財務・会計(平成26年度)
平成26年度(2014)中小企業診断士第1次試験 財務・会計の全22問解説
概要
平成26年度(2014)の財務・会計は全22問です。ただし、第15問が2設問、第20問が3設問なので、通常なら正答は25件になります。一方で、公式正答表では 第11問を全受験者正解扱い としているため、実際に個別の正答が付いているのは24件です。
前半は簿記、税効果、支店会計、社債、リースが並び、中盤で管理会計とキャッシュフロー、後半でMM理論、NPVとIRR、CAPM、企業価値評価、オプションまで問われます。平成26年度は、第11問の救済 と 第20問の3設問構成 を落とすと、以後の正答がずれて見えやすい年度です。
問題文は 日本中小企業���断士協会連合会 試験問題ページ から、正答は 平成26年度 一次試験正答 PDF を参照してください。
簿記・会計基礎
第1問 帳簿組織
問題要旨: 単一仕訳帳制と特殊仕訳帳制の説明として正しいものを選ぶ。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 類似混同
正解: エ
必要知識: 帳簿体系と仕訳帳 — 単一仕訳帳制と特殊仕訳帳制
解法の思考プロセス:
特殊仕訳帳制では、反復的な取引を特殊仕訳帳で処理し、その特別欄の金額を一定期間ごとに総勘定元帳へ合計転記します。したがってエが正解です。
他方で、
- 単一仕訳帳制は普通仕訳帳から
個別転記が原則 - 特殊仕訳帳制でも、特殊仕訳帳では処理しにくい取引のために普通仕訳帳は必要
なので、アとウは誤りです。
誤答の落とし穴:
合計転記と個別転記を入れ替えて覚えてしまう- 特殊仕訳帳制なら普通仕訳帳が不要だと思い込む
学習アドバイス:
帳簿組織は、反復取引は特殊仕訳帳、例外取引は普通仕訳帳 と覚えると切り分けやすくなります。
第2問 売上割戻引当金
問題要旨: 売上割戻契約があるとき、決算で損益計算書に計上すべき売上高を求める。
K4 手続・手順 T3 計算実行 L1 Trap-B 条件見落とし
正解: ア(3,335,000円)
必要知識: 売上認識と見積り — 売上割戻引当金
解法の思考プロセス:
A社向け売上850,000円について、
- 当期中に実行済みの売上割戻: 10,000円
- 翌期実行見込の売上割戻引当金:
250,000 × 2% = 5,000円
を控除します。A社以外の売上2,500,000円を足すと、
850,000 - 10,000 - 5,000 + 2,500,000 = 3,335,000
です。
誤答の落とし穴:
- 実行済み割戻だけを引いて、期末引当金5,000円を落とす
- A社以外の売上を足し忘れる
学習アドバイス:
引当金が出たら、まだ払っていなくても当期の売上から控除する と考えてください。売上割戻は費用でなく売上控除です。
第3問 評価性引当額
問題要旨: 税効果会計における評価性引当額について、正しい記述を選ぶ。
K2 因果メカニズム T1 正誤判定 L2 Trap-D 類似混同
正解: ア
必要知識: 税効果会計 — 繰延税金資産と評価性引当額
解法の思考プロセス:
評価性引当額は、将来の課税所得などを踏まえて 実現できない可能性が高い繰延税金資産の部分 を控除する考え方です。
したがって、他の条件が一定なら 将来の課税所得が減る ほど回収可能性は下がり、評価性引当額は増えます。これに当たるアが正解です。
誤答の落とし穴:
- タックスプランニングは評価性引当額に影響しないと思い込む
- 当期業績と将来の課税所得を同じものとして扱う
学習アドバイス:
税効果会計は 将来、税金を減らせるか の話です。判断基準は現在の気分ではなく、将来の課税所得の見込みです。
第4問 支店勘定と本店勘定
問題要旨: 本店の支店勘定残高から、未達事項整理後の支店の本店勘定貸方残高を求める。
K4 手続・手順 T3 計算実行 L2 Trap-B 条件見落とし
正解: エ(450,000円)
必要知識: 本支店会計 — 本店勘定と支店勘定の対応
解法の思考プロセス:
与えられている基準は 本店の支店勘定 借方400,000円 です。ここから、本店側で追加記帳すべき未達の取引だけを反映します。
- 支店が本店負担の運送費30,000円を支払った
- 本店仕訳:
運送費 30,000 / 支店 30,000 - 支店勘定は
30,000減少
- 本店仕訳:
- 支店が本店の売掛金80,000円を回収した
- 本店仕訳:
支店 80,000 / 売掛金 80,000 - 支店勘定は
80,000増加
- 本店仕訳:
したがって、
400,000 - 30,000 + 80,000 = 450,000
となります。これに対応する支店の本店勘定は貸方450,000円です。
誤答の落とし穴:
- 本店から支店への現金送付70,000円を二重に足す
誰の帳簿にまだ未記帳かを見ずに全部まとめて加減算する
学習アドバイス:
本支店会計は、まず 本店側基準で直すのか、支店側基準で直すのか を固定してください。基準がぶれると符号が崩れます。
第5問 社債償還損益
問題要旨: 償却原価法で処理されている社債を買入償還したときの損益を求める。
K4 手続・手順 T3 計算実行 L2 Trap-E 計算ミス
正解: ウ(社債償還損20,000円)
必要知識: 償却原価法 — 社債の帳簿価額
解法の思考プロセス:
社債は額面5,000,000円を95で発行しているので、発行差額は250,000円です。償還期間5年だから、年額50,000円ずつ償却します。
買入償還日は平成X3年4月1日なので、発行から2年経過しています。したがって社債全体の帳簿価額は
4,750,000 + 50,000 × 2 = 4,850,000
です。今回買い入れたのは額面2,000,000円分なので、その帳簿価額は
4,850,000 × 2,000,000 / 5,000,000 = 1,940,000
です。
買入価格は98なので
2,000,000 × 98% = 1,960,000
となり、1,960,000 - 1,940,000 = 20,000 の償還損が出ます。
誤答の落とし穴:
- 額面差額250,000円を買入額2,000,000円分へ直接按分せずに全額で比べる
- 買入日までに何年分償却されたかを落とす
学習アドバイス:
社債問題は、まず社債全体の帳簿価額を出し、その後で買い入れた部分へ按分する 順が安全です。
第6問 リース会計
問題要旨: リース取引の会計処理と開示について、正しい組み合わせを選ぶ。
K1 定義・用語 T2 分類判断 L2 Trap-D 類似混同
正解: エ
必要知識: 負債とリース会計 — オペレーティング・リースとファイナンス・リース
解法の思考プロセス:
各肢を確認すると、
a: 解約不能オペレーティング・リースの未経過リース料は原則注記であり、負債計上しないので誤りb: 所有権移転外ファイナンス・リースの減価償却はリース期間・残存価額ゼロが原則で正しいc: リース債務は期限1年以内と超の部分に分けて流動・固定で表示するので誤りd: リース資産・債務は、原則としてリース料総額から利息相当額を控除して測定するので正しい
よって b と d のエです。
誤答の落とし穴:
- オペレーティング・リースまで負債計上すると覚えてしまう
- リース債務を全額固定負債だと思い込む
学習アドバイス:
リース会計は、資産負債計上するのはファイナンス・リース、表示は1年基準で流動と固定に分ける を押さえると整理しやすいです。
管理会計・財務分析
第7問 目標営業利益達成時の総資本営業利益率
問題要旨: 目標営業利益600,000円を達成する場合の総資本営業利益率を求める。
K3 数式・公式 T3 計算実行 L2 Trap-E 計算ミス
正解: ウ(24.0%)
必要知識: CVP分析 — 限界利益率と利益計画
解法の思考プロセス:
現状の限界利益率は
(5,000,000 - 2,500,000) / 5,000,000 = 50%
です。営業利益を100,000円から600,000円へ増やすには、500,000円の増益が必要です。
必要売上増加額は
500,000 / 50% = 1,000,000
です。売上が1,000,000円増えると、総資本はその10%分だけ増えるので
2,400,000 + 100,000 = 2,500,000
になります。したがって総資本営業利益率は
600,000 / 2,500,000 = 24.0%
です。
誤答の落とし穴:
- 売上増加額の10%を利益へ足してしまう
- 目標利益との差額500,000円ではなく、600,000円全体を限界利益率で割る
