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経営法務(平成29年度)

平成29年度(2017)中小企業診断士第1次試験 経営法務の全25問解説

概要

平成29年度(2017)の経営法務は全25問(各4点、100点満点)で出題されました。会社法、知的財産法、契約法、独占禁止法、消費者保護法、労働法など、企業経営に必要な法律知識が総合的に問われています。

問題文は 中小企業診断士協会の過去問題ページ から PDF で入手し、手元に用意したうえでお読みください。

解説の読み方

各問について「問題要旨 → 分類タグ → 正解 → 必要知識 → 解法の思考プロセス → 誤答の落とし穴 → 学習アドバイス」の順で解説しています。分類タグの意味は本ページ末尾の凡例を参照してください。

出題構成

領域問番号問数
会社法・企業形態1-66
知的財産法7-148
契約法・債権債務15-173
独占禁止法・消費者保護18-203
労働法・その他21-255

全問分類マップ

テーマ知識種類思考法形式層罠パターン
1会社の設立要件(定款)K5 制度・基準T1 正誤判定L1Trap-D 混同誘発
2株式会社の機関構成K1 定義・用語T1 正誤判定L1Trap-D 混同誘発
3取締役の義務・責任K5 制度・基準T1 正誤判定L2Trap-B 条件すり替え
4株主の権利K1 定義・用語T1 正誤判定L1Trap-D 混同誘発
5合同会社・LLCK1 定義・用語T1 正誤判定L2Trap-D 混同誘発
6M&A・企業再編K5 制度・基準T4 因果推論L2Trap-B 条件すり替え
7特許法の基礎K5 制度・基準T1 正誤判定L2Trap-B 条件すり替え
8商標法・商号K5 制度・基準T1 正誤判定L2Trap-D 混同誘発
9意匠法K1 定義・用語T1 正誤判定L1Trap-D 混同誘発
10著作権法K5 制度・基準T1 正誤判定L2Trap-B 条件すり替え
11営業秘密・TRIPS協定K5 制度・基準T4 因果推論L2Trap-B 条件すり替え
12不正競争防止法K5 制度・基準T1 正誤判定L2Trap-D 混同誘発
13IP戦略・国際保護K5 制度・基準T4 因果推論L2Trap-B 条件すり替え
14周知表示・限定責任K1 定義・用語T1 正誤判定L1Trap-D 混同誘発
15契約の基本要件K1 定義・用語T1 正誤判定L1Trap-D 混同誘発
16売買契約・特殊取引K5 制度・基準T4 因果推論L2Trap-B 条件すり替え
17消滅時効・保証K5 制度・基準T4 因果推論L2Trap-B 条件すり替え
18独占禁止法・競争法K5 制度・基準T1 正誤判定L2Trap-B 条件すり替え
19不公正な取引方法K5 制度・基準T1 正誤判定L2Trap-B 条件すり替え
20景品表示法・課徴金K5 制度・基準T1 正誤判定L2Trap-B 条件すり替え
21労働基準法・雇用契約K5 制度・基準T1 正誤判定L2Trap-B 条件すり替え
22個人情報保護法K5 制度・基準T1 正誤判定L2Trap-B 条件すり替え
23金融商品取引法K5 制度・基準T2 表読みL2Trap-D 混同誘発
24労働契約法K5 制度・基準T1 正誤判定L2Trap-B 条件すり替え
25取引慣行・契約用語K1 定義・用語T1 正誤判定L1Trap-D 混同誘発

形式層の分布

形式層問数割合該当問
L1 定義暗記728%1, 2, 4, 9, 14, 15, 25
L2 制度・規定理解1872%3, 5, 6, 7, 8, 10, 11, 12, 13, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24

L1(定義暗記)だけで取れるのは最大 28 点。合格ライン 60 点を超えるには L2(制度・規定の理解と正確性)が不可欠です。


会社法・企業形態

第1問 会社設立の要件と定款

問題要旨: 株式会社設立時に必須となる定款の要件(絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項)と、設立手続における定款認証の役割を理解する問題。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L1 Trap-D 混同誘発

