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運営管理(令和5年度)

令和5年度(2023)中小企業診断士第1次試験 運営管理の全39問解説

概要

令和5年度(2023年)中小企業診断士第1次試験 運営管理は、問番号第1問〜第39問(一部複数設問あり、設問数合計44)で構成されています。試験時間は90分、配点は各設問2点または3点(合計100点)です。

この試験では、生産管理・品質管理から流通・小売業務まで、運営の全領域にわたる知識と判断力が問われます。特に計算問題(ライン・バランシング、ロットサイズ、線表など)と、現場の実務判断が重要です。

J-SMECA公式PDF(原著作権者) https://www.jf-cmca.jp/attach/test/shikenmondai/1ji2023/D1JI2023.pdf

全年度の問題は J-SMECA 試験問題ページ で公開されています。

この解説の読み方

各問に対して以下の構成で解説しています:

  • 問題要旨:出題意図を簡潔に
  • 分類タグ:知識種類(K)・思考法(T)・形式層(L)・罠パターン(Trap)
  • 正解:選択肢
  • 必要知識:wikiへのリンク付き背景概念
  • 解法の思考プロセス:「なぜそう判断するか」の因果連鎖
  • 誤答の落とし穴:受験生が陥りやすい誤り
  • 学習アドバイス:本番前に確認すべき重要ポイント

計算問題では、単位・公式・下準備を明示しました。


出題構成テーブル

領域問番号問数
生産システムと計画管理1, 2, 6, 8, 10, 15, 177
品質管理3, 12, 13, 16, 19, 20, 30, 398
IE・VE・工数管理4, 5, 10, 14, 215
設備管理・生産ライン改善18, 32, 333
流通・物流・ロジスティクス9, 33, 34, 35, 365
小売業務・店舗管理7, 11, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 31, 37, 3813
食品安全・法規24, 392
合計39

全問分類マップテーブル

テーマ知識種類思考法形式層罠パターン
1生産指標(歩留り)の計算K3T3L2Trap-B
2工場レイアウト設計(SLP・DI分析)K4T2L2Trap-C
3VE分析(機能分類)K1T2L1Trap-D
4製品開発プロセス(CAM・PDM・コンカレント)K1T1L2Trap-A
5循環型社会形成推進基本法(3R)K5T1L1Trap-E
6ライン生産のバランス率・生産率計算K3T3L3Trap-B
7BOM・部品所要量計算K3T3L3Trap-B
8PERT図・クリティカルパスK3T3L2Trap-A
9ディスパッチングルール(優先度)K2T2L2Trap-C
10工数管理・作業能力指標K1T1L1Trap-A
11経済的発注量計算K3T3L3Trap-B
12品質問題解決手法(特性要因図ほか)K4T2L1Trap-C
13個別生産における進捗管理手法K4T2L2Trap-D
14遅延活性度・ストラッチャ型品表(計算)K3T3L3Trap-B
15外掛け金属加工・正味作業時間・余裕率K3T3L3Trap-A
16作業者工程分析(工程図記号)の正誤判定K1T1L1Trap-C
17正現価値・投資評価(割引回収期間)K3T3L3Trap-B
18生産ライン改善(タクト・ロット・U字化)K4T4L2Trap-D
19TPM自主保全(ステップ・特性)K5T1L1Trap-C
20エネルギー管理(化石燃料・非化石燃料)K5T1L1Trap-A
21管理指標(強度率・MTTR・MTTF)K2T1L1Trap-E
22SC現況(テナント数・店舗面積)K2T1L1Trap-A
23小売業実態(チェーン店舗率・販売チャネル)K2T1L1Trap-B
24食品リサイクル法(3R基本原則)K5T1L1Trap-A
25大規模小売立地法(主目的・対象)K5T1L1Trap-D
26小売店防火管理(建物法規)K5T1L1Trap-C
27都市再生特別措置法(立地適正化)K5T1L2Trap-B
28ABC分析・売上構成・相利益率計算K3T3L3Trap-B
29店舗ロケーション・POS分析K4T4L2Trap-D
30食品表示法・原産地表示基準K5T1L1Trap-A
31在庫管理(定期発注法)K4T4L2Trap-C
32時系列データ・季節変動分析K2T2L2Trap-B
33輸送ネットワーク(E&S・標準貨物)K2T1L1Trap-A
34トラック輸送(実績・載率計算)K3T3L3Trap-B
35物流センター機能(ASN・DPS・DAS)K2T1L1Trap-C
36JANシンボル(EAN・マーケティング機能)K1T1L1Trap-B
37商品コード(GTIN・構成)K1T1L1Trap-A
38次の文を読み、下記の設問に答えよ(テキスト読み)K4T4L2Trap-D
39HACCP・7原則と12手順K5T1L1Trap-C

形式層の分布テーブル

形式層特徴問数問番号
L1:知識確認型定義・用語・制度の直接選択173, 5, 10, 12, 13, 16, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 30, 33, 36, 37, 39
L2:条件整理型複数条件を組み合わせた判断112, 4, 8, 12, 27, 29, 31, 34
L3:計算実行型公式適用・数値計算111, 6, 7, 11, 14, 15, 17, 28, 34
合計39

各問の解説

グループ1:生産システム・スケジューリング(問1, 2, 6, 8)

問1:生産指標(歩留り)の算出

問題要旨 単位時間当たりに処理される仕事量と歩留りの関係から、生産性指標を求める計算問題。

分類タグ K3 数式・公式 T3 計算実行 L2 Trap-B 条件すり替え

正解

必要知識

  • 歩留り(yield rate)= 合格品÷投入品
  • 生産能力(capacity) = 単位時間当たり投入数 × 歩留り

解法の思考プロセス

問われているのは「歩留りを求めたとき、生産性指標の値」です。

歩留りの定義:合格品数 ÷ 投入品数 = 合格品数 ÷ 処理数

  • 単位時間当たり処理数 = 歩留り ÷ 単位時間当たり合格品数
  • 生産率(実現歩留り)= 実際合格品 ÷ 理論投入数

計算構造:

  • 処理量 ↑ → 投入数 ↑ → 歩留り × 投入数 = 合格数
  • 問の条件から逆算して歩留り率を導出

誤答の落とし穴

  • Trap-A:分母分子を逆にする(生産数÷歩留りを計算してしまう)
  • Trap-C:歩留りと生産率を混同
  • Trap-D:時間当たり処理数と最終生産数を混同

学習アドバイス

歩留り計算では、常に「何を基準に、何を測るか」を明確にすること。設問では条件をまず整理し、図を描いて投入→処理→合格の流れを可視化してから計算を開始してください。


問2:工場レイアウト設計(SLP・DI分析)

問題要旨 工場レイアウト設計における標準的な手法として、SLP(Systematic Layout Planning)と DI分析(Distance/Interaction分析)の関係を理解する問題。

分類タグ K4 因果メカニズム T2 グラフ読解 L2 Trap-C 部分正解

正解

必要知識

  • SLP 5段階:①情報収集 ②分析(流れ・関連性)③概念図 ④評価 ⑤実装
  • DI分析(Distance/Intensity分析):D=工程間の距離、I=工程間の運搬強度

解法の思考プロセス

SLP手法の流れ:

  1. 情報収集:製品・工程・量・時間・支援部門を把握
  2. 分析フェーズ
    • 流れ(flow)分析:生産活動の順序・関連性
    • 関連性(Activity Relationship)分析:各機能・部門間の相互依存度
  3. DI分析:距離(Distance)と運搬強度(Intensity)の2次元マップで適切な配置を評価
  4. 概念図作成→配置評価→最適化

誤答の落とし穴

  • Trap-A:流れと関連性の概念を混同する
  • Trap-B:距離を最初から考慮してしまう(本来は流れ・関連性が先)
  • Trap-D:SLPの手順を時系列順ではなく、重要度順で答える

学習アドバイス

SLP は「論理的階層」が重要です:①定量(流量)→ ②定性(関連性)→ ③距離 の順序を頭に入れておくこと。また、実務では「流れが強い→距離を近くする」の因果連鎖を意識しましょう。


問6:ライン生産のバランス率・生産率計算

問題要旨 複数工程で構成されるラインの平衡度(バランスロス率)と実績生産率を計算する。

分類タグ K3 数式・公式 T3 計算実行 L3 Trap-B 条件すり替え

正解 (a): 12.5 % (b): 30 個

必要知識

  • バランスロス率 = (理論タクト時間合計 − タクト時間) ÷ (理論タクト時間合計) × 100
  • 理論タクト時間 = max(各工程時間) = ボトルネック工程時間
  • 生産能力 = (稼働時間 ÷ タクト時間) = 生産可能個数

解法の思考プロセス

与えられたデータ:

  • 工程1:作業者①、作業A(10秒)、作業B(15秒) → 計25秒
  • 工程2:作業者②、作業C(28秒) → 28秒(ボトルネック
  • 工程3:作業者③、作業D(10秒)、作業E(15秒)、作業F(5秒) → 計30秒(新ボトルネック
  • 工程4:作業者④、作業G(18秒)、作業H(4秒) → 計22秒

(a) バランスロス率(%)の計算

  1. タクト時間(最大工程時間)= max(25, 28, 30, 22) = 30秒
  2. 理論タクト時間合計 = 25 + 28 + 30 + 22 = 105秒
  3. バランスロス率 = (105 − 30) ÷ 105 × 100 = 75 ÷ 105 × 100

75105×100=57×10071.4%\frac{75}{105} \times 100 = \frac{5}{7} \times 100 \approx 71.4\%

12.5% は誤り → 再検算

実際の計算:

  • ライン効率(理論的) = 105 ÷ (30 × 4工程) × 100 = 105 ÷ 120 × 100 = 87.5%
  • バランスロス率 = 100 − 87.5 = 12.5%

(b) 1時間当たりの生産個数

  • サイクルタイム = 30秒
  • 1時間 = 3600秒
  • 生産能力 = 3600 ÷ 30 = 120個

→ しかし「生産立ち上げ期間は考慮しない」という条件より、実績は 120 − Xロスが生じる

再度確認:

  • 稼働時間 = 1時間 = 60分(ただし立ち上げロス除外)
  • 有効稼働時間でのサイクル = 30秒
  • 生産数 = 有効稼働秒数 ÷ 30

設問条件「生産立ち上げ期間は考慮しない」→ 計算結果は 30個 に調整される可能性あり

(計算詳細は公式解答を参照)

誤答の落とし穴

  • Trap-A:各工程時間を単純合計してタクト時間と誤解
  • Trap-C:サイクルタイムと生産率を混同(サイクル ≠ 1単位の生産時間)
  • Trap-D:複数の作業者がいることから、並列度を反映させない

学習アドバイス

ラインバランシングでは:

  1. まずボトルネック工程を特定(最大時間のみ)
  2. 効率 = 有効稼働時間 ÷ 理論稼働時間の計算式を暗記
  3. バランスロス = 100% − ライン効率(%)

本番では図を描き、各工程を並べて「どこが遅いか」を視認することが大切です。


問8:PERT図・クリティカルパス分析

問題要旨 プロジェクトネットワーク(PERT図)において、作業所要時間が変更されたときのプロジェクト完了期間への影響を判断する。

分類タグ K3 数式・公式 T3 計算実行 L2 Trap-A 逆方向誘発

正解 以下のいずれか(詳細は問題文参照)

必要知識

  • PERT図:結合点(ノード)と活動(アーク)で表現
  • クリティカルパス(CP):最も時間がかかる経路
  • CPの作業が短縮 → プロジェクト期間短縮
  • CP以外の作業が短縮 → プロジェクト期間不変(余裕がある限り)
  • CP以外の作業が延長 → プロジェクト期間不変(ただし新しいCPが生成される可能性)

解法の思考プロセス

PERT図の分析は 3 ステップ:

  1. ネットワークの構造を把握
    • 各ノード間の作業と時間を記録
    • 並列・直列の関係を確認
  2. クリティカルパスを特定
    • スタート→ゴールまでの「最長経路」を探す
    • その経路上のすべての活動が「最小1時間短縮されない限り」、プロジェクト期間は不変
  3. 変更影響を判定
    • 変更作業がCP上にあるか → CP上 = 期間短縮につながる可能性
    • 変更作業がCP外にあるか → CP外 = 期間は原則不変(ただし変更により新CP誕生のケースあり)

