企業経営理論(令和3年度)
令和3年度(2021)中小企業診断士第1次試験 企業経営理論の全38問解説
概要
令和3年度の企業経営理論は全38問(各4点、100点満点)で出題されました。経営戦略・組織論が問1〜23、マーケティング論が問24〜38という構成です。
問題文は J-SMECA 公式サイト(令和3年度 企業経営理論) から入手できます。手元に PDF を用意したうえでお読みください。全年度の問題は J-SMECA 試験問題ページ で公開されています。
解説の読み方
各問について「問題要旨 → 分類タグ → 正解 → 必要知識 → 解法の思考プロセス → 誤答の落とし穴 → 学習アドバイス」の順で解説しています。分類タグの意味は本ページ末尾の凡例を参照してください。
出題構成
| 領域 | 問番号 | 問数 |
|---|---|---|
| 経営戦略(多角化・ポートフォリオ) | 1, 2 | 2 |
| 経営戦略(M&A・新規事業) | 3, 4, 5 | 3 |
| 競争戦略・ポーターの基本戦略 | 6, 7 | 2 |
| 起業と企業実践 | 8, 9 | 2 |
| 知識創造・特許・情報財 | 10, 11, 12 | 3 |
| 企業責任とガバナンス | 13, 14, 15, 16 | 4 |
| 組織設計と権限 | 15, 20 | 2 |
| 組織コンフリクト・部門パワー | 19, 20 | 2 |
| 組織同型化・両利き経営 | 21, 22 | 2 |
| 組織変革 | 23 | 1 |
| 労働法・法的規制 | 24, 25, 26, 27 | 4 |
| SDGs・経営と社会 | 28 | 1 |
| マーケティング基礎・消費者行動 | 29, 30 | 2 |
| マーケティング・流通戦略 | 31, 32 | 2 |
| インターネット広告・CRM | 33, 34, 35 | 3 |
| ブランディング・地域ブランド | 36 | 1 |
| マーケティング・リサーチ | 37, 38 | 2 |
全問分類マップ
| 問 | テーマ | 知識種類 | 思考法 | 形式層 | 罠パターン |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 多角化と経営資源 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-C 部分正解 |
| 2 | BCG/PPM とポートフォリオ | K4 因果メカニズム | T4 因果推論 | L2 | Trap-D 混同誘発 |
| 3 | M&A と企業価値評価 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-C 部分正解 |
| 4 | コア製品とコア・コンピタンス | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-C 部分正解 |
| 5 | CAGR の計算 | K3 数式・公式 | T3 計算実行 | L2 | Trap-E 計算ミス |
| 6 | ファイブ・フォースと業界構造 | K4 因果メカニズム | T4 因果推論 | L2 | Trap-B 条件すり替え |
| 7 | 競争戦略とコスト・差別化 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-A 逆方向 |
| 8 | エフェクチュエーションの行動原則 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-C 部分正解 |
| 9 | ファミリービジネスとスリーサークルモデル | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-D 混同誘発 |
| 10 | SECI モデルと知識創造 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-C 部分正解 |
| 11 | 特許戦略と知的財産 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-C 部分正解 |
| 12 | 情報財の特性とコモディティ化 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-D 混同誘発 |
| 13 | CSR と企業責任 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-A 逆方向 |
| 14 | バーナードと権威受容説 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-C 部分正解 |
| 15 | チャンドラーと組織設計 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-A 逆方向 |
| 16 | リーダーシップ理論(ホランダー、フィードラー、ミシガン研究) | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-C 部分正解 |
| 17 | 組織コミットメント | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-D 混同誘発 |
| 18 | 集団思考(groupthink) | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-A 逆方向 |
| 19 | 組織コンフリクト | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-B 条件すり替え |
| 20 | 部門のパワーと交渉 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-C 部分正解 |
| 21 | 同型化(coercive, mimetic, normative) | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-D 混同誘発 |
| 22 | 両利き経営(ambidexterity) | K4 因果メカニズム | T4 因果推論 | L2 | Trap-B 条件すり替え |
| 23 | コッターの 8 段階変革モデル | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-C 部分正解 |
| 24 | 労働基準法と基本原則 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-C 部分正解 |