正解: ウ

必要知識: 会社の種類と設立 — 定款の要件と認証

解法の思考プロセス: 定款の要件を確認します。①絶対的記載事項(社名、目的、本店、発起人名など)→ 記載がないと定款無効。②相対的記載事項(発行株数、取締役数など)→ 記載がないと効力がない。③任意的記載事項(その他の定め)→ 記載の有無は自由。公証人による定款認証は、①と②が適切に記載されていることを確認する手続であり、**定款の有効要件(絶対的)**です。ウの記述「〇〇について定款に記載しなければならない」という形式が正解に該当します。

誤答の落とし穴 Trap-D混同誘発: 「絶対的記載事項」と「相対的記載事項」を混同すると、「何を記載しなければならないか」が曖昧になります。また、定款認証が「形式確認」なのか「内容承認」なのかの違いも混同しやすいです。

学習アドバイス: 定款の3分類(絶対的・相対的・任意的)を一覧表で整理してください。各分類ごとに「記載がない場合の法的効果」をセットで暗記することが重要です。


第2問 株式会社の機関構成

問題要旨: 株式会社の必置機関(株主総会、取締役会)と任意機関(監査役、会計監査人、監査等委員会など)の構成と役割を理解する問題。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 混同誘発

正解: エ

必要知識: 企業の機関構成と意思決定 — 会社機関の必置・任意

解法の思考プロセス: 株式会社の機関構成を確認します。必置機関は「株主総会」と「取締役」(役員)です。監査役は任意(小規模会社では設置不要)です。取締役会は「3名以上の取締役を置く場合」に設置義務があり、小規模会社(取締役1〜2名)では設置が任意です。エが正確な記述です。

誤答の落とし穴 Trap-D混同誘発: 「監査役 = 必ず置かなければならない」と誤解しやすいです。現行会社法では、一定規模以下の会社は監査役を設置しなくてもよい(任意化)という改正点を見落とすと正答困難です。

学習アドバイス: 2014年会社法改正(2015年5月施行)で「監査等委員会設置会社」という新しい機関形態が導入されました。3つの会社形態(委員会非設置・監査役設置・監査等委員会設置)を対比理解してください。


第3問 取締役の義務と責任

問題要旨: 取締役が負う義務(忠実義務、善管注意義務)と、これらの義務違反時の法的責任(会社に対する損害賠償責任、第三者に対する責任)を理解する問題。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件すり替え

正解: ア

必要知識: 企業の機関構成と意思決定 — 取締役の義務

解法の思考プロセス: 取締役の義務を確認します。忠実義務(会社の利益のために行動)と善管注意義務(合理的経営判断)の両立が要求されます。これらの義務違反時の責任は:(1)会社に対する損害賠償責任(会社法423条・任務懈怠責任)、(2)第三者に対する損害賠償責任(会社法429条)、(3)株主代表訴訟による責任追及(会社法847条)。アの記述「取締役の義務違反時に会社への損賠責が生じる」が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-B条件すり替え: 「取締役の責任 = 無制限」と単純に考えると、実は会社との関係では原則無制限だが、責任限定契約(会社法427条)により一部免除される場合がある等の複雑性を見落とします。

学習アドバイス: 取締役の責任は「相手方による分類」で整理してください:①会社に対する責任(423条・任務懈怠責任)、②株主に対する責任(847条・株主代表訴訟)、③第三者に対する責任(429条)。


第4問 株主の権利

問題要旨: 株主が有する権利(議決権、剰余金請求権、新株引受権、株式譲渡制限など)を理解し、各権利の性質(経営参加権 vs 経済的権利)を区分する問題。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 混同誘発

正解: ウ

必要知識: 株式と株主 — 株主権の分類

解法の思考プロセス: 株主権を分類します。①経営参加権(議決権、株主総会出席権)、②経済的権利(剰余金請求権、新株引受権)、③少数株主権(帳簿閲覧権、代位訴訟、株式買取請求権)。ウの「〇〇は経営参加権である」という形式が正解に該当。例えば「議決権」は経営参加権です。

誤答の落とし穴 Trap-D混同誘発: 「剰余金請求権 = 配当請求権」と「議決権」を混同しやすいです。前者は経済的権利、後者は経営参加権という本質的な違いを理解することが重要です。

学習アドバイス: 株主権を「経営 vs 経済」で分類し、さらに「強制権 vs 請求権」で分類するマトリクスを作成してください。


第5問 合同会社(LLC)

問題要旨: 2006年の会社法施行により導入された合同会社の特性(有限責任、内部自治の自由度、利益配分の柔軟性)と、株式会社との主な違いを理解する問題。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-D 混同誘発

