IEとVE
工程分析、動作分析、時間研究、標準時間、VEを整理する
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工場や事務所での「現場のムダ」を見つけるIE(Industrial Engineering)と、製品やサービスの「機能とコストの関係」を見直すVE(Value Engineering)は、改善の狙いが違います。このページでは、IE の工程分析・動作分析・時間研究・標準時間の計算と、VE の価値公式・改善パターン・ECRS原則をしっかり整理し、試験での計算問題と判定問題に対応できる力をつけます。
このページの読み方
「この作業に何分かかるべきか」はIE、「この部品にこの機能は本当に必要か」はVE。IE はプロセス効率化、VE は機能価値の最大化と覚えておくと、問題の読みが加速します。標準時間の計算では外掛け法と内掛け法で答えが変わるため、公式の使い分けが鍵になります。
学習のポイント
- IE:作業・工程の改善(ムダを見つけて減らす)
- VE:価値の最大化(機能とコストのバランス)
- 標準時間の計算は頻出(外掛け法 vs 内掛け法で結果が異なる)
- 工程分析の記号:加工○・検査□・運搬→・停滞▽を正確に読む
- ECRS の優先順位:排除 → 結合 → 交換 → 簡素化
まずイメージをつかむ
部品が倉庫から出発して、切断→研磨→検査→塗装→乾燥→包装→出荷される製造工程を想像してください。この流れの中で、どこに時間がかかっているのか、どこで待ち時間が生じているのか、その動作は本当に必要なのか。こうした問いに答えるのがIEとVEです。
IE は「この流れ、この動作をどう効率化するか」を扱い、VE は「この機能、この部品は本当に必要か、代替手段があるか」を扱います。どちらも現場の改善活動に欠かせませんが、視点が異なることを意識しておくと、試験問題の判別がしやすくなります。
IE の 4 つの手法と改善の進め方
4 つの手法の全体像
| 手法 | 何を見るか | 改善の方向 | 試験出題度 |
|---|---|---|---|
| 工程分析 | モノや人の流れ全体 | 工程の削減・統合・搬送短縮 | 中 |
| 動作分析 | 人の手・体の細かい動き | ムダ動作の排除・効率化 | 低 |
| 時間研究 | 作業の実際の所要時間 | 観測データから正味時間を把握 | 高 |
| 標準時間設定 | あるべき作業時間 | 公正で実現可能な基準値の設定 | 高 |
なぜこの順番か
工程分析で全体構造を把握 → 動作分析で個別動作を最適化 → 時間研究で実測値を集約 → 標準時間で管理基準に変換、という流れで、段階的に改善の深さが増していきます。
工程分析:プロセス全体を見る
4 つの記号と改善優先度
| 記号 | 意味 | 具体例 | 改善扱い |
|---|---|---|---|
| ○ | 加工・処理 | 旋盤で削る、書類作成 | 必須(ただし削減はできないか常に問う) |
| □ | 数量検査 | 個数を数える | 削減対象 |
| ◇ | 品質検査 | 傷やズレを確認 | 削減対象 |
| → | 運搬・移動 | 台車で運ぶ、書類を持ち歩く | 削減対象 |
| ▽ | 停滞・保管 | 倉庫に保管、ファイル箱で待機 | 最優先削減 |
| D | 手待ち | 次の工程を待つ | 最優先削減 |
改善の考え方
停滞(▽)と手待ち(D)が最大のムダです。なぜなら、時間が経過しても製品の価値が高まらないからです。次に、運搬(→)や検査(□◇)の削減を検討します。加工(○)そのものの削減は通常難しいですが、「この加工工程は本当に必要か」を問い直すことは重要です。
工程分析の実例
次のような部品製造工程を想定します。
1. 原料搬入(→ 30分)
↓
2. 倉庫保管(▽ 1日)
↓
3. 旋盤加工(○ 2時間)
↓
4. 加工品搬送(→ 20分)
↓
5. 検査待ち(D 4時間)
↓
6. 品質検査(◇ 1時間)
↓
7. 研磨加工(○ 1.5時間)
↓
8. 乾燥待ち(▽ 8時間)