学習アドバイス:
利益計画は、まず増やしたい利益額 を出し、そこから必要売上高へ戻すのが基本です。
第8問 持分法
問題要旨: 持分法に関する記述として正しいものを選ぶ。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 類似混同
正解: ウ
必要知識: 連結と持分法 — 連結との違い
解法の思考プロセス:
持分法では、被投資会社の資産・負債を個別に合算するのではなく、投資会社の持分相当額を 投資有価証券 と 持分法による投資利益 に反映します。
したがって、
- 少数株主損益の表示は連結の話なのでアは誤り
- 資産・負債を丸ごと合算するのは連結なのでイは誤り
- 被投資会社の当期純利益の全額が投資会社の利益になるわけではないのでエは誤り
となり、最も適切なのはウです。
誤答の落とし穴:
- 連結会計の処理をそのまま持分法へ当てはめる
持分という言葉を見ずに、全額取り込むと考えてしまう
学習アドバイス:
持分法は 丸ごと足す連結 ではなく 持分だけ反映する方法 です。この違いを最初に固定してください。
第9問 ROEとROAの変化
問題要旨: 売上高純利益率、自己資本比率、総資本回転率から、ROEと総資本純利益率の変化を判定する。
K2 因果メカニズム T2 分類判断 L2 Trap-A 逆方向
正解: ウ
必要知識: 収益性と安全性の関係 — ROE分解、ROA分解
解法の思考プロセス:
総資本純利益率は
売上高純利益率 × 総資本回転率
なので、
- X1年度:
5% × 2.0 = 10.0% - X2年度:
4% × 2.2 = 8.8%
で下落しています。よって c が正しいです。
ROEは
総資本純利益率 × 財務レバレッジ
で、財務レバレッジは 1 / 自己資本比率 です。したがって、
- X1年度:
10.0% × (1 / 0.5) = 20.0% - X2年度:
8.8% × (1 / 0.4) = 22.0%
となり、ROEは上昇しています。よって b が正しいです。
したがって b と c のウが正解です。
誤答の落とし穴:
- 自己資本比率が下がったからROEも下がると短絡する
- ROAとROEを同じものとして扱う
学習アドバイス:
ROEは 収益性 × 回転 × レバレッジ の掛け算で見ると、方向の判断がしやすくなります。
第10問 資産を費用化したときの比率変化
問題要旨: 特定資産を費用化すると、財務比率がどう変わるかを判定する。
K2 因果メカニズム T2 分類判断 L2 Trap-A 逆方向
正解: ウ
必要知識: 財務比率の分子分母 — ROE、ROA、負債比率
解法の思考プロセス:
資産を費用化すると、利益が減り、総資産と自己資本も同額だけ減ります。
b: 総資本純利益率は、純利益の減少幅の方が効くので下落するc: 負債比率は負債 / 自己資本なので、自己資本が減れば上昇する
一方で、
a: 自己資本純利益率は不変ではないd: 流動比率が上昇するとは一般に言えない
ので、b と c のウが正解です。
誤答の落とし穴:
分子も分母も減るから不変と機械的に考える- どの比率の分母に自己資本が入っているかを見ない
学習アドバイス:
比率問題は、まず 何が分子で何が分母か を書き出してください。方向問題は式に戻すのが最短です。
第11問 結合原価の配分
問題要旨: 連産品A・Bへの結合原価配分について考える。
K4 手続・手順 T3 計算実行 L3 Trap-D 類似混同
公式対応: 第11問は、公式正答表で 全ての受験者を正解扱い とされた問題です。このため、試験得点上は選択肢にかかわらず正解として扱われます。
学習用の見方:
正常市価から販売費及び一般管理費と利益を控除すると、分離点での製造原価は
- A製品:
1,000 - 400 - 100 = 500円 - B製品:
4,000 - 700 - 300 = 3,000円
です。これを完成数量に掛けると
- A製品:
500 × 1,000 = 500,000 - B製品:
3,000 × 2,000 = 6,000,000
となるので、A製品への結合原価配分額は
702,000 × 500,000 / 6,500,000 = 54,000
となります。
学習アドバイス:
救済問題でも、どう解く想定だったか を一度見ておくと次年度以降の類題に効きます。ただし、この問題だけは得点調整が入ったことを必ず覚えてください。
第12問 増産による追加利益
問題要旨: 遊休機械設備を使って月1,200個増産したときの追加利益を求める。
K3 数式・公式 T3 計算実行 L2 Trap-B 条件見落とし
正解: イ(330,000円)
必要知識: 関連原価と意思決定 — 追加収益と追加費用
解法の思考プロセス:
1個当たりの限界利益は
2,000 - 1,500 = 500円
です。1,200個増産すると追加限界利益は
500 × 1,200 = 600,000円
です。
追加費用として考えるのは、
- メンテナンス費用 120,000円
- 減価償却費以外の固定費 250,000円のうち追加分
250,000 × 60% = 150,000円
だけです。減価償却費500,000円は既存設備の埋没原価なので含めません。
したがって追加利益は
600,000 - 120,000 - 150,000 = 330,000円
です。
誤答の落とし穴:
- 既に発生している減価償却費500,000円を追加費用に入れる
- 固定費250,000円を全額追加費用にしてしまう
学習アドバイス:
意思決定会計では、その意思決定で増えるかどうか が基準です。埋没原価は切り捨ててください。
第13問 フリー・キャッシュフロー
問題要旨: 営業利益、減価償却費、運転資本増減、設備投資からFCFを求める。
K3 数式・公式 T3 計算実行 L2 Trap-E 計算ミス
正解: ア(70百万円)
必要知識: フリー・キャッシュフロー — EBIT基準の計算
解法の思考プロセス:
税引後営業利益は
200 × (1 - 0.4) = 120
百万円です。減価償却費20百万円を足し戻し、運転資本増加を差し引きます。
運転資本増加は
- 売上債権増加 10
- 棚卸資産増加 15
- 仕入債務減少 5
なので合計30百万円の資金流出です。
よって営業側キャッシュフローは
120 + 20 - 30 = 110
百万円です。ここから設備投資40百万円を引くと
110 - 40 = 70
百万円です。
誤答の落とし穴:
- 仕入債務の
減少をプラスで処理してしまう - 設備投資を足してしまう
学習アドバイス:
FCFは 税引後営業利益 + 非現金費用 - 運転資本増加 - 設備投資 の流れで固定化すると安定します。
ファイナンスと企業価値評価
第14問 効率的市場仮説
問題要旨: 効率的市場仮説に関する正しい組み合わせを選ぶ。
K1 定義・用語 T2 分類判断 L1 Trap-D 類似混同
正解: エ
必要知識: 効率的市場仮説 — 市場価格と情報
解法の思考プロセス:
b: 効率的市場では、利用可能な情報が市場価格へ反映されるので正しいd: 投資家間の競争が激しいほど市場効率性は高まりやすいので正しい
一方で、
a: 効率的市場だからといって完璧な予測能力があるわけではないc: 効率的でも新情報が出れば価格は変動する
ので、b と d のエが正解です。
誤答の落とし穴:
効率的 = 将来も分かると読み替えてしまう価格が正しいを価格が動かないと誤解する
学習アドバイス:
効率的市場仮説は、予知能力の話ではなく、情報反映の速さの話 です。ここを外さないでください。
第15問 MM理論
問題要旨: 負債導入によるROEと、法人税がある場合の企業価値変化を問う。
設問1 資本構成変更後のROE
K3 数式・公式 T3 計算実行 L2 Trap-E 計算ミス
正解: ア(7%)
必要知識: MM理論とレバレッジ — ROEへの影響
解法の思考プロセス:
借入後の負債は2,000万円、自己資本は8,000万円です。支払利息は
2,000 × 2% = 40万円
です。法人税なしなので株主帰属利益は
600 - 40 = 560万円
となります。したがってROEは
560 / 8,000 = 7%
です。
誤答の落とし穴:
- 営業利益600万円をそのまま自己資本で割ってしまう
- 買入消却後も自己資本を10,000万円のまま使う
学習アドバイス:
ROE問題は、利益額 → 利息控除 → 自己資本で割る の順で考えると事故が減ります。
設問2 法人税がある場合の企業価値
