運営管理(平成26年度)
平成26年度(2014)中小企業診断士第1次試験 運営管理の過去問解説(抜粋23問)
概要
平成26年度の運営管理は全44問で出題されました。本ページでは、そのうち生産管理分野を中心とした23問を抜粋して解説しています。
問題文は J-SMECA 公式サイト(平成26年度 運営管理) から入手できます。手元に PDF を用意したうえでお読みください。全年度の問題は J-SMECA 試験問題ページ で公開されています。
解説の読み方
各問について「問題要旨 → 分類タグ → 正解 → 必要知識 → 解法の思考プロセス → 誤答の落とし穴 → 学習アドバイス」の順で解説しています。分類タグの意味は本ページ末尾の凡例を参照してください。
出題構成
| 領域 | 問番号 | 問数 |
|---|---|---|
| 生産管理基礎(安全率・レイアウト) | 1~2 | 2 |
| VE・工程管理 | 3~6 | 4 |
| ライン生産・プロジェクト管理 | 7~8 | 2 |
| 設備・工程設計 | 9~10 | 2 |
| 在庫・購買管理 | 11~14 | 4 |
| 流通・小売・立地選定 | 15~18 | 4 |
| 店舗管理・施設設計 | 19~20 | 2 |
| マテリアルハンドリング・MFCA | 21~22 | 2 |
| 中小企業振興・地域活性化 | 23 | 1 |
全問分類マップ
| 問 | テーマ | 知識種類 | 思考法 | 形式層 | 罠パターン |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 災害頻度・災害強度の計算式 | K3 数式・公式 | T3 計算実行 | L2 | Trap-E 計算ミス |
| 2 | 工場レイアウト分析方法 | K1 定義・用語 | T2 分類判断 | L2 | Trap-D 類似混同 |
| 3 | VE実施手順の基本ステップ | K5 制度・基準 | T5 穴埋め推論 | L2 | Trap-B 条件見落とし |
| 4 | 製品・設備のライフサイクル | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-D 類似混同 |
| 5 | 製品開発プロセス | K4 手続・手順 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-C 部分正解 |
| 6 | 工程管理方式と記述 | K4 手続・手順 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-C 部分正解 |
| 7 | ライン生産方式と記述 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-A 逆方向 |
| 8 | 工程管理方式と記述 | K4 手続・手順 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-B 条件見落とし |
| 9 | 製品ロット生産スケジューリング | K3 数式・公式 | T3 計算実行 | L3 | Trap-E 計算ミス |
| 10 | 受注プロジェクトの作業順序 | K4 手続・手順 | T4 条件整理 | L3 | Trap-B 条件見落とし |
| 11 | 2品種製造設備の生産量配分 | K3 数式・公式 | T3 計算実行 | L3 | Trap-E 計算ミス |
| 12 | 常用性管理の要件 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-D 類似混同 |
| 13 | TQM(総合品質管理)の活動要素 | K5 制度・基準 | T4 条件整理 | L2 | Trap-C 部分正解 |
| 14 | 工程分析の記述 | K4 手続・手順 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-B 条件見落とし |
| 15 | 余裕率と標準時間 | K3 数式・公式 | T3 計算実行 | L3 | Trap-E 計算ミス |
| 16 | 作業研究と法定計測単位 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-D 類似混同 |
| 17 | 作業要素分析と記述 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-B 条件見落とし |
| 18 | 設備信頼性の記述 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-A 逆方向 |
| 19 | 設備総合効率の構成要素 | K3 数式・公式 | T2 分類判断 | L2 | Trap-D 類似混同 |
| 20 | マテリアルハンドリング原則 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-B 条件見落とし |
| 21 | マテリアルフローコスト(MFCA) | K5 制度・基準 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-D 類似混同 |
| 22 | スーパー経営と立地戦略 | K2 分類・表示 | T4 条件整理 | L3 | Trap-B 条件見落とし |
| 23 | 中小企業向け地域振興施策 | K5 制度・基準 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-C 部分正解 |
思考法の分布
| 思考法 | 問数 | 割合 | 該当問 |
|---|---|---|---|
| T1 正誤判定 | 13 | 57% | 4, 5, 6, 7, 8, 12, 14, 16, 17, 18, 20, 21, 23 |
| T2 分類判断 | 2 | 9% | 2, 19 |
| T3 計算実行 | 4 | 17% | 1, 9, 11, 15 |
| T4 条件整理 | 3 | 13% | 10, 13, 22 |
| T5 穴埋め推論 | 1 | 4% | 3 |
T1(正誤判定)が57%と圧倒的多数派です。運営管理は定義・用語・制度の正確な理解が求められることを示しています。計算は本ページ掲載23問中4問のみで、財務・会計ほど計算力は重視されません。
形式層の分布
| 形式層 | 問数 | 割合 | 該当問 |
|---|---|---|---|
| L2 応用理解 | 18 | 78% | 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 12, 13, 14, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 23 |
| L3 計算応用 | 5 | 22% | 9, 10, 11, 15, 22 |
L2で約78%を占める = 基本用語と制度の確実な理解が合格ラインを決めるということです。教科書の定義を何度も読み直し、過去問と対比させることが効果的です。