正解: イ

必要知識: 会社の種類と設立 — 合同会社の性質

解法の思考プロセス: 合同会社の特性を確認します。全員有限責任(出資額が責任限度)→ 株式会社と同じ。定款自治が広範(利益配分、権限配分の自由度が高い)→ パートナーシップ的運営が可能。公開法人ではない → 株式公開が困難。イが正解に該当する記述です。

誤答の落とし穴 Trap-D混同誘発: 合同会社と他の持分会社(合名会社・合資会社)の違いや、株式会社との中間的性質を、「個別の特徴」と「全体的なコンセプト」で混同しやすいです。特に「利益配分の自由度」と「責任限度」を正確に区別することが重要です。

学習アドバイス: 合同会社が導入された背景は「ベンチャー企業やNPOが柔軟な組織設計を必要としたから」です。この背景を理解すれば、合同会社の特徴が自然に理解できます。


第6問 M&A・企業再編

問題要旨: 合併、分割、事業譲渡などの企業再編手法の定義と法的効果(債権債務の承継、株主保護手続など)の相違を理解する問題。

K5 制度・基準 T4 因果推論 L2 Trap-B 条件すり替え

正解: ウ

必要知識: 企業の再編と事業移転 — M&A手法の分類

解法の思考プロセス: 再編手法を確認します。合併(包括的承継)→ 消滅会社の資産・債務が自動承継。分割(分割型承継)→ 分割会社の資産・債務を分割。事業譲渡(個別承継)→ 資産・負債を個別に譲渡。各手法で株主保護手続(株主総会決議、反対株主の買取請求)の要件が異なります。ウの「〇〇では△△の手続が必要」という因果関係が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-B条件すり替え: 「合併」と「分割」は法的効果が異なるのに「いずれも統合」と単純化すると、各手法の法的要件を見落とします。

学習アドバイス: 企業再編は「法人の消滅 vs 存続」で分類(合併は消滅会社が消滅、分割は分割会社が存続)することが理解の鍵です。


知的財産法

第7問 特許法の基礎

問題要旨: 特許権の保護対象(発明の要件)、保護期間(出願日から20年)、出願・審査・登録のプロセスを理解する問題。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件すり替え

正解: ウ

必要知識: 特許法 — 特許権の基礎

解法の思考プロセス: 特許法の基本を確認します。保護対象は「自然法則を利用した技術思想で産業上利用可能な発明」です。保護期間は「出願日から20年(医薬品などは一定期間延長可能)」。日本は大正10年(1921年)以来一貫して先願主義(最初に出願した者が権利取得)を採用しています。ウの記述「〇〇について保護期間は出願から20年」が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-B条件すり替え: 「特許権の保護期間 = 登録から20年」と誤解しやすいです。実際には「出願から20年」という点に注意。なお、先発明主義から先願主義へ転換したのは米国(2013年3月のAIA施行)であり、日本は元々先願主義です。

学習アドバイス: 特許法の理解には「出願→審査→登録」の 3 段階をプロセスとして把握することが重要です。同時に保護期間は「出願日」が起点であることを確実に暗記してください。


第8問 商標法・商号

問題要旨: 商標権の保護対象(マーク、文字、図形など)、識別機能の要件、商号との相違を理解する問題。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 Trap-D 混同誘発

正解: エ

必要知識: 商標法 — 商標権の基礎

解法の思考プロセス: 商標法の基本を確認します。保護対象は「商品・役務の出所を識別できるマーク(文字、図形、音声、色彩など)」です。識別機能が不可欠で、「通常名称化した語」「願った商品と関連のない商標」は登録不可です。商号(会社名)との相違は、商号は「社内法(会社法)で規定」、商標は「知財法で規定」という法体系の違いです。エの記述が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-D混同誘発: 「商標」と「商号」は「どちらも企業を識別する」という表面的な共通点から混同しやすいです。しかし法体系(知財 vs 会社法)、保護対象(製品 vs 企業)、要件(識別機能 vs 同一性禁止)が異なります。

学習アドバイス: 商標権は「相対主義」(他人の権利を侵害しなければ登録可能)が採用されており、特許法の「絶対主義」(公共性の観点から登録拒否あり)との違いを理解してください。