↓
9. 梱包・検査(○ 30分)
↓
10. 出荷(→ 20分)改善の読み方:
- 最優先:倉庫保管(1日)と乾燥待ち(8時間)で 32時間のムダ。これは「本当に必要か」を最初に問う(ECRS原則の E=排除)
- 次点:検査待ち(4時間)のスケジュール調整で解消できないか
- その次:運搬が3回あるが、加工地点で検査をする等で運搬を減らせないか
- 最後:各加工時間の細分化は低優先(加工そのものは必須のため)
このように記号を見ると、改善の順番と効果が直感的に理解できます。
動作分析:人の動きを細分化する
ギルブレスの基本動作(サーブリグ)
人の動作は 18 個の基本要素に分解できます。そのうち試験でよく出る主要なものは:
| 動作(英名) | 意味 | 実例 | 時間短縮の方向 |
|---|---|---|---|
| つかむ(Grasp) | 対象物をつかむ | ボルトをつかむ | つかみやすい形状に改良 |
| 運ぶ(Transport) | ある位置から別の位置へ | つかんだボルトを穴まで運ぶ | 距離を短縮 |
| 位置決め(Position) | 正確な位置に置く | ボルトを穴に合わせる | 位置決めガイドを付ける |
| 保持(Hold) | つかんだ状態を保つ | 他の人が回すまで保持 | 治具で固定、手を解放 |
| 放す(Release) | つかんだものを手放す | ボルトを放す | 自動化 |
| 検査(Inspect) | 良否を確認する | 傷がないか確認 | 事前チェックで個別検査を削除 |
動作経済の 3 つの原則
1. 身体の使用原則
- 両手を同時に対称的に動かす(左右均等に動かすと効率が高い)
- 足や体幹も活用する(手だけで頑張らない)
- ゆっくり正確に(速さより正確さを優先)
- 作業中の姿勢を安定させる
2. 作業場の配置原則
- 道具や部品を体の周辺に配置(腕の移動を最小化)
- 視界に入る位置に置く(探す時間をゼロに)
- 左右対称に配置(両手同時作業を促進)
- 高さと距離を作業者に合わせる
3. 工具・設備の設計原則
- 持ちやすい、握りやすい形状
- 繰り返し作業なら自動化を検討
- 複数工程を一度に行える工具設計(例:ドリルと同時にバリ取り)
- 重量バランスの最適化
動作分析の改善例
改善前:
ボルト倉庫から取り出す
→ つかむ
→ 検査担当者に運ぶ
→ 傷や寸法を検査
→ 位置決めし、ドライバーで回す(複数回)
→ 次のボルトへ改善後:
ボルトと並べたドライバー、ナット、ワッシャーを作業台の周辺に整理
→ つかむ
→ 位置決め(見やすくなったので検査は不要に)
→ 自動給送ドライバーで回し、自動停止
→ 完了、次へ改善のポイント:
- 不要な検査(傷は納品前に一括チェック)を削除
- 複雑な手作業(複数回のドライバー操作)を自動化
- 道具の配置を最適化し、探す・運ぶ動作を削減
時間研究と標準時間の計算
時間研究の流れ
| ステップ | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1. 観測 | 複数回(通常 10回以上)、実際の作業時間を記録 | 異常値(休憩、割込み)を除外 |
| 2. レイティング | 観測した作業者の速度が標準と比べて遅いか速いか評価(係数 0.8~1.2) | 係数 1.0 が基準、1.0 より大きい = 速い、小さい = 遅い |
| 3. 正味時間計算 | 観測時間 × レイティング係数 | これで「標準的な速度の人が要する時間」になる |
| 4. 余裕加算 | 正味時間に生理的・疲労・職場の事情を加える | 外掛け法 or 内掛け法で計算 |
正味時間と標準時間の定義
正味時間(Nettime):レイティングで調整した、標準的な速度の人が実際に作業に費やす時間
標準時間(Standard time):正味時間に必要な余裕(休憩、生理的必要、疲労回復など)を加えた、作業の基準時間
外掛け法 vs 内掛け法:重要な計算方式の違い