K2 因果メカニズム T2 分類判断 L2 Trap-A 逆方向
正解: エ(10,800万円)
必要知識: MM理論とレバレッジ — 負債の節税効果
解法の思考プロセス:
法人税があるMM理論では、負債利用により T × D の節税効果分だけ企業価値が増えます。
10,000 + 2,000 × 40% = 10,800
万円なので、エが正解です。
誤答の落とし穴:
- 利子40万円に税率を掛けた16万円だけを企業価値増加と見てしまう
- 節税効果なのに企業価値が下がると読む
学習アドバイス:
MM理論の基本形は、税金なしなら価値不変、税金ありなら T×D だけ増える と覚えると速くなります。
第16問 差額キャッシュフローのIRR
問題要旨: 差額キャッシュフローのIRRから、空欄A・Bに入る組み合わせを選ぶ。
K2 因果メカニズム T2 分類判断 L2 Trap-B 条件見落とし
正解: イ
必要知識: NPVとIRR — 相互排他的投資案の比較
解法の思考プロセス:
差額キャッシュフローは Y案 - X案 です。このIRRが10.55%ということは、割引率が10.55%以下なら差額キャッシュフローのNPVはプラスです。
差額NPVがプラスということは、Y案の方がX案より価値が高いということです。したがって
- A: プラス
- B: Y
のイが正解です。
誤答の落とし穴:
- 差額キャッシュフローが
X - Yだと読み違える - IRRより割引率が低いときのNPVの符号を逆に覚える
学習アドバイス:
相互排他的案件では、どちらからどちらを引いた差額CFか を最初に固定してください。ここを落とすと以後全部逆になります。
第17問 安全資産とリスク資産の相関
問題要旨: 安全資産の収益率とリスク資産の収益率の相関係数ρとして最も適切なものを選ぶ。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 類似混同
正解: イ
必要知識: ポートフォリオ理論 — 安全資産の扱い
解法の思考プロセス:
試験では、安全資産の収益率は確定しており、リスク資産と 無相関 とみなして扱います。したがって ρ = 0 のイが正解です。
誤答の落とし穴:
- 安全資産だから完全負相関だと誤解する
- リスクがないことと、相関が負であることを同一視する
学習アドバイス:
安全資産は、ポートフォリオ理論では 期待収益率はあるが分散はゼロ の特別な存在です。試験ではまず 相関ゼロ で処理してください。
第18問 ベータ値
問題要旨: 標準偏差と市場ポートフォリオとの相関係数から、A証券のベータ値を求める。
K3 数式・公式 T3 計算実行 L1 Trap-E 計算ミス
正解: ウ(0.8)
必要知識: CAPM — ベータ値の計算
解法の思考プロセス:
ベータ値は
β = 相関係数 × (個別証券の標準偏差 / 市場ポートフォリオの標準偏差)
で計算できます。したがって
0.4 × (10% / 5%) = 0.4 × 2 = 0.8
です。
誤答の落とし穴:
- 相関係数0.4をそのままベータとみなす
- 分子と分母を逆にして2.0へ飛ぶ
学習アドバイス:
CAPM系は、ベータ = 共分散の代わりに 相関 × 標準偏差比 と変形できる形を覚えておくと速いです。
第19問 一定配当株の理論株価
問題要旨: CAPMで要求収益率を求め、一定配当株の理論株価を算定する。
K4 手続・手順 T3 計算実行 L2 Trap-E 計算ミス
正解: イ(1,200円)
必要知識: CAPMと配当割引モデル — 要求収益率と永久定額配当
解法の思考プロセス:
まずCAPMから要求収益率を求めます。
2% + 1.5 × (4% - 2%) = 5%
配当は毎期60円で一定なので、理論株価は永久年金の式で
60 / 0.05 = 1,200円
です。
誤答の落とし穴:
- 市場ポートフォリオ期待収益率4%をそのまま割引率に使う
- 成長率ゼロなのにゴードン成長モデルの成長項を入れてしまう
学習アドバイス:
この型は、CAPMで割引率 → 配当割引モデル の2段階です。途中で式を混ぜない方が安全です。
第20問 企業価値評価
問題要旨: 企業価値評価の手法分類、PBRの定義、DCF法による企業価値計算を問う。
設問1 空欄に入る語句