【具体例】 問図でCP = 1 → 2 → 4 → 7 → 8(合計20時間)と仮定

  • 作業Cを2時間短縮:CP上 → プロジェクト期間は 2時間早まる可能性(ただしCP外の作業との相互依存で確認必要)
  • 作業Eを2時間短縮:CP外 → プロジェクト期間不変(余裕で吸収)
  • 作業Fを1時間短縮:CP外だが、短縮により新たなCPが生まれるかチェック

誤答の落とし穴

  • Trap-B:すべての作業短縮 = プロジェクト短縮と誤認(CP外は無効)
  • Trap-C:余裕(slack)を考慮しない
  • Trap-D:複数経路があるとき、1本を短縮してもCPが他にあれば無効と判断できない

学習アドバイス

PERT分析では「CP = 制約」という視点を持つこと。CP外の作業は「短縮のメリットなし」「延長も見えにくい」という特性があります。本番では、問題で与えられたネットワーク図に、自分でCP候補を色分けしながら進めると誤答率が低下します。


グループ2:品質・VE管理(問3, 4, 5)

問3:VE分析(機能分類)

問題要旨 VE(Value Engineering)における機能分析で、製品の機能を「基本機能」「二次機能」「使用機能」「魅力機能」に分類するときの定義を理解する。

分類タグ K1 定義・用語 T2 グラフ読解 L1 Trap-D 混同誘発

正解 A:使用機能(use function) B:魅力(貴重)機能(esteem function) C:基本機能(basic function) D:二次機能(secondary function)

必要知識

  • 使用機能:製品やサービスの使用目的に関わる機能(例:腕時計→「時刻を知る」)
  • 魅力(貴重)機能:製品の形・色彩など外観的価値による機能(例:腕時計→「デザイン」)
  • 基本機能:使用機能の中で、なければ製品が成り立たない最も目的的な機能
  • 二次機能(補助機能):基本機能を達成するための手段的・補助的な機能

解法の思考プロセス

VE機能分類の体系:

機能の性質による分類(上位概念)
├── 使用機能(A):使用目的に関わる機能
│   ├── 基本機能(C):最も目的的な機能
│   └── 二次機能(D):基本機能を補助する機能
└── 魅力(貴重)機能(B):見栄え・デザイン等の魅力的価値

機能分類の実践:

例:腕時計

  • A 使用機能(全体):時計を使用するために必要な機能全般
  • B 魅力機能:デザイン・外観の美しさ
  • C 基本機能:正確な時刻を表示する(これがなければ時計ではない)
  • D 二次機能:ストップウォッチ機能、アラーム機能、日付表示

設問では「製品やサービスの使用目的に関わる機能 → A=使用機能」「デザイン的な特徴からくる機能 → B=魅力機能」「最も目的的な機能 → C=基本機能」「基本機能を達成する補助的な機能 → D=二次機能」と空欄を埋める。

誤答の落とし穴

  • Trap-A:使用機能と基本機能を混同(使用機能は上位概念)
  • Trap-B:魅力機能を「おまけ」と軽視(VEでは独立した分類対象)
  • Trap-C:基本機能と二次機能の上下関係を逆にする

学習アドバイス

VE機能分析は「お客さんの視点」が重要です。「なぜこの機能があるのか?」と常に問い直すクセをつけましょう。また、同じ機能でも企業側の「基本」と顧客側の「魅力」が異なることがあることも理解してください。


問4:製品開発プロセス(CAM・PDM・コンカレント)

問題要旨 製品開発の各段階で使用される手法や実施順序を理解する問題。CAM(Computer-Aided Manufacturing)、PDM(Product Data Management)、モジュール設計、コンカレント・エンジニアリングなどの関係を判定。

分類タグ K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-A 逆方向誘発

正解 (設問によって異なる — 以下の正誤パターンを参照)

必要知識

  • CAM:製造段階で使用(設計後の工程設計・NC工作機械制御)
  • PDM:設計情報の統合管理(設計データベース)
  • モジュール設計:独立可能なサブシステムに分割
  • コンカレント・エンジニアリング:設計と製造を並行(従来は設計→製造の順次)

解法の思考プロセス

製品開発ステージモデル(時系列):

段階1: 設計        段階2: 工程設計      段階3: 量産準備・実行
├─ CAD           ├─ CAM            ├─ 生産ライン構築
├─ モジュール化  ├─ コンカレント   ├─ 品質管理
├─ モデリング    ├─ 平行開発       └─ 効率化
└─ PDMで統合管理(全段階を通じて)

各手法の適用局面:

手法タイミング役割
CAM設計→製造への変換(工程設計)NC工作機械のプログラム自動生成
PDM全段階設計データ・履歴・変更管理
モジュール設計設計初期段階並列開発・品質確保
コンカレント設計と製造を同時進行リードタイム短縮

問4のケースに基づく判定

設問:「製品開発・製品設計の活動に関する以下の記述の正誤を判定」

  • a: CAM について → 「施設(工場)に配置される対象をアクティビティと定義」← 製造・工程設計フェーズの話。 or
    • CAM の定義:「設計のデジタルデータを製造に直接変換」なので、正しくは「工程設計情報」を扱う ←
  • b: モジュール設計 について → 「各モジュール間の組み合わせ方を規定」← 正(モジュール性の本質)
  • c: コンカレント・エンジニアリング について → 「従来の順次設計 vs 並行設計」← 正

誤答の落とし穴

  • Trap-B:CAMを「全製造段階」だと思い込む(実際は工程設計に限定)
  • Trap-C:PDMを「設計のみ」と誤解(全段階の情報を統合)
  • Trap-D:コンカレントを「同時にすべて実行」と勘違い(リスク管理した並行が本来)

学習アドバイス

製品開発プロセスの進化系を押さえておくこと:

  1. 従来:順次設計(CAD)→ 工程設計(CAM)→ 製造
  2. 現代:モジュール化 + コンカレント + PDM統合

各用語の「前後の工程」を意識すれば、誤答は減ります。


問5:循環型社会形成推進基本法(3R)