| 方法 | 余裕率の定義 | 標準時間の公式 | いつ使う | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 外掛け法 | 余裕時間 ÷ 正味時間 | 正味時間 × (1 + 余裕率) | 日本で一般的 | シンプルで直感的 |
| 内掛け法 | 余裕時間 ÷ 標準時間 | 正味時間 ÷ (1 − 余裕率) | 欧米、学術的 | 標準時間に占める余裕の割合を直接定義 |
重要:同じ余裕率でも、内掛け法の方が標準時間が大きくなります。
計算例 1:基本的な標準時間計算(外掛け法)
【データ】
観測時間 = 10分
レイティング係数 = 1.2(観測者は標準より20%速い)
余裕率 = 15%(外掛け法)
【ステップ1】正味時間を計算
正味時間 = 観測時間 × レイティング係数
= 10 × 1.2
= 12分
【ステップ2】標準時間を計算(外掛け法)
標準時間 = 正味時間 × (1 + 余裕率)
= 12 × (1 + 0.15)
= 12 × 1.15
= 13.8分
→ この作業の標準時間は 13.8分計算例 2:同じデータで外掛け法 vs 内掛け法(試験頻出)
この比較は、試験で絶対出る重要な判別問題です。
【共通データ】
正味時間 = 100秒
余裕率 = 20%
【外掛け法で計算】
標準時間 = 100 × (1 + 0.20)
= 100 × 1.20
= 120秒
【内掛け法で計算】
標準時間 = 100 ÷ (1 − 0.20)
= 100 ÷ 0.80
= 125秒
【比較】
外掛け法 : 120秒
内掛け法 : 125秒
→ 内掛け法の方が 5秒大きい
【なぜ違う?】
外掛け法は「正味時間に対する余裕の割合」
内掛け法は「標準時間に対する余裕の割合」
内掛け法では同じ20%の割合でも、標準時間が大きいので、
実際の余裕時間が多くなるからレイティング係数の読み方
係数の値と意味をはっきり理解することが、計算ミスを防ぎます。
| レイティング係数 | 作業者のペース | 正味時間への影響 |
|---|---|---|
| 0.9 | 標準より 10%遅い | 観測時間より小さくなる(掛ける) |
| 1.0 | 標準的なペース | 観測時間と同じ |
| 1.1 | 標準より 10%速い | 観測時間より大きくなる(掛ける) |
| 1.2 | 標準より 20%速い | 観測時間より大きくなる(掛ける) |
覚え方:「係数は常に掛ける。1.0 が基準。1.0 より大きい = 速い = 正味時間が観測時間より大きくなる(標準ペースへ換算)」
余裕の 4 つの種類
作業に必要な余裕は、単なる休憩時間ではなく、多角的に判断します。
| 余裕の種類 | 内容 | 具体例 | 目安 |
|---|---|---|---|
| 人的余裕(生理的余裕) | 生物として必要な時間 | トイレ、水分補給、疲労回復 | 5~10% |
| 疲労余裕 | 長時間作業による疲れへの対応 | 屋外作業、立ちっぱなし、騒音環境 | 5~15% |
| 職場余裕 | 職場固有の事情 | 朝礼、終礼、道具の手入れ、片付け | 3~10% |
| 管理余裕 | 管理上の事情 | 品質チェック時間、報告書記入 | 2~5% |
これらを合算して総余裕率とします。
ワークサンプリング法:別のアプローチ
時間研究(ストップウォッチ法)以外に、ワークサンプリング法という方法もあります。
概念:
- 作業者の活動をランダムに、何回も観察する(通常 500~1000回)
- 「作業中」か「非作業(待機・準備・休憩など)」かをチェックする
- 観察回数が多いほど、実際の稼働率が正確に推定できる
計算例:
1000回ランダムに観察した結果
→ 750回が「実際に作業している」
→ 250回が「待機・準備・休憩」
稼働率 = 750 ÷ 1000 = 75%
非稼働率 = 250 ÷ 1000 = 25%
→ 実際の作業時間は全体の75%であることが判明特徴:
- 工程分析や時間研究より簡単で低コスト
- 複数拠点での並行観察が容易