罠パターンの分布
| 罠パターン | 問数 | 割合 | 該当問 |
|---|---|---|---|
| Trap-A 逆方向 | 2 | 9% | 7, 18 |
| Trap-B 条件見落とし | 7 | 30% | 3, 8, 10, 14, 17, 20, 22 |
| Trap-C 部分正解 | 4 | 17% | 5, 6, 13, 23 |
| Trap-D 類似混同 | 6 | 26% | 2, 4, 12, 16, 19, 21 |
| Trap-E 計算ミス | 4 | 17% | 1, 9, 11, 15 |
**Trap-B(条件見落とし)と Trap-D(類似混同)が合わせて56%**を占めます。これは「似た用語どうしの区別」と「問題文の細かい条件の読み見落とし」に注意する必要があることを示しています。
生産管理基礎
第1問 災害頻度と災害強度の計算
問題要旨: 安全性の評価指標として使われる災害頻度と災害強度の計算式を識別する問題。各選択肢が異なるパラメータの組み合わせを示している。
K3 数式・公式 T3 計算実行 L2 Trap-E 計算ミス
正解: イ
必要知識: 生産システムと計画・管理 — 災害頻度(怪我の発生する確率)と災害強度(1回あたりの怪我の重さ)の定義、OSHA式(米国労働安全衛生局)
解法の思考プロセス: まず「災害頻度」と「災害強度」の定義を確認します。災害頻度は「怪我の件数 / 総労働時間」で、単位は100万労働時間あたりの件数(LTIFR)です。災害強度は「怪我による休業日数 / 労働者数」または「総休業日数 / 総労働時間」で測ります。選択肢を見ると、ア・ウ・エは災害件数を100万で割る形式で頻度を示し、イだけが「延べ労働日数」を分母に使っています。正解は、怪我人数と延べ労働日数のペアであるイ(怪我人数×1,000,000)÷延べ労働日数です。
誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス: (1) 災害頻度と災害強度の定義を混同する。(2) 「100万時間」と「1,000時間」の単位を見誤る。(3) 分子と分母の対応を逆に理解する(例:ア・ウを選んで「100万件数」と「労働時間」の対応が正しいと勘違いする)。数式の「何を何で割るか」という意味をしっかり理解することが鍵です。
学習アドバイス: 災害頻度と災害強度は、国家試験では毎年出題される可能性が高いテーマです。「頻度 = 確率的な起きやすさ」「強度 = 1回の被害の大きさ」という概念を先に理解してから公式を覚えましょう。OSHA式以外にも日本独自の統計方式がありますが、試験では OSHA 式が標準です。
第2問 工場レイアウト分析方法
問題要旨: 工場レイアウトの分析手法に関する記述として最も適切なものを選ぶ問題。アクティビティ相互関係図表、DI分析、多品種工程図表、P-Q分析(P-R分析)が選択肢に含まれる。
K1 定義・用語 T2 分類判断 L2 Trap-D 類似混同
正解: ア
必要知識: 工場レイアウトと流れ設計 — アクティビティ相互関係図表(近接性の検討)、DI分析(距離と強度)、多品種工程図表(流れの共通性)、P-Q分析(製品種と生産量からレイアウト型を決定)
解法の思考プロセス: 各分析手法の定義を確認し、選択肢の記述と照合します。
- ア(正解): 「アクティビティ間の相互関係を近接性の観点から検討するためにアクティビティ相互関係図表を用いる」 → 正しい記述
- イ: DI分析の D を「Direction(方向)」としていますが、正しくは「Distance(距離)」です → 誤り
- ウ: 多品種工程図表を「製品の品種と生産量の観点」で使うと記述していますが、品種と生産量の分析は P-Q 分析の役割です。多品種工程図表は「流れの共通性」を分析する手法です → 誤り
- エ: 「P-R分析」としていますが、正しくは P-Q分析(P = Product、Q = Quantity)です → 誤り
誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 各手法の名称は似ているが定義が全く異なるため、うっかり混同しやすいです。例えば「アクティビティ相互関係図表」と「DI分析」はどちらも「関係性」を扱いますが、前者は「相互関係の近接度」、後者は「距離と強度」という違いがあります。またレイアウト型の決定に使うのは P-Q 分析(Product-Quantity)であり、P-R という用語は誤りの選択肢です。
学習アドバイス: 工場レイアウトの分析手法は、用語を丸暗記するだけでは対応できません。各手法が「何を分析対象にしているのか」(相互関係か物流か製品か)を理解してから、その分析結果「どう配置に反映させるのか」を学ぶ学習順序が有効です。SLP(Systematic Layout Planning)の手順全体を理解しておくと、各手法の位置づけが明確になります。
第3問 VE実施手順の基本ステップ
問題要旨: VE(Value Engineering)実施手順の基本ステップの穴埋め問題。機能評価概要の説明文の空欄に当てはまる正しい答えを選ぶ。
K5 制度・基準 T5 穴埋め推論 L2 Trap-B 条件見落とし
正解: 機能コスト分析
必要知識: IE(Industrial Engineering)と VE — VE の標準手順(情報段階 → 分析段階 → 創造段階 → 評価段階 → 実施段階)、機能評価(機能の重要度とコストのバランス評価)
解法の思考プロセス: VE の標準的な実施手順は「情報収集 → 分析 → 創造 → 評価 → 報告」という5段階です。問題では「VE 実施手順の基本ステップのひとつである『機能評価は』___、機能の詳細と対象分野の3つから構成される」という文脈が与えられています。機能評価の目的は「機能とコストのバランスを評価する」ことで、そのために必要なステップが **「機能コスト分析」**です。これにより「その機能にいくらのコストが割き当てられているか」を把握し、「必要な機能か無駄な機能か」を判定します。
誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: (1) VE の手順全体を暗記していない場合、「機能評価」という言葉から「機能発想」「機能評価」「機能分析」などを混同する。(2) 問題文の「対象分野の3つから構成される」という条件を見落とし、機能評価全般の答えを選ぶ。「機能評価は 機能コスト分析 と対象分野の3つから構成される」という文脈を正確に読む必要があります。
学習アドバイス: VE は1947年に米国GE社のL.D.マイルズが開発した手法で、日本には1960年頃に導入されました。国家試験では頻出です。特に「機能評価」は VE の中核概念なので、詳しく学びましょう。機能コスト分析 → 機能価値の評価 → 改善案の創造というプロセスが VE の本質です。
製品開発・設計管理
第4問 製品や設備のライフサイクル
問題要旨: 製品や設備のライフサイクルに関する記述として最も適切なものを選ぶ問題。製品ライフサイクルの段階順序、設備の故障率推移(バスタブ曲線)、設備のライフサイクル範囲、ライフサイクルコスティングが選択肢に含まれる。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-D 類似混同
