財務・会計(平成20年度)
平成20年度(2008)中小企業診断士第1次試験 財務・会計の全25問解説
概要
平成20年度(2008)の財務・会計は全25問です。ただし、第6問が2設問なので、公式正答は26件あります。
前半は簿記・会計基礎が中心で、問11〜13で経営分析と CVP、問14〜25でファイナンスが続きます。とくに平成20年度は、設問の数え方 と 訂正の有無 を取り違えると、以後の答えが全部ずれて見えやすい年度です。
問題文は J-SMECA 試験問題ページ から、正答は 訂正版正答 PDF と 2008-08-19 訂正 PDF を参照してください。
簿記・会計基礎
第1問 支店勘定による未達事項整理
問題要旨: 未達事項整理後の支店勘定残高の計算式を選ぶ。
K4 手続・手順 T3 計算実行 L2 Trap-B 条件見落とし
正解: ウ
必要知識: 支店独立会計と本支店統一会計 — 支店勘定の増減方向
解法の思考プロセス:
未達事項のうち、支店勘定を動かすのは 支店から本店への送金 60,000円 と 本店の販売費 21,000円を支店が立替払い の2つです。
- 本店から支店への商品発送 98,000円: 本店側ではすでに支店勘定に反映済み
- 支店売掛金 162,000円の本店回収: 本店側で支店債権を直接回収しており、未達整理でこの式には入れない
- 支店から本店への送金 60,000円: 本店で未記帳なので支店勘定を減らす
- 支店が本店費用を立替払い 21,000円: 本店から見れば支店資産が減っているので支店勘定を減らす
したがって計算式は
202,000 - 60,000 - 21,000
となり、ウです。
誤答の落とし穴:
- 商品発送や本店回収まで全部機械的に足し引きしてしまう
誰の帳簿で未記帳かを見ずに整理する
学習アドバイス:
未達事項整理では、まず 本店側でまだ記帳していないのはどれか を確認してください。ここを見ないと符号が崩れます。
第2問 先入先出法による月次売上原価
問題要旨: 先入先出法で当月の売上原価を求める。
K3 数式・公式 T3 計算実行 L2 Trap-E 計算ミス
正解: ア(65,200円)
必要知識: 棚卸資産評価方法 — 先入先出法
解法の思考プロセス:
12日の売上90個は、古い順に
- 前月繰越 50個 × 400 = 20,000
- 7日仕入 40個 × 400 = 16,000
で、36,000円です。
26日の売上70個は、12日後に残った 40個@400 と、19日仕入から 30個@440 を使うので
- 40個 × 400 = 16,000
- 30個 × 440 = 13,200
で、29,200円です。
よって月次売上原価は
36,000 + 29,200 = 65,200円
となります。
誤答の落とし穴:
- 26日の払出で新しい仕入から先に出してしまう
- 月全体の売上数量160個だけを見て平均単価で処理してしまう
学習アドバイス:
先入先出法は その時点で残っている一番古い在庫から出す だけです。売上日ごとに区切って追うと迷いません。
第3問 繰延資産に計上できるもの
問題要旨: 繰延資産として認められる項目の組み合わせを選ぶ。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 類似混同
正解: イ(aとd)
必要知識: 資産会計 — 繰延資産
解法の思考プロセス:
繰延資産として認められる代表例は、株式交付費 と 創立費 です。
- a 株式交付費: 繰延資産
- b 研究開発費: 原則として費用
- c 社債発行差金: ここでは繰延資産ではない
- d 創立費: 繰延資産
したがって、イが正解です。
誤答の落とし穴:
- 研究開発費を何でも資産化できると思い込む
- 社債発行差金と社債発行費を混同する
学習アドバイス:
この論点は、あとで配分してよい支出か と その場で費用にすべきか を分けて覚えると整理しやすいです。
第4問 公債取得原価と経過利息
問題要旨: 公債購入時の取得原価を求める。
K4 手続・手順 T3 計算実行 L2 Trap-B 条件見落とし
正解: イ
必要知識: 有価証券の取得と評価 — 債券購入時の経過利息