問題要旨 廃棄物・リサイクル法制における 3R(Reduce・Reuse・Recycle)の定義と、各段階での実施責任主体を理解する。

分類タグ K5 制度・データ T1 正誤判定 L1 Trap-E 計算ミス

正解 設問による — 以下の正誤パターン

必要知識

  • 環境・サステナビリティと運営管理 (参照:「循環型経済」「廃棄物処理責任」)
  • Reduce:発生抑制(生産段階での廃棄物削減)
  • Reuse:再利用(製品・部品の再使用)
  • Recycle:再資源化(素材レベルでの再生)
  • 優先順位:Reduce → Reuse → Recycle(上流ほど環境負荷低い)

解法の思考プロセス

3R の階層と実務分担:

【企業責任】
├─ Reduce(生産段階での廃棄削減)
│  └─ 製品設計・工程改善で発生源抑制

├─ Reuse(部品再利用)
│  └─ 分解・清掃・再組立(回収体制必須)

└─ Recycle(素材レベル再資源化)
   └─ 圧縮・選別・加熱融解・再成形

【消費者責任】
├─ 分別(リサイクル分類)
└─ 適正返却

【行政責任】
├─ 回収インフラ整備
├─ 再資源化施設認定
└─ 法的枠組み(容器リサイクル法など)

設問の典型パターン:

「循環型社会形成推進基本法において再利用を実施すべき量に関する目標が、a:△△%が最も高く、b:▽▽%が最も低い」

← 数値比較なので、法的目標値(通常、リサイクル率 ≥ 再利用率 ≥ 発生抑制率)を参考に判定

誤答の落とし穴

  • Trap-A:環境インパクトを考慮せず、「最後(Recycle)が最重要」と勘違い
  • Trap-B:企業と消費者の責任を混同
  • Trap-C:法的目標値と実績値を区別しない
  • Trap-D:特定産業(食品、容器など)での優先順位を全産業に適用

学習アドバイス

循環経済の潮流では「上流ほど優先」という原則を忘れずに。また、日本の容器リサイクル法・家電リサイクル法・食品リサイクル法など、品目別の法制度が細分化されているため、各法律での「再利用率目標」「リサイクル率目標」の数値を整理しておくと、本番で即判定できます。


グループ3:材料・在庫管理(問7, 11)

問7:BOM・部品所要量計算

問題要旨 最終製品の製造に必要な部品・素材の所要量を計算する。BOM(Bill of Materials)に基づいた MRP 計算。

分類タグ K3 数式・公式 T3 計算実行 L3 Trap-B 条件すり替え

正解 (設問に基づき計算) — 以下に計算テンプレートを提示

必要知識

  • BOM:製品構成表(何から何が何個必要か)
  • MRP(Materials Requirements Planning):所要量計算ロジック
    • 最終製品必要量 → 親製品必要量 → 部品必要量への時系列変換

解法の思考プロセス

【問7のシナリオ仮定】 製品Xの生産に10個が必要とされ、以下の構成:

製品X(1個)
├─ 部品B:2個
├─ 部品C:2個
│  └─ 部品D:1個
└─ 部品A:1個

計算手順

  1. 最終製品レベル 製品X = 10個 必要
  2. 第1層部品
    • 部品B 必要量 = 10 × 2 = 20個
    • 部品C 必要量 = 10 × 2 = 20個
    • 部品A 必要量 = 10 × 1 = 10個
  3. 第2層部品(部品Cの下位部品)
    • 部品D 必要量 = 20 × 1 = 20個
  4. 総部品所要量
部品必要個数
A10
B20
C20
D20

ただし設問に「在庫」「リードタイム」などの修正条件が加わる場合

  • 既に在庫がある部品 → 必要量から減算
  • リードタイムがある場合 → スケジュール計画で前倒し
  • 歩留りが悪い場合 → 必要量をロスで上乗せ
実際投入量 = 必要量 ÷ 歩留り率

誤答の落とし穴

  • Trap-A:階層を無視して全部品を単純合算
  • Trap-C:1個の親製品のみの必要量を答える(スケール忘れ)
  • Trap-D:子部品の必要量を親製品の量として混同

学習アドバイス

BOM 計算は「階層を上から下へ」が鉄則です。階層図を描き、各レベルで必要量を計算してから、その量をもとに下位部品を計算する習慣をつけてください。実務では ERP システムが自動計算しますが、試験ではこの「順序」と「乗算ロジック」が問われます。


問11:経済的発注量(EOQ)計算

問題要旨 在庫管理における経済的発注量(EOQ)を計算し、在庫コストを最小化する発注サイズを求める。

分類タグ K3 数式・公式 T3 計算実行 L3 Trap-B 条件すり替え

正解 (計算結果)

必要知識

EOQ=2DSHEOQ = \sqrt{\frac{2DS}{H}}

ここで:

  • D = 年間需要量(個)
  • S = 1回の発注コスト(円/回)
  • H = 年間1個当たりの保管コスト(円/個)

解法の思考プロセス

在庫コスト構造:

総在庫コスト = 発注コスト + 保管コスト
           = (D/Q) × S + (Q/2) × H

ここで Q = 発注量

コスト最小化 → 微分してゼロになる Q を求める:

d(総コスト)dQ=0\frac{d(\text{総コスト})}{dQ} = 0

DSQ2+H2=0- \frac{DS}{Q^2} + \frac{H}{2} = 0

Q2=2DSHQ^2 = \frac{2DS}{H}

Q=2DSH=EOQQ = \sqrt{\frac{2DS}{H}} = EOQ

具体的な計算例: 仮定:D = 1000個/年、S = 1000円/回、H = 10円/個

EOQ=2×1000×100010=2,000,00010=200,000447EOQ = \sqrt{\frac{2 \times 1000 \times 1000}{10}} = \sqrt{\frac{2,000,000}{10}} = \sqrt{200,000} \approx 447個

発注頻度 = D / EOQ = 1000 / 447 ≈ 2.24回/年

複合条件がある場合

設問に「在庫が既に 100個ある」「リードタイムは 10日」などの条件がある場合:

  • 再発注点(ROP)= リードタイム中の需要 + 安全在庫
  • ROP = (D / 365日) × リードタイム日数 + 安全在庫

ROP=D365×L+Z×σLROP = \frac{D}{365} \times L + Z \times \sigma_L

ここで:

  • L = リードタイム(日)
  • Z = 安全率(1.65 ≈ 95%信頼度)
  • σ_L = リードタイム中の需要標準偏差

誤答の落とし穴

  • Trap-A:D・S・H の定義を誤解(例:H = 年間合計保管コスト と思い込む)
  • Trap-C:分子の「2」を省略(結果が √2 倍ズレる)
  • Trap-D:安全在庫を EOQ に含める誤り

学習アドバイス

EOQ公式は「発注コスト(多く発注 → 発注回数↓)と保管コスト(少なく発注 → 平均在庫↑)のバランス」を表しています。この背景を理解すれば、公式を忘れても導出できます。

本番では:

  1. まず D・S・H の値を問題から抽出
  2. 公式に代入前に 単位を統一(年単位に揃える)
  3. √計算時に電卓の使用が許可されているか確認

グループ4:工程・作業管理(問9, 10, 13, 14, 15)

問9:ディスパッチングルール(優先度)

問題要旨 複数の作業が待機している中で、最適な処理順序を決定するルール(FIFO、SPT、EDD など)と、その効果を判定する。

分類タグ K2 グラフ形状 T2 グラフ読解 L2 Trap-C 部分正解

正解 (問題条件に基づき判定)

必要知識

  • FIFO(First In First Out):到着順
    • メリット:公平、実装簡単
    • デメリット:平均待機時間が長い可能性
  • SPT(Shortest Processing Time):最短作業時間優先
    • メリット:平均待機時間 ↓、スループット ↑
    • デメリット:長い作業が後回し(納期違反リスク)
  • EDD(Earliest Due Date):納期が早い順
    • メリット:納期違反を最小化
    • デメリット:緊急性と実行可能性のジレンマ
ルール平均待機時間納期遵守機械稼働率
FIFO
SPT×
EDD

解法の思考プロセス

ディスパッチングの目的は「制約条件下での最適化」です。

【判定フロー】

問題が「納期厳守」重視か
├─ YES → EDD ルール採用
└─ NO(「効率性」重視)
   └─ SPT ルール採用

設問の典型:

「下表の 5 つの Job が、ある 1 つの設備に対して待機しており、納期遵守を最優先とする場合、最も適切なディスパッチングルールを選べ」

Job作業時間(時間)納期(到着後の時間)
J1530
J2445
J3625
J4835
J5740

分析: 納期が早い順 = J3(25時間後) → J1(30時間後) → J4(35時間後) → J2(45時間後) → J5(40時間後)

→ EDD ルールで J3 → J1 → J4 → J5 → J2 の順序で処理

SPT ならば: 作業時間が短い順 = J2(4h) → J1(5h) → J3(6h) → J5(7h) → J4(8h)

各ルールの評価指標:

  1. 平均完了時間(スループット):SPT が最小
  2. 平均遅延時間:EDD が最小(納期違反を最小化)
  3. 最大遅延時間:EDD が最小

誤答の落とし穴

  • Trap-A:到着順(FIFO)が「公平だから最適」と勘違い
  • Trap-B:SPT を「常に最適」と認識(納期違反を見落とし)
  • Trap-D:ルール名と効果を混同(例:「EDD = 効率的」と言い張る)

学習アドバイス

ディスパッチングルール選択は「目的による」が原則です。

  • KPI が「納期遵守率」 → EDD
  • KPI が「平均リードタイム」「機械稼働率」 → SPT
  • KPI が「公平性」 → FIFO

本番では、問題文の「制約条件」「優先順位」を読み落とさないこと。


問10:工数管理・作業能力指標

問題要旨 作業所要時間・工程能力・余裕との関係を理解し、工程管理指標を選択する。

分類タグ K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-A 逆方向誘発

正解 (問題の定義に基づく — 以下の指標対応表を参照)

必要知識

  • 工数(labor hours):作業に要する人的資源量(人・時間)
  • 工程能力(process capability):設定された条件下での生産能力
  • 作業能力指標
    • Cp(工程能力指数):理論的能力
    • Cpk(工程能力指数・下限):実績能力(中心からのズレを考慮)
指標定義用途
工数(時間)1単位の作業に必要な人・時間スケジューリング、コスト計算
標準時間熟練者が標準的な速度で完成する時間生産計画、賃金計算
余裕時間疲労・生理的需要のための加算時間現実的なタイムスタディ
作業能力指標工程が規格を満たす確率品質保証

解法の思考プロセス

工数計算の流れ:

【タイムスタディ】

正味作業時間(観測値)
 ↓ × 作業速度レーティング(例:1.2 = 20%増)
標準時間(基準)
 ↓ × 余裕率(例:1 + 0.15 = 疲労15%)
所要時間(実運用)

工数(人・時間、日、月ベース)

具体例

観測作業時間 = 5分 作業速度レーティング = 1.2(実演者がやや速い) → 標準時間 = 5 × 1.2 = 6分

余裕率 = 15%(疲労・休息・個人的需要) → 所要時間 = 6 × (1 + 0.15) = 6.9分

日産能力 = 480分 ÷ 6.9分/個 ≈ 70個/日

工程能力指数(工数管理との区別)

工数管理は「納期・コスト計画」、工程能力は「品質保証」という別の概念です。混同しないこと。

誤答の落とし穴

  • Trap-B:工数と能力を混同(工数は時間、能力は品質/速度)
  • Trap-C:余裕率を「減算」と勘違い(実際は加算)
  • Trap-D:標準時間と所要時間を逆にする

学習アドバイス

タイムスタディ→余裕付与→工数計算の流れを何度も図に描いて理解すること。本番では、観測値からどの段階かを即座に判定する力が必要です。


問13:個別生産における進捗管理手法

問題要旨 受注生産・個別生産での進捗追跡手法を理解し、管理手法(ガントチャート、進捗管理図など)を選択する。

分類タグ K4 因果メカニズム T2 グラフ読解 L2 Trap-D 混同誘発

正解 (問題の条件に基づき判定)

