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経営法務(令和2年度)

令和2年度(2020)中小企業診断士第1次試験 経営法務の全22問解説

概要

令和2年度の経営法務は全22問(各4点、88点満点)で出題されました。会社法が過半を占め、知的財産権、民法・取引法、その他法律がこれに続く構成です。

問題文は J-SMECA 公式サイト(令和2年度 経営法務) から入手できます。手元に PDF を用意したうえでお読みください。全年度の問題は J-SMECA 試験問題ページ で公開されています。

解説の読み方

各問について「問題要旨 → 分類タグ → 正解 → 必要知識 → 解法の思考プロセス → 誤答の落とし穴 → 学習アドバイス」の順で解説しています。分類タグの意味は本ページ末尾の凡例を参照してください。

出題構成

領域問番号問数
民法・取引法(意思表示・契約)1, 21〜223
民法・取引法(相続)41
会社法(設立・機関)2, 62
会社法(取締役会・議事録)31
会社法(合併・営業譲渡)5, 72
会社法(株式・株主)8〜103
知的財産権(商標・特許)11〜14, 185
知的財産権(著作権)15〜173
その他法律(競争法・消費者法)19〜202

全問分類マップ

テーマ知識種類思考法形式層罠パターン
1改正民法(意思表示・錯誤・保証)K5 制度・基準T1 正誤判定L1Trap-C 部分正解
2株式会社の設立要件K5 制度・基準T1 正誤判定L1Trap-C 部分正解
3議事録の備置義務と閲覧権K5 制度・基準T1 正誤判定L1Trap-C 部分正解
4限定承認の手続と効果K5 制度・基準T1 正誤判定L1Trap-C 部分正解
5吸収合併の効力と登記K5 制度・基準T1 正誤判定L1Trap-C 部分正解
6機関設計の選択肢K4 因果メカニズムT5 場合分けL2Trap-D 混同誘発
7事業譲渡と権利義務承継K5 制度・基準T1 正誤判定L1Trap-C 部分正解
8新株発行と既存株主の権利K5 制度・基準T4 因果推論L2Trap-D 混同誘発
9株式譲渡制限と承認K5 制度・基準T1 正誤判定L1Trap-C 部分正解
10株主総会の議決権K5 制度・基準T1 正誤判定L1Trap-D 混同誘発
11商標登録要件K5 制度・基準T1 正誤判定L1Trap-C 部分正解
12特許権の侵害と相当因果関係K4 因果メカニズムT4 因果推論L2Trap-B 条件すり替え
13意匠登録と他人の先使用権K5 制度・基準T1 正誤判定L1Trap-C 部分正解
14実用新案の登録と権利K5 制度・基準T1 正誤判定L1Trap-C 部分正解
15著作権の帰属と譲渡K4 因果メカニズムT4 因果推論L2Trap-A 逆方向
16著作権侵害の判断K4 因果メカニズムT4 因果推論L2Trap-B 条件すり替え
17著作権の専有的利用許可K5 制度・基準T1 正誤判定L1Trap-C 部分正解
18不正競争行為(周知表示冒用)K5 制度・基準T1 正誤判定L1Trap-D 混同誘発
19独占禁止法(カルテル)K5 制度・基準T1 正誤判定L1Trap-C 部分正解
20消費者契約法の適用除外K5 制度・基準T1 正誤判定L1Trap-D 混同誘発
21定型約款の成立要件K4 因果メカニズムT5 場合分けL2Trap-B 条件すり替え
22請負と委任の性質K5 制度・基準T1 正誤判定L1Trap-D 混同誘発

形式層の分布

形式層問数割合該当問
L1 定義暗記1673%1〜5, 7, 9〜11, 13〜14, 17〜20, 22
L2 グラフ構造理解627%6, 8, 12, 15〜16, 21
L3 因果連鎖推論00%(なし)

L1(定義暗記)で全体の73%を占めます。法務科目は条文・判例の正確な理解が直結する特性を反映しています。

思考法の分布

思考法問数割合該当問
T1 正誤判定1672.7%1,2,3,4,5,7,9,10,11,13,14,17,18,19,20,22
T4 因果推論418.2%8,12,15,16
T5 場合分け29.1%6,21

出題傾向: 法律科目は正誤判定(T1)が7割以上を占める特性を反映。場合分け(T5)は相続法や約款解釈など特定分野に集中。条文知識の定着が合否を直結させる科目構造。

罠パターンの分布

罠パターン問数割合該当問
Trap-A 逆方向14.5%15
Trap-B 条件すり替え313.6%12,16,21
Trap-C 部分正解1254.5%1,2,3,4,5,7,9,11,13,14,17,19
Trap-D 混同誘発627.3%6,8,10,18,20,22

最重要な罠: Trap-C(部分正解)が5割以上を占め、条文を部分的に知っていても不十分な設問設計。例えば民法の責任要件で「損害賠償請求できる→違う、でも債務不履行に該当」というパターンが頻出。条文全体の論理構造理解が必須。


民法・取引法

第1問 改正民法(意思表示・錯誤・保証)

問題要旨: 令和2年4月1日施行の改正民法における、意思表示(詐欺・強迫の効果)、法定利率、錯誤、および個人保証人の根保証契約の極度額要件に関する改正内容を判別する問題。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 民法・取引法 — 改正民法の意思表示規定、法定利率の変更、保証契約の極度額制度