解法の思考プロセス:
問題文に 債券価格には経過利息が含まれず とあるので、取得原価に入るのは純粋な購入代価だけです。
したがって取得原価は
5,000,000 × 0.98
です。
端数利息は別途支払っていても、これは次回利払日に回収される性質のもので、取得原価には入れません。
誤答の落とし穴:
- 経過利息まで取得原価に入れてしまう
額面総額と買入単価の掛け算をせずに 5,000,000 円のままにする
学習アドバイス:
債券売買では、本体価格 と 経過利息 を分けるのが基本です。問題文の「含む / 含まない」を必ず確認してください。
第5問 引当金の要件と表示場所
問題要旨: 引当金の定義と貸借対照表表示を選ぶ。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 類似混同
正解: エ(②とc)
必要知識: 負債と引当金 — 引当金の計上要件
解法の思考プロセス:
引当金は、
- 当期以前の事象に起因し
- 発生可能性が高く
- 金額を合理的に見積もれる
場合に計上します。したがって A 群は ② です。
また引当金残高は、一般には負債の部に出ますが、貸倒引当金のように資産の控除として表示されるものもあります。したがって B 群は c です。
誤答の落とし穴:
- 繰延資産の説明
①を引当金の要件と混同する - 引当金は必ず負債の部だと思い込む
学習アドバイス:
引当金は 将来の費用・損失への備え、繰延資産は 将来に配分する支出 です。似ていても向きが逆です。
第6問 キャッシュ・フロー計算書
問題要旨: 間接法の営業 CF と、営業収入・仕入支出を求める。
設問1:空欄 A と B
K4 手続・手順 T3 計算実行 L3 Trap-E 計算ミス
正解: ウ(A = 600、B = -2,000)
必要知識: キャッシュ・フロー計算書 — 間接法
解法の思考プロセス:
営業活動による CF が 3,000 千円なので、小計は
3,000 - 4,700 + 6,200 + 9,000 = 13,500
です。
一方、小計は
25,000 + 8,000 + A - 4,300 + 7,200 + B - 10,000 + 6,000 - 17,000
なので、
14,900 + A + B = 13,500
A + B = -1,400
これを満たすのは A = 600、B = -2,000 のウです。
貸倒引当金増加額は非資金費用なのでプラス、固定資産売却益は営業外で差し引くのでマイナスになります。
誤答の落とし穴:
- 売却益 B をプラスのまま入れる
- 営業活動による CF から逆算するのではなく、感覚で符号を置く
学習アドバイス:
間接法は 最終営業 CF → 小計 → 個別調整 と逆算すると、符号ミスを減らせます。
設問2:営業収入と仕入支出
K4 手続・手順 T3 計算実行 L3 Trap-B 条件見落とし
正解: ウ(営業収入 210,000、仕入支出 171,000)
必要知識: キャッシュ・フロー計算書 — 営業収入と仕入支出の考え方
解法の思考プロセス:
営業収入は、売上高 220,000 から売上債権増加 10,000 を引くので
220,000 - 10,000 = 210,000
です。
仕入による支出は、まず棚卸資産減少 6,000 なので当期仕入高は
160,000 - 6,000 = 154,000
です。さらに仕入債務が 17,000 減っているので、現金支払額は
154,000 + 17,000 = 171,000
となります。
誤答の落とし穴:
- 棚卸資産の減少を足してしまう
- 仕入債務の減少を
支払減と誤読する
学習アドバイス:
仕入支出は 当期仕入高 と 仕入債務の増減 を切り分けて考えると崩れません。
第7問 企業結合とのれん・少数株主持分
問題要旨: 株式取得時ののれんと少数株主持分の計算式を選ぶ。
K4 手続・手順 T3 計算実行 L2 Trap-E 計算ミス
正解: ウ
必要知識: 企業結合と連結会計 — のれんと少数株主持分
解法の思考プロセス:
J 社の純資産は
30,000 - 20,000 = 10,000
です。