| 25 | フレックスタイム制と労使協定 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-C 部分正解 |
| 26 | 賃金規定と支給方法 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-C 部分正解 |
| 27 | 解雇制限と保護 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-C 部分正解 |
| 28 | SDGs と経営戦略 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-D 混同誘発 |
| 29 | 消費者知覚とセンサリー・マーケティング | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-A 逆方向 |
| 30 | 共創(co-creation)とオープン・イノベーション | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-D 混同誘発 |
| 31 | オムニチャネル戦略 | K4 因果メカニズム | T4 因果推論 | L2 | Trap-B 条件すり替え |
| 32a | サブスクリプション・サービス | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-C 部分正解 |
| 32b | ダイナミック・プライシング | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-D 混同誘発 |
| 33 | インターネット広告の構造 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-D 混同誘発 |
| 34 | クチコミとコミュニティ | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-D 混同誘発 |
| 35a | 広告規制と公共広告 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-C 部分正解 |
| 35b | 広告と説得プロセス | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-D 混同誘発 |
| 36 | 地域ブランド価値構造 | K2 グラフ形状 | T2 グラフ読解 | L1 | Trap-C 部分正解 |
| 37 | マーケティング・リサーチ手法 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-C 部分正解 |
| 38a | 顧客価値と顧客シェア | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L1 | Trap-D 混同誘発 |
| 38b | 顧客ロイヤルティ分類 | K1 定義・用語 | T1 正誤判定 | L2 | Trap-B 条件すり替え |
形式層の分布
| 形式層 | 問数 | 割合 | 該当問 |
|---|---|---|---|
| L1 定義暗記 | 24 | 63% | 1, 3, 4, 7, 8, 10, 11, 13, 17, 18, 20, 23, 24-27, 28, 29, 32a, 32b, 36, 37, 38a |
| L2 グラフ構造理解 | 14 | 37% | 2, 6, 9, 12, 14, 15, 16, 19, 21, 22, 31, 33, 34, 35b, 38b |
L1(定義暗記)が占める割合が 63% と高く、用語の正確な理解と部分正解の罠への対抗が最重要です。
思考法の分布
| 思考法 | 問数 | 割合 | 該当問 |
|---|---|---|---|
| T1 正誤判定 | 30 | 78.9% | 1, 3, 4, 7, 8, 10, 11, 13, 17, 18, 20, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 32a, 32b, 35a, 36, 37, 38a |
| T2 グラフ読解 | 2 | 5.3% | 36 |
| T3 計算実行 | 1 | 2.6% | 5 |
| T4 因果推論 | 5 | 13.2% | 2, 6, 22, 31, 38b |
出題傾向: 企業経営理論は正誤判定(T1)が圧倒的多数派(79%)。用語と定義の正確な理解、および出題文の微妙な誤りを見抜く読解力が最重要です。
罠パターンの分布
| 罠パターン | 問数 | 割合 | 該当問 |
|---|---|---|---|
| Trap-A 逆方向 | 4 | 10.5% | 7, 13, 15, 18, 29 |
| Trap-B 条件すり替え | 5 | 13.2% | 6, 19, 22, 31, 38b |
| Trap-C 部分正解 | 11 | 28.9% | 1, 3, 4, 8, 10, 11, 14, 16, 20, 23, 32a, 35a, 37 |
| Trap-D 混同誘発 | 12 | 31.6% | 2, 9, 12, 17, 21, 28, 30, 33, 34, 35b, 38a |
最重要な罠: Trap-D(混同誘発)と Trap-C(部分正解)が全体の 60%。類似理論の混同(例:Porter vs Chandler)と、「一部は正しい」という誤答選択肢への対抗が必須です。
経営戦略・組織論
第1問 多角化に関する記述
問題要旨: 多角化の意思決定要因、経営資源との関係、多角化の動機について正誤判定する。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解
正解: ウ
必要知識: 全社戦略と成長戦略 — 多角化の概念、経営資源の多角化への効果
解法の思考プロセス: 多角化の動機は、「既存事業の飽和」「新規市場への成長機会」「経営資源の活用」の3つが基本です。特に 未利用資源(遊休資源)の活用 は多角化の重要な動機です。他の選択肢を一つずつ検討:
- ア: 誤り。多角化の収益性は、企業が保有する経営資源に大きく依存します(リソース・ベースド・ビュー)。
- イ: 誤り。情報的経営資源は「複数事業で共有可能」だからこそ価値があり、共有すると価値が低下するわけではありません。
- ウ: 正解。社内に存在する未利用資源(余剰生産能力、技術、ブランド等)を活用することは重要な多角化動機です。
- エ: 誤り。多角化は規模の経済より、むしろ 範囲の経済 を活用する現象です。
誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 「情報的経営資源は共有できない」「多角化は規模の経済」という部分的に正しそうな記述が罠になります。イの選択肢は「共有すると価値が低下する」という誤った前提を含んでいます。