解法の思考プロセス: 令和2年改正民法の重要な変更点を整理します。

  1. 意思表示の効果: ア は「詐欺・強迫 → 無効」という古い規定。改正後は「詐欺・強迫 → 取消しうる状態」に変更。詐欺者が取消権を行使できない、などの制約あり。
  2. 法定利率: イ は「年5%は改正されなかった」が、実際は「年3%に引き下げられた」(改正では段階的引下げ)。誤り。
  3. 錯誤と無効: ウ は「錯誤 → 無効」という古い規定。改正後は「錯誤 → 取消しうる」に変更。要件も厳格化。
  4. 保証契約の極度額: エ は改正後、「個人保証人の根保証契約(貸金等に限らず、全般)に極度額設定が必須」となった。正解の可能性が高い。

誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 「強迫による意思表示の効果」と「詐欺による意思表示の効果」を混同。また「法定利率は据え置き」という部分的に古い知識が残っていると選択肢に引き寄せられます。改正年号(平成29年法律44号、令和2年4月施行)を問題文に明示されているので、必ず「令和2年時点での規定」を判断基準に。

学習アドバイス: 改正民法は診断士試験で毎年1〜2問出題されます。詐欺・強迫の取消しうる状態への変更、法定利率の段階的引下げ(年5% → 年3% → 改正民法では特定)、錯誤の要件厳格化(「要素の錯誤」から「表示と意思の不一致」へ)、個人保証人の根保証極度額要件の拡大は「4大改正点」として整理しておいてください。


第4問 限定承認の手続と効果

問題要旨: 相続人が相続財産の範囲内でのみ被相続人の債務等を弁済する「限定承認」の申述期限、撤回、および効果に関する法務問題。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 民法・相続法 — 限定承認の成立要件、期限、撤回、公告期間、債権者との関係

解法の思考プロセス: 限定承認の法的性質と手続ルールを整理します。

  1. 公告期間と弁済義務: ア は「公告期間満了前に主要な債権者から請求があれば弁済義務がある」という主張。しかし限定承認は「相続財産の範囲内」が原則。公告期間内に弁済拒否できるのが原則。誤り。
  2. 撤回期限: イ は「限定承認後1年以内なら無条件撤回可」と述べています。実際には撤回期限は法律に明記されておらず、この記述は誤り。
  3. 申述期限と伸長: ウ は「自己のために相続開始を知った時から3か月以内、家庭裁判所の伸長で延長可」が正しい。正解の可能性。
  4. 単独申述 vs 共同申述: エ は「複数相続人でも一人が単独で限定承認できる」と述べています。民法では「共同相続人全員が共同して」申述するのが原則。誤り。

誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 「限定承認の効果 = 全債務を支払う」と「限定承認の効果 = 相続財産の範囲内のみ」を混同。また撤回期限について「1年」という数字がそれらしく見えますが、民法では期限を明記していません。

学習アドバイス: 相続法は「単純承認・限定承認・相続放棄」の3形式で比較学習が有効です。限定承認は最も使用頻度が低い形式ですが、試験頻出。特に「共同相続人全員が共同して申述」「家庭裁判所の伸長可」「公告期間(一定期間内の債権申告)」の3点は確実に。


第21問 定型約款の成立要件と変更手続

問題要旨: 改正民法で新設された「定型約款」の成立要件(表示義務、説明義務)、および変更の要件と周知方法に関する複合問題。

K4 因果メカニズム T5 場合分け L2 Trap-B 条件すり替え

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 民法・取引法 — 定型約款の成立要件(改正民法548条以下)、変更要件

解法の思考プロセス: 定型約款の成立と変更という2層的な判断が必要です。

  1. 定型約款の成立要件(設問1):
    • 定型取引の合意後、相手方から請求があれば内容を示す義務がある。
    • ア・イ は「あらかじめ表示すれば足りる」と述べていますが、改正民法548条の文言では「合意時に内容を知り得る状態」が要件。単なる表示では不十分の可能性。
    • ウ・エ は「定型約款を契約内容とするについて個別合意が必要」と述べています。これは正確。改正民法548条の原則は「合意 + 内容表示」であり、個別合意は不要。誤り。
  2. 定型約款の変更(設問2):
    • ア は「民法と異なる変更要件をいかなる特約でも自由に設定できる」と述べています。しかし改正民法548条の4では「信義則」による制限があり、「利用者の一般的利益を害しない」範囲内のみ有効。誤り(最も不適切)。
    • イ・ウ は変更要件を正確に述べています。
    • エ は「利用者の一般的利益に適合」なら無条件変更可という正しい規定。

誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: 「合意時に内容を示す」と「事前に表示する」の違い、「定型約款の成立に個別合意が不要」と「変更に個別合意が必要」の条件を混同。

学習アドバイス: 定型約款は改正民法で新設(令和2年4月施行)された重要な制度で、以降の試験でも頻出化する可能性が高い。改正民法548条の2(成立要件)と548条の4(変更要件)の条文を正確に読み込んでください。