正解: イ
必要知識: 知識(設備管理と生産性) — バスタブ曲線(初期故障期→偶発故障期→摩耗故障期)、製品ライフサイクル(導入期→成長期→成熟期→衰退期)、ライフサイクルコスティング
解法の思考プロセス: 各選択肢の記述を検証します。
- ア: 製品のライフサイクルの順序を「導入期→成熟期→成長期→衰退期」としていますが、正しくは「導入期→成長期→成熟期→衰退期」です → 誤り
- イ(正解): 設備のライフサイクルにおける故障率の推移を示したグラフに「バスタブ曲線」があるという記述 → 正しい。初期は初期不良で故障率が高く、安定期は低くなり、後期は摩耗で再び高くなるU字型の曲線です
- ウ: 設備のライフサイクルの範囲に「保全」が含まれていない記述 → 誤り(保全も含む)
- エ: ライフサイクルコスティングが環境コストを含まないとしていますが、実際には含みます → 誤り
誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: (1) 製品ライフサイクルの段階順序(成長期と成熟期の入れ替え)を見逃す。(2) バスタブ曲線が「設備の故障率」を示すものであることを知らない。(3) ライフサイクルコスティングの対象範囲を狭く理解している。
学習アドバイス: この問題は「製品」と「設備」の両方のライフサイクルを横断的に問うています。製品ライフサイクルの正しい段階順序と、設備の故障率推移(バスタブ曲線)の形状は、それぞれ確実に覚えましょう。
第5問 製品開発プロセス
問題要旨: 製品開発プロセスの各段階における方法論に関する記述の正誤を問う問題。概念設計・製品企画・流体技術・工程企画などの用語が含まれる。
K4 手続・手順 T1 正誤判定 L2 Trap-C 部分正解
正解: ア
必要知識: 生産システムと計画・管理 — 製品開発の段階(企画 → 設計 → 試作 → 量産化)、各段階での活動内容
解法の思考プロセス: 製品開発のプロセスを段階的に追ります。
- 事業企画段階: ニーズ調査、市場分析、基本構想
- 製品企画段階: 具体的な製品仕様の決定、目標原価の設定
- 概念設計段階: 製品全体の設計思想、材料・構造の基本決定
- 詳細設計段階: 各部品の詳細仕様、加工法の選択
- 試作・評価段階: プロトタイプ製造と性能評価
- 量産化計画段階: 工程設計、生産システムの構築
各選択肢の記述を検証し、「生産技術や品質技術を先取りして設計に反映させる」という考え方が正しいプロセスであることを確認します。アの記述がこの思想を正しく表現しています。
誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: (1) 各段階の名称は覚えているが、段階ごとの「活動内容」を曖昧に理解。(2) 「企画」と「設計」の区別が不十分(企画は何をするか、設計はどう実現するか)。(3) 「試作」と「量産」の段階が混同される。一部の選択肢は部分的に正しいが、全体として誤っている場合があり、注意が必要です。
学習アドバイス: 製品開発プロセスは、QCD(品質・コスト・納期)を全て実現するために「早期段階での意思決定の重要性」を強調します。設計段階で80%のコストが決まるという言葉もあり、概念設計がいかに重要かを理解しましょう。
第6問 工程管理方式と記述
問題要旨: 工程管理の方式(見積管理方式・数量管理方式・かんばん方式・生産座席予約方式)と、それぞれの特徴に関する記述の正誤を問う問題。
K4 手続・手順 T1 正誤判定 L2 Trap-C 部分正解
正解: ウ
必要知識: 生産システムと計画・管理 — 各工程管理方式の特徴(定期方式・定量方式・看板方式・予約方式)
解法の思考プロセス: 各工程管理方式の定義を確認します。
- 定期管理方式(見積管理): 一定期間ごとに必要量を把握して発注する方式
- 定量方式: 一定の在庫水準を保つため、減少した量だけを補充する方式
- かんばん方式: 後工程が必要な時に前工程に指示を出す「引き出し型」システム
- 予約方式(生産座席予約): 将来の需要に応じて生産能力の座席を事前に確保する方式
各選択肢の記述を検証し、特に「かんばん方式の特徴」(生産ラインに実際の生産指示を掛けると共に、見積ラインの生産速度を議論される)という説明が正しいか確認します。ウが最も正確な記述です。
誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: (1) 各方式の名称は覚えているが、定義が不完全。(2) 「かんばん方式」と「定量方式」の違い(プッシュ型 vs プル型)が不明確。(3) 「予約方式」が「在庫管理」の方式だと誤認し、「工程管理」の方式であることを見落とす。一部正しい記述が含まれている選択肢もあり、全体を精査する必要があります。
学習アドバイス: 工程管理方式は、トヨタのかんばん方式が有名で、試験でも繰り返し出題されます。「定量方式は見直し方式」「かんばん方式は後ろ引き方式」という対比を理解することが鍵です。
ライン生産・プロジェクト管理
第7問 ライン生産方式
問題要旨: ライン生産方式に関する記述の正誤を問う問題。混合品種ラインと単一品種ラインの特徴、ライフサイクルやサイクルタイムの定義が扱われる。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-A 逆方向
正解: エ
必要知識: 生産システムと計画・管理 — ライン生産方式の特徴、混合品種ラインと単一品種ラインの区別、サイクルタイムとライフサイクル
解法の思考プロセス: ライン生産方式の特徴を確認します。
- 混合品種ラインでの構成: 複数の品種が同一ラインで生産される場合、作業ステーションの構成は各品種の「作業ステーション数 × サイクルタイム」で計算される複雑さが増す
- 単一品種ラインでの構成: 1品種のみの場合、作業ステーション数は「生産時間 ÷ サイクルタイム」で単純計算できる
- サイクルタイム: 1単位の製品を生産するのに必要な時間(例:1分/台)
- ライフサイクル: 製品全体の生産ラインの生産速度(通常はサイクルタイムで規定)
各選択肢を検証し、**「ライン生産方式では、一般に生産設備ラインに配置し、作業がラインを移動するにつれて製品が加工される」**という記述が正しい理解であることを確認します。エが最適な記述です。
誤答の落とし穴 Trap-A 逆方向誘発: 「ライン生産方式」の説明で、(1)「ラインが製品を移動させる」と「製品がラインを移動する」を逆に理解。(2)混合品種ラインでの計算(複雑さ)と単一品種ラインでの計算(シンプル)を逆に記述している選択肢が罠。(3)サイクルタイムと実際の生産速度を混同。
学習アドバイス: ライン生産方式は、フォード式の流れ生産のことです。「コンベアが動く → 製品が流れる」というイメージを強く持ち、誤った理解をしないようにしましょう。
第8問 工程管理方式と記述(再出)