- ただし精度が必要な場合は、観測回数をもっと増やす必要がある
VE(Value Engineering):機能とコストの最適化
VE の価値公式
価値(V) = 機能(F) ÷ コスト(C)VE の目標は、この式を高めることです。つまり「同じ機能なら安く」「同じ値段なら高機能に」「両方改善できれば最高」という三つの戦略があります。
具体例:シャープペンシルの価値比較
| 製品 | 機能評価(F) | コスト(C) | 価値(V) | 100円当たり |
|---|---|---|---|---|
| シンプル版(書く機能のみ) | 100 | 500円 | 100÷500=0.20 | 20 |
| 多機能版(+消しゴム+定規) | 150 | 1000円 | 150÷1000=0.15 | 15 |
| 廉価版(機能80) | 80 | 200円 | 80÷200=0.40 | 40 |
結果:廉価版が最も価値が高い(100円当たりの機能性が最も高い)。VE は「安さ」ではなく「機能当たりの価値」を評価することが重要です。
VE の 5 つの改善パターン
| パターン | 機能(F) | コスト(C) | 価値(V) | 改善内容 | 例 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① | 維持 | ↓ | ↑ | コスト削減(機能同じ) | 安い素材で同じ機能 |
| ② | ↑ | 維持 | ↑ | 機能追加(コスト同じ) | 同コストで機能UP |
| ③ | ↑ | ↓ | ↑↑ | 機能向上+コスト減 | 部品統合で両立 |
| ④ | ↑↑ | ↑ | ↑ | 機能大幅UP(コスト増) | 高級化戦略 |
| ⑤ | ↓ | ↓↓ | ↑ | コスト大幅削減(機能少し減) | エコノミー戦略 |
改善優先順位:
- 最良のVE:③(機能向上+コスト削減)を目指す
- 次点:①(コスト削減)も効果大
- 最後:②④⑤は戦略的判断が必要
機能分析:FAST 図で階層的に考える
VE では「コストを下げろ」と単純に考えるのではなく、まず機能を分析することが重要です。FAST 図(Function Analysis System Technique)は、機能を階層的に展開します。
顧客ニーズ:「毎日、安全に仕事をしたい」
↓
主要機能:「安全性を確保する」
↓
下位機能:
├─ 視認性を確保(ヘルメットの色、反射材)
├─ 衝撃を吸収(クッション材の厚さ、素材)
├─ 通気性を提供(穴の数、位置)
├─ 重量を軽くする(素材選定、薄肉化)
└─ 耐久性を確保(表面処理、接合方法)各下位機能について「本当に必要か」「代替手段はないか」「コストは妥当か」を問い直すことで、不要な付加機能を削減したり、逆に不足している機能を追加したりできます。
ECRS の原則:改善の優先順位
VE を実践するときは、改善の順序が重要です。ECRS は効果が大きい順に並べたチェックリストです。
| 順位 | 原則 | 日本語 | 説明 | 典型例 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | Eliminate | 排除 | 本当に必要か問い直し、不要な機能・工程を削除 | ネジ穴を減らす、検査工程を統合 |
| 2 | Combine | 結合 | 複数の機能・工程をまとめる | 複数の部品を一体成型、2つの検査を1つに |
| 3 | Rearrange | 交換 | 工程順序や部品配置を変更 | 加工順序を変更、レイアウト改善 |
| 4 | Simplify | 簡素化 | 個別の工程や機能を簡単にする | デザイン単純化、操作ステップ削減 |
改善のマインドセット:
- まず「いらないものを排除できないか」を問う(最大効果)
- それでも残る機能を「複数まとめて結合」できないか
- その次に「順序や配置を交換」して流れを改善
- 最後に「細かく簡素化」(ここまで来ると効果は小さい)
IE と VE の比較:何が違う?