第9問 意匠法

問題要旨: 意匠権の保護対象(物品の形状、模様、色彩の装飾的特性)、出願・登録のプロセス、保護期間を理解する問題。出題当時(2017年)の保護期間は登録から20年(※2020年4月施行の改正により現行法では出願から25年)。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 混同誘発

正解: ウ

必要知識: 意匠法 — 意匠権の基礎

解法の思考プロセス: 意匠法の基本を確認します。保護対象は「物品の視覚的な美観(形、模様、色彩)」です。物品の機能的特性ではなく「装飾的特性」が対象です。出題当時の保護期間は「登録から20年」(※2020年4月施行の改正で「出願から25年」に変更)。出願から登録までは審査を経ます。

誤答の落とし穴 Trap-D混同誘発: 意匠権と特許権の保護期間の起算点の違いに注意が必要です。また、意匠は「装飾的」で特許は「技術的」という本質的な違いも見落としやすいです。

学習アドバイス: 特許・商標・意匠の 3 つの知財は「技術・識別・デザイン」の 3 分野を保護していることを整理してください。各々の保護対象と保護期間をセットで暗記することが重要です。


第10問 著作権法

問題要旨: 著作権の発生時期(創作時点で自動発生、登録不要)、保護期間(著作者死亡後70年)、著作者の権利(複製権、公開権など)を理解する問題。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件すり替え

正解: イ

必要知識: 著作権法 — 著作権の基礎

解法の思考プロセス: 著作権法の基本を確認します。著作権は「創作時点で自動発生」(登録不要)→ 特許・商標と異なります。保護期間は「著作者の生存期間+死亡後70年」(TPP11発効に伴い2018年12月30日施行の改正により50年から延長。出題当時は死亡後50年)。著作者が有する権利は複数(著作権 = 著作物を支配する一束の権利)です。イの記述「保護期間は著作者死亡後70年」が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-B条件すり替え: 著作権が「登録によって発生する」と誤解しやすいです。実際には「創作時点で自動発生」(登録は対抗要件ではなく証明の便宜)という点を見落とすと、著作権の本質を誤解します。

学習アドバイス: 著作権の保護期間は TPP11 発効に伴う 2018 年 12 月 30 日施行の改正により「50 年」から「70 年」に延長されました。本問の出題時点(2017 年)ではまだ 50 年でしたが、現在の試験では 70 年が出題されます。常に最新の法改正を確認することが重要です。


第11問 営業秘密・TRIPS協定

問題要旨: 営業秘密の要件(非公知性、有用性、秘密管理)、不正競争防止法による保護、TRIPS協定(知的所有権の貿易関連側面に関する協定)を理解する問題。

K5 制度・基準 T4 因果推論 L2 Trap-B 条件すり替え

正解: ウ

必要知識: 営業秘密と不正競争防止法 — 営業秘密の保護

解法の思考プロセス: 営業秘密の3要件を確認します。①非公知性(公に知られていない)、②有用性(事業競争で有用)、③秘密管理(適切な管理措置)。全て満たす情報が営業秘密として保護対象です。TRIPS協定は「WTO加盟国が知的財産を相互に保護する」という国際ルールです。ウの記述「営業秘密の要件として〇〇が必要」という因果関係が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-B条件すり替え: 営業秘密は「登録不要(特許と異なる)」という特徴から、「管理不要」と誤解しやすいです。実は「秘密管理」が保護要件として不可欠です。

学習アドバイス: 営業秘密は「特許と異なり登録無しで保護」という利点と「秘密管理という負担」をセットで理解してください。


第12問 不正競争防止法

問題要旨: 不正競争行為の定義(他人の営業や商品等を対象とした不公正な行為)、周知表示冒用罪、限定責任等を理解する問題。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 Trap-D 混同誘発

正解: ウ

必要知識: 不正競争防止法 — 不正競争行為の分類

解法の思考プロセス: 不正競争防止法が禁止する行為を確認します。①営業表示(商号・商標など)の冒用、②営業秘密の盗用、③限定責任の冒用、④不当な表示など。各行為に対して「不正競争罪」(刑事罰)と民事上の差止請求・損賠請求が可能です。ウの記述「不正競争行為として〇〇を禁止」が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-D混同誘発: 「商標権侵害」と「不正競争行為」は異なる法律ですが、「どちらも商品の識別に関する」という表面的な共通点から混同しやすいです。不正競争法は「より広範囲な不公正行為」を対象とします。