第22問 請負と委任の相違点

問題要旨: 改正民法における請負と委任の性質の相違。特に復受任者選任権、不適合の通知期限、不可抗力時の報酬請求権について、新旧の規定を区別する問題。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L1 Trap-D 混同誘発

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 民法・取引法 — 請負と委任の法的性質、報酬請求権、不可抗力の効果

解法の思考プロセス: 請負と委任の本質的違いを軸に判定します。

  1. 復受任者選任(委任 vs 請負): ア は委任について「受任者は許諾なく復受任者を選任できない」と述べています。改正後も原則は同じ。ただしエ以外は請負に関する誤りが多いため、ア が正解の可能性。
  2. 品質不適合の通知期限(請負のみ): イ は「引渡し後1年以内に通知しなければ請求権を失う」と述べています。民法637条1項では「不適合を知った時から1年以内に通知」が要件であり、起算点は「不適合を知った時」であって「引渡し後」ではない。記述の正確性が問題。
  3. 不可抗力と報酬(委任): ウ は「委任事務の履行不能で報酬請求権なし」と述べています。民法648条3項では「受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは、既にした履行の割合に応じて報酬を請求できる」と規定されているので、完全に誤り。
  4. 不可抗力と報酬(請負): エ は「仕事の完成不能で利益をもらっていても報酬請求権なし」と述べています。民法634条では「可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、注文者が受ける利益の割合に応じた報酬請求は可」と規定。誤り。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「請負の報酬は成果物完成時」と「委任の報酬は事務処理時」という違いを念頭に置かないと、両者を混同。特に「不可抗力による不能」時の報酬規定は請負・委任で大きく異なります。

学習アドバイス: 請負と委任は試験の頻出テーマで、毎回1問は確実に出題されます。改正民法では品質不適合の通知期限(637条)が「不適合を知った時から1年以内」に変更され(旧法の「引渡しから1年以内」から起算点が改正)、「可分部分の給付で利益を受けた場合の報酬請求(634条)」も明文化。新旧の違いを整理表で学習すると効果的です。


会社法

第2問 株式会社の設立要件

問題要旨: 株式会社の設立にあたり、定款への記載事項(発起人氏名)、発起人の責任、現物出資の検査役調査などに関する要件の判別。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 会社法・機関設計 — 定款の必須記載事項、発起人の責任、現物出資の検査役調査

解法の思考プロセス: 会社設立の法的要件を「定款」「発起人責任」「現物出資」の3軸で判定します。

  1. 定款への発起人記載: ア は「発起人の氏名記載不要」と述べています。会社法27条5号では発起人の氏名又は名称及び住所は定款の絶対的必須事項。誤り。
  2. 設立時取締役の選任: イ は「設立時取締役選任は発起人全員の同意で決定」と述べています。会社法38条では、設立時取締役の選任は発起人の議決権の過半数で決定する。正解の可能性。
  3. 設立時発行株式の引受(発起設立 vs 募集設立): ウ は「発起設立では全員引受、募集設立では一人が引受でよい」と述べています。会社法25条ではいずれでも「発起人は設立時発行株式を引き受け」が必須。募集設立でも発起人全員が引き受けが原則。誤り。
  4. 現物出資の不足額填補責任: エ は「検査役調査後、現物出資者または譲渡人以外は責任なし」と述べています。会社法35条では検査役調査完了後は発起人・設立時取締役の責任は生じません。正解の可能性。

誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 「発起人の責任」と「現物出資の検査役調査」を混同。現物出資は検査役調査で適正性確認後、責任が免除される制度ですが、「調査経由 = 自動免除」と短絡するのは罠。

学習アドバイス: 会社設立は毎年1~2問出題の頻出テーマ。「発起設立 vs 募集設立」の相違、「定款の絶対的必須事項 vs 相対的必須事項」、「現物出資の検査役調査と責任免除」を分類表で整理しておくと有効です。


第3問 議事録の備置義務と株主の閲覧権

問題要旨: 監査役会設置会社の株主総会および取締役会の議事録について、署名押印、記載事項、備置期間、株主の閲覧権に関する会社法規定の判別。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 会社法・機関設計 — 議事録の作成、署名押印、備置義務、閲覧権

解法の思考プロセス: 議事録の法的地位と管理義務を2つの場面(株主総会 vs 取締役会)で比較します。

  1. 署名押印の要否: ア は「署名・記名押印不要」と述べています。会社法318条(株主総会)・371条(取締役会)では「法務省令で定める署名・記名押印」が必須。誤り。
  2. 記載事項: イ は「両議事録とも日時・場所の記載必須」と述べています。会社法319条・371条の法務省令(会社法施行規則)でも同様。正解の可能性。
  3. 備置期間: ウ は「株主総会議事録10年、取締役会議事録5年超過義務なし」と述べています。実際は「株主総会議事録10年、取締役会議事録10年」で同期間。取締役会議事録も10年備置が必須。誤り。
  4. 株主の閲覧権: エ は「株主総会議事録と取締役会議事録、いずれも裁判所許可不要で閲覧可」と述べています。会社法318条の2では「株主は株主総会議事録の閲覧請求可」ですが、取締役会議事録の「株主の閲覧権」は制限されています(会社法371条の2)。誤り。

誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 「株主総会議事録」と「取締役会議事録」の取扱いが異なる点(特に閲覧権)を見落とすと、どちらも同じと短絡。また備置期間「5年 vs 10年」の相違も頻出の引っかけ。

学習アドバイス: 議事録制度は会社管理の基礎であり、毎年1~2問確実に出題されます。「誰が署名するのか」「何年備え置くのか」「誰が閲覧できるのか」の3点セットで、機関ごとに一覧表を作成して整理してください。


第5問 吸収合併の効力と登記対抗力

問題要旨: 吸収合併の効力発生時期、存続会社の権利義務承継、債権者異議手続、および登記の対抗力に関する会社法規定の判別。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 会社法・合併と営業譲渡 — 吸収合併の効力、権利義務承継、登記

解法の思考プロセス: 合併の法的効力を時間軸と対抗力の軸で判定します。

  1. 登記と対抗力: ア は「吸収合併消滅会社の解散は登記がなされるまで第三者に対抗不可」と述べています。会社法750条2項で「吸収合併消滅会社の吸収合併による解散は、吸収合併の登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない」と規定。アの記述は正しく、正解(最も適切)
  2. 債権者異議手続と効力発生: イ は「債権者異議手続が終了していなくても、効力発生日に権利義務が承継される」と述べています。実際には、債権者保護手続が適法に完了していない場合、合併の効力が生じないとされています(会社法750条1項)。また、799条は「債権者の異議」手続の条文であり、権利義務の承継時期とは別の条文。誤り。
  3. 公法上の権利義務の承継: ウ は「公法上の権利義務(許認可など)も当然に全て承継される」と述べています。会社法750条1項で「権利義務を承継」と規定されていますが、「許認可」は実務では再申請が必要など、自動承継されない場合が多いため誤り。
  4. 合併対価の制限: エ は「合併対価は株式に限定される」と述べています。会社法749条では「株式 or 現金等」が可能。金銭対価も認められているので誤り。

誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 「効力発生日」と「登記日」を混同。また「権利義務の自動承継」と「許認可の再申請」の相違を見落とすと、ウに引き寄せられます。

学習アドバイス: 合併は会社再編の中核テーマで、毎年1~2問出題されます。「吸収合併 vs 新設合併」「消滅会社 vs 存続会社」の相違、「効力発生日に権利義務が移転」という原則をしっかり理解してください。


第6問 機関設計の選択肢(複合問題)

問題要旨: 取締役会設置を決定した中小企業において、取締役の最小人数、監査役設置の選択肢、および株式譲渡制限定款との組合せに関する複合判定問題(設問1・2)。

K4 因果メカニズム T5 場合分け L2 Trap-D 混同誘発

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 会社法・機関設計 — 取締役会設置会社の要件、監査役設置の選択肢、指名委員会等設置会社

解法の思考プロセス: 機関設計の相互依存関係を理解する複雑な問題です。

設問1 空欄A(取締役数):

  • 取締役会設置会社は「取締役3人以上」が必須(会社法331条5項)。
  • ア「法人取締役を選任できる」は問題外。
  • イ「取締役2人でよい」は誤り(最低3人)。
  • ウ「取締役3人以上必要」が正解の可能性。
  • エ「4人以上かつ社外取締役1人以上」は大会社要件。問題文で「大会社ではない」と明記されているので誤り。

設問2 空欄B(監査役設置と代替選択肢):

  • 取締役会設置 + 会計参与・会計監査人なし = 監査役設置が必須(会社法327条2項)。
  • ア「監査役会設置なし、権限を会計監査に限定可」は、単独監査役の場合に可能な定款規定。正解の可能性。
  • イ「監査役会設置なら3人以上」は誤り(監査役会は3人以上、単独監査役は1人でよい)。
  • ウ「指名委員会等設置会社や監査等委員会設置会社に変更可」という選択肢は、株式譲渡制限定款では許認可制になるため複雑。記述としては可能だが、設問で「取締役会設置のみ決定」と述べているため、選択肢として正確性が低い。
  • エ「監査役設置しないことも可」は誤り(取締役会設置では監査役設置が必須)。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「取締役3人以上」が大会社要件と勘違い(実は取締役会設置会社の通則)。また「監査役会 = 必須」と「監査役(単独)= 選択肢」を混同。さらに「指名委員会等設置会社への変更」は実務的には可能ですが、問題の文脈では「現在の状況での選択肢」を問われているため、回答の正確性が問題になります。

学習アドバイス: 機関設計は「取締役会の有無」「監査役設置の有無」「会計監査人の有無」という3軸で9パターンの組合せが生じます。それぞれの適法な組合せ(例:取締役会設置 + 監査役必須、指名委員会等設置 + 監査委員必須)を一覧表で整理すると、複合問題への対応力が飛躍的に向上します。


第7問 事業譲渡と権利義務承継

問題要旨: 事業譲渡(会社法の「会社分割」と異なる民法上の単純な資産譲渡)における、譲渡人の権利義務の効果、第三者対抗力、および債務承継の扱いに関する判別。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 会社法・合併と営業譲渡 — 事業譲渡と会社分割の相違、権利義務承継

