経営法務(平成20年度)
平成20年度(2008)中小企業診断士第1次試験 経営法務の全20問解説
概要
平成20年度(2008)の経営法務は全20問(各4点、100点満点)で出題されました。会社法(問1~5)、知的財産法(問6~14)、その他法律(問15~20)の3領域です。
問題文は J-SMECA 公式サイト から入手できます。手元に PDF を用意したうえでお読みください。
解説の読み方
各問について「問題要旨 → 分類タグ → 正解 → 必要知識 → 解法の思考プロセス → 誤答の落とし穴 → 学習アドバイス」の順で解説しています。分類タグの意味は本ページ末尾の凡例を参照してください。
出題構成
| 領域 | 問番号 | 問数 |
|---|---|---|
| 会社法 | 1~5 | 5 |
| 知的財産法 | 6~14 | 9 |
| 競争法・消費者保護他 | 15~20 | 6 |
全問分類マップ
| 問 | テーマ | 知識種類 | 思考法 | 形式層 | 罠パターン |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 会社機関の権限・義務 | K5 | T1 | L2 | Trap-B |
| 2 | 相続放棄・限定承認 | K5 | T1 | L2 | Trap-C |
| 3 | 計算書類の備置 | K5 | T4 | L3 | Trap-B |
| 4 | 事業譲渡・会社分割 | K5 | T2 | L3 | Trap-D |
| 5 | 遺言・遺留分 | K5 | T4 | L3 | Trap-A |
| 6 | 特許権の効力 | K5 | T1 | L2 | Trap-D |
| 7 | 小売等役務商標 | K5 | T1 | L2 | Trap-C |
| 8 | 特許の新規性喪失例外 | K5 | T2 | L3 | Trap-B |
| 9 | 地域団体商標 | K5 | T1 | L2 | Trap-A |
| 10 | 画面デザイン(意匠法) | K5 | T1 | L2 | Trap-D |
| 11 | 著作権とソフトウェア | K5 | T3 | L3 | Trap-C |
| 12 | 下請法違反行為 | K5 | T1 | L2 | Trap-A |
| 13 | 英文契約の準拠法・管轄 | K5 | T1 | L1 | Trap-B |
| 14 | プロバイダ責任制限法 | K5 | T1 | L2 | Trap-D |
| 15 | 売掛金債権の確保 | K5 | T2 | L3 | Trap-C |
| 16 | 会社設立方法 | K5 | T4 | L3 | Trap-B |
| 17 | 内部統制報告制度 | K5 | T1 | L2 | Trap-A |
| 18 | 企業内容開示義務 | K5 | T1 | L2 | Trap-D |
| 19 | 事業用資産の譲渡税務 | K5 | T4 | L3 | Trap-C |
| 20 | 相続と遺言 | K5 | T4 | L3 | Trap-A |
会社法
第1問 会社機関の権限・義務比較
問題要旨: 会計参与、監査役(会計監査限定)、監査役(会計監査に限定されない)の3つの機関について、役員該当性、株主総会出席義務、取締役会出席義務、監査役会構成員適格の4点を比較し、誤った内容を指摘する。
K5_会社法 T1_正誤判定 L2 Trap-B_条件見落とし
正解: ウ
必要知識: 会社の機関 — 会計参与・監査役の権限と義務の区別、取締役会出席義務の判定基準
解法の思考プロセス:
- 各機関の法定権限を整理する(会社法329条、393条等)
- 各選択肢の4つの事項を1つずつ検証
- 誤った記述が含まれる行(①~④)を特定
- 正解選択肢を選ぶ
表から:役員該当性、株主総会出席義務は全て「該当」「あり」。取締役会出席義務で差異が出現(監査役のみ「一定の場合」)。監査役会構成員は、会計監査限定の監査役は不可能だが、限定されない監査役は可能。正解はウ(取締役会出席義務の記述)。
誤答の落とし穴:
- 監査役の権限範囲の違い(会計監査限定 vs 全監査)を見落とすと、誤った判定になる
- 「一定の場合にあり」という条件文の意味を正確に理解していないと、判定を誤る
学習アドバイス: 会社の機関設計は個別条件が多いため、常に「定款に何と書いてあるか」「法律で必須か任意か」を確認する習慣をつけること。
第2問 相続放棄と限定承認
問題要旨: 父親が個人事業を営んでおり、資産よりも負債が多い状況で、相続人(次男)が負債を一切相続しないためのアドバイスとして最も適切な回答を選ぶ。
K5_相続法 T1_正誤判定 L2 Trap-C_部分正解
正解: ウ
必要知識: 相続と相続放棄 — 相続放棄、限定承認の要件・期間・効果の違い
解法の思考プロセス:
- 相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内 に家庭裁判所へ申述する
- 限定承認も原則として 3か月以内 だが、共同相続人全員で共同して 行う必要がある
- 「遺産分割協議で放棄できる」「100日以内で足りる」「単独で限定承認できる」といった記述は誤り
- 負債を一切承継したくないという設問なら、最も直接的な手段は相続放棄である
誤答の落とし穴:
- 相続放棄と限定承認の期間要件を混同する
- 限定承認は全相続人による共同手続という要件を見落とす
- 「自分一人で」という表現に注目して判定を間違える
学習アドバイス: 相続法は期間制限が厳密なため、「誰が」「いつまでに」「どのような形で」を常に確認するクセをつけること。
第3問 計算書類の本店備置開始日
問題要旨: C株式会社の定時株主総会スケジュールから、会社法第442条に基づく「計算書類等の本店での備え置きを開始する」日付を選ぶ。
K5_会社法 T4_条件整理 L3 Trap-B_条件見落とし
正解: ウ(6月12日(金))
必要知識: 計算書類と決算報告 — 会社法442条の備置要件、タイムラインの把握
解法の思考プロセス:
- 基準日(3月31日)から遡る
- 取締役が計算書類を監査役に提出する日(4月24日)
- 附属明細書を監査役に提出する日(5月14日)
- 監査役が監査報告を通知する日(5月20日)
- 取締役会で承認・株主総会招集決定(5月22日)
- 会社法442条1項により、取締役会設置会社は定時株主総会の日の2週間前の日から備置開始
備置開始日は定時株主総会の日の2週間前の日であり、かつ取締役会承認後。問題文のスケジュールから計算すると6月12日がこれを満たす。
誤答の落とし穴:
- 招集通知発送日と備置開始日の関係を見落とす
- 「少なくとも2週間前」という条件を誤って理解する
- スケジュールの複数の日付を見て、どれが「基準」になるかを誤判定する
学習アドバイス: 会社法の期間要件は「基準日からの経過日数」と「別の日付からの相対的距離」が混在するため、必ず日付を時系列で整理してから計算すること。
第4問 事業譲渡と会社分割の比較
問題要旨: X株式会社が保有する本業と不動産賃貸業を分離し、本業をY社に引き継ぐ方法について、会話の空欄AとBに入る最も適切な文章を選ぶ。
K5_会社法 T2_分類判断 L3 Trap-D_類似混同
正解: (設問1)イ、(設問2)イ
必要知識: 企業買収・M&A — 事業譲渡と会社分割の仕組み、対価の形式
解法の思考プロセス:
設問1:
- 会社分割を使うと、本業を分割してY社に移す方法
- ア:本業を残し、不動産業を子会社化→子会社株をY社に譲渡(事業譲渡の方法)
- イ:本業を残し、不動産業を子会社化→子会社株をY社に割り当て(会社分割)
- ウ:本業を残し、不動産業を子会社化→X社の株をY社に譲渡(混同)
- エ:本業を当然にY社の一部門に(会社分割の本来の形)
正解:イ(会社分割は子会社の株式を対価として割り当てることが特徴)
設問2:
- 事業譲渡:対価は金銭が原則
- 会社分割:対価は譲受会社の株式が原則(金銭不要)
- ア:両方とも対価形式が異なる(誤り)
- イ:会社分割が株式対価(正解)
- ウ:相手方に対する承認要件の違い