I 社は 70% を 8,000 で取得しているので、のれんは
8,000 - 10,000 × 0.7
少数株主持分は
10,000 × 0.3
で求めます。これに合うのがウです。
誤答の落とし穴:
- 純資産ではなく総資産を使う
- 少数株主持分を親会社の持分比率 70% で計算してしまう
学習アドバイス:
連結初年度はまず 被取得会社の純資産 を出し、そこから 親会社分 と 少数株主分 に分けてください。
第8問 法人税等調整額
問題要旨: 繰延税金資産・負債の期首期末から法人税等調整額を求める。
K4 手続・手順 T3 計算実行 L2 Trap-E 計算ミス
正解: ア(△120)
必要知識: 税効果会計 — 法人税等調整額
解法の思考プロセス:
期末残高は
- 繰延税金資産:
360 + 140 - 60 = 440 - 繰延税金負債:
250 + 50 - 90 = 210
です。
純額は
- 期首:
360 - 250 = 110 - 期末:
440 - 210 = 230
なので、純繰延税金資産が 120 増えています。これは税負担を 120 軽くする方向なので、法人税等調整額は △120 です。
誤答の落とし穴:
- 繰延税金資産増加と繰延税金負債減少を別々に見て混乱する
- プラス 120 としてしまう
学習アドバイス:
税効果会計は、最後に 税金負担が増えるのか減るのか を日本語で確認すると符号ミスを防げます。
第9問 原価の基本式
問題要旨: 原価計算の用語関係式を選ぶ。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 類似混同
正解: ア/ウ
必要知識: 原価計算の基本用語 — 素価、加工費、製造原価、総原価
解法の思考プロセス:
加工費 = 直接労務費 + 直接経費 + 製造間接費 なので、アは正しいです。
また、
素価 = 直接材料費 + 直接労務費 + 直接経費総原価 = 製造原価 + 販売費及び一般管理費
ですから、
総原価 = 販売費及び一般管理費 + 素価 + 製造間接費
となり、ウも正しいです。
この設問は訂正により複数正答になりました。
誤答の落とし穴:
素価と加工費を混同する- 訂正情報を見ずに単一正答だと思い込む
学習アドバイス:
原価計算は 材料を含むか で分けると整理しやすいです。加工費は材料を含まない と覚えてください。
第10問 労務費と当期総製造費用
問題要旨: 労務費 A と当期総製造費用 B の計算式を選ぶ。
K4 手続・手順 T3 計算実行 L2 Trap-B 条件見落とし
正解: ア
必要知識: 費用・収益の認識 — 未払賃金と製造原価明細書
解法の思考プロセス:
労務費 A は発生額なので
11,100 + 2,500 - 3,600
です。
当期総製造費用 B は
当期製品製造原価 37,100 + 期末仕掛品 7,900 - 期首仕掛品 8,200
です。
したがってアが正解です。
誤答の落とし穴:
- 支払額 11,100 をそのまま労務費にする
- 仕掛品の増減を逆に処理する
学習アドバイス:
製造原価明細書は 当期総製造費用 と 当期製品製造原価 を取り違えやすいので、仕掛品の前後関係を必ず確認してください。
経営分析・CVP
第11問 指標が良好になる方向
問題要旨: 指標 A〜C に入る上昇・低下の向きを選ぶ。
K1 定義・用語 T2 分類判断 L1 Trap-A 逆方向
正解: ウ
必要知識: 経営分析の指標体系 — 指標の分子分母と良化方向
解法の思考プロセス:
- 売上債権回転期間: 短い方がよいので
↓ - 当座比率: 高い方がよいので
↑ - 固定比率: 低い方がよいので
↓
したがって A = ↓、B = ↑、C = ↓ のウです。
誤答の落とし穴:
- 回転期間を回転率と混同して上昇を良化と誤る
- 固定比率を自己資本比率と取り違える
学習アドバイス:
期間 が付く指標は、短いほどよいことが多いです。名称を最後まで読んで判断してください。
第12問 目標経常利益を達成する売上高
問題要旨: 経常利益 10,500 千円を達成するための売上高を求める。
K3 数式・公式 T3 計算実行 L2 Trap-E 計算ミス