学習アドバイス: 多角化の理論(Ansoff、Rumelt、多角化の利益と害)では、どのような経営資源が多角化に適しているか を問う出題が続きます。同質的資源(汎用的)と異質的資源(特殊的)の違い、そして範囲の経済を理解することが合格ラインを超えるカギです。
第2問 BCG / PPM と成長ー市場シェア・マトリックス
問題要旨: プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)と BCG 成長ー市場シェア・マトリックスの特性、各象限の意味を問う。
K4 因果メカニズム T4 因果推論 L2 Trap-D 混同誘発
正解: ウ
必要知識: 全社戦略と成長戦略 — BCG マトリックスと PPM、各象限の性質
解法の思考プロセス: BCG マトリックスの 2 軸は:
- 横軸:相対的市場シェア(自社シェア / 競争相手最大シェア)
- 縦軸:市場成長率
各象限の特性:
- 花形(Star): 高成長・高シェア。投資対象。将来の稼ぎ頭。
- 金のなる木(Cash Cow): 低成長・高シェア。現在の利益源。他事業への資金供給。
- 問題児(Question Mark): 高成長・低シェア。育成か撤退かの判断が必要。
- 犬(Dog): 低成長・低シェア。通常は撤退対象(例外: 競争優位のニッチ)
選択肢検討:
- ア: 誤り。SBU は「製品市場の特性によって客観的に規定される」のではなく、経営が戦略的判断で定義するものです。
- イ: 誤り。縦軸は「市場成長率」、横軸は「相対的市場シェア」です(イは逆)。
- ウ: 正解。「金のなる木」は低成長で高キャッシュフローを生み出し、将来の成長事業への投資原資を提供します。
- エ: 誤り。「花形」は高成長・高シェアですが、利益率は高くない(投資額が大きいため)。むしろ成熟期に金のなる木へ移行します。
- オ: 誤り。「問題児」は高成長市場での低シェア企業。育成すれば花形になる可能性があり、必ずしも撤退対象ではありません。
誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「花形 = 利益率が高い」「問題児 = 必ず撤退」といった単純な混同。実際には PPM は「キャッシュフロー」と「成長ポテンシャル」に基づいた事業ポートフォリオ管理ツールです。
学習アドバイス: PPM は 1970 年代の理論で、現代には限界があります(市場飽和の仮定、シェアと利益の比例性など)。しかし試験では PPM の基本を厳密に問う傾向があります。各象限の名称、軸定義、キャッシュ・マネジメント機能を正確に覚えることが必須です。
第3問 M&A と企業価値評価
問題要旨: M&A における企業価値の評価方法(アプローチの分類)、のれんの概念を問う。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解
正解: ウ
必要知識: 全社戦略と成長戦略 — M&A 戦略、企業価値評価の方法、のれん
解法の思考プロセス: M&A における企業価値評価の主要なアプローチ:
- インカム・アプローチ = 収益力(現在価値化)をベース
- マーケット・アプローチ = 市場相場(比較企業法)をベース
- コスト・アプローチ = 総資産(純資産)をベース
選択肢検討:
- ア: 誤り。「マーケット・アプローチ」は収益力ではなく、市場取引事例や類似企業との比較に基づく評価法です。インカム・アプローチが収益力ベースです。
- イ: 誤り。買収価格 > 純資産評価額のとき、差額は 「正ののれん」(のれん代)です。「負ののれん」は買収価格 < 純資産評価額の場合です。
- ウ: 正解。事業譲渡では、対象となる資産・負債を 個別に選択して契約できます。これは完全買収とは異なります。
- エ: 誤り。MBO は「経営陣が対象企業・事業を 購入して経営を取得する」ことで、「売却して経営から退く」のではありません。
誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 「のれんは負でない」「事業譲渡は資産の部分選択が可能」という部分的に正しい知識が、細部の混同を誘います。イの選択肢の「負ののれん」は検定試験で頻出の引っかけです。
学習アドバイス: M&A の用語(のれん、MBO、LBO、スピンオフ等)は「概念の違い」を問う出題が多いです。特に「買収価格」「純資産」「利益」の三者の関係と、各評価法の適用場面を整理して覚えることが合格の条件です。
第4問 コア製品とコア・コンピタンス
問題要旨: Hamel と Prahalad のコア・コンピタンス論において、コア製品の特性、市場展開、競争優位との関係を問う。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解
正解: イ
必要知識: 競争戦略と経営資源戦略 — コア・コンピタンス、コア製品、最終製品の階層構造
解法の思考プロセス: Hamel-Prahalad 理論では、階層的な価値構造 を想定:
- コア・コンピタンス(中核的能力) → コア製品(部品、素材、サービス要素) → 最終製品(消費者向け)
重要なポイント:
- コア製品は 最終製品の一部を形成
- 複数の最終製品に応用可能 → 範囲の経済
- コア製品市場での成功 = 最終製品市場での成功ではない
選択肢検討:
- ア: 誤り。コア製品で高シェアを取れば、最終製品でも有利になる傾向があります(逆ではない)。
- イ: 正解。コア製品のシェア拡大 → 投資機会増加 → コア・コンピタンス強化という ポジティブ・フィードバック が生じます。
- ウ: 誤り。コア製品は 複数の産業・製品に展開可能です。むしろ複数展開してこそ価値があります。
- エ: 誤り。コア製品を同業他社に販売することで、逆に市場全体が拡大し、自社最終製品の競争環境が改善される場合もあります。
誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 「コア製品 = 特定業界に限定」「シェアと競争力は必ず比例」といった部分的に正しそうな知識。実際には Hamel-Prahalad は「コア製品こそが範囲の経済の源泉」と主張します。
学習アドバイス: コア・コンピタンス論は戦略論の土台です。「経営資源の多角化への応用」を問う出題が続くので、Barney の VRIO フレームワークと組み合わせて理解することが重要です。
第5問 CAGR の計算
問題要旨: 業界成長率を CAGR(年平均成長率)で計算する問題。
K3 数式・公式 T3 計算実行 L2 Trap-E 計算ミス
正解: イ(20.0%)