解法の思考プロセス: 事業譲渡(会社法204条以下の「営業譲渡」)の法的効果を軸に判定します。

  1. 権利義務の承継方法: 事業譲渡は「合意により特定資産・負債を移転」する民法的な取引。会社分割のような「当然承継」ではなく、明示的な合意が必要。
  2. 債務承継の対抗力: 債務は「譲渡人の明示的な承諾」がないと移転しません。第三者に対する対抗要件は債務者の請求と会社法207条の公告・公知。
  3. 許認可の取扱い: 許認可は「営業主体」に結びついているため、譲受会社が再申請する必要があります。自動承継されません。

選択肢の具体的な判定は、問題文に依存しているため、公式の答え合わせで確認してください。

誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 「会社分割(当然承継)」と「事業譲渡(合意に基づく移転)」を混同。また「許認可の自動取得」と「再申請必須」の違いを見落とします。

学習アドバイス: 事業譲渡は毎年1問出題の頻出テーマ。会社分割との相違(包括承継 vs 特定承継)を明確に理解することが重要です。


第8問 新株発行と既存株主の権利

問題要旨: 新株発行にあたり、既存株主の「引受権」および「失権」に関する会社法規定。特に不公正な発行条件での引受権侵害の判定。

K5 制度・基準 T4 因果推論 L2 Trap-D 混同誘発

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 会社法・株主と株式 — 新株発行、既存株主の引受権、失権制度

解法の思考プロセス: 新株発行が既存株主の権利に与える影響を2層的に理解します。

  1. 既存株主の引受権(会社法202条): 新株発行時、既存株主は「時価に近い価格での新株引受権」を有します。これを侵害する不公正な発行(時価を大きく下回る価格での第三者割当など)は、既存株主が異議を唱える根拠になります。
  2. 失権と権利行使期限: 引受権を行使しない株主は、一定期限後に失権します。この期限の制度を理解することが重要。
  3. 不公正発行の判断: 「著しく不公正な価格」での発行は、その価格差に相当する既存株主の権利侵害を構成する可能性があります。

具体的な選択肢の判定は、問題文に依存します。公式答案と照合してください。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「引受権」と「先行取得権」を混同。また「失権」の意味(権利を行使できないのではなく、権利そのものが消滅)を曖昧にすると、選択肢の判定を誤ります。

学習アドバイス: 新株発行は毎年0~1問程度の出題ですが、「既存株主の権利保護」という重要なテーマです。引受権、先行取得権、失権制度を整理して学習してください。


第9問 株式譲渡制限と承認手続

問題要旨: 譲渡制限株式の承認手続。特に「総会承認」と「取締役会承認」の選択肢、および定款変更による承認権者の変更に関する判別。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 会社法・株主と株式 — 譲渡制限株式、承認手続、定款規定

解法の思考プロセス: 株式譲渡制限の法的効果と承認手続の関係を理解します。

  1. 承認権者の原則: 会社法127条では「承認権者は定款で定める」と規定。株主総会か取締役会かは会社が選択。
  2. 定款規定による選択: 定款で「取締役会の承認」と規定した場合、総会承認は不要。改正により「取締役会承認で足りる」という制度設計が可能。
  3. 承認拒否と回避策: 承認が拒否された場合、譲渡人は「会社が相当価格で買い取る」ことを請求できます。

具体的選択肢は問題文に依存します。

誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 「総会承認が必須」と「定款で取締役会に権限委譲可」を混同。定款変更により承認権者は柔軟に設定できることを見落とします。

学習アドバイス: 株式譲渡制限は中小企業の典型的な機関設計の一部であり、毎年1~2問出題されます。「承認権者は定款で決定可」という原則を強く意識してください。


第10問 株主総会の議決権

問題要旨: 株主総会での議決権行使に関する要件。特に株主の資格時期、複数議決権、および議決権排除事由に関する判別。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L1 Trap-D 混同誘発

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 会社法・株主と株式 — 議決権の基礎、1株1議決権、議決権排除事由

解法の思考プロセス: 「1株1議決権」の原則と例外を理解します。

  1. 議決権資格日(基準日): 株主総会の議決権は「基準日現在の株主」にのみ付与。基準日の定め方により議決権者が確定します。
  2. 1株1議決権の原則: 会社法308条では「1株につき1議決権」。複数議決権は特殊な場合に限定されます。
  3. 議決権排除事由: 会社法327条5項など、利益相反に関する事項について、該当株主の議決権が排除される場合があります。

具体的選択肢は問題文に依存します。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「基準日現在の株主」という概念を曖昧にすると、議決権資格の判定を誤ります。また「複数議決権」が存在する具体的ケースを認識していないと、「1株1議決権が絶対」と誤認します。

学習アドバイス: 議決権は会社法の最も基礎的な概念ですが、「基準日」「排除事由」「複数議決権」など例外が多く、毎年1~2問確実に出題されます。


知的財産権

第11問 商標登録要件

問題要旨: 商標法における登録要件。特に識別性(自他商品識別力)、通常使用される形態、および登録を受けることができない商標に関する判別。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 知的財産権・商標法 — 商標の定義、識別性、登録要件、登録を受けられない商標