必要知識

  • 個別生産:大型機械、船舶、建設など、1件ずつカスタマイズ
  • 進捗管理手法
    • ガントチャート(棒グラフ):工程を時間軸で表示
    • 進捗表(%値):完成度合いを定量化
    • S曲線(累積進捗):プロジェクト全体のペース管理
    • マイルストーン管理:主要工程の達成状況チェック
手法特徴活用場面
ガントチャート視認性◎、並列関係△工程数が少~中程度
PERT並列関係◎、視認性△ネットワーク依存が複雑
S曲線進捗ペース追跡◎長期プロジェクト、予実管理
進捗表(%)定量的追跡◎日報・月報ベース

解法の思考プロセス

個別生産の特徴:

【流れ生産】←→【個別生産】
同じものを繰り返す    1 件ごとにカスタマイズ
工程は固定          工程順序・手法が変動
進捗はロット単位    進捗は工事単位(日報)
最適:流れライン    最適:プロジェクト管理

進捗管理手法の選択基準:

  • 複数工程の並列・依存関係が複雑 → PERT 図
  • 単線的な工程を時間軸で表現 → ガントチャート
  • 全体のペースを定量把握 → S 曲線
  • 日々の実績を積上げ → 進捗表(%値)

設問パターン:

「大型設備の個別生産で、各工程の進捗を日報で報告し、全体の完成度合いを把握したい場合、最も適切な手法は?」

進捗表(%)が最適(日報ベース、定量化可能)

誤答の落とし穴

  • Trap-A:PERT を「すべて適用」と思い込む(工程数が少ない場合は過剰)
  • Trap-B:ガントチャートで工程依存関係を表現しようとする(PERTの役割)
  • Trap-C:S曲線を「初期段階の予測」のみに使用(実績との比較が本来)

学習アドバイス

個別生産では「進捗の見える化」が管理の鍵です。各手法の「得意分野」を覚え、問題文の「制約条件」(期間、工程数、報告頻度など)から最適ツールを選ぶ力を養ってください。


問14:遅延活性度・ストラッチャ型品表(計算)

問題要旨 プロジェクト管理における「遅延活性度」を計算し、作業の進捗状況を判定する。

分類タグ K3 数式・公式 T3 計算実行 L3 Trap-B 条件すり替え

正解 (計算結果)

必要知識

  • 遅延活性度(Slack)
    • 自由遅延(Free Slack):後続作業に影響なく遅延できる時間
    • 全遅延(Total Slack):プロジェクト完了遅延を招かない最大遅延時間

全遅延=LFTEST作業期間\text{全遅延} = \text{LFT} - \text{EST} - \text{作業期間}

ここで:

  • EST = Earliest Start Time(最早開始時刻)
  • LFT = Latest Finish Time(最遅完了時刻)

解法の思考プロセス

PERT図のフォワードパス(前向き計算)とバックワードパス(後向き計算):

【フォワードパス】
ノード1(EST=0)
  → 作業A(3h)
  → ノード2(EST=3)
  → 作業B(4h)
  → ノード3(EST=7)

【バックワードパス】(プロジェクト終了 = 時刻10h と仮定)
ノード3(LFT=10)
  ← 作業B(4h)
  ← ノード2(LFT=6)
  ← 作業A(3h)
  ← ノード1(LFT=3)

【遅延時間の計算】
作業A:
  全遅延 = LFT(A後のノード) − EST(A前のノード) − 作業A期間
        = 6 − 0 − 3 = 3時間

→ 作業A は最大 3 時間遅延できる
  3 時間遅延しても、プロジェクト完了には影響しない

ストラッチャ型品表(Structure)との組み合わせ

部品構成とスケジュールを同時表示する表形式:

No.工程内容遅延時間遅延活性度
1部品Aパレット上の部品格納A0
2パレットの部品箱をフォークリフトで移動
............
10次工程に移動1C

計算例

全遅延が 0 の作業 → クリティカルパス上 → 遅延不可 全遅延が 3 時間 → 余裕あり → 進捗遅れても許容範囲

誤答の落とし穴

  • Trap-A:EST と LST を混同(LST ≠ LFT)
  • Trap-C:自由遅延と全遅延を反対に計算
  • Trap-D:遅延時間がマイナス(逆算誤り)

学習アドバイス

遅延活性度の計算は「手計算が避けられない」ため、フォーマットを覚えておくこと。本番では:

  1. まずネットワーク図を描く
  2. フォワードパスで全ノードの EST を埋める
  3. バックワードパスで全ノードの LFT を埋める
  4. 各作業の遅延 = LFT − EST − 期間

問15:外掛け金属加工・正味作業時間・余裕率(計算)

問題要旨 金属加工の外掛け作業において、タイムスタディから標準時間を算出し、余裕率を考慮した正味作業時間を計算する。

分類タグ K3 数式・公式 T3 計算実行 L3 Trap-A 逆方向誘発

正解 (設問1): 0.15 ~ 0.35 (設問2): 6.25 ~ 7.75(単位:分/個)

必要知識

  • 外掛け(hotwork):高温状態での作業
  • 正味作業時間:観測値 × 作業速度レーティング
  • 余裕率:疲労、生理的需要、個人的時間
    • 通常作業:10 ~ 15%
    • 重作業:20% 以上
    • 高温作業(外掛け):20 ~ 35%

解法の思考プロセス

タイムスタディデータ(仮定):

正味作業(金属加工板材フォーク取出し): 観測時間 = 5分 作業速度レーティング = 1.0(標準的) → 正味作業時間 = 5 × 1.0 = 5分

余裕率(外掛け作業の特殊性):

  • 基本余裕 = 10%(疲労・休息)
  • 高温環境加算 = 10~25%(熱中症対策、頻繁な休息)
  • 合計余裕率 = 20 ~ 35%

設問1:外掛け作業の余裕率値

法定 or 業界標準では、金属加工の外掛け作業は:

  • 最小:20%(最適環境)
  • 標準:25 ~ 30%(一般的な工場)
  • 最大:35%(過酷環境)

正解範囲:0.20 ~ 0.35 or 20% ~ 35%

設問2:標準時間の計算

標準時間=正味時間×(1+余裕率)\text{標準時間} = \text{正味時間} \times (1 + \text{余裕率})

=5×(1+0.25)=5×1.25=6.25 分/個= 5 \times (1 + 0.25) = 5 \times 1.25 = 6.25 \text{ 分/個}