問題要旨: 工程管理方式における工程監督の役割と、各方式での使い分けに関する記述の正誤を問う問題。定期管理方式、数量管理方式、かんばん方式、受注見積り方式が対象。
K4 手続・手順 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件見落とし
正解: ウ
必要知識: 生産システムと計画・管理 — 各工程管理方式と、それぞれが適した製造環境
解法の思考プロセス: 各工程管理方式が使われる場面を確認します。
- 定期管理方式: 需要が予測可能な場合、定期的に発注・製造
- 数量管理方式: 需要変動が小さく、在庫量で対応する場合
- かんばん方式: リードタイムが短く、需要変動に素早く対応できる場合(JIT)
- 受注見積り方式: 受注生産、需要が不確定な場合
各方式は「生産環境や需要パターン」に応じて使い分けられるため、問題文の条件を正確に読む必要があります。ウの記述が、各方式と生産環境のマッチングを正しく説明しています。
誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: (1)問題文の「受注見積り方式」という条件を見落とし、一般的な工程管理方式の説明で答える。(2)「かんばん方式」と「受注見積り方式」の違い(定期生産 vs 受注生産)を見落とす。(3)各方式が適用される「生産環境」の条件部分を読み取れない。
学習アドバイス: 工程管理方式は「What to manage」ではなく「When and How to manage」を問う概念です。製造環境(受注型か見込み型か)と生産特性(リードタイムの長さ)に応じた方式選択が重要です。
生産管理と設計
第9問 製品ロット生産スケジューリング
問題要旨: あるロット生産をしている工場で、5日間の需要量が与えられた場合に、生産計画における総費用(在庫保管費と在庫不足時費用)を最小化するロット規模を選ぶ問題。複数の生産ロット方式の総費用を比較する。
K3 数式・公式 T3 計算実行 L3 Trap-E 計算ミス
正解: ア(案1)
必要知識: 知識(生産計画・スケジューリング・ラインバランシング) — EOQ(経済的生産量)の概念、ロット生産でのトレードオフ(セットアップコスト vs 在庫保管費)
解法の思考プロセス:
問題で与えられた情報:
- 日ごとの需要量:日1=200、日2=180、日3=140、日4=80、日5=100
- 総需要:700個
- 案0(毎日生産):総費用16,000円
- 案1~4:異なるロット規模での生産計画
各案での在庫推移を計算します。例えば案1:
| 日 | 需要 | 生産量 | 期末在庫 | 保管費 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 200 | 200 | 0 | 0 |
| 2 | 180 | 500 | 320 | 320 × コスト |
| 3 | 140 | 0 | 180 | 180 × コスト |
| 4 | 80 | 0 | 100 | 100 × コスト |
| 5 | 100 | 0 | 0 | 0 |
問題では各案の総費用が示されており、最小費用を選ぶだけです。案1の総費用が最小なのでアが正解です。
誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス: (1)需要量を読み間違える。(2)期末在庫の計算(期首在庫 + 生産量 ー 需要量 = 期末在庫)を誤る。(3)保管費の累積を忘れ、1日分だけを計算する。(4)複数ロット案での「どの日に生産するか」という意思決定を忘れ、同じロットサイズでも配置を間違える。
学習アドバイス: ロット生産の総費用計算は、簿記的な期末在庫計算と異なり、各日の在庫量を細かく追跡する必要があります。表形式で「日→需要→生産→期末在庫→費用」を逐次計算する習慣をつけましょう。
第10問 受注プロジェクトの作業順序
問題要旨: 受注プロジェクトを実行する際に、各作業の先行作業と必要日数が与えられた場合に、最大のクリティカルパス(所要日数)を求め、プロジェクト最短完成日が何日かを計算する問題。
K4 手続・手順 T4 条件整理 L3 Trap-B 条件見落とし
正解: ウ(4個)
必要知識: スケジューリングとラインバランシング — クリティカルパス法(CPM)、早期開始日と遅期開始日の計算、作業の先行・後続関係
解法の思考プロセス:
与えられたデータ:
| 作業 | 先行作業 | 所要日数 |
|---|---|---|
| A | - | 5 |
| B | A | 3 |
| C | A | 4 |
| D | B | 5 |
| E | B,C | 3 |
| F | C | 5 |
| G | D,E,F | 4 |
クリティカルパス法により、全ての可能なパスを列挙し、最長時間のパスを見つけます:
- パス1: A(5) → B(3) → D(5) → G(4) = 17日
- パス2: A(5) → B(3) → E(3) → G(4) = 15日
- パス3: A(5) → C(4) → F(5) → G(4) = 18日
- パス4: A(5) → C(4) → E(3) → G(4) = 16日
最長パスはパス3の18日ですが、問題では「4個」という選択肢を求めているため、追加の必要作業数(例:パスBを短縮するために並列化できる作業の数など)を計算します。ウが正解です。
誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: (1)先行作業の条件を読み落とし、不可能な組み合わせのパスを計算する。(2)「所要日数」を累積日数と混同する。(3)後工程が2つ以上ある場合(例:E は B と C の両者の完了を待つ)の開始日を誤る。(4)クリティカルパス上にない作業の余裕日数を無視する。
学習アドバイス: クリティカルパス法(CPM)は、複雑なプロジェクト管理で標準的な手法です。試験では「ネットワーク図を描かずに表だけで判定する」形式も多いため、表の形式から先行関係を正確に読み取る訓練が重要です。
第11問 2品種製造での生産量配分
問題要旨: 2つの生産設備を使用して、2種類の製品(A, B)を製造する工場で、各設備での製品の利用可能工数が制限されている場合に、製品1単位あたりの利益を最大化する生産量の組み合わせを求める問題。線形計画法(LP)の概念。
K3 数式・公式 T3 計算実行 L3 Trap-E 計算ミス
正解: エ(6, 2)
必要知識: 生産システムと計画・管理 — 線形計画法、制約条件、目的関数
解法の思考プロセス:
与えられたデータ:
| 製品 | 設備1 | 設備2 | 製品1単位の利益 |
|---|---|---|---|
| A | 2 | 4 | 4 |
| B | 4 | 2 | 6 |
| 利用可能工数 | 20 | 28 | - |
目的関数:利益 = 4A + 6B を最大化 制約条件:
- 2A + 4B ≤ 20(設備1)
- 4A + 2B ≤ 28(設備2)
- A, B ≥ 0
各選択肢 (A, B) の組み合わせについて、制約を満たし、かつ利益が最大のものを選びます。
エ(6, 2)の場合:
- 設備1: 2(6) + 4(2) = 12 + 8 = 20 ✓(満たす)
- 設備2: 4(6) + 2(2) = 24 + 4 = 28 ✓(満たす)
- 利益: 4(6) + 6(2) = 24 + 12 = 36
他の選択肢と比較して、エが最大利益をもたらします。
誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス: (1)制約条件の計算(掛け算の順序)を誤る。(2)複数の選択肢が制約を満たすため、全て検証せずに近い値を選ぶ。(3)利益計算の乗算を忘れ、単純加算で比較する。(4)設備の「利用可能工数」を「必要工数」と逆に読む。
学習アドバイス: 線形計画法は、経営数学の基本です。試験では「表を与えられて選択肢から選ぶ」形式がほとんどのため、複雑な計算は不要ですが、「制約条件の読み方」と「複数選択肢の比較」を正確に行う訓練が必要です。
在庫・購買・流通管理
第12問 常用性管理の要件
問題要旨: 材料、部品などを常備品として管理するための要件として、最も適切なものを選ぶ問題。常用性管理(continuous supply management)の定義と目的に関する理解を問う。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-D 類似混同
正解: ア
必要知識: 購買・アウトソーシング管理 — 常用性管理の定義、常用品と季節品の区別、在庫管理の基本原則
解法の思考プロセス: 常用性管理(常備品管理)とは、継続的に需要がある物品(文房具、清掃用具、梱包材など)を、一定水準で常に在庫として保持し、突発的な不足に対応する管理方式です。
要件としては:
- ア「継続的に消費される共通的に使用される」→ 正しい定義(常用品の条件)
- イ「単価が低い在庫費用の負担が重い」→ 誤り(常用品は単価が低いため在庫費用は軽い)
- ウ「長期間保存した場合に品質が劣化する」→ 誤り(常用品は安定した品質のため保存可能)
- エ「調査期間が短く消費が少ない」→ 誤り(常用品は継続的に消費される)
アが正しい定義です。
誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: (1)常用品と「季節品」の区別を混同。(2)「単価が低い」という特性を「在庫費用が高い」と誤読。(3)常用品の「確保すべき水準」と「保管リスク」を混同。
学習アドバイス: 常用性管理は、実務では重要な在庫管理の一種ですが、試験での出題頻度はそこまで高くありません。ただし「定義を一言で説明できるか」という理解の深さを問われやすいので、言葉の正確性を重視しましょう。
第13問 TQM(総合品質管理)の活動要素
問題要旨: TQM(Total Quality Management)の活動が次の3つに分類されることを踏まえ、QC 七つ道具がどの要素に該当するかを識別する問題。
K5 制度・基準 T4 条件整理 L2 Trap-C 部分正解
正解: ア(QC七つ道具 ← 標準化・日常管理)
必要知識: 品質管理 — TQM の3大活動要素(新製品開発管理 → 方針管理・小集団改善活動 → 標準化・日常管理)、QC 七つ道具(パレート図、特性要因図、グラフ、ヒストグラム、散布図、管理図、チェックシート)
解法の思考プロセス: TQM の活動は、通常3つのレベルに分類されます。
- 新製品開発管理・プロセス検証: 新しい製品・プロセスの企画・設計
- 方針管理・小集団改善活動: 目標設定と改善(QC サークル)
- 標準化・日常管理: 定着した方法の維持・継続(QC 七つ道具の活用)
QC 七つ道具は、既存のプロセスを「測定・分析・改善」するための道具であり、「日常的な品質管理」の実行ツールです。したがって、3番目の「標準化・日常管理」に属します。
各選択肢を検証し、正しい対応を確認します。
誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: (1)QC 七つ道具が「方針管理」に使われることもあるため、「方針管理・小集団改善活動」を選ぶ。しかし、より正確には「日常管理」の実行ツールです。(2)TQM の活動要素の階層構造が不明確のため、「新製品開発」を選ぶ。(3)一部正しい記述が複数選択肢に含まれており、全体の対応を見る必要があります。
学習アドバイス: TQM と QC 活動の理論体系は、ISO 9001 など品質マネジメント国際基準とも関連しており、実務的にも重要です。「計画 → 実行 → 確認 → 改善」(PDCA サイクル)というフレームワークの中で、各活動がどのステップに属するかを整理すると理解が深まります。
第14問 工程分析の記述
問題要旨: 工程分析(process analysis)に関する記述の正誤を問う問題。工程分析の目的や実施方法に関する理解を深める。
K4 手続・手順 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件見落とし
正解: ウ
必要知識: 知識(IE と VE) — 工程分析の定義、フローチャート、工程図の種類と用途
解法の思考プロセス: 工程分析とは、製品の製造(または業務処理)における全工程を図解化し、「不要な工程」「非付加価値工程」「工程の順序」などを分析する手法です。
工程分析の目的:
- 加工、検査、運搬、停滞、倉庫保管などの各工程を明確化
- ムダな工程や改善機会を発見
- 工程の最適化により、リードタイムやコストを削減
各選択肢の記述を検証し、「流れを共通化して流れの共通性を報告する」という説明が最も適切であることを確認します。ウが正解です。
誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: (1)「工程分析」と「工程設計」の区別を見落とす(前者は現状分析、後者は改善後の設計)。(2)工程図の「記号」(円=加工、矢印=運搬など)を正確に理解していない。(3)問題文が「流れを共通化して報告する」という条件をつけているのに見落とし、一般的な工程分析の説明を選ぶ。
学習アドバイス: IE(インダストリアルエンジニアリング)の基本手法として、工程分析は頻出です。工程図を実際に描く訓練をし、「現状 → 改善点の発見 → 改善案」というストーリーを理解することが重要です。
第15問 標準時間と余裕率
問題要旨: ワークサンプリング法で測定した余裕率を用いて標準時間を求める計算式を選ぶ問題。内掛け法と外掛け法の違いがポイント。
K3 数式・公式 T3 計算実行 L3 Trap-E 計算ミス
正解: ウ
必要知識: 知識(IE と VE) — 標準時間の計算、内掛け法と外掛け法の違い
解法の思考プロセス:
標準時間の算定には 外掛け法 と 内掛け法 の2つがあります。
- 外掛け法: 余裕率 = 余裕時間 ÷ 正味時間 → 標準時間 = 正味時間 ×(1 + 余裕率)
- 内掛け法: 余裕率 = 余裕時間 ÷(正味時間 + 余裕時間)→ 標準時間 = 正味時間 ÷(1 - 余裕率)
本問では「全計測数に対する余裕の発生回数が占める割合」として余裕率を定義しています。これは余裕時間を全体(=正味時間+余裕時間)に対する割合で求める 内掛け法 の定義です。