正解: ア(102,000 千円)
必要知識: CVP分析 — 限界利益率
解法の思考プロセス:
営業費用のうち固定費が 21,500 なので、変動費は
60,500 + (26,000 - 21,500) = 65,000
です。
したがって限界利益率は
(100,000 - 65,000) / 100,000 = 35%
現在の経常利益は 9,800、目標は 10,500 なので、必要増分は 700 です。営業外収益・費用は一定なので、営業利益も 700 増やせば足ります。
必要売上増加額は
700 / 0.35 = 2,000
よって必要売上高は
100,000 + 2,000 = 102,000
です。
誤答の落とし穴:
- 販管費 26,000 を全部固定費扱いしてしまう
- 経常利益の目標なのに営業外損益一定を読み落とす
学習アドバイス:
CVP では、まず 固定費と変動費を切り分ける ことが先です。ここを誤ると全部ずれます。
第13問 PBR と PER
問題要旨: PBR と PER の説明の正しい組み合わせを選ぶ。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 類似混同
正解: エ(bとd)
必要知識: 株式価値評価 — PBR、PER
解法の思考プロセス:
PBR < 1なら株価は 1 株当たり純資産より低く評価されているので、bが正しいPER = 株価 / EPSなので、dが正しい
したがってエです。
誤答の落とし穴:
- PBR と PER の分子分母を逆に覚える
PBR < 1の意味を反対に取る
学習アドバイス:
PBR は純資産に対する倍率、PER は利益に対する倍率 と対象を言葉で言えるようにすると混同しにくくなります。
ファイナンス
第14問 単利方式と複利方式の資本コスト
問題要旨: 借入額 P と満期返済額 Q から、単利方式と複利方式の説明を選ぶ。
K3 数式・公式 T1 正誤判定 L2 Trap-D 類似混同
正解: ウ(bとc)
必要知識: 資本コスト — 単利と複利
解法の思考プロセス:
複利方式なら
Q = P(1+r)^N
なので、
r = (Q/P)^(1/N) - 1
となり、bは正しいです。
単利方式では
Q = P(1 + Nr)
なので、
r = (Q - P) / (NP)
です。したがって、(Q-P)/P とする a は誤りです。
また、同じ P と Q を結ぶなら、N > 1 のとき単利の方が年率は高く出るので、cが正しいです。
誤答の落とし穴:
- 単利の式から N を落とす
- 複利の 1/N 乗を忘れる
学習アドバイス:
単利は 直線的、複利は 累乗 です。まず式の形を見分けてください。
第15問 普通社債の資本コスト
問題要旨: 発行価格、クーポン、償還額、発行費から社債コストの式を選ぶ。
K3 数式・公式 T3 計算実行 L2 Trap-B 条件見落とし
正解: イ
必要知識: 社債の評価 — 発行時手取額と将来 CF
解法の思考プロセス:
社債コストは、発行時の手取額 と 将来の利払・償還による支出の現在価値 を一致させる割引率です。
この問題では、発行価格 97 円から発行費 2 円を差し引いた 手取額 95 円 を基準にしなければなりません。
したがって、正しい式は 95 を現在のキャッシュ・イン・フローとして置き、将来のクーポンと償還元本を割り引く形です。これに当たるのがイです。
誤答の落とし穴:
- 発行費を無視して 97 円を初期流入にしてしまう
- 額面 100 円をそのまま初期流入にしてしまう
学習アドバイス:
社債コストは 会社が実際にいくら受け取るか から始めます。発行費があるなら、必ず手取額に直してください。
第16問 加重平均資本コスト
問題要旨: CAPM で自己資本コストを出し、WACC を求める。
K3 数式・公式 T3 計算実行 L2 Trap-E 計算ミス
正解: ウ(5.12%)
必要知識: 資本コスト — CAPM と WACC
解法の思考プロセス:
自己資本コストは CAPM で
2% + 1.2 × (8% - 2%) = 9.2%
です。
負債コストは税引後で
4% × (1 - 0.4) = 2.4%