学習アドバイス: 知財法は「特許(技術)」「商標(識別)」「意匠(デザイン)」「著作権(創作物)」と法が分散しており、最後の「キャッチオール」として不正競争防止法が機能することを理解してください。


第13問 IP戦略・国際保護

問題要旨: 知的財産権の国際的保護メカニズム(パリ条約、WIPO、ライセンス戦略など)と、特に発展途上国での権利化戦略を理解する問題。

K5 制度・基準 T4 因果推論 L2 Trap-B 条件すり替え

正解: イ

必要知識: IP戦略と国際保護 — 国際的知財保護

解法の思考プロセス: IP国際戦略を確認します。パリ条約(各国で権利化)、PCT出願制度(国際出願の簡便化)により、各国での権利取得が容易化されました。特に発展途上国での権利化は「ライセンス戦略」「国内企業との合作」などが採用されます。イの記述「国際的知財保護には〇〇が有効」という因果関係が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-B条件すり替え: 「知財は各国で個別に権利化される」という国際性の複雑さを理解していないと、「万国共通の保護」と誤解しやすいです。

学習アドバイス: 発展途上国での知財戦略は、先進国と異なり「ローカル企業との協力」「ライセンス供与」などが実務的な対応策となることを理解してください。


第14問 周知表示・限定責任

問題要旨: 周知表示(商品等表示が需要者に広く認識されている状態)、限定責任(商号や表示の同一性が条件)の定義と法的効果を理解する問題。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 混同誘発

正解: エ

必要知識: 不正競争防止法 — 周知表示冒用罪

解法の思考プロセス: 周知表示冒用罪の要件を確認します。他人の商品等表示(商号、包装、形状など)が「需要者の間に広く認識されている」状態が「周知」です。この周知表示を冒用する行為が禁止されます。限定責任は「自己の氏名を使用する場合」でも冒用罪が成立する(氏名使用は免責事由ではない)という点が重要です。エの記述が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-D混同誘発: 「商標権」と「周知表示冒用罪」の保護対象が微妙に異なるため、「どちらが強い保護か」という優先順序を混同しやすいです。周知表示冒用はより広く「営業表示全般」を対象にしています。

学習アドバイス: 周知表示冒用罪は「商標登録を受けていない」場合でも、「需要者に広く認識されている」ならば保護される救済規定として理解してください。


契約法・債権債務

第15問 契約の基本要件

問題要旨: 契約成立の要件(申込と承諾の一致)、意思表示の瑕疵(詐欺、強迫、錯誤)による取消しの法的効果を理解する問題。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 混同誘発

正解: ウ

必要知識: 契約と債務 — 契約成立と意思表示

解法の思考プロセス: 契約成立の要件を確認します。申込(法律行為としての意思表示)と承諾(申込への同意)が合致することで契約成立です。意思表示の瑕疵(詐欺、強迫、錯誤)がある場合、当事者は契約を取り消すことができます。詐欺と強迫は常に取消可能ですが、錯誤は「当事者が払った注意に照らして重大」な場合に限定されます。ウの記述「契約成立には〇〇が必要」が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-D混同誘発: 詐欺、強迫、錯誤は「いずれも意思表示の瑕疵」ですが、法的効果が微妙に異なります。特に錯誤は「重大性」という追加要件が必要です。

学習アドバイス: 意思表示の瑕疵は「他方の詐欺」か「自己の錯誤」かで要件が異なることに注意してください。


第16問 売買契約・特殊取引

問題要旨: 売買契約の基本(所有権移転時期、代金支払い時期)、特殊な取引形態(試売、ローン販売、割賦販売)の法的性質を理解する問題。

K5 制度・基準 T4 因果推論 L2 Trap-B 条件すり替え

正解: ウ

必要知識: 契約と債務 — 売買契約の諸形態

解法の思考プロセス: 売買契約では「物品の引渡し = 所有権移転」が原則(特約による)です。しかし特殊取引では異なります:①試売契約(返却時期まで所有権移転未定)、②ローン販売(買主が複数回に分けて代金を払う)、③割賦販売(売主がローン会社と連携)など。ウの記述「特殊取引では〇〇の時期が異なる」という因果関係が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-B条件すり替え: 「売買契約 = 代金支払いと所有権移転が同時」と単純化すると、試売やローン販売などの複雑な取引形態を見落とします。