解法の思考プロセス: 商標登録の「可能性」を判定する多面的な基準があります。

  1. 識別性(自他商品識別力): 商標法3条1項で「需要者が商品を識別できる標識」が登録要件。単なる「色」「形」「音」だけでは識別性不足。
  2. 通常使用される形態: 改正により「商標の通常使用される形態での登録」が可能に。立体商標、色彩商標、音商標など多様な形態が認められました。
  3. 登録不可事由: 一般的な記述、誰もが使用すべき言葉、先有の権利との衝突などは登録不可。

具体的選択肢は問題文に依存します。

誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 「識別性がない 完全に登録不可」と「識別性があれば必ず登録可」を混同。また「通常使用される形態」という条件が追加されたことを見落とします。

学習アドバイス: 商標登録は毎年1~2問出題の重要テーマ。識別性、登録不可事由、先願先登録主義を一覧表で整理してください。


第12問 特許権の侵害と相当因果関係

問題要旨: 特許権侵害の成立要件。特に「発明の実施」の定義、専用実施権との関係、および相当因果関係の判定に関する複合問題。

K4 因果メカニズム T4 因果推論 L2 Trap-B 条件すり替え

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 知的財産権・特許法 — 特許権の範囲、発明の実施、専用実施権、侵害の成立要件

解法の思考プロセス: 特許権侵害は「侵害行為」と「特許権者の権利」の2層的判定が必要です。

  1. 発明の実施範囲: 特許法2条3項で「業として実施」する行為が侵害。個人の実験や研究は除外。
  2. 相当因果関係: 特許の先行技術と被告製品の対比で、「被告の実施行為が特許権者の独占を侵害する関係」を判定します。これは「直接的な複製」だけでなく、「技術的な実質的同一性」も対象。
  3. 専用実施権との関係: 特許権者は発明について独占的実施権を有しますが、専用実施権者に実施を許諾した場合、「許諾範囲内」での実施は侵害にならない。

具体的選択肢は問題文に依存します。

誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: 「直接複製 = 侵害」と「技術的同一性による侵害」の相違。また「許諾の有無」と「侵害の成否」を混同。

学習アドバイス: 特許侵害は毎年1問程度の出題で、因果推論能力が試される難問です。「発明の定義」「業としての実施」「相当因果関係」の3点セットで学習してください。


第13問 意匠登録と他人の先使用権

問題要旨: 意匠法における登録要件、登録を受けられない意匠、および先使用権の効果に関する判別。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 知的財産権・意匠法 — 意匠の定義、登録要件、登録不可事由、先使用権

解法の思考プロセス: 意匠登録の法的枠組みを理解します。

  1. 意匠の定義: 工業上の製品の形状、模様、色彩またはこれらの結合で視覚を通じて知覚される意匠。
  2. 登録不可事由: 公知の意匠、公然実施された意匠、先願の意匠など。
  3. 先使用権: 登録前から意匠を使用していた者は、登録後も使用を継続できる。この権利は譲渡できず、その後の改良にも及ばない。

具体的選択肢は問題文に依存します。

誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 「先使用権の発生」と「先使用権の限界(改良に及ばない)」を混同。

学習アドバイス: 意匠法は商標法・特許法より出題頻度が低いですが(0~1問/年)、基本的な登録要件と先使用権は確実に押さえてください。


第14問 実用新案の登録と権利

問題要旨: 実用新案法における登録要件、権利の効果範囲、および技術評価書の位置づけに関する判別。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 知的財産権・実用新案法 — 実用新案の定義、登録要件(簡易性)、権利範囲、技術評価書

解法の思考プロセス: 実用新案は特許法の「簡易版」という位置づけを理解します。

  1. 登録要件の簡易性: 実用新案は特許と異なり「出願順審査」(先願主義)で迅速に登録。実体審査(進歩性の判定)は後付けの「技術評価書」で実施。
  2. 権利の有効期間: 実用新案権は出願日から10年(実用新案法15条)。特許権(出願日から20年)より短い。
  3. 技術評価書の効果: 技術評価書は「参考情報」で、これにより実用新案権が自動消滅するわけではない。ただし侵害訴訟で評価書の評価が考慮される。

具体的選択肢は問題文に依存します。

誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 「技術評価書による無効」と「評価が侵害訴訟に影響」の相違。また「先願主義での登録」と「実体審査の遅延」という特性を見落とします。

学習アドバイス: 実用新案法は年1問未満の低頻度ですが、「簡易性」という本質と「技術評価書」という独特の制度は確実に理解してください。


第15問 著作権の帰属と譲渡

問題要旨: 著作権の原始帰属(著作者)と相続・譲渡による帰属変更、特に「法人が著作者」とされる場合の判定。

K4 因果メカニズム T4 因果推論 L2 Trap-A 逆方向

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 知的財産権・著作権 — 著作権の原始帰属、法人著作、著作権の譲渡

解法の思考プロセス: 著作権の帰属ルールを時系列で理解します。

  1. 原則: 著作者が著作権者: 著作権法15条では「著作者が著作権者」。創作した個人が自動的に権利を取得。
  2. 例外: 法人が著作者: 著作権法15条2項で「仕事の著作」(業務に従事する者が創作し、会社の指示・報酬に基づく)は「法人が著作者」とされることがあります。
  3. 譲渡の効果: 著作権は譲受人に移転。ただし「著作者人格権」(公表権、同一性保持権など)は譲渡不可。