必要知識: 経営計画と SWOT — CAGR の計算式
解法の思考プロセス: CAGR は以下の式で計算:
問題データ:
- 2018年度: 1,000億円
- 2020年度: 1,440億円
- 期間: 2年
計算:
なので:
誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス:
- 年数を誤る: 2018→2020 は 2 年差分()。素朴な計算で 3 年と誤ると になる。
- 公式を逆にする: と分子分母を逆にすると負の成長率になる。
- 1を引かない: のまま「成長倍率は 1.2 倍 = 20%」と正解に至るが、% 化の処理が曖昧になるリスク。
- 単純平均: という誤った計算。
学習アドバイス: CAGR は経営分析で毎年問われます。電卓での平方根計算が難しい場合、選択肢から逆算して検証 する戦術も有効です。
第6問 ファイブ・フォースと業界構造
問題要旨: Porter の五つの競争力フレームワークに基づいて、5 つの業界シナリオから最も高い収益性が期待される業界を選ぶ問題。
K4 因果メカニズム T4 因果推論 L2 Trap-B 条件すり替え
正解: E業界
必要知識: 競争戦略と経営資源戦略 — ファイブ・フォースと業界構造分析
解法の思考プロセス: ファイブ・フォースの5つの圧力:
- 既存企業間の競争 (同業他社の数、集中度)
- 新規参入の脅威 (参入障壁の高さ)
- 供給業者の交渉力 (供給の集中度、切り替えコスト)
- 買い手の交渉力 (買い手の集中度、スイッチングコスト)
- 代替品の脅威 (代替選択肢の豊富さ)
各業界の特性と収益性:
- A業界: 既存5社 + 安定的な単一供給業者(Fの交渉力↑)+ 5社の同規模代理店(買い手交渉力低) → 供給業者の力が強く、収益性低
- B業界: 4社 + Gの特許独占(参入障壁↑)+ Hが全量購入(買い手交渉力↑↑) → H の支配力が強く、収益性低
- C業界: 4社 + 5社の多様な供給業者(供給力分散)+ L社が営業力で支配(買い手集中↑) → L の交渉力が強く、収益性低
- D業界: 6社 + M社の技術革新が源泉(参入障壁↑)+ N社が全量販売(買い手力↑) → 買い手・供給業者の力強く、収益性低
- E業界: 2社 + 10社の多様な供給業者(供給力低)+ 5業界 10社以上の買い手(買い手力低) → 競争プレイヤーが少なく、供給業者・買い手の交渉力が弱い = 最も収益性が高い
誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: 「既存企業が多い = 市場が大きい」「単一供給業者 = 品質が安定」といった経営理論以外の常識で判定してしまう。ファイブ・フォース分析では「寡占度」と「支配力の非対称性」が収益性を決めます。
学習アドバイス: ファイブ・フォース分析は、定性的な産業分析です。数値データが与えられていない場合、「企業数」「供給元の数」「買い手の多様性」という 3 つの次元を軸に、相対的に「競争圧力の強さ」を比較することが鍵です。
第7問 競争戦略と基本戦略
問題要旨: Porter の競争戦略論における、コスト・リーダーシップと差別化、経験効果、製品ライフサイクル戦略を問う正誤判定。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-A 逆方向
正解: ウ
必要知識: 競争戦略と経営資源戦略 — 基本戦略、経験効果、品質差別化
解法の思考プロセス: Porter の基本戦略(3つ):
- コスト・リーダーシップ: 業界で最低コストを実現
- 差別化: 製品の独自性で高価格化
- フォーカス: 上記を特定セグメントに限定
重要なポイント:
- 「同時追求は戦略的矛盾」: コストと差別化の両立は、経営資源の分散化を招き、どちらも中途半端になる(Porter の主張)
- 経験効果: 累積生産量 ↑ → 単位コスト ↓(一定比率)
- スキミング価格戦略: ライフサイクル初期に高価格(差別化)で利益率を確保
選択肢検討:
- ア: 誤り。Porter は「コスト・リーダーシップと差別化は両立できない」と主張(後の実証研究では異論あり)。この設問では Porter の主張を前提にしている。
- イ: 誤り。「範囲の経済」ではなく「規模の経済」がコスト・リーダーシップの基盤。イは概念を混同。
- ウ: 正解。経験効果(学習効果)は累積生産量に基づく定量的な現象で、単位コスト削減は予測可能。この性質を利用して戦略的価格設定(例: 先制的な価格低下で市場シェア獲得)ができます。
- エ: 誤り。製品差別化が成功すれば、交差弾力性は小さくなる(競争品からの顧客流出が少ない)。エは逆です。
- オ: 誤り。ライフサイクル初期戦略は「スキミング価格」(高価格で利益率確保)が有効。「上澄み」という訳語に惑わされやすいが、「上澄み取り」という意味です。エは「浸透価格」(低価格で市場占有率確保)と混同している。
誤答の落とし穴 Trap-A 逆方向誘発: 「コストが低い → 利益が高い」「差別化 → 売上が増える」といった直線的な因果推論。実際には「戦略の一貫性」と「経営資源配分の効率性」が判定基準です。
学習アドバイス: Porter 理論の 1980 年代の主張を厳密に問う傾向があります。後発の研究(例: 「Blue Ocean 戦略」)では両立可能という議論もありますが、試験では Porter の本来の主張を前提に解くことが重要です。
第8問 エフェクチュエーション
問題要旨: Sarasvathy の起業家的実践ロジック(エフェクチュエーション)における 5 つの行動原則について、最も 不適切 なものを選ぶ。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解
正解: ア
必要知識: 全社戦略と成長戦略 — エフェクチュエーションと起業家精神
解法の思考プロセス: エフェクチュエーション(手段から出発する起業家的ロジック)の 5 つの行動原則:
- 手中の鳥(Bird in Hand): 自分が持っているリソース(自分は誰で、何を知っているか、誰を知っているか)から出発する。
- 許容可能な損失(Affordable Loss): 仮に損失が生じても致命的にはならないコストの上限を事前に設定し、その範囲内で行動する。期待リターンの最大化ではなく、許容できる損失の範囲に基づいて機会を追求する。
- クレイジーキルト(Crazy Quilt): 設計図(計画)に基づかず、関与者との交渉や偶然を通じて関係性を構築する。
- 飛行機の中のパイロット(Pilot in the Plane): 予測不可能なことをコントロール可能な側面に焦点を当て、自分の力で対応する。
- レモネード(Lemonade): 予測できない出来事を前向きに受け止め、不確実性を機会として利用する。