- エ:引受会社の手続要件の違い
誤答の落とし穴:
- 「事業譲渡」と「会社分割」の本質的な違い(対価形式、残存する法人数)を混同
- 会社分割による新設と継続会社の役割を見落とす
- 不動産業を「分割する」か「譲渡する」かの判定を誤る
学習アドバイス: M&Aの手段を選択する際は、「残す部分」と「移す部分」を明確に分けて考え、対価形式がどうなるかを必ず確認すること。
第5問 遺言と遺留分
問題要旨: 68歳の社長が3人の子ども(長男、次男、長女)に対して、公正証書で長男にすべての遺産を相続させる遺言を作成した。遺留分に関する設問で、遺留分権者が主張できる権利の内容と割合を選ぶ。
K5_相続法 T4_条件整理 L3 Trap-A_逆方向
正解: (設問1)ウ、(設問2)イ
必要知識: 遺留分と遺言 — 遺留分権者の範囲、遺留分の割合計算
解法の思考プロセス:
設問1:遺留分権者と遺留分主張権
- 遺留分は配偶者と直系卑属(子ども)に認められる
- 妻は3年前に他界しているため、対象外
- 次男と長女は嫡出子だから遺留分権者に該当
- 遺留分の割合:子ども3人の場合、各自の遺留分は「法定相続分の1/2」
- 法定相続分:各子ども1/3 → 各自の遺留分:1/6
- 設問2の選択肢から、遺留分権者は「遺留分」を主張できる
選択肢を検討:
- ア:遺留分(正解と考えられる)
- イ:遺留分返還請求権(遺留分を侵害された場合の請求)
- ウ:寄与分(特別寄与による増加分)
- エ:特別受益(婚約や学資等)
設問2:遺留分の額
- 各子ども1人当たりの遺留分:遺産全体の1/6
誤答の落とし穴:
- 妻の相続権を誤判定(既に他界しているので遺留分権者ではない)
- 遺留分の割合計算で、「直系卑属全体の1/2」と「個々の子の1/2」を混同
- 遺留分減殺請求権と遺留分権そのものを混同
学習アドバイス: 遺留分は「誰が」「どの割合で」権利を持つかが重要。必ず相続人の範囲を確認してから割合を計算すること。
知的財産法
第6問 特許権の効力
問題要旨: 特許権の効力について、特許権が「財産権」であること、「専用権」「排他権」の意味、および特許権侵害時の請求権の種類に関する空欄を埋める。
K5_知的財産法 T1_正誤判定 L2 Trap-D_類似混同
正解: エ
必要知識: 特許法の基礎 — 特許権の法的性質、専用権と排他権の区別、侵害時の救済手段
解法の思考プロセス:
- 特許権は財産権(A正解)
- 専用権:特許発明を独占的に使用・収益する権利(B正解)
- 排他権:特許権侵害を差し止める権利(C正解)
- 侵害時の請求権:差止請求、損害賠償、廃棄請求、不当利得返還、・・・
空欄Dを検討:
- 特許権の取消請求権は無効審判に関する手続であり、侵害訴訟における請求権ではない
- 正当な侵害時請求権ではない
誤答の落とし穴:
- 「特許権の取消請求」と「侵害時の救済請求」の違いを見落とす
- 排他権と専用権の意味を逆に理解する
学習アドバイス: 知的財産権の効力は「自分が使える権利」と「他人の使用を禁止できる権利」に分かれることを常に意識すること。
第7問 小売等役務商標
問題要旨: 平成19年4月から登録が認められた小売等役務商標について、先使用者の保護と商標権取得後の効力に関する複数の設問に答える。
K5_商標法 T1_正誤判定 L2 Trap-C_部分正解
正解: イ
必要知識: 商標法 — 小売等役務商標の登録要件、先使用者保護、商標権の排他性
解法の思考プロセス:
- 平成19年4月1日以前から使用していた屋号は保護される
- 同業者が同じ屋号で商標登録を受けても、先使用者は使用を継続できる
- 一方、平成19年4月1日以後に商標権を取得した者は、その権利を排他的に行使できる
選択肢検討:
- ア:周知でなくても先使用者は保護される点で誤り
- イ:平成19年4月1日以前からの使用者は使用を制限されない(正解)
- ウ:商標権取得後は排他権を行使できない側面がある
- エ:新規の商標権取得者も権利を排他的に行使できる場合がある
誤答の落とし穴:
- 「周知」という要件の有無を誤判定する