具体的選択肢は問題文に依存します。

誤答の落とし穴 Trap-A 逆方向誘発: 「著作権の帰属先」と「著作者人格権の帰属先」を逆方向に理解。著作権は譲渡可能ですが、著作者人格権は譲渡不可という非対称性を見落とします。

学習アドバイス: 著作権は毎年1~2問出題の重要テーマ。「法人が著作者」という特殊なケースと「著作者人格権の非譲渡性」は必ず出題される重要論点です。


第16問 著作権侵害の判断

問題要旨: 著作権侵害の成立要件。特に「複製権の侵害」「翻案権の侵害」の相違、および「実質的類似性」の判定基準に関する複合問題。

K4 因果メカニズム T4 因果推論 L2 Trap-B 条件すり替え

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 知的財産権・著作権 — 著作権の保護範囲、複製権、翻案権、実質的類似性

解法の思考プロセス: 著作権侵害の判定は「直接複製」と「翻案・改変」で異なります。

  1. 複製権の侵害: 原著作物の「実質的同一」な複製。文字どおりの再現。
  2. 翻案権の侵害: 原著作物の「基本的な表現」を、別の形態で表現しなおしたもの。機械翻訳、言語変換、創作的改編など、「実質的類似性」を判定。
  3. 実質的類似性の判定: 創作的表現部分の同一性を判定。素材や考え方の類似は侵害ではない。

具体的選択肢は問題文に依存します。

誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: 「複製権(文字どおりの再現)」と「翻案権(創作的な改編)」の条件を混同。また「思想・概念」と「表現」の相違を見落とします。

学習アドバイス: 著作権侵害の判断は毎年1~2問出題で、因果推論能力が高度に試される難問です。判例で有名な「キャットアイ事件」「ポパイ事件」など、具体的事例を学習することが有効です。


第17問 著作権の専有的利用許可

問題要旨: 著作権の「専有的利用許可」(独占的ライセンス)と「通常利用許可」の相違、および許可者・被許可者の権利義務に関する判別。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 知的財産権・著作権 — ライセンス(許可)の類型、専有的利用許可の効果

解法の思考プロセス: 著作権ライセンスの形態を理解します。

  1. 専有的利用許可: 被許可者が「他者の利用を排除して独占的に利用できる」ライセンス。許可者自身も利用できず、第三者への再許可も不可(契約で別途許可)。
  2. 通常利用許可: 複数の被許可者が同時に利用可能。許可者も利用継続。
  3. 権利行使: 専有的利用許可の場合、被許可者が侵害に対して訴訟提起できることがあります(契約で規定)。

具体的選択肢は問題文に依存します。

誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 「許可」と「譲渡」の相違。ライセンスは許可であり、著作権の所有権移転ではありません。また「専有的 = 絶対排除」と「通常的 = 複数利用可」の相違を見落とします。

学習アドバイス: 著作権ライセンスは年1問未満の低頻度ですが、基本概念は確実に理解してください。実務では「独占的配給権」「翻訳許可」など多様な形態があります。


その他の法律

第18問 不正競争行為(周知表示冒用)

問題要旨: 不正競争防止法における「周知表示の冒用」の成立要件。特に「周知性」「冒用」の要件と、保護対象(商品形態、パッケージなど)に関する判別。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L1 Trap-D 混同誘発

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 知的財産権・不正競争防止法 — 周知表示冒用、著名表示冒用、侵害行為

解法の思考プロセス: 不正競争の類型を理解します。

  1. 周知表示の冒用: 「他人の商品の形態・パッケージなど」が「日本全域で周知」されている場合、その表示を「類似する商品」で使用する行為は違法。
  2. 著名表示の冒用: 「著名な表示」(商標よりも広い保護)を、関連性がない商品で使用して、顧客混同を生じさせる行為。
  3. 周知性の立証: 「周知」「著名」の立証には市場調査、販売実績、広告宣伝実績などが必要。

具体的選択肢は問題文に依存します。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「商標権」と「周知表示冒用」の保護対象の相違。商標権は「文字・図形・記号」で、意匠法は「形態」で、不正競争防止法は「幅広い表示」で保護します。

学習アドバイス: 不正競争防止法は年1~2問出題で、「周知表示冒用」「著名表示冒用」「模倣品」が主要テーマです。商標法との使い分けを整理してください。


第19問 独占禁止法(カルテル)

問題要旨: 独占禁止法における「カルテル」の構成要件。特に「合意」の成立、「価格カルテル」「生産カルテル」「顧客分割」などの典型形態、および違法性の判定。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 競争法・独占禁止法 — カルテルの定義、典型形態、違法性、制裁

解法の思考プロセス: 独占禁止法の違法カルテルを理解します。

  1. カルテルの定義: 「競争者が価格、生産量、顧客分割などについて合意」する行為。明示的な「契約」が必須。暗黙の調整(言語化されない合意)も「合意」と判定されることがあります。
  2. 違法性: カルテルは「競争制限」を意図し、「消費者に不利益」をもたらすため、原則違法(違法性が推定される)。
  3. 制裁: 違反企業には「課徴金」(売上高の基本10%、中小企業グループは4%)と「刑事罰」(懲役・罰金)が課せられます。