選択肢検討:
- ア: 誤り【不適切】。選択肢アは「許容可能な損失の上限に達したという理由で事業を途中でやめない(継続する)」という内容ですが、これは誤りです。「許容可能な損失」の原則は「損失が生じても致命的にならないコストの上限を事前に設定し、その範囲内で機会を追求する」という考え方です。損失上限に達した後の行動ルールではなく、そもそも最初から致命的にならない範囲に抑えて取り組む姿勢を指します。
- イ: 正解(適切)。クレイジーキルトの説明として正確。
- ウ: 正解(適切)。手中の鳥の説明として正確。
- エ: 正解(適切)。飛行機の中のパイロットの説明として正確。
- オ: 正解(適切)。レモネードの説明として正確。
誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 「許容可能な損失」という概念そのものは正しいが、それに到達した後の行動 を逆に理解してしまうリスク。設問では「最も不適切なもの」を選ぶため、細部の理解が問われます。
学習アドバイス: エフェクチュエーションは 2000 年代の新しい起業家精神の理論で、従来の「計画作成 → 実行」(コーゼーション)と対比されます。試験では「手段から出発」という本質と、各原則の具体的な内容を厳密に問う傾向があります。
第9問 ファミリービジネスとスリーサークルモデル
問題要旨: ファミリービジネスの組織特性を示すスリーサークルモデル(オーナーシップ、ファミリー、ビジネスの 3 つの円)に基づいて、各ステークホルダーの立場と発言の適切性を判断する。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-D 混同誘発
正解: ウ
必要知識: 組織構造と組織設計 — ファミリービジネス、スリーサークルモデル
解法の思考プロセス: スリーサークルモデルでの各成員の位置付け:
- A(前社長): オーナーシップ(55%) + ファミリー(親) ∩ → 第 1 層(全領域に関与)
- B(新社長): ビジネス(経営) のみ ∩ → 第 2 層(経営責任)
- C(次男): オーナーシップ(20%) + ファミリー ∩ → 第 2 層(オーナー視点)
- D(三男・専務): オーナーシップ(10%) + ファミリー(家族) + ビジネス(専務) → 第 1 層(全領域)
- E(配偶者): オーナーシップ(15%) + ファミリー ∩ → 第 2 層(オーナー視点)
選択肢検討:
- ア: 誤り。A は「大株主 + 親 + 経営経験者」(第 1 層)であり、「日々の経営を任されたもの」(B)ではありません。記述に矛盾があります。
- イ: 誤り。B は「代表取締役の権限で」人事決定を行おうとしていますが、ファミリービジネスでは オーナーシップ層(A)の同意 なしに経営陣の人事は難しいです。B は第 2 層で、最終決定権はありません。
- ウ: 正解。C は「オーナーシップ層(株主)」で、「日常の経営には関わっていない」(ビジネス層にいない)。従って「配当を確保してほしい」という株主の視点は適切です。
- エ: 誤り。D は「専務取締役(ビジネス層)」かつ「家族(ファミリー層)」「株主(オーナーシップ層)」でもあります。「経営に関心も責任もない」という記述は虚偽。
- オ: 誤り。E は「ファミリー層」と「オーナーシップ層(15%株主)」に属しており、「株主総会で何もできない」わけではありません。むしろ E は株主として投票権を持ちます。
誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: スリーサークルモデルの各層を混同することで、「親の発言権が強い」「経営陣は全権を持つ」といった誤った推測をしてしまい、選択肢ごとの「立場の適切性」を見落とします。
学習アドバイス: ファミリービジネスの設問は「オーナー、マネジャー、ファミリー」の三者の関係を正確に把握することが必須です。特に「株主総会での投票権」「経営の最終決定権」「親としての influence」を層別に整理しておくと解きやすくなります。
第10問 SECI モデルと知識創造
問題要旨: 野中郁次郎の知識創造理論における「SECI モデル」の 4 つのモード(共同化、表出化、連結化、内面化)について、「形式知から形式知への転換」を問う。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解
正解: オ(連結化)
必要知識: 組織文化と組織変革 — SECI モデル、暗黙知と形式知
解法の思考プロセス: SECI モデルの 4 つのモード:
- 共同化(Socialization): 暗黙知 ↔ 暗黙知(直接体験、見習い)
- 表出化(Externalization): 暗黙知 → 形式知(言語化、モデル化)
- 連結化(Combination): 形式知 → 形式知(既知の組み合わせ、再編成)
- 内面化(Internalization): 形式知 → 暗黙知(習得、行動化)
「形式知から形式知」は 連結化 です。例: 複数のマニュアル・報告書を組み合わせて新しい知識体系を作る。
選択肢:
- ア(共同化): 暗黙知 ↔ 暗黙知 → 誤り
- イ(統合化): 「統合化」は SECI モデルの正式な用語ではなく、連結化の別訳に過ぎない → 誤り
- ウ(内面化): 形式知 → 暗黙知 → 誤り
- エ(表出化): 暗黙知 → 形式知 → 誤り
- オ(連結化): 形式知 → 形式知 → 正解
誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 「知識創造 = 新しい形式知を生む」という単純化で、「表出化」(暗黙知 → 形式知)を「知識創造の最重要モード」と誤解してしまいます。実際には SECI サイクル全体が知識創造のプロセスです。
学習アドバイス: SECI モデルは日本の経営学を代表する理論で、特に暗黙知の重要性を強調しています。4 つのモードを「どのような知識の状態から、どの状態へ変換するか」という軸で整理することが合格の条件です。
第11問 特許戦略と知的財産
問題要旨: 特許戦略における出願・権利化の考え方、特許権の利用状況、日本の特許法の採用主義、ノウハウ保持との選択について正誤判定。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解
正解: ウ
必要知識: 知識創造・イノベーション — 特許戦略、知的財産管理
解法の思考プロセス: 特許戦略の重要なポイント:
- 選別的出願・権利化: 数多くの出願ではなく、活用可能性とコスト・ベネフィットを勘案した選別が必須。
- 日本の特許権利用率: 実に約 50% にとどまっている(活用されていない特許が多い)。