| 比較軸 | IE(Industrial Engineering) | VE(Value Engineering) |
|---|---|---|
| 対象 | 作業・工程プロセス | 製品・サービスの機能と構造 |
| 目的 | ムダの排除と効率化 | 機能とコストの最適化 |
| アプローチ | 現状の作業を観察して改善 | 機能を分析して代替案を検討 |
| 時間軸 | 主に既存工程の改善 | 設計段階(上流)で実施が効果大 |
| 代表的手法 | 工程分析、時間研究、標準時間 | 機能分析(FAST図)、コスト比較、ECRS |
| 試験での出方 | 計算問題(標準時間)が中心 | 判定問題(パターン、ECRS順序)が中心 |
誤答パターン集:試験で引っかかりやすい 5 つのミス
誤り 1:外掛け法と内掛け法の混同
よくある間違い
問題:「正味時間 100秒、余裕率 20%」で標準時間を求めよ。
引っかかりやすい答え:「100 × 1.20 = 120秒」と答える
何が問題か:外掛け法と内掛け法の指定を見落としている。問題文に指定がない場合は、選択肢から逆算する必要があります。
正しい計算:
- 外掛け法なら:100 × (1 + 0.20) = 120秒
- 内掛け法なら:100 ÷ (1 − 0.20) = 125秒
対策:選択肢に両方入っていることが多いので、問題文をよく読み、「どちらの方式か」を確認する習慣をつける。
誤り 2:レイティング係数の向きを逆に読む
よくある間違い
問題:「観測時間 10分、レイティング係数 1.2」で正味時間を求めよ。
引っかかりやすい答え:「標準より速い人だから 10 ÷ 1.2 ≈ 8.3分」と割る
何が問題か:係数 1.2 > 1.0 は「速い作業者」を意味するのでここまでは正しい。しかし、操作が逆。速い作業者の観測時間(10分)を標準ペースの正味時間に換算するには 1.2 を掛ける。割ってしまうと 8.3分(= さらに速い作業者の時間相当)になり意味が逆になる。
正しい計算:10 × 1.2 = 12分(= 標準ペースの作業者が同じ作業をするとかかる時間)
覚え方:「係数は常に掛ける。1.0 が標準。1.0 より大きい(1.1, 1.2...) = 速い = 正味時間が観測時間より大きくなる(標準ペースへ換算)」
誤り 3:正味時間と標準時間を混同
よくある間違い
問題:「観測時間 8分。レイティング係数 1.1。余裕率 15%。標準時間を求めよ」
引っかかりやすい答え:「8 + 1.1 = 9.1分」と足す、または「8 × 1.1 × 1.15 = 10.12分」と無思考に掛ける
何が問題か:ステップを飛ばしている。正味時間と標準時間は別の概念です。
正しい計算:
- 正味時間 = 8 × 1.1 = 8.8分
- 標準時間 = 8.8 × (1 + 0.15) = 10.12分
対策:「正味時間」と「標準時間」の定義を口で説明できるようにする。
誤り 4:VE を単なる「コスト削減」と理解する
よくある間違い
問題:「製品A(機能80、コスト1000円)と製品B(機能60、コスト500円)で、VE の観点からどちらが優れているか」
引っかかりやすい答え:「製品B は安いから VE の観点で優れている」
何が問題か:VE は価値 V = F/C で判定する。単なる安さではなく、機能当たりの価値を見る。
正しい判定:
- A の価値:80 ÷ 1000 = 0.08
- B の価値:60 ÷ 500 = 0.12
- B の方が価値が高い(100円当たりの機能が高い)
対策:「VE は価値の最大化。単なる安さではない」と自分に言い聞かせる。
誤り 5:ECRS の順番を逆に覚える
よくある間違い
問題:「ある製造工程のコストを削減したい。簡素化と統合のどちらを先に考えるべきか」
引っかかりやすい答え:「細かく簡素化してから統合を考える」と逆順で答える
何が問題か:ECRS は E→C→R→S の順。効果が大きい順に進む。簡素化(S)は最後です。