K1 定義・用語 T2 分類判断 L1 Trap-D 類似混同
正解: ウ
必要知識: マルチプル法とDCF法 — 企業価値評価の3アプローチ
解法の思考プロセス:
PBRやPERのような倍率を使うマーケット・アプローチに代表されるのは マルチプル法 です。したがってウが正解です。
誤答の落とし穴:
- 純資産価額法とコスト・アプローチを混同する
- 収益還元法とDCF法を一括りにしてしまう
学習アドバイス:
企業価値評価は、マーケット・アプローチ / インカム・アプローチ / コスト・アプローチ の3本柱で整理すると覚えやすいです。
設問2 PBRの定義
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 類似混同
正解: ウ
必要知識: 倍率評価 — PBRとPER
解法の思考プロセス:
PBRは Price Book-value Ratio なので、
株価 / 1株当たり純資産
です。よってウが正解です。
誤答の落とし穴:
- 1株当たり当期純利益で割るPERと混同する
- 売上高や売上総利益と取り違える
学習アドバイス:
B は Book-value なので、PBRを見るときはまず 純資産 を思い出してください。
設問3 DCF法による企業価値
K4 手続・手順 T3 計算実行 L3 Trap-E 計算ミス
正解: ウ(14,000万円)
必要知識: DCF法 — 負債価値と株主資本価値の現在価値
解法の思考プロセス:
この問題は、負債価値と株主資本価値を別々に現在価値化して足すと整理しやすいです。
まず負債価値は、利息500万円が毎年一定、利子率5%なので
500 / 0.05 = 10,000万円
です。
次に株主資本価値は、税引後利益360万円が全額配当されるとあるので
360 / 0.09 = 4,000万円
です。
したがって企業価値は
10,000 + 4,000 = 14,000万円
となります。
誤答の落とし穴:
- 営業利益1,100万円をそのまま9%で割ってしまう
- 負債価値と株主資本価値のどちらか一方しか数えない
学習アドバイス:
DCF問題は、誰に帰属するキャッシュフローか を先に切ると整理しやすいです。今回は 債権者への利息 と 株主への配当 に分けて考えるのが安全です。
第21問 システマティック・リスク
問題要旨: システマティック・リスクの意味として最も適切なものを選ぶ。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 類似混同
正解: イ
必要知識: リスクの分類 — システマティック・リスクと非システマティック・リスク
解法の思考プロセス:
システマティック・リスクは、市場全体の動きに連動するため、分散投資をしても消せないリスクです。これに当たるのはイです。
他の選択肢は、
- ア: ベーシス・リスク
- ウ: 流動性リスク
- エ: 信用リスク
を説明しています。
誤答の落とし穴:
市場に関係するリスクを全部システマティック・リスクだと思ってしまう- 流動性リスクや信用リスクとの区別がついていない
学習アドバイス:
リスク分類は、分散で消せるか を軸に見ると覚えやすいです。システマティックは消せません。
第22問 コール・オプション価値
問題要旨: コール・オプション価値に関する記述のうち、最も不適切なものを選ぶ。
K2 因果メカニズム T1 正誤判定 L1 Trap-A 逆方向
正解: ウ
必要知識: オプション価格の決定要因 — 原資産価格、ボラティリティ、金利、行使価格
解法の思考プロセス:
コール・オプションは、他条件一定なら
- 原資産価格が高いほど価値が高い
- 行使価格が低いほど価値が高い
- 金利が高いほど価値が高い
- 価格変動性が高いほど価値が高い
という関係です。
したがって、原資産の価格変動性が高ければ価値は低くなる とするウが不適切です。
誤答の落とし穴:
- 価格変動が大きいと危ないから価値も下がると感覚で判断する
- 金利と行使価格の影響方向を逆に覚える
学習アドバイス:
オプション価値は、得になる可能性が広がる要因は価値を上げる と考えると整理しやすいです。ボラティリティ上昇は典型例です。
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