です。
自己資本比率 40%、負債比率 60% なので
WACC = 0.4 × 9.2% + 0.6 × 2.4%
= 3.68% + 1.44% = 5.12%
となり、ウです。
誤答の落とし穴:
- 負債コストを税引前 4% のまま使う
- CAPM で
市場収益率 - 安全利子率を引かない
学習アドバイス:
WACC は 自己資本コスト と 税引後負債コスト の2段階です。1段階で終わらせないよう注意してください。
第17問 配当政策
問題要旨: 配当性向安定政策と 1 株当たり配当額安定政策の違いを選ぶ。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-A 逆方向
正解: エ(bとd)
必要知識: 配当政策 — 配当性向と配当額
解法の思考プロセス:
- 配当性向を安定させる政策: 利益が変動すれば 1 株当たり配当金額も変動するので
bが正しい - 1 株当たり配当金額を安定させる政策: 利益が変動すれば配当性向が変動するので
dが正しい
したがってエです。
誤答の落とし穴:
配当性向安定と配当額安定を同じ意味で読む
学習アドバイス:
何を安定させる政策か を日本語で言い直すと切れます。割合を固定するのか、金額を固定するのかの違いです。
第18問 MM 理論
問題要旨: 法人税の有無による MM 理論の違いを選ぶ。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解
正解: イ(aとd)
必要知識: MM理論と配当政策 — MM 理論
解法の思考プロセス:
- 法人税がない: 企業価値は資本構成と無関係 →
aが正しい - 法人税がある: 負債の節税効果で企業価値は高まる →
dが正しい
したがってイです。
誤答の落とし穴:
- 法人税あり・なしを逆に覚える
負債が増えると常に危険という実務感覚だけで理論問題を解く
学習アドバイス:
MM 理論は 税金なしなら中立、税金ありなら税盾で価値増加 の2行でまず覚えてください。
第19問 分散の式
問題要旨: 投資利益率の分散を表す式を選ぶ。
K3 数式・公式 T1 正誤判定 L1 Trap-E 計算ミス
正解: イ
必要知識: ポートフォリオ理論 — 期待値と分散
解法の思考プロセス:
分散は
Σ p_i (r_i - E[r])^2
です。
選択肢の中では、期待収益率 5.7 を基準に、偏差を二乗して確率を掛けているのがイです。
誤答の落とし穴:
- 偏差を二乗しない
- 基準を期待値ではなく単純平均にしてしまう
学習アドバイス:
分散は 平均との差 ではなく 期待値との差 を二乗します。まず公式の形をそのまま覚えるのが近道です。
第20問 2資産ポートフォリオの形
問題要旨: 相関係数が -1 と 1 の間にあるときの期待収益率と標準偏差の関係図を選ぶ。
K2 グラフ形状 T2 図形判断 L2 Trap-D 類似混同
正解: イ
必要知識: ポートフォリオ理論 — 2資産ポートフォリオ
解法の思考プロセス:
2つのリスク資産を組み合わせると、期待収益率は線形に動きますが、標準偏差は相関係数の効果で単純直線にはなりません。
-1 < 相関係数 < 1 なら、組み合わせ集合は分散効果によって 左にふくらむ曲線 になります。これに当たるのがイです。
誤答の落とし穴:
- 相関係数 1 のときの直線と混同する
分散効果があるのに一直線を選ぶ
学習アドバイス:
相関係数が 1 でないなら、混ぜると少し左に寄る と覚えると図形問題が解きやすくなります。
第21問 為替予約
問題要旨: ドル売り為替予約による円手取額の増減を求める。
K4 手続・手順 T3 計算実行 L2 Trap-B 条件見落とし
正解: エ
必要知識: デリバティブとリスク管理 — 為替予約
解法の思考プロセス:
1万ドルを 104 円で売り予約しているので、予約時の円手取額は 104 万円で固定です。
- 3か月後スポットが 108 円: 予約しなければ 108 万円なので、予約した方が
4万円少ない - 3か月後スポットが 103 円: 予約しなければ 103 万円なので、予約した方が
1万円多い
よってエです。