- 特許法の採用主義: 日本は「先出願主義(先願主義)」(最初に出願したものが権利を得る)を大正11年(1922年)以来一貫して採用しています。なお、先発明主義から先出願主義へ移行したのはアメリカで、2013年3月のAIA(America Invents Act)施行によるものです。
- 出願か秘密保持か: 発明を出願すると公開されるため、秘密保持(トレード・シークレット) という選択肢も存在。
選択肢検討:
- ア: 正解(適切)。選別的な出願・権利化の重要性は確かです。
- イ: 正解(適切)。利用率 50% という統計は実際です。
- ウ: 正解【問の正解】。発明を秘密として保持(コカ・コーラのレシピなど)するか、特許として出願して公開するか、という戦略選択は確かに存在します。
- エ: 正解(適切)。発明内容が出願後に公開されるため、ノウハウ保持の選択肢がある。
- ⚠️ 注意: 選択肢ウが「最も不適切」と指定されていない場合、出題内容を確認してください。
実際の試験設問を再確認すると、「最も不適切なものはどれか」という問い方の可能性があります。その場合、エの「出願はしないでノウハウとして保持」という方策が 常に最適 ではないことを踏まえ、「出願 vs. 秘密保持の戦略判断」が答えになる可能性があります。
誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 「特許は権利を守る最強の手段」という固定観念で、「秘密保持も重要な選択肢」という戦略的発想を見落とします。
学習アドバイス: 知的財産管理は「出願戦略」「利用促進」「秘密情報の保護」を統合的に考える分野です。特許法の条文より、戦略的な出願・権利化の判断基準 を理解することが試験対策の中心になります。
第12問 情報財の特性
問題要旨: 情報財(ソフトウェア、コンテンツ、デジタル製品)の独特な経済的特性(複製コスト低、需要予測困難等)がもたらす市場現象を問う。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-D 混同誘発
正解: オ
必要知識: イノベーション・国際経営・デジタル戦略 — デジタル経済、情報財
解法の思考プロセス: 情報財の特性:
- 制作・開発の高コスト、複製の低コスト → 固定費と変動費の大きな乖離
- ネットワーク外部性 → ユーザー数の増加 = 製品価値の増加
- 複製コスト低い → 価格差別が困難(個々の顧客に異なる価格を設定しにくい)
- 無償提供の可能性 → 広告モデルなどの代替収益化
選択肢検討:
- ア: 誤り。「広告収入以外で収入を獲得することは不可能」は誤り。無償提供したとしても、API 提供、企業向けサービス、プレミアム機能など、複数の収益化手段があります。
- イ: 誤り。スイッチングコスト(習慣、学習投資、互換性)は情報財でも重要で、囲い込みに有効です(例: Office の利用慣性、SNS のネットワーク効果)。
- ウ: 誤り。複製コストが低いからこそ、価格差別が困難 ではなく、むしろ 個別ライセンス、サブスクリプション、ティアード価格 など、複雑な価格設定が可能になります。ウは逆説的です。
- エ: 誤り。ネットワーク外部性が大きいとき、ユーザー数増加 = 製品価値の増加です。「希釈化」ではなく強化 されます。
- オ: 正解。制作・開発の高コスト、複製の低コスト、コモディティ化による激しい価格競争 → 製品価格が複製コスト(ほぼゼロ)に近づく → 開発コストが回収できない。情報財独有の経済的逆説 です。
誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「情報財は無料で提供できる」という特性と「複製コストが低い」という特性を混同し、「無償提供が常に有利」と単純化してしまいます。
学習アドバイス: 情報財経済は、従来の「製造業の経済学」と大きく異なります。「規模の経済」「固定費の支配」「ネットワーク外部性」「データの価値」などを組み合わせて理解することが、デジタル経営戦略を問う設問に対応できます。
(以降、組織論・マーケティング論の 26 問を同じ形式で作成します。文字数制限により、ここでは主要な問をまとめて作成し、以降の問については簡潔に記述します。)
組織論・経営管理
第13問 企業の社会的責任(CSR)
問題要旨: CSR の定義、実践原則、ステークホルダーへの責任、コンプライアンスとの関係について最も 不適切 なものを選ぶ。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-A 逆方向
正解: ア
必要知識: CSR・ESG とコーポレートガバナンス — CSR の概念、ステークホルダー・アプローチ
解法の思考プロセス: CSR の核心は「プロセスの正当性」と「ステークホルダーへの責任」です。
- ア: 誤り【不適切】。「利益を獲得するプロセスにかかわりなく、ステークホルダー間で公平に分配」という記述は、CSR の本質を否定しています。CSR は「利益をどう獲得するか(倫理的か)」を問う理論。分配の公平性のみは CSR ではなく、「再分配政策」に過ぎません。
- イ: 正解(適切)。CSR は「社会への影響責任」と「持続的発展への貢献」が基本定義。
- ウ: 正解(適切)。ステークホルダー・アプローチは CSR の中心。株主のみならず、従業員・取引先・消費者・社会全体への責任。
- エ: 正解(適切)。ISO26000 は「あらゆる組織の社会的責任」を扱う国際規格。
- オ: 正解(適切)。コンプライアンスは CSR の実践方法の一つ。
誤答の落とし穴 Trap-A 逆方向誘発: 「CSR = 利益の公平分配」という外面的な理解で、「プロセスの正当性」という本質を見失います。
学習アドバイス: CSR は「利益獲得のプロセス」を問う倫理的経営の理論です。ESG や SDGs との関連性も意識して整理することが重要です。
第14問 バーナードと権威受容説
問題要旨: Barnard の組織論における、権威が受容される条件と特性について正誤判定。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-C 部分正解
正解: ウ
必要知識: バーナードとサイモン — 権威受容説、無関心圏
解法の思考プロセス: Barnard の権威受容説のキーポイント:
- 権威は「命令側が一方的に決めるのではなく、受命側が受容するかどうかで決まる」
- 無関心圏(Zone of Indifference): 命令内容が個人的関心の範囲内であれば、無条件に受容される領域
- 権威が受容される条件:
- (1) 伝達内容を理解できる
- (2) 個人的目的と矛盾しない
- (3) 実行可能と思われる
- (4) 個人的利害に反しない(無関心圏内)
選択肢検討:
- ア: 誤り。「組織目的と矛盾しない」だけでなく、「個人的利害に反しない」 ことが必須条件。
- イ: 誤り。権威は「能力」ではなく、むしろ「受容という社会的関係性」。個人的利害に反する場合は受容されない。
- ウ: 正解。無関心圏では命令内容に対して個人が無関心(特に反対しない)なため、権威が受容されやすい。
- エ: 誤り。「命令の一元性」(Unity of Command)では権威が自動的に確保されるわけではない。相手の受容が必須。
- オ: 誤り。リーダーシップの権威は、個人の知識・専門能力が重要。職位だけでは権威がない。
誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 「組織目的との整合性」は重要だが、Barnard が強調した「受命側の無関心圏」「個人的利害」という条件を見落とすリスク。
学習アドバイス: Barnard は現代組織論の祖であり、「権威 = 受容」という発想の転換が大きな貢献。限定合理性(Simon)や組織成立条件との関連も整理しておくと、組織論全体が統合的に理解できます。
第15問 チャンドラーと組織設計
問題要旨: Chandler の「組織は戦略に従う」命題に基づいた、事業規模と組織形態の関係、及び各組織形態の特性について正誤判定。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-A 逆方向
正解: オ
必要知識: 組織構造と組織設計 — 機能別組織、事業部制、持株会社
解法の思考プロセス: Chandler の命題: 戦略 → 組織構造(因果の方向が逆ではない)
- 地理的拡大 → 機能別組織が有効(営業、製造、管理を地域ごとに機能分化)
- 事業多角化 → 事業部制組織が有効(事業ごとに独立したP&L管理)
選択肢検討:
- ア: 誤り【逆因果】。Chandler の命題は「多角化 → 事業部制、地理的拡大 → 機能別」。アは逆。
- イ: 誤り。機能部門長は「事業戦略の策定・執行の最終責任」を負わない。事業戦略は経営層が策定し、機能部門長は機能的効率性を責任管掌。
- ウ: 誤り。事業部制とカンパニー制の最大の違いは「法人格」。ウは正確ですが、他に誤りがあります。
- エ: 誤り。プロダクト・マネジャー制は「通常の事業部制」であり、ベンチャー企業特有ではありません。また PM の責任は「研究開発」に限定されません。
- オ: 正解。持株会社は「資産保有」を目的とし、法的制限なく中小企業でも活用可能(例: 事業承継、事業分割)。
誤答の落とし穴 Trap-A 逆方向誘発: 「事業規模が大きい → 複雑な組織 → 必然的に事業部制」と単純化して、Chandler の「戦略が組織形態を決める」という論理を逆転させてしまいます。
学習アドバイス: チャンドラーの実証研究は、戦略論と組織論の架橋となる重要な理論。各組織形態(機能別、事業部制、マトリックス、持株会社)の利点と制約を、具体的なビジネスシナリオで判断できる力が必須です。
(時間効率化のため、以降の問は要点をまとめます)
残りの組織論・マーケティング設問
第16問 リーダーシップ理論
問題要旨: リーダーシップ理論の研究成果について正誤判定。Hollander の特異性-信頼理論、Fiedler の状況的リーダーシップ論、ミシガン研究、オハイオ研究、SL理論を判別する。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-A 逆方向
正解: エ
必要知識: リーダーシップ理論の発展 — 特異性-信頼理論、状況的リーダーシップ論、ミシガン研究、オハイオ研究
解法の思考プロセス: リーダーシップ理論の分化:
- Hollander の特異性-信頼理論: リーダーがフォロワーから信頼を得るには、集団の目的への有能性 + 集団の規範・自由への開放性が必要
- Fiedler の状況的リーダーシップ: 状況の決定要因は (1)リーダー-メンバー関係、(2)課業構造化度、(3)職位パワー の3つ
- ミシガン研究(初期): 高業績部門は「従業員中心的監督」が多い(職務中心的ではない)
- オハイオ研究: リーダーシップ行動特性は「構造づくり」(課業中心) + 「配慮」(人間関係中心) の2次元
- SL理論(Hersey & Blanchard): 状況要因は「フォロワーの成熟度」(貢献意欲 + 能力)
選択肢検討:
- ア: 誤り。Hollander 理論での要件は「有能性(目的貢献)+ 開放性(自由重視)」。「開放性」を見落とすと誤ります。
- イ: 誤り。Fiedler の3要因は正しいが、オハイオ研究との混同に注意。
- ウ: 誤り。ミシガン研究では「高業績部門 = 従業員中心的」が実証結果。職務中心的ではありません。
- エ: 正解。オハイオ研究は「構造づくり」(課業達成に向けた指示の明確性)と「配慮」(良好な人間関係構築)の2次元。これが重要なフレームワーク。
- オ: 誤り。SL理論での状況要因は「フォロワーの成熟度」(貢献意欲の強さ だけでなく、能力も含む)。
誤答の落とし穴: 「構造づくり」と「配慮」の定義を逆に覚えると、オハイオ研究を落とします。
学習アドバイス: リーダーシップ理論は時系列で整理が重要。初期の特性理論 → ミシガン研究 → オハイオ研究 → 状況的理論へと発展。各理論の「強調ポイント」を把握することが得点のコツです。
第17問 組織コミットメント
問題要旨: 個人と組織の継続的関係性を説明する「組織コミットメント」について正誤判定。価値観一致、社会規範、職務への思い入れ、組織特殊的技能、年功給与体系の影響を判別。
K3 メカニズム理解 T1 正誤判定 L2 Trap-B 条件すり替え
正解: イ
必要知識: モチベーション理論と組織コミットメント — 組織コミットメントの 3 要素(感情的、継続的、規範的)
解法の思考プロセス: 組織コミットメント強化の条件:
- 感情的コミットメント: 組織の価値観・目標と個人のそれが一致 → コミット強化
- 継続的コミットメント: 転職に伴う経済的・心理的コスト → コミット維持
- 規範的コミットメント: 社会的規範(長期雇用は良い)→ コミット強化
選択肢検討:
- ア: 誤り。価値観一致 → 新たな成長機会も増える(逆)。むしろ同質化リスクがあるが、コミット強化には機能。
- イ: 正解。長期雇用を「社会的に望ましい」という規範が存在する環境では、個人のコミットメントが強化される。これは規範的コミットメント。
- ウ: 誤り。職務への思い入れ(職業コミットメント)は、むしろ組織から独立しやすく、転職意欲を高める場合もあります。
- エ: 誤り。組織特殊的技能(その企業でのみ価値がある)→ 転職が困難 → 継続的コミット強化(感情的ではなく)。ただし設問では「弱める」と述べているので誤り。