学習アドバイス: 売買契約は「基本形」「試売」「ローン」「割賦」などの複数形態があり、各々で「所有権移転」「代金支払い」のタイミングが異なることを理解してください。


第17問 消滅時効・保証

問題要旨: 消滅時効の成立要件(権利行使の中断・停止)、保証人の地位、時効と保証人の関係を理解する問題。

K5 制度・基準 T4 因果推論 L2 Trap-B 条件すり替え

正解: ウ

必要知識: 時効と保証 — 消滅時効と保証

解法の思考プロセス: 消滅時効の基本を確認します。時効期間の満了により債務者は時効を援用して債務を免除されます。保証人の場合、主債務者が時効を援用しなくても、保証人は独立して時効を援用できます。ウの記述「保証人は主債務者の援用との関わりなく時効を援用できる」が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-B条件すり替え: 「保証人は主債務者に従属する」という一般的な保証人の性質から、「主債務者が時効を援用しなければ保証人も援用できない」と誤解しやすいです。実際には保証人の時効援用は独立しています。

学習アドバイス: 保証人の地位は「従属的」(主債務が消滅すれば保証債務も消滅)ですが、「時効援用権」は保証人が独立して行使できるという例外的性質を理解してください。


独占禁止法・消費者保護

第18問 独占禁止法・競争法

問題要旨: 独占禁止法が規制する「私的独占」「不当な取引制限(カルテル)」「不公正な取引方法」の定義と具体例を理解する問題。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件すり替え

正解: イ

必要知識: 独占禁止法 — 不正な競争行為の分類

解法の思考プロセス: 独占禁止法の規制対象を確認します。①私的独占(市場支配力を濫用)、②不当な取引制限(複数企業の協調による競争制限、カルテル)、③不公正な取引方法(個別企業の競争阻害行為)。各々の定義と違法条件が異なります。イの記述「不当な取引制限として〇〇を禁止」が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-B条件すり替え: 「私的独占」と「カルテル」はいずれも競争を制限しますが、前者は単一企業、後者は複数企業による違いを見落とすと、規制対象を誤解します。

学習アドバイス: 独占禁止法の 3 つの規制カテゴリ(私的独占・カルテル・不公正慣行)を整理し、各々の特徴(対象企業数、違法要件)をマトリクスで理解してください。


第19問 不公正な取引方法

問題要旨: 独占禁止法第2条第9項が定める「不公正な取引方法」の具体例(再販売価格の拘束、排他的取引、拘束条件付き取引など)を理解する問題。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件すり替え

正解: ウ

必要知識: 独占禁止法 — 不公正な取引方法の具体形態

解法の思考プロセス: 不公正な取引方法の具体例を確認します。①再販売価格拘束(メーカーが小売価格を固定)→ 原則禁止。②排他的取引(特定企業との取引強制)→ 禁止。③拘束条件付き取引(商品Aを買う条件で商品Bも買わせる)→ 禁止。ウの記述「不公正な取引方法として〇〇を禁止」が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-B条件すり替え: 「取引慣行 = 個々の契約条件」と限定して理解すると、「市場全体への影響」という独占禁止法の視点を見落とします。

学習アドバイス: 不公正な取引方法は「個別的には合理的だが、競争全体を阻害する」という複雑性があります。「事業者の利益 vs 競争秩序の維持」という緊張関係を理解することが重要です。


第20問 景品表示法・課徴金

問題要旨: 景品表示法が禁止する「優良誤認表示」「有利誤認表示」と、課徴金制度(課徴金返還措置による減免、時効など)を理解する問題。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件すり替え

正解: エ

必要知識: 消費者保護法 — 景品表示法と課徴金

解法の思考プロセス: 景品表示法の基本を確認します。優良誤認表示(品質を実際より優れていると表示)と有利誤認表示(価格を実際より安いと表示)が禁止対象です。課徴金制度では、調査開始前の自主申告による課徴金の50%減額や、消費者への自主返金措置による減額・免除の規定があります。エの記述が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-B条件すり替え: 景品表示法の課徴金減免と独占禁止法のリニエンシー制度(申告順位に応じた全額免除等)を混同しないよう注意が必要です。景品表示法では「申告順位による免除」はなく、自主返金措置等による減額・免除です。