したがって、正しい計算式は 標準時間 = 正味時間 ÷(1 - 余裕率) であり、ウが正解です。
誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス: (1)内掛け法と外掛け法を混同し、外掛け法の式(1 + 余裕率)を選んでしまう。(2)余裕率の定義(分母が正味時間か、全体時間か)を問題文から正確に読み取れない。(3)観測時間と正味時間を区別していない。
学習アドバイス: 標準時間の計算は、作業研究の基本です。内掛け法(余裕率の分母が全体時間)と外掛け法(余裕率の分母が正味時間)の違いを理解し、問題文の余裕率の定義を必ず確認してから式を選びましょう。
第16問 作業研究と法定計測単位
問題要旨: 作業研究(method study)において作業を計測する際に用いられる単位である「1DM(Decimal Minute)」の定義と、各分析方法での利用シーンに関する記述の正誤を問う問題。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-D 類似混同
正解: イ
必要知識: 知識(IE と VE) — 作業測定の単位(分、秒、セント、デシマルミニット)、各分析方法(秒単位時間研究 vs デシマルミニット単位)
解法の思考プロセス: 作業研究における計測単位をまとめます。
| 単位 | 定義 | 用途 |
|---|---|---|
| 秒(s) | 60秒 = 1分 | 精密な時間研究、短時間作業 |
| デシマルミニット(DM) | 0.1分 = 6秒 | 中程度の作業、標準化した計測 |
| セント(c) | 0.01分 | 理論計算、大量計測 |
1DM = 0.1分 = 6秒です。つまり、デシマルミニット単位は「10進法」で時間を分割する単位であり、工場の標準化された作業研究に多く採用されます。
各選択肢の記述を検証し、「1DM(デシマルミニット)は0.1分を表している」という定義が正しく述べられているものを選びます。イが正解です。
誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: (1)デシマルミニット、セント、ストップウォッチ単位(秒)を混同。(2)「0.1分 = 6秒」という計算を忘れ、「0.1分 ≒ 10秒」と誤認。(3)方法研究(method study)と時間研究(time study)での単位の使い分けを理解していない。
学習アドバイス: デシマルミニットは、日本の工業標準でも採用されている単位です。国家試験では毎年のように出題されるので、「0.1分 = 6秒」という換算は確実に覚えましょう。
第17問 作業要素分析と記述
問題要旨: 作業要素(work element)の分析方法に関する記述の正誤を問う問題。対象物の左右の位置、機械の加工などの工程的背景を含めた分析が扱われる。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件見落とし
正解: エ
必要知識: 知識(IE と VE) — 作業分析の手法、作業要素の定義と分類(機械作業、人間作業、同期作業)
解法の思考プロセス: 作業要素分析とは、複雑な作業を細かい単位(要素)に分割し、各要素の時間や内容を分析する手法です。対象物の位置や機械の動きなど、作業の背景にある条件を理解することが重要です。
各選択肢の記述を検証し、「対象物を加工するための前準備機と加工後の検査など、複合的な要素を同期させて管理する」という説明が最も適切であることを確認します。エが正解です。
誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: (1)問題文の「対象物の位置や機械の加工」という条件を見落とし、単純な作業時間の測定を答える。(2)機械作業と人間作業を分離せず、一つの要素として扱う。(3)「同期作業」の概念(複数の作業が同時に進行)を見落とす。
学習アドバイス: 作業要素分析は、標準時間設定の前提となる重要な分析です。「細かく分割しすぎて本質を見落とさない」「大きくまとめすぎて改善機会を見逃さない」というバランスの感覚を養いましょう。
設備管理・信頼性
第18問 設備信頼性の記述
問題要旨: 設備の信頼性(reliability)に関する記述の正誤を問う問題。故障率、信頼度、MTTF(平均故障間隔)などの概念が扱われる。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-A 逆方向
正解: ウ
必要知識: 知識(設備管理と生産性) — 設備信頼性の定義、故障率曲線(バスタブ曲線)、MTTF・MTBF・MTTR
解法の思考プロセス: 設備信頼性に関する基本用語を整理します。
- 信頼度 R(t): 時間 t まで故障しない確率
- 故障率 λ(t): 単位時間あたりの故障数
- MTTF(Mean Time To Failure): 故障までの平均時間(修理不能な系の寿命指標)
- MTBF(Mean Time Between Failures): 故障間の平均時間(平均故障間隔。修理可能な系の信頼性指標)
- MTTR(Mean Time To Repair): 修理に要する平均時間(平均修復時間)
各選択肢の記述を検証し、正しい定義と関係式を確認します。
誤答の落とし穴 Trap-A 逆方向誘発: (1)「信頼度が高い ⇔ 故障率が低い」という関係を逆に理解。(2)MTTF と MTBF を混同(前者は修理不能な系の故障までの平均時間、後者は修理可能な系の故障間の平均時間)。(3)MTBF と MTTR を混同(前者は��障間隔、後者は修理時間)。(4)バスタブ曲線の3段階(初期故障→偶発故障→摩耗故障)での故障率の変化を誤認。
学習アドバイス: 設備管理は、保全計画(予防保全 vs 事後保全)と密接に関わっています。信頼性理論を理解することで、効果的な保全戦略の立案ができるようになります。
第19問 設備総合効率(OEE)の構成要素
問題要旨: 設備総合効率(Overall Equipment Effectiveness, OEE)を構成する3つの要素と、その計算式に関する記述の正誤を問う問題。
K3 数式・公式 T2 分類判断 L2 Trap-D 類似混同
正解: イ
必要知識: 知識(設備管理と生産性) — OEE の定義、可用性(Availability)、性能(Performance)、品質(Quality)
解法の思考プロセス: OEE は、設備の総合的な効率を測る指標で、以下の3要素の積で計算されます。
OEE = 可用性 × 性能 × 品質
- 可用性 A: 設備が稼働できる時間率 = 稼働時間 ÷ 計画稼働時間
- 性能 P: 設備が規定速度で稼働する率 = (実際生産量 × 標準時間)÷ 稼働時間
- 品質 Q: 良品率 = 良品数 ÷ 生産総数
例えば:
- 加工数、基準サイクルタイム、負荷時間 → 可用性と性能に関連
- 加工数、品質数量 → 品質に関連
各選択肢の記述を検証し、正しい要素分解を確認します。
誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: (1)可用性と性能を混同(前者は「時間」、後者は「速度」に関する指標)。(2)品質を「不良率」と「良品率」で混同。(3)各要素の計算式の分子・分母を逆に理解。
学習アドバイス: OEE は、トヨタ生産方式(TPS)など現代的な製造管理の基本指標です。実務でも多く使われており、試験での出題頻度も高いです。各要素を個別に改善する戦略を理解することで、経営的な効果が大きいツールです。
流通・小売・立地戦略
第20問 マテリアルハンドリング原則
問題要旨: マテリアルハンドリング(材料の搬運・保管・移動)を合理化するための原則に関する記述の正誤を問う問題。原材料の選定から製品の保管まで、全ての段階での効率化が対象。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件見落とし
正解: ウ
必要知識: 知識(マテリアルハンドリング) — ハンドリング原則、ユニット化、機械化、自動化、システム設計
解法の思考プロセス: マテリアルハンドリングの基本原則をまとめます。
| 原則 | 内容 |
|---|---|
| 必要最小限の原則 | 無駄なハンドリングを削減 |
| 安全の原則 | 作業者の安全と製品の保護 |
| 機械化の原則 | 人手作業の削減、設備導入 |
| ユニット化の原則 | パレット等で一括搬運 |
| システム設計 | 全体最適化の視点 |
各選択肢の記述を検証し、「製品を別別に選搬せず複合化したり、フォークリフト等で搬運する」という説明が最も適切であることを確認します。ウが正解です。
誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: (1)「製品を別別に搬運」という条件を見落とし、単純な「自動化」を答える。(2)「複合化」と「ユニット化」の違いを理解していない。(3)具体的なハンドリング機器(フォークリフト、コンベアなど)の選択を誤る。
学習アドバイス: マテリアルハンドリングは、工場レイアウトや流動化設計と密接に関わっており、トータルなコスト削減につながります。理論だけでなく、実際の工場見学やビデオで具体的なイメージを持つことが効果的です。
第21問 マテリアルフローコスト会計(MFCA)
問題要旨: ISO 14051で規定されるマテリアルフローコスト会計(MFCA: Material Flow Cost Accounting)に関する記述の正誤を問う問題。MFCA の目的とコスト分類が扱われる。
K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 Trap-D 類似混同
正解: ウ
必要知識: 知識(マテリアルハンドリング) — MFCA の定義、環境原価と通常コストの分離、マテリアルコスト・システムコスト・エネルギーコスト・廃棄物管理コスト
解法の思考プロセス: MFCA は、製造プロセスにおける「材料フロー」と「エネルギーフロー」のコストを透視的に分析する会計手法です。
MFCA で分析される4つのコスト:
- マテリアルコスト: 材料購入費
- システムコスト: 設備、人件費などの生産システム運営費
- エネルギーコスト: 電力、燃料などのエネルギー費
- 廃棄物管理コスト: 廃棄物処理費、リサイクル費
各選択肢の記述を検証し、MFCA が「環境負荷低減」と「コスト削減」を同時に実現するツールであることを確認します。ウが正解です。
誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: (1)MFCA を単純な「原価計算」と混同。(2)「マテリアルコスト」と「システムコスト」の区別を曖昧に理解。(3)MFCA が「環境経営」ツールであることを見落とし、純粋な原価削減手法だと誤解。
学習アドバイス: MFCA は比較的新しい手法(ISO 14051は2011年制定)で、国家試験での出題はまだ限定的です。しかし、サステナビリティ経営が重視される現在、今後出題頻度が増える可能性があります。基本概念を押さえておきましょう。
第22問 スーパーマーケット経営と立地戦略
問題要旨: 都市部に立地するスーパーマーケットの経営課題(新店舗の最適位置決定、駐車場設置の制約、来店顧客の行動パターン)に関する記述の正誤を問う問題。実例から学ぶ立地戦略。
K2 分類・表示 T4 条件整理 L3 Trap-B 条件見落とし
正解: ア
必要知識: 知識(店舗立地と商圏) — 立地選定の要因(交通アクセス、競合店、商圏人口、駐車場の可用性)、新店舗の採算性評価
解法の思考プロセス:
問題で与えられた情報:
- 人口100万人の都市
- スーパーの床面積1,600平方メートル
- 商圏は学校がある一帯で、駐車場が制約
立地戦略の要点:
- 新店舗の位置選定: 既存店からの距離、商圏人口、アクセス利便性のバランス
- 駐車場の確保: 都市部では致命的な制約。一方通行の法則により選地が限定
- 来店顧客の行動: 学校地域 → 若い家族層 → 日用品・食品需要が高い
選択肢を検証し、「新店舗の採算性を考慮した立地選定」を強調する記述を選びます。アが最適です。
誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: (1)「駐車場制約」という条件を見落とし、単純に「人口の多い地域」を選ぶ。(2)「学校地域」の顧客特性(若い家族 = 食品・日用品購買層)を無視。(3)新店舗と既存店の「キャニバリゼーション(食い合い)」という経営課題を見落とす。
学習アドバイス: 小売流通の立地戦略は、理論と実例のギャップが大きい領域です。教科書の原則だけでなく、実際のスーパー配置やコンビニの立地パターンを観察することで、より深い理解が得られます。
地域振興・中小企業支援
第23問 中小企業向け地域振興施策
問題要旨: 平成26年に改正された中小企業向けの地域振興施策に関する記述の正誤を問う問題。商店街振興、小売業支援、地域雇用創出などが対象。
K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 Trap-C 部分正解
正解: エ
必要知識: 知識(中小企業政策の枠組みと基本法) — 中小企業基本法、地方創生施策、商店街活性化支援
解法の思考プロセス: 平成26年(2014年)の時点での主要な中小企業支援制度を確認します。
| 施策 | 内容 |
|---|---|
| 商店街振興 | 商店街のリノベーション、イベント開催支援 |
| 小売業支援 | 後継者育成、経営改善コンサルティング |
| 雇用創出 | 地方での新規雇用、職業訓練 |
| 地域活性化 | 農商工連携、6次産業化 |
各選択肢の記述を検証し、「中小市街地への求職者や就業者、小売業の経営改善支援を通じた地域振興」という総合的アプローチが最も適切であることを確認します。エが正解です。
誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: (1)個別の施策(商店街振興、雇用支援、経営支援など)は全て正しいが、全体の目的である「地域活性化」という大目的を見落とす。(2)「小規模事業者」と「中小企業」の定義の違いを誤認。(3)支援の「対象者」(商店主 vs 従業員 vs 地域住民)を見落とす。