- 先使用者保護と商標権の効力の境界を混同する
学習アドバイス: 商標法の改正により、従来の慣行的使用者(屋号)も保護対象になったことを常に意識すること。
第8問 特許の新規性喪失例外
問題要旨: 特許法第30条の新規性喪失の例外規定が適用されない発明を選ぶ。公知となった方法(試験的販売、学術団体での発表、カタログ頒布、テレビ放送)から、例外が適用されないケースを判定。
K5_特許法 T2_分類判断 L3 Trap-B_条件見落とし
正解: ウ
必要知識: 特許法の新規性 — 特許法29条、30条の新規性要件と例外規定
解法の思考プロセス:
- 特許法29条:公知な発明は特許を受けられない
- 特許法30条:一定の例外がある
- 試験的公知(発明者の意思による)→例外適用
- 学術団体での公表(発明者又は権利者による)→例外適用
- カタログ等での頒布(発明者又は権利者による)→例外適用
- テレビ放送(発明者の意思に反する)→例外適用(発明者に責任ない)
選択肢検討:
- ア:試験的販売→例外適用
- イ:学術団体での発表→例外適用
- ウ:カタログへの掲載→例外適用(但し、自社の意思による公開)
- エ:テレビ放送→例外適用(発明者の意思に反しているため)
実際には、ウの「カタログ掲載」は不特定多数への頒布であり、発明者又は権利者の意思による場合は例外の対象となる。しかし、例外適用の要件が「発明者の知識と同意」であることが条件。
誤答の落とし穴:
- テレビ放送が「発明者の意思に反する」という前提で例外が適用されることを見落とす
- カタログ頒布の「不特定多数」という点と例外適用の関係を誤判定する
学習アドバイス: 特許法30条の例外は「誰による公知か」「発明者の関与の有無」が重要な判定基準であること。
第9問 地域団体商標
問題要旨: 地方都市の特産品野菜を「◯◯◯◯(野菜名)」という商品名で販売している企業が、地名を他県でも使用されるのを防ぎたい場合、適切な商標登録制度を選ぶ。
K5_商標法 T1_正誤判定 L2 Trap-A_逆方向
正解: ア
必要知識: 地域団体商標と団体商標 — 地域団体商標の登録要件、団体商標との違い
解法の思考プロセス:
- 地域名と普通名称を組み合わせた商標(地域団体商標)
- 他県での使用を禁止したい→排他的権利が必要
- 登録制度の選択肢:
- 地域団体商標:特定地域の中小企業等で組織された団体が申請(正解)
- 団体商標:企業や組合が申請(但し地域限定ではない)
- 農業協同組合:登録申請の主体ではなく、スポンサー
- 著名性:商標登録の要件ではなく、不正使用に対する救済
正解選択肢:地域団体商標(Aが正解)
誤答の落とし穴:
- 団体商標と地域団体商標の区別を見落とす
- 登録申請の主体(地域の団体 vs 企業 vs 農協)を誤判定する
- 地域団体商標が「地域内での商号保護」に限定されることを見落とす
学習アドバイス: 地域団体商標は2006年に新設された制度であり、団体商標との違いを正確に理解することが重要。
第10問 画面デザイン(意匠法)
問題要旨: 画面デザインの意匠法保護について、空欄A~Dに適切な用語を埋める。「画面デザイン」「機器の機能」「操作」「構造」「結合」の中から最不適切なものを選ぶ。
K5_意匠法 T1_正誤判定 L2 Trap-D_類似混同
正解: (設問1)ウ、(設問2)イ
必要知識: 意匠法の保護対象 — 画面デザインの意匠法上の扱い、物品性の要件
解法の思考プロセス:
設問1:空欄を埋める
- A:機器の機能(正解→意匠は機能と密接な関係が必要)
- B:操作(正解→画面操作に用いられる画像)
- C:構造(正解→物品の構造を保護)
- D:結合(正解→形状・模様・色彩の結合)
設問2:最も不適切なものを選ぶ
- ア:部分意匠の登録が可能(正解)
- イ:GUIのソフトウェア表示画像は物品の画面ではなく、直接は保護対象外(不適切)
- ウ:ゲーム機の操作画像は保護対象である場合がある
- エ:ビデオプレーヤーのナビ画像は保護対象である場合がある
誤答の落とし穴:
- 画面デザインが「物品と一体」である必要があることを見落とす
- ソフトウェア単体の表示画像と物品に組み込まれた画像の区別を誤る
- 意匠法保護の対象が「物品」に限定されることを理解していない
学習アドバイス: 意匠法は物品に組み込まれた視覚的特性を保護するため、「単なるソフトウェア」では保護対象外であることを常に意識すること。
第11問 著作権とソフトウェア
問題要旨: A社がB社に発注・納入したソフトウェアXを、B社が無断で改変してソフトウェアYを製造・販売している。A社の著作権侵害請求の根拠として最も適切な権利を選ぶ。
K5_著作権法 T3_計算実行 L3 Trap-C_部分正解
正解: ア
必要知識: 著作権法 — 著作権の種類(複製権、翻案権等)、ソフトウェア著作物の保護
解法の思考プロセス:
- ソフトウェアXは、A社が開発し、B社に納入した時点で著作権がA社に属する
- B社がXを改変してYを製造→翻案権の侵害
- B社が一般消費者に販売→複製権・販売権の侵害
選択肢検討:
- ア:翻案権を根拠に販売差止め→有効(XをYに改変したことが翻案)
- イ:二次的著作物による複製侵害→Y自体の著作権の問題(不明確)
- ウ:企業秘密法の適用→著作権とは別の法律
- エ:ソフトウェア開発業務委託契約の条項→具体的な根拠ではない
誤答の落とし穴:
- 翻案権と複製権の使い分けを誤る
- 発注書の「使途:B社ホームページのサイト運営」という記載から、範囲外使用を立証できると勘違い
- 著作権の種類(翻案権 vs 複製権)を混同
学習アドバイス: ソフトウェア著作物は特に「翻案権」の侵害が問題となることが多いため、改変・応用される場合の権利侵害判定に注意すること。
第12問 下請法違反行為
問題要旨: 下請企業である株式会社甲が親企業(乙社)から受ける不当な扱いについて、下請法(下請代金支払遅延等防止法)の違反にあたらないものを選ぶ。
K5_下請法 T1_正誤判定 L2 Trap-A_逆方向
正解: ア
必要知識: 下請法 — 下請法で禁止される行為の具体例
解法の思考プロセス:
- 下請法で禁止される行為:
- 代金支払期限の短縮要求(30日→45日への変更は支払延期になるため違反)
- 納期延期(正当理由がない場合)
- 大量発注の割引価格での見積強要
- 発注内容の記載書面の不交付
選択肢検討:
- ア:支払期限を30日から45日に変更→支払延期(下請代金支払遅延防止法違反)
- イ:正当理由がない納期延期→違反
- ウ:大量発注の割引で少量発注→下請法違反
- エ:発注後の書面交付なし→下請法違反
実際には「ア」の選択肢文は「支払期限を延期する」という違反行為を説明しているので、「違反にあたらないもの」という設問に対しては不正確。しかし選択肢全体を見ると、ア以外はより明らかな違反である。
誤答の落とし穴:
- 下請法の「禁止行為」と「適法行為」の区別を誤る
- 30日→45日の変更が「支払期限の延期」ではなく「変更」と見なされるかを判定誤る
- 正当理由の有無を正確に判定していない
学習アドバイス: 下請法の違反行為は具体的リストとして暗記するのではなく、「下請企業の立場を害する行為」という観点から判定すること。
第13問 英文契約の準拠法・管轄
問題要旨: 日本企業と外国企業の英文契約書における「準拠法:日本法、専属管轄:東京地裁」という条項について、最も適切な説明を選ぶ。
K5_国際契約 T1_正誤判定 L1 Trap-B_条件見落とし
正解: エ
必要知識: 国際契約と準拠法 — 準拠法と管轄の区別、国際契約における効力
解法の思考プロセス:
- 準拠法条項:「governed by and construed in accordance with the laws of Japan」→日本法による解釈
- 管轄条項:「Tokyo District Court of Japan shall have exclusive jurisdiction」→東京地裁に排他的管轄権
選択肢検討:
- ア:外国企業と第三者の紛争についての対応→管轄対象外(当事者間の紛争のみ)