誤答の落とし穴:
- 債権者なのにドル買い予約と逆に読む
固定できることは分かっても、差額の方向を逆にする
学習アドバイス:
為替予約は、まず 将来ドルを受け取るのか支払うのか を確認してください。受取なら売り予約です。
第22問 設備投資のキャッシュ・フロー
問題要旨: 設備投資の関連キャッシュ・フローを選ぶ。
K4 手続・手順 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件見落とし
正解: イ
必要知識: 投資意思決定基準 — 関連 CF、機会原価、カニバリゼーション
解法の思考プロセス:
新製品投資で既存製品の CF が減るなら、その減少分は 差分 CF として新投資案に含める必要があります。したがってイが正しいです。
他の選択肢は、
- ア: 受取地代は機会原価なので反映が必要
- ウ: 支払利息は資金調達の話であり、投資案 CF には通常入れない
- エ: 未使用地でも簿価ではなく機会原価で考える
ので誤りです。
誤答の落とし穴:
実際に支払っていないから無視と考えて機会原価を落とす- 支払利息を投資案の CF に入れて二重計上する
学習アドバイス:
投資評価は その投資をする・しないで差が出る CF だけを見る のが基本です。
第23問 投資の経済性計算
問題要旨: IRR、収益性指数、回収期間法の正誤を選ぶ。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-C 部分正解
正解: ア(aとbとd)
必要知識: 投資意思決定基準 — NPV、IRR、PI、回収期間法
解法の思考プロセス:
- a: IRR は NPV を 0 にする割引率なので正しい
- b: 初期投資を含めた割引 CF の総和を 0 にする率でもあるので正しい
- c: 収益性指数は
将来 CF の現在価値 / 初期投資額であり、NPV ÷ 投資額ではないので誤り - d: 回収期間法は回収後 CF を無視するので正しい
- e: 通常の投資案では割引率が上がるほど NPV は小さくなるので誤り
したがってアです。
誤答の落とし穴:
- 収益性指数と NPV 率を混同する
- b を
初期投資を含めない式だと思って誤る
学習アドバイス:
IRR = NPV を 0 にする率、PI = 将来 CF の現在価値 ÷ 初期投資、回収期間法は後ろを見ない の3点を整理してください。
第24問 税引後会計的投資利益率
問題要旨: 税引後 CF から税引後利益を求める。
K3 数式・公式 T3 計算実行 L2 Trap-B 条件見落とし
正解: ア(120万円)
必要知識: 投資意思決定基準 — 会計利益とキャッシュ・フロー
解法の思考プロセス:
税引後 CF は
税引後利益 + 減価償却費
です。
したがって税引後利益は
220 - 100 = 120
万円です。
誤答の落とし穴:
- 税引後 CF をそのまま利益と読む
- 減価償却費をもう一度税引きしてしまう
学習アドバイス:
CF と利益の違いを問う基本問題です。減価償却費は 利益には入るが現金ではない と整理してください。
第25問 NPV の確率分布と期待値
問題要旨: 2期投資案の NPV の期待値を求める。
K3 数式・公式 T3 計算実行 L2 Trap-E 計算ミス
正解: ウ
必要知識: 投資意思決定基準 — 期待値
解法の思考プロセス:
第1年度現在価値の期待値は
200 × 0.5 + 300 × 0.5 = 250
第2年度現在価値の期待値は、どちらの場合も 300 と 400 が半々なので
300 × 0.5 + 400 × 0.5 = 350
したがって総現在価値の期待値は
250 + 350 = 600
NPV の期待値は
600 - 400 = 200
万円です。よってウが正解です。
誤答の落とし穴:
- 状態数を 4 通りに展開したあとで同じ重みを置き損ねる
- 初期投資 400 を引き忘れる
学習アドバイス:
期待値問題は、全部の状態を書き出さなくても 期ごとの期待値 に分ければ速く解けます。
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