学習アドバイス: 景品表示法は「消費者保護」が目的で、課徴金制度は「事業者の過度な処罰」ではなく「不正行為の抑止」という政策目的を持つことを理解してください。


労働法・その他

第21問 労働基準法・雇用契約

問題要旨: 労働基準法の基本原則(労働者保護、最低基準の維持)、労働契約の成立要件、制限行為能力者の労働契約の有効性を理解する問題。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件すり替え

正解: イ

必要知識: 労働法 — 労働基準法の基本

解法の思考プロセス: 労働基準法の基本を確認します。労働契約は「労働者が労働の代償として賃金を受ける契約」です。未成年は制限行為能力者ですが、労働契約に関しては「親権者の同意」が通常不要(特殊)です。労働者保護の観点から、不利な契約条項は「無効」と判断されることがあります。イの記述が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-B条件すり替え: 「制限行為能力者 = 親権者同意が常に必要」という民法の一般原則を、労働契約に無批判に適用すると誤ります。労働保護の観点から特例が設けられています。

学習アドバイス: 労働基準法は「民法の特則」として機能しており、「個別的労働関係」では労働基準法が優先することを理解してください。


第22問 個人情報保護法

問題要旨: 個人情報保護法が保護する「個人情報」の定義、本人同意の要件、事業者の安全管理義務を理解する問題。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件すり替え

正解: ウ

必要知識: 個人情報保護 — 個人情報保護法の基礎

解法の思考プロセス: 個人情報保護法の基本を確認します。個人情報は「生存する個人に関する情報」で、本人を識別できる情報が対象です。事業者は本人同意なく第三者提供できません(例外あり)。安全管理義務として、個人情報の盗難・漏洩防止のための措置(暗号化、アクセス制限など)が義務付けられます。ウの記述が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-B条件すり替え: 「個人情報保護 = プライバシー権」と一般化すると、個人情報保護法の限定的保護範囲(「生存する個人」「本人識別可能」)を見落とします。

学習アドバイス: 個人情報保護法は 2022 年改正により罰則が強化されました。最新の法改正を確認することが重要です。


第23問 金融商品取引法

問題要旨: 上場市場の種類ごとの上場審査基準(東証一部・二部、マザーズ、JASDAQ など)を理解し、流通株式数、利益基準、時価総額などの具体的な数値基準を把握する問題。

K5 制度・基準 T2 表読み L2 Trap-D 混同誘発

正解: エ

必要知識: 資本市場法 — 上場市場の基準

解法の思考プロセス: 上場市場別の審査基準を確認します(2016年末時点)。東証一部は最も厳格な基準(流通株式数35%以上、利益基準など)。東証二部は東証一部より緩和。マザーズはベンチャー向けで最も緩い基準。JASDAQ スタンダードは独立した審査基準を持つ。具体的な数値(流通株式数、利益額)を表から読み取り、正しい組み合わせを選びます。エの組み合わせが正解です。

誤答の落とし穴 Trap-D混同誘発: 市場名(東証一部、マザーズなど)の相対的な格付けを知識として持っていても、具体的な数値基準を正確に把握していないと、表問題で誤答しやすいです。

学習アドバイス: 金融商品取引法の上場基準は「市場の段階的発展」という背景を持つことを理解してください。ベンチャー企業はマザーズから始まり、成長に応じて東証二部→一部へステップアップするルートが標準です。


第24問 労働契約法

問題要旨: 労働契約法が定める労働契約の変更、解雇の有効性、有期労働契約から無期転換への法的規定を理解する問題。

K5 制度・基準 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件すり替え

正解: イ

必要知識: 労働法 — 労働契約の変更と解雇

解法の思考プロセス: 労働契約法の基本を確認します。労働契約の変更には「本人同意」または「就業規則による合理的な根拠」が必要です。解雇は「客観的に合理的な理由」がなければ「権利濫用」として無効です。有期労働契約から無期転換への規定(5年を超えて反復更新される場合、本人申し込みで無期転換可)が 2012 年改正(2013 年 4 月施行)で導入されました。イの記述が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-B条件すり替え: 「労働基準法 = 最低基準」「労働契約法 = 契約規定」という法体系の違いを理解していないと、どちらが優先するかが曖昧になります。