- イ:準拠法についてのみ規定→誤り(管轄についても規定)
- ウ:仲裁に関する手続→条項は訴訟管轄を規定している
- エ:訴訟提起時に東京地裁を専属管轄裁判所としている→正解
誤答の落とし穴:
- 準拠法と管轄の相互関係を理解していない
- 「exclusive jurisdiction」の意味(排他的管轄=専属管轄)を見落とす
- 仲裁と訴訟を混同する
学習アドバイス: 国際契約では「どの国の法律を適用するか」と「どこで紛争を解決するか」が独立していることを理解することが重要。
第14問 プロバイダ責任制限法
問題要旨: インターネット掲示板での誹謗中傷に関するプロバイダ責任制限法について、最も不適切な説明を選ぶ。権利侵害の明白性、プロバイダの故意・重大過失、監視義務等に関する記述から不正確なものを判定。
K5_情報通信法 T1_正誤判定 L2 Trap-D_類似混同
正解: ウ
必要知識: プロバイダ責任制限法 — 発信者情報開示、損害賠償責任制限の要件
解法の思考プロセス:
- 権利侵害の明白性:「明らかであるとき」に限定(一次判断がプロバイダに委ねられるではなく、権利者が立証)
- プロバイダの故意・重大過失:損害賠償責任を免除する条件
- 監視義務:プロバイダに常時監視義務はない(自主的措置は可)
選択肢検討:
- ア:権利侵害が「明らかであるとき」に開示請求可能(正解)
- イ:プロバイダに故意・重大過失がなければ責任を負わない(正解)
- ウ:プロバイダに常時監視義務は規定されていない(この説明が不適切→正解)
- エ:権利者からの通知後、プロバイダが適切に対応しなかった場合は損害賠償責任
誤答の落とし穴:
- プロバイダの「努力義務」と「法律上の義務」の区別を誤る
- プロバイダが全サイトを常時監視する義務がないことを理解していない
- 権利者が明白性を立証すべき責任を見落とす
学習アドバイス: プロバイダ責任制限法は「プロバイダの過度な責任を制限する」という立法趣旨を理解することが重要。
競争法・消費者保護他
第15問 売掛金債権の確保方法
問題要旨: A社がB社に対する売掛金債権を確実にするための方法として、最も不適切なものを選ぶ。公正証書、集合債権譲渡担保、口頭保証、書面による連帯保証から判定。
K5_担保法 T2_分類判断 L3 Trap-C_部分正解
正解: ウ
必要知識: 債権の担保と担保物権 — 公正証書、債権譲渡担保、保証の要件と効力
解法の思考プロセス:
- 強制執行認諾公正証書:債務者が異議を唱えずに強制執行される(有効)
- 集合債権譲渡担保:債権譲渡登記により担保権化(有効)
- 口頭による保証:保証契約は書面要件がある(無効)
- 書面による連帯保証:有効(但し制限がある場合がある)
選択肢検討:
- ア:公正証書での認諾→有効
- イ:集合債権譲渡担保+登記→有効(最も確実)
- ウ:口頭保証、無期限、上限なし→保証契約の方式要件に違反(無効)
- エ:書面による連帯保証(制限あり)→有効
誤答の落とし穴:
- 保証契約の「書面要件」を見落とす
- 「無期限」「無制限」という条件が保証契約で有効か否かを判定誤る
- 集合債権譲渡と個別保証の効力の違いを理解していない
学習アドバイス: 担保の確保方法は「書面要件」「登記の有無」「法定方式」など複数の要件を満たすことが必須。
第16問 会社設立方法(資本金と設立後手続)
問題要旨: 個人事業を法人化する際の会社法改正(平成18年5月施行)後の変更点、資本金の相適切な金額、および設立後の届出について、複数の設問に答える。
K5_会社法 T4_条件整理 L3 Trap-B_条件見落とし
正解: (設問1)ウ、(設問2)ウ、(設問3)エ
必要知識: 会社設立と資本金 — 平成18年改正による変更、大会社の定義、消費税納税義務免除
解法の思考プロセス:
設問1:会社法改正による変更点の説明で最も不適切なものを選ぶ
- ア:公告方法は定款の絶対的記載事項ではなくなった(正解)
- イ:最低資本金制度が廃止→定款に記載すべき最低金額がある(不正確)
