術などの経営実態
関連ページ
ナビゲーション
中小企業経営・政策の理論体系
政策フレームワーク
過去問対策
関連科目
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