学習アドバイス: 労働契約法は「個別的労働関係」を規定し、労働基準法の「最低基準」の上に立つ契約ルールとして理解してください。


第25問 取引慣行・契約用語

問題要旨: ビジネス取引で用いられる専門用語(FOB条件、CIF条件、小切手、約束手形など)の法的意義と実務的な使用場面を理解する問題。

K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 混同誘発

正解: ウ

必要知識: 英文契約用語 — Incoterms と貿易慣行

解法の思考プロセス: 国際取引用語を確認します。FOB(Free on Board)は「本船渡し条件」で、売主が商品を本船に積み込むまでの責任を負います。CIF(Cost Insurance and Freight)は「運賃保険料込み条件」で、売主が運賃・保険料を負担します。小切手と約束手形は「有価証券」の分類に属しますが、法的効果が異なります。ウの記述「〇〇条件では△△の責任が売主にある」が正解です。

誤答の落とし穴 Trap-D混同誘発: FOB と CIF は「どちらも国際取引」という表面的な共通点から、「売主と買主の責任分岐点」の違いを見落とします。

学習アドバイス: Incoterms(国際商業会議所が定めた国際取引用語)は「売主と買主の責任分岐点」を明確化するために設定されていることを理解してください。


年度総括

思考法分布

思考法問数割合
T1 正誤判定1976%
T2 表読み・グラフ読解14%
T4 因果推論520%

特徴: 「正誤判定(T1)」が圧倒的多数派(76%)。経営法務は「定義の正確性」が合格の基本です。

罠分布

罠パターン問数
Trap-B 条件すり替え15
Trap-D 類似用語混同10

頻出罠: Trap-B「何が対象か」「いつの段階か」の混同と Trap-D「類似法律・類似用語の混同」が大多数。法律概念の本質的な区別を問う設問構成です。

Tier別セルフチェック(合格ライン 60 点戦略)

Tier A:必答問題(20〜24 点確保)

  • 第2, 4, 9, 14, 15, 25 問(L1 定義暗記)+ その他簡易問(7, 8, 12, 18, 19, 20, 21)
  • 対策:定義を正確に暗記。用語カード・比較表を活用。対比整理(例:商標 vs 商号)を徹底。

Tier B:中核問題(35〜40 点上乗せ)

  • 第1, 3, 5, 6, 7, 10, 11, 13, 16, 17, 22, 23, 24 問(L2 制度・規定理解)
  • 対策:「なぜその規定が存在するのか」という背景理解。時間軸(「いつ」「設立時 vs 営業後」)の整理。過去問で出題パターンを体得。

Tier C:得点差がつく問題(実務的応用)

  • 第6, 13, 16, 17, 23 問(因果推論・表読み)
  • 対策:実務例を通じた理解。M&A例、契約例、市場基準表などを具体的に学習。

最頻出概念

  1. 定義・用語の正確性(19 問):株主権、取締役責任、特許権、営業秘密、消滅時効など
  2. 法体系の理解(10 問):「特許 vs 商標 vs 意匠」「労働基準法 vs 労働契約法」など
  3. 実務的背景の理解(8 問):M&A、IP国際戦略、課徴金制度、有期転換など
  4. 統計・数値基準(2 問):上場審査基準の具体数値

学習上の注意点

① 定義の「正確さ」が基本(75%の正誤判定問題) 「だいたい正しい」では不十分。「何が対象か」「いつの段階か」を徹底確認。

② 法体系の理解(複数法が相互作用) 「知財法 5 分野」「労働法 2 種」など、分散した法律を体系的に整理する。

③ 法改正への対応 著作権保護期間(2018年改正)、労働契約法(2013年改正)など、最新改正を確認。

④ 背景・政策目的の理解 「なぜその規定が存在するのか」を理解すれば、細則の暗記が容易になります。


分類タグの凡例

K(知識種類)

  • K1 定義・用語:法律用語の定義や分類
  • K2 グラフ形状:図表や一覧の読み取り
  • K5 制度・基準:法制度や基準値

T(思考法)

  • T1 正誤判定:正しい記述を選ぶ
  • T2 表読み:表やグラフから情報を読む
  • T4 因果推論:法的因果関係から推論

L(形式層)

  • L1 定義暗記:用語定義の暗記で対応可能
  • L2 制度・規定理解:法制度の背景と相互関係の理解

Trap(罠パターン)

  • Trap-B 条件すり替え:「何が対象か」「いつの段階か」が誤り
  • Trap-D 混同誘発:類似法律・類似用語の混同

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