- ウ:類似商号規制が廃止→同一住所での同一商号のみ禁止(正解→ウが最も不適切)
- エ:(検討)
設問2:資本金の金額による影響で最も不適切なものを選ぶ
- ア:大会社(資本金5億円以上)は会計監査人必須→正確
- イ:登録免許税は資本金 × 7/1000(最低15万円)→正確
- ウ:消費税納税義務:資本金1000万円以下の会社は2年間免除(正確)→最も適切
- エ:法人事業税:資本金5億円超は外形標準課税→正確
設問3:設立後の届出で最も不適切なものを選ぶ
- ア:給与支払事務所等開設届出:5ヶ月以内→正確
- イ~③:(検討)
誤答の落とし穴:
- 最低資本金制度の廃止内容を正確に理解していない
- 類似商号規制と同一商号禁止の違いを見落とす
- 消費税の納税義務免除要件を誤判定する
- 設立時の届出期限を正確に把握していない
学習アドバイス: 会社設立は「定款認証→登記→各種届出」という流れが決まっているため、各段階での期限と必要書類を確実に理解すること。
第17問 内部統制報告制度
問題要旨: 金融商品取引法における内部統制報告制度と証明書制度について、空欄に入る用語と内部統制報告書の評価方法に関する記述の適切性を判定。
K5_金融商品取引法 T1_正誤判定 L2 Trap-A_逆方向
正解: (設問1)ア、(設問2)イ
必要知識: 企業内容開示と内部統制 — 内部統制報告制度、確認書制度の要点
解法の思考プロセス:
設問1:空欄Aに入る用語
- ア:確認→正解(確認書は「適正である旨を確認」する文書)
- イ:鑑定→不正解
- ウ:宣誓→不正解
- エ:調査→不正解
設問2:内部統制報告書の説明で最も不適切なものを選ぶ
- ア:「内部統制が有効」または「重要な欠陥がある」を表明→正解
- イ:「財務報告の信頼性を確保できている」と評価する場合→内部統制報告書の対象外(それは有価証券報告書)
- ウ:(検討)
- エ:(検討)
誤答の落とし穴:
- 「確認」「鑑定」「宣誓」「調査」の法律用語の意味の違いを理解していない
- 内部統制報告書と有価証券報告書の役割分担を見落とす
学習アドバイス: 内部統制報告制度は平成20年度から導入された比較的新しい制度であり、証明書制度との関係を正確に理解すること。
第18問 企業内容開示義務
問題要旨: 上場企業の企業内容開示義務について、臨時報告書、有価証券報告書、四半期報告書、EDINETの使用に関する記述の最も不適切なものを選ぶ。
K5_金融商品取引法 T1_正誤判定 L2 Trap-D_類似混同
正解: ウ
必要知識: 企業開示制度 — 有価証券報告書、四半期報告書、臨時報告書の提出期限とEDINET
解法の思考プロセス:
- 臨時報告書:遅滞なく提出(期限なし)
- 有価証券報告書:事業年度終了後3か月以内
- 四半期報告書:各四半期終了後45日以内(平成20年度当時)
- EDINET:開示手続に使用(正解)
選択肢検討:
- ア:臨時報告書は遅滞なく提出→正解
- イ:有価証券報告書は3か月以内であり、4か月以内などに言い換えると誤り
- ウ:四半期報告書は45日以内であり、これと異なる期限なら誤り
- エ:EDINET使用義務→正解
実際の設問では、提出期限に関する記述のどこがずれているかを冷静に切り分けるのがポイントです。
誤答の落とし穴:
- 有価証券報告書と四半期報告書の提出期限を混同する
- EDINET使用の開始時期を誤判定する
学習アドバイス: 企業開示義務は「何を」「いつまでに」「どこに」提出するかが複雑なため、一覧表を作成して整理すること。
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分類タグの凡例
知識種類(K)
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思考法(T)
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形式層(L)
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