正しい順序:
- Eliminate(排除):不要な工程を削除できないか
- Combine(結合):複数をまとめてコストダウンできないか
- Rearrange(交換):工程順序を変更できないか
- Simplify(簡素化):個々の工程を簡単にできないか
対策:「E が最優先」と頭に入れる。ECRS の各頭文字を書き出す練習をする。
試験での読む順序ガイド
IE と VE の問題は、以下の流れで読むと判断を間違えにくくなります。
ステップ 1:問題のキーワードを探す
- 「時間を短縮する」「工程を減らす」「作業を効率化」→ IE の可能性が高い
- 「機能とコスト」「価値を上げる」「部品を削減」「コスト低減」→ VE の可能性が高い
ステップ 2:「何を見るのか」を確認
- 作業のプロセス(流れ・動作・時間)→ IE の 4 つの手法を適用
- 製品や機能、コスト比較 → VE を適用
ステップ 3:計算が必要な場合、方法を確認
- 外掛け法 or 内掛け法の指定を探す
- 指定がない場合、選択肢から逆算する
- 同じ数値から 2 つの異なる答えが出る場合、方法が違う可能性
ステップ 4:改善パターンの判定
- ECRS の「E(排除)が最優先」を念頭に
- VE は「機能 vs コスト」のバランスで価値を判定
確認問題
問1:標準時間の計算(外掛け法)
観測時間 8分、レイティング係数 1.2、余裕率 15%(外掛け法)。標準時間を求めよ。
解答:
- 正味時間 = 8 × 1.2 = 9.6分
- 標準時間 = 9.6 × (1 + 0.15) = 9.6 × 1.15 = 11.04分
問2:標準時間の計算(内掛け法)
正味時間 10分、余裕率 20%(内掛け法)。標準時間を求めよ。
解答:
- 標準時間 = 10 ÷ (1 − 0.20) = 10 ÷ 0.80 = 12.5分
問3:外掛け法と内掛け法の違いを判定
正味時間 100秒、余裕率 25% の場合、外掛け法と内掛け法の標準時間をそれぞれ計算し、どちらが大きいか答えよ。
解答:
- 外掛け法:100 × (1 + 0.25) = 100 × 1.25 = 125秒
- 内掛け法:100 ÷ (1 − 0.25) = 100 ÷ 0.75 ≈ 133.3秒
- 内掛け法の方が大きい(約8.3秒差)
問4:VE の価値判定
製品A:機能評価 80、コスト 400円。製品B:機能評価 60、コスト 200円。どちらの価値が高いか。
解答:
- A の価値:80 ÷ 400 = 0.20
- B の価値:60 ÷ 200 = 0.30
- 製品Bの方が価値が高い(100円当たりの機能性が高い)
問5:VE の改善パターン判定
ある部品の機能は変わらないが、材料を変更してコストを 2000円から 1500円に削減した。これはVEのどのパターンに該当するか。
解答:パターン① (機能維持、コスト↓)。価値 V は上昇する(分子同じ、分母が小さくなるため)。
問6:工程分析と改善優先度
製造工程:原料搬入(→)→ 倉庫保管(▽ 3日)→ 旋盤加工(○ 2時間)→ 検査待ち(D 4時間)→ 品質検査(◇ 1時間)。最優先で改善すべき活動は何か、理由とともに答えよ。
解答:倉庫保管(▽ 3日)を最優先で改善すべき。停滞(▽)と手待ち(D)の合計 3日4時間に対し、加工 2時間と検査 1時間は極めて短く、ムダが明らかだから。ECRS原則でも、最初にE(排除)で「本当に3日間の保管が必要か」を問い直すべき。
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- 生産管理 プランニング — 需要予測、販売予測、基準生産計画を理解した上で、IEで工程を最適化する
- 品質管理 — 品質検査(□◇)の効率化で工程分析を進める
- 設備管理と生産性向上 — 設備ロス排除(TPM)と IE の標準時間を組み合わせる
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