具体的選択肢は問題文に依存します。

誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 「明示的な契約」と「暗黙の調整」の相違。後者も「合意」と判定され違法化されるため、「明示的な契約のみ違法」と誤認しないこと。

学習アドバイス: 独占禁止法は年1~2問出題で、ビジネスの法務コンプライアンスとも密接に関連します。「カルテル」「不当な取引制限」「不公正な取引慣行」の3分類を理解してください。


第20問 消費者契約法の適用除外

問題要旨: 消費者契約法の保護対象と適用除外。特に「消費者」の定義、「事業者」との相違、および適用除外される取引(投資取引、保険商品など)に関する判別。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L1 Trap-D 混同誘発

正解: (公式発表を確認してください)

必要知識: 消費者法・消費者契約法 — 消費者契約法の適用対象、適用除外、契約取消権

解法の思考プロセス: 消費者契約法の保護枠組みを理解します。

  1. 消費者の定義: 「個人で、事業または専門的活動に従事しない者」。事業用の購入は保護対象外。
  2. 事業者: 「商人・会社その他の営利法人」。また個人事業主も含まれることがあります。
  3. 適用除外: 「投資取引」(有価証券の購入など)、「保険商品」(生命保険は保護対象だが、一部の投資型保険は除外)、「事業用取引」などが適用除外。

具体的選択肢は問題文に依存します。

誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「保険契約 = 全て保護対象」と「保険契約の一部(投資型)は除外」を混同。また「事業用購入 = 保護対象外」という原則を見落とします。

学習アドバイス: 消費者契約法は年1~2問出題で、生活実務と密接に関連します。「適用除外」の具体例を5~10項目整理しておくと、迷いなく判定できます。


年度総括

令和2年度の経営法務は、会社法と知的財産権が出題の約70%を占める構成でした。

得点戦略:

  • L1(定義暗記):16問で最大 64 点。確実に取得すべき基礎点。
  • L2(グラフ構造理解):6問で最大 24 点。会社法の複雑な関係図(例:機関設計)や知的財産法の権利範囲を立体的に理解が必須。
  • L3(因果連鎖推論):該当問なし。

年度別の傾向:

  • 改正民法(令和2年施行)の出題が集中(問1, 21〜22)。
  • 会社法は「機関設計」「合併」が定番テーマ。
  • 知的財産権は商標・特許・著作権がバランスよく出題。

学習優先順位:

  1. 会社法の「機関設計」「議事録」「合併」(3問で12点確保)
  2. 民法改正点(詐欺・強迫・法定利率・保証)(3点確保)
  3. 知的財産権の登録要件と権利範囲(5問で20点確保)

分類タグの凡例

知識種類(K)

  • K1 定義・用語: 法律用語の正確な定義を記憶・認識するレベル
  • K2 グラフ形状: グラフの形態、メカニズムの視覚的理解
  • K3 数式・公式: 計算公式、定量的基準の運用
  • K4 因果メカニズム: 「Aが生じると、なぜBが起こるのか」という因果関係の理解
  • K5 制度・基準: 法律制度、規制基準の仕組み全体の理解

思考法(T)

  • T1 正誤判定: 4択の選択肢を「正 vs 誤」で判定する純粋な正誤判定
  • T2 グラフ読解: グラフから数値・関係を読み取り、正誤を判定
  • T3 計算実行: 計算公式を適用して答値を求める
  • T4 因果推論: 「もし X なら Y になる」という条件付き推論
  • T5 場合分け: 複数の場面・パターンに応じた分類判定

形式層(L)

  • L1 定義暗記: 用語の定義を知っているかの純粋な確認問題。グラフ・計算・推論なし
  • L2 グラフ構造理解: グラフの見方、メカニズムの立体的理解が必要な問題
  • L3 因果連鎖推論: 「A → B → C」と複数段階の推論が必要な問題

罠パターン(Trap)

  • Trap-A 逆方向: 因果関係を逆に理解する罠(「利益が出ると利益率も上がる」vs「利益率が上がると利益も増える」など)
  • Trap-B 条件すり替え: 前提条件を見落とし、別の条件に置き換える罠
  • Trap-C 部分正解: 一部は正しいが、全体としては誤りという罠
  • Trap-D 混同誘発: 似た概念を混同させる罠
  • Trap-E 計算ミス: 計算過程での符号違い、単位忘れなど

分類タグ凡例

タグ意味
K1 定義・用語用語の正確な意味を問う
K2 グラフ形状グラフの読み取り・形状判断
K3 数式・公式公式の適用・計算
K4 因果メカニズム原因→結果の論理連鎖
K5 制度・データ法制度・統計データの知識
T1 正誤判定選択肢の正誤を判定
T2 グラフ読解グラフから情報を読み取る
T3 計算実行数値計算を実行
T4 因果推論因果関係を推論
T5 場合分け条件による場合分け
L1 基礎基本知識で解ける
L2 応用知識の組み合わせが必要
L3 高度複数ステップの推論が必要
L4 最難度高度な分析力が必要
Trap 逆方向誘発因果の向きを逆に誘導
Trap 混同誘発類似概念を混同させる
Trap 部分正解部分的に正しい選択肢で誘導
Trap 条件すり替え前提条件を変えて誘導
Trap 計算ミス計算過程での間違いを誘発

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