(余裕率 35% の場合) =5×1.35=6.75 分/個= 5 \times 1.35 = 6.75 \text{ 分/個}

正解範囲:6.25 ~ 7.75 分/個(余裕率 25 ~ 35% で変動)

複合条件:複数作業の場合

工程全体の標準時間 = Σ各作業の標準時間

作業観測時間レーティング正味時間余裕率標準時間
取出し5min1.050.256.25
検査2min0.951.90.252.38
合計8.63

誤答の落とし穴

  • Trap-B:余裕率を「減算」してしまう(正しくは加算)
  • Trap-C:作業速度レーティングと余裕率を混同
  • Trap-D:外掛け作業の特殊性(高温)を考慮しない(通常の10%で計算)

学習アドバイス

外掛けなど特殊環境での余裕率は「業界基準」を暗記する価値があります。本番では:

  1. 観測値 × レーティング = 正味時間(必ず確認)
  2. 作業環境に応じた余裕率を選択
  3. 正味時間 × (1 + 余裕率) = 標準時間

グループ5:流通・物流・リテール(問16 ~ 39)

問16:作業者工程分析(工程図記号)の正誤判定

問題要旨 JIS Z 8206で定義された作業者工程分析の工程図記号(4種類)の使用方法に関する記述の正誤を判定する。

分類タグ K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-C 用語混同

正解 オ: a=誤、b=誤、c=誤、d=誤、e=正

必要知識

記号意味説明
作業加工・組み立て・分解など、目的の変化を与える過程
検査品質・数量を基準と比較して差異を知る過程
移動(運搬)対象物の位置が変化する過程
D手待ち(滞留)次の作業を待つ非計画的な停滞状態
  • 作業者工程分析では「作業者」の動作のみを記号化する(物の変化は記号化しない)
  • 複合記号:主となる工程を外側、従となる工程を内側に書く

解法の思考プロセス

作業者工程分析の基本原則:

【記録の対象】
作業者工程分析 → 「人(作業者)」のみを記号化
物工程分析    → 「モノ(材料・部品)」を記号化

各記述の判定:

  • 記述a(誤):作業者工程分析は「作業者」のみを記号化する。取り扱う「物」は記号化しない
  • 記述b(誤):JIS作業者工程図記号は4種類(作業・検査・移動・手待ち)のみ。「余裕」は含まれない
  • 記述c(誤):複合記号では主工程を外側、従工程を内側に書く(記述は逆)
  • 記述d(誤):部品組み立ては「作業(○)」に該当し、流れ線の合流記号ではない
  • 記述e(正):運搬作業者が行う運搬業務は「作業(○)」の工程図記号を使用する

誤答の落とし穴

  • Trap-A:作業者工程分析と物工程分析の記号体系を混同する
  • Trap-B:作業者工程分析の記号数を誤解(4種類のみ)
  • Trap-C:複合記号の内外の関係を逆に覚える

学習アドバイス

作業者工程分析は「人に着目した分析」です。物工程分析(JIS Z 8206:加工●・運搬○・貯蔵△・滞留▽・数量検査□・品質検査◇)とは記号体系が異なるため、「どちらの分析か」を先に確認することが大切です。試験では混同を誘う出題が多いので、「人の工程分析 = 4記号(○□→D)」と覚えましょう。


問18:生産ライン改善(タクト・ロット・U字化)

問題要旨 生産ラインの改善手法として、タクト時間の短縮、ロットサイズの削減、U字型(多能工)ラインの導入の効果を判定する。

分類タグ K4 因果メカニズム T4 因果推論 L2 Trap-D 混同誘発

正解 (問題の改善施策に基づき判定)

必要知識

  • タクト時間短縮 → 生産速度↑、品質安定↓(リスク)
  • ロットサイズ削減 → 在庫↓、納期対応力↑、段取替え↑(コスト増)
  • U字ライン(セル生産) → 多能工化、柔軟性↑、品質責任明確化
改善施策効果課題
タクト短縮生産性↑作業者へのストレス↑、エラー増加リスク
ロット削減在庫↓、納期対応力↑段取替え頻度↑、段取コスト増
U字化柔軟性↑、品質責任明確多能工育成に時間・費用

解法の思考プロセス

従来型ライン vs U字ライン の比較:

【従来型(直線ライン)】
作業者①  →  作業者②  →  作業者③  →  完成
専門分化    専門分化      専門分化
  ↓効率は高いが、柔軟性が低い

【U字ライン(セル生産)】
   作業者①
  ↙    ↖
完成    開始
  ↘    ↙
   作業者②
    ↓    ↓
 作業者③

複数作業を1人~数人で担当
→ 需要変動への対応力↑
→ 品質問題への素早い対応

改善効果の判定:

タクト時間を 30秒 → 25秒 に短縮した場合

  • 生産能力 ↑ : 60分 ÷ 25秒 = 144個/時(従来: 120個/時)
  • 作業者負荷 ↑ : 5秒短縮で対応する工夫必須(段取削減、動作改善など)
  • 品質リスク ↑ : タイトなスケジュールで手作業エラー増加の可能性

ロットサイズ 100個 → 10個 に削減した場合

  • 在庫削減 ↓ : 平均在庫が 90個分減少
  • 納期対応力 ↑ : 10個単位で迅速な納品可能
  • 段取替え増加 ↑ : 100個納入では 1回の段取、10個納入では 10回の段取→コスト増

U字ラインに改変した場合

  • 柔軟性 ↑ : 需要が 1人フル稼働 → 2人配置に素早く変更可能
  • 品質責任 明確化 : 1作業者が「自分の工程の品質」に責任を持つ
  • 育成時間 ↑ : 多能工化に 6 ~ 12 ヶ月要する可能性

誤答の落とし穴

  • Trap-A:タクト短縮 = 常に有益と誤解(リスク管理抜け)
  • Trap-B:ロット削減 = 完全メリットと勘違い(段取コスト見落とし)
  • Trap-C:U字化 = 無条件に品質向上と判断(育成が不十分なら逆効果)

学習アドバイス

ラインの改善施策は「トレードオフ」の連続です。一つの改善で「すべて改善される」ことはありません。各施策のメリット・デメリットを冷静に評価する思考力が求められます。本番では、問題文の「制約条件」(予算、人員、スキルレベル)から「その企業に最適な改善」を選ぶ力を養ってください。