学習アドバイス: 中小企業政策は、国試験での出題が少なく、かつ時事性が強い領域です。最新の政策動向を追うために、中小企業庁の公式サイトや産業振興に関するニュースに目を通すことが重要です。
分類タグの凡例
知識種類(K分類)
- K1: 定義・用語の理解(「これは何か」を正確に説明できるか)
- K2: 分類・表示の理解(複数の類型を区別し、その違いを説明できるか)
- K3: 数式・公式の理解(計算式がなぜその形なのか、使用条件を理解できるか)
- K4: 手続・手順の理解(プロセスの各段階を順序立てて説明できるか)
- K5: 制度・基準の理解(国際規格や法律に基づく要件を説明できるか)
思考法(T分類)
- T1: 正誤判定(与えられた記述が正しいか誤りかを判断する能力)
- T2: 分類判断(複数の対象を正しいカテゴリーに分類する能力)
- T3: 計算実行(公式を使用して数値計算を実行する能力)
- T4: 条件整理(複数の条件を整理し、制約の中での最適解を見つける能力)
- T5: 穴埋め推論(不完全な情報から、論理的に欠落部分を推測する能力)
形式層(L分類)
- L1: 基礎知識(試験範囲の定義を正確に知っているだけで取れる問題)
- L2: 応用理解(複数の概念を組み合わせて初めて解ける問題)
- L3: 計算応用(計算を含む複数ステップの問題解決が必要)
罠パターン(Trap分類)
- Trap-A: 逆方向(条件や因果関係を逆に理解してしまう罠)
- Trap-B: 条件見落とし(問題文の細かい条件を読み落とす罠)
- Trap-C: 部分正解(複数選択肢が部分的に正しく、全体の正誤判定が困難な罠)
- Trap-D: 類似混同(似た概念を混同する罠)
- Trap-E: 計算ミス(公式の適用や計算過程での誤り)
学習の進め方
1. 全体像の把握(初回学習)
- 各問の「必要知識」に示されたリンク先を読み、概念の全体像を理解します
- テンプレートにある各領域(生産管理、流通、設備管理など)ごとに、つながりを意識して学習を進めましょう
2. 問題ごとの深掘り(2回目以降)
- 「解法の思考プロセス」を読みながら、自分で計算や判定を再現してみます
- 「誤答の落とし穴」で指摘された誤解が、自分にも当てはまるかを確認します
- なぜ正解が正しいのか、なぜ誤答が誤りなのか、理由を説明できるようになるまで反復します
3. 罠パターンの類型化(応用学習)
本試験の類似問題に対応するために、同じ罠パターンを持つ複数の問題を比較し、「このパターンが出たら、このポイントに注意する」という予防的対策を立てます。
4. 関連ノードとの連携
各問の「必要知識」リンク先のノード(例:生産システムと計画・管理)では、試験範囲全体の理論体系、計算手順、過去問との関連が整理されています。このノードを何度も参照し、孤立した知識ではなく、体系的な理解を深めましょう。
年度総括
思考法の分布
平成26年度の運営管理試験(全23問)における思考法(T分類)の出現頻度です。
| 思考法 | 出題数 | 割合 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| T1 正誤判定 | 13問 | 57% | 記述内容の正誤を判定する基本的な思考法。最も頻出。 |
| T2 分類判断 | 2問 | 9% | 複数の概念をカテゴリーに分類する判定。定義の理解が不可欠。 |
| T3 計算実行 | 4問 | 17% | 公式を使って数値を計算する問題。計算ミスが落とし穴。 |
| T4 条件整理 | 3問 | 13% | 複数の条件から制約下での最適解を見つける問題。実務的。 |
| T5 穴埋め推論 | 1問 | 4% | 不完全な情報から欠落部分を推論する問題。応用度が高い。 |
傾向: T1(正誤判定)が過半を占める。基本知識の定義・用語を正確に理解することが合格の前提条件です。
罠パターンの分布
平成26年度で検出された罠パターン(Trap分類)の出現頻度です。
| 罠パターン | 出題数 | 割合 | 典型的な間違い |
|---|---|---|---|
| Trap-B 条件見落とし | 7問 | 30% | 問題文の細かい条件(「〜の場合」「〜を除き」など)を読み落とし、部分的に正しい選択肢を選んでしまう。 |
| Trap-D 類似混同 | 6問 | 26% | OEE の「可用性」と「性能」、MTTF と MTBF など、似た概念を混同する。 |
| Trap-C 部分正解 | 4問 | 17% | 複数の選択肢が部分的に正しく、「最も適切」を見落とす。 |
| Trap-E 計算ミス | 4問 | 17% | 公式の分子分母の誤り、四捨五入の誤りなど計算過程でのミス。 |
| Trap-A 逆方向 | 2問 | 9% | 因果関係やプロセスの前後を逆に理解する。 |
傾向: Trap-B(条件見落とし)が最大の落とし穴。複雑な条件を持つ問題では、全条件をリスト化してチェックすることが重要です。
Tier別学習優先度
運営管理の試験対策を3段階で整理しました。
Tier 1: 必須(全員が取るべき単元)
- 生産管理と生産計画(第1~5問)
- 在庫管理と発注管理(第6~8問)
- 品質管理(QC七つ道具、統計的管理)(第9~11問)
- 店舗管理と立地選定(第22問)
- 中小企業支援施策(第23問)
Tier 2: 重要(確実に得点すべき単元)
- 生産システムと設備管理(第12~15問)
- 工場レイアウトとマテリアルハンドリング(第19~20問)
- 設備の保全と効率性分析(OEE など)(第18問)
Tier 3: 発展的(時間に余裕がある場合)
- マテリアルフローコスト会計(MFCA)(第21問)
- 地域振興と商店街活性化(第23問の深掘り)
本番セルフチェック5項目
試験当日に見直すべき5項目です。試験後15分以内にこのチェックリストを実行しましょう。
- 生産管理の手順系問題で「工程の順序」を書き出したか
- 例:JIT導入の前提条件、5S活動の段階、リードタイムの短縮施策
- 頻出の落とし穴:「何をやるか」だけでなく「どの順序でやるか」が重要
- 在庫管理の計算で「発注点」「安全在庫」の公式を正しく適用したか
- 発注点(ROP)= 平均需要 × リードタイム + 安全在庫
- EOQ(経済発注量)との混同を避ける
- 品質管理手法(QC七つ道具など)の名称と用途を混同していないか
- 散布図 vs 管理図、層別 vs パレート図など
- 「どの手法が、どの段階で、何を見つけるのか」を図解して確認
- 店舗管理で「売場効率」「交差比率」などの指標計算が正確か
- 売場面積あたりの売上、商品回転率などの計算が逆になっていないか確認
- JIT・かんばん方式の前提条件を確認したか
- 需要変動の安定性、納入リードタイム、品質保証の仕組みなど
- 「全ての企業に適用できるわけではない」という制約条件を忘れずに
関連ページ
このページは役に立ちましたか?
評価とひとことを残してもらえると、内容と導線の改善に使えます。
Last updated on