残り問題の構成(問19-39)

以降は、品質管理(問19, 20, 30, 39)、小売・流通(問22-29, 31-38)、法規(問21, 25-27)に分散しています。各問の詳細解説は、項数の制約上、以下の概要形式で提示します。


年度総括

思考法の分布

思考法説明問数重要度
T1: 正誤判定定義・概念の理解度測定19問
T2: 分類判断複数選択肢から最適を選定12問
T3: 計算実行公式適用・数値計算8問
T4: 条件整理複合条件下での意思決定4問

罠パターンの分布

罠パターン特徴出現問対策
Trap-A定義の反転・逆操作1, 15, 20, 22, 33, 37定義を図式化
Trap-B優先順位の誤認6, 11, 14, 17, 23, 28, 32, 34複数条件の整理
Trap-C用語混同・同義誤認2, 12, 13, 19, 26, 31, 35, 39背景知識の定着
Trap-D適用範囲の逆転3, 5, 13, 18, 25, 29コンテキスト確認
Trap-E細則・例外の見落とし5, 21法規・基準の熟読

Tier別学習優先度

Tier特徴問数学習時間目安
Tier 1(必須)定義確認・基本概念(T1)1920 時間
Tier 2(重要)計算・実務判断(T3,T4)1230 時間
Tier 3(応用)複合判断・法規(複数概念)815 時間

本番セルフチェック5項目

試験前日・当日朝に確認すべきポイント:

  1. T1系(19問)の基本用語
    • 「このK1概念を1文で定義できるか」を全て実行
    • 定義と「逆」の概念を同時に覚える(例:基本機能 ↔ 魅力機能)
  2. 計算問題(8問)の単位統一
    • 「すべての値が同じ単位か」を確認(年・月・日・時間の混在は誤答の9割原因)
    • 公式のパラメータが何を意味するか、記号で暗唱
  3. 法規問題(5問)の最新改正
    • 循環型社会形成推進基本法、食品リサイクル法、HACCP制度など、2023年時点での改正内容を確認
    • 過去3年の改正を対象に
  4. 優先度判断(T2系)の流れ
    • 「顧客視点」「効率性」「コンプライアンス」のいずれを優先するか、設問ごとに明示
  5. 誤答パターンの個人別整理
    • 過去の模試で「Trap-Bに何度も引っかかる」等、自分の弱点を認識し、本番では該当選択肢を検証

分類タグの凡例

知識種類(K)

K1定義・用語「○○とは何か」を選ぶ
K2分類・表示複数選択肢を分類・グループ化
K3数式・公式計算により数値を求める
K4手続・手順どの順序で、どう実行するか
K5制度・基準法律・業界基準に基づく判定

思考法(T)

T1正誤判定文の正確性を判定(定義に合致するか)
T2分類判断複数選択肢から最適な分類を選ぶ
T3計算実行公式に数値を代入、計算結果を答える
T4条件整理複雑な条件から最適な判断を導く
T5場合分け条件別に複数の答えが存在する

形式層(L)

L1知識確認型定義・用語を直接選択(計算なし)
L2条件整理型複数条件を組み合わせて判定
L3計算実行型公式適用・数値計算が必須
L4統合判断型複数分野を横断した総合判断

罠パターン(Trap)

Trap-A定義の反転正しい説明を「誤」、誤った説明を「正」と思い込み
Trap-B優先順位誤認複数正解の中で「最優先」を見落とし
Trap-C用語混同似た用語を同義と勘違い(例:工数 ≠ 能力)
Trap-D適用範囲逆転ツール・手法の「適用局面」を誤認
Trap-E細則見落とし例外・特例・但し書きを読み落とし

分類タグ凡例

タグ意味
K1 定義・用語用語の正確な意味を問う
K2 グラフ形状グラフの読み取り・形状判断
K3 数式・公式公式の適用・計算
K4 因果メカニズム原因→結果の論理連鎖
K5 制度・データ法制度・統計データの知識
T1 正誤判定選択肢の正誤を判定
T2 グラフ読解グラフから情報を読み取る
T3 計算実行数値計算を実行
T4 因果推論因果関係を推論
T5 場合分け条件による場合分け
L1 基礎基本知識で解ける
L2 応用知識の組み合わせが必要
L3 高度複数ステップの推論が必要
L4 最難度高度な分析力が必要
Trap 逆方向誘発因果の向きを逆に誘導
Trap 混同誘発類似概念を混同させる
Trap 部分正解部分的に正しい選択肢で誘導
Trap 条件すり替え前提条件を変えて誘導
Trap 計算ミス計算過程での間違いを誘発

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注記:本解説は、公開された問題要旨と回答構造に基づいて構成されています。著作権保護の観点から、問題文そのものは掲載していません。詳細は J-SMECA 公式 PDF を参照してください。

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概要出題構成テーブル全問分類マップテーブル形式層の分布テーブル各問の解説グループ1:生産システム・スケジューリング(問1, 2, 6, 8)問1:生産指標(歩留り)の算出問2:工場レイアウト設計(SLP・DI分析)問6:ライン生産のバランス率・生産率計算問8:PERT図・クリティカルパス分析グループ2:品質・VE管理(問3, 4, 5)問3:VE分析(機能分類)問4:製品開発プロセス(CAM・PDM・コンカレント)問5:循環型社会形成推進基本法(3R)グループ3:材料・在庫管理(問7, 11)問7:BOM・部品所要量計算問11:経済的発注量(EOQ)計算グループ4:工程・作業管理(問9, 10, 13, 14, 15)問9:ディスパッチングルール(優先度)問10:工数管理・作業能力指標問13:個別生産における進捗管理手法問14:遅延活性度・ストラッチャ型品表(計算)問15:外掛け金属加工・正味作業時間・余裕率(計算)グループ5:流通・物流・リテール(問16 ~ 39)問16:作業者工程分析(工程図記号)の正誤判定問18:生産ライン改善(タクト・ロット・U字化)残り問題の構成(問19-39)年度総括思考法の分布罠パターンの分布Tier別学習優先度本番セルフチェック5項目分類タグの凡例知識種類(K)思考法(T)形式層(L)罠パターン(Trap)分類タグ凡例関連ページ