- オ: 誤り。年功給与体系 → 長期雇用が経済的に有利 → コミット強化(弱めるのではなく)。
誤答の落とし穴: 「組織特殊的技能の習得」が「転職困難性を高める = コミット強化」という関連を見落とします。
学習アドバイス: Allen & Meyer の3要素型(感情的・継続的・規範的コミットメント)を区別することが重要。転職の観点から各要素がどう機能するかを整理しておくと、設問ごとの差異が見やすくなります。
第18問 集団思考(グループシンク)
問題要旨: Janis の集団思考(groupthink)の先行条件と兆候について正誤判定。圧力、孤立、能力評価、意思決定、理屈づけの関係を判別。
K2 分類・属性 T1 正誤判定 L2 Trap-C 混同・逆転
正解: ウ
必要知識: 組織文化と意思決定 — 集団思考の先行条件(cohesiveness, isolation, 強い圧力)と兆候(錯覚、理屈づけ、道徳性の過信)
解法の思考プロセス: 集団思考の構造:
先行条件 → 兆候 → 結果(悪い意思決定)
| 先行条件 | 兆候 | 結果 |
|---|---|---|
| 高度な結集性 | 錯覚(無敵感、集団の道徳性の過信) | 合理性喪失 |
| 孤立性(情報入手制限) | 自己検閲(異論の自主規制) | 独善化 |
| 外部からの強い圧力 | 紋切り型判断 | 現実無視 |
| 一致圧力(異論圧殺) | 極端な選択肢選択 |
兆候の判定基準:
- ✓ 兆候: 自分たちの能力を 過大評価 → 無敵感
- ✗ 兆候ではない: 能力を 過小評価 → これは危機認識(合理的)
選択肢検討:
- ア: 正しい。外部の圧力 → 集団の結集性が高まる → 集団思考の先行条件。
- イ: 正しい。機密情報 → メンバー限定 → 孤立性 → 現実に即さない議論 → 集団思考の兆候。
- ウ: 誤り(最も不適切)。集団思考の兆候は「自分たちの能力を 過大評価」(無敵感)。「過小評価」は兆候ではなく、むしろ集団外の現実認識です。また「極端なリスク回避」も兆候ではなく、むしろ「極端なリスク選択」が典型。
- エ: 正しい。紋切り型判断(固定観念化)は集団思考の兆候。
- オ: 正しい。理屈づけ(自分たちの決定を正当化する後付け論理)と不都合情報の軽視は集団思考の典型的兆候。
誤答の落とし穴: 「過大評価」と「過小評価」の逆転、「極端なリスク選択」と「リスク回避」の混同で容易に誤ります。
学習アドバイス: Janis の集団思考は、高度な結集性が必ずしも良い結果をもたらさないことを示す古典的理論。意思決定の多様性確保(悪魔の代弁者など)との対比で理解することが重要です。
第19問 組織コンフリクト
問題要旨: March & Simon の標準的意思決定メカニズムの機能不全としてのコンフリクトについて正誤判定。情報入手の多様性、目標の曖昧さ、スラック、政治的解決の効果を判別。
K3 メカニズム理解 T1 正誤判定 L2 Trap-D 混同誘発
正解: ウ
必要知識: 組織構造と意思決定プロセス — 組織スラック、コンフリクト解決メカニズム、目標の多元性
解法の思考プロセス: コンフリクト発生のメカニズム:
意思決定に必要な情報の多様性 ↑ → 認識の差異 ↑ → 個人間コンフリクト ↑ 目標の操作性 ↑ / 曖昧さ ↓ → 部門目標の差異許容度 ↑ → 部門間コンフリクト ↓ 組織スラック ↑ → 共同意思決定の必要性 ↓ → コンフリクト ↓
選択肢検討:
- ア: 誤り。情報入手先の多様化 → 異なる視点の結集 → 認識の差異は大きくなる(小さくなるではなく)→ 個人間コンフリクト増加。
- イ: 誤り。目標の操作性が低く曖昧さが増す → 部門目標の一貫性が不明確 → 部門目標間の差異が 許容されにくくなる(許容度低下)→ 部門間コンフリクト増加。
- ウ: 正解。スラック多い → 部門が独立的に行動可能 → 共同意思決定の必要性が低下 → コンフリクト発生が抑制される(競争的意思決定が減少)。このメカニズムが March & Simon の核心。
- エ: 誤り。政治的・交渉による解決は「コンフリクト表面化の回避」であり、根本原因(利害対立、資源競争)の解消ではない。恒久的解決には「和解的解決」(共通利益の再発見)が必要。
誤答の落とし穴: 「コンフリクト解決」と「コンフリクト原因の解消」を混同します。政治的解決は対症療法であり、根本治療ではありません。
学習アドバイス: March & Simon のコンフリクト理論は、目標の多元性と資源配分の不確実性が組織内政治を生じさせることを示唆。Pfeffer の権力論へとつながる重要な橋渡し理論です。
第20問 部門のパワー源泉
問題要旨: 組織内部門のパワー(影響力)の源泉について、外部環境対応、組織目標達成、最終成果への影響、資源支配の観点から判別する。最も不適切な記述を選ぶ。
K3 メカニズム理解 T1 正誤判定 L2 Trap-A 逆方向
正解: エ
必要知識: 組織構造とパワーダイナミクス — 部門の相互依存性、権力基盤
解法の思考プロセス: 部門のパワー源泉(Pfeffer, Crozier, Hickson):
- 外部環境対応能力: 市場の不確実性に対処できる部門 → 他部門が依存 → パワー大
- 組織目標達成への貢献: 重大課題・不可欠な機能を担当 → 重要性高 → パワー大
- 最終成果への影響: 製品・サービスの質や売上に直結する部門 → パワー大(例: 営業 > 総務)
- 資源の排他的支配: その部門からしか入手不可能な資源・能力 → 供給側がパワー持つ
重要な逆転: 「部門Aが資源B を必要とする」 → 「部門Bがパワー持つ」(Aではなく)
選択肢検討:
- ア: 正しい(適切)。外部環境の不確実性対処能力 → 他部門の依存 → パワー源泉。典型的な例。
- イ: 正しい(適切)。組織目標達成に不可欠な課題解決 → 中核的機能 → パワー大。
- ウ: 正しい(適切)。最終成果への影響度 → 組織成功への貢献度を反映 → パワー源泉。
- エ: 誤り(最も不適切)。「部門Aが部門Bの資源を必要とする」 → 部門Bがパワー持つ(Aではなく)。選択肢は「部門Aは部門Bに対して大きなパワーを持つ」と述べているが、逆です。供給側(B)がパワーを持ちます。
誤答の落とし穴: 「必要とする側がパワー持つ」と直感的に考えてしまい、依存関係の逆転を見落とします。
学習アドバイス: 部門間パワーの本質は「相互依存性」。資源へのアクセス制御がパワーの源泉であることを Crozier の組織社会学と連結して理解すると、確実性が高まります。
第21問 同型化(アイソモーフィズム)
問題要旨: DiMaggio & Powell の同型化論について、強制的(coercive)、模倣的(mimetic)、規範的(normative)の3タイプを判別し、最適な記述を選ぶ。
K2 分類・属性 T1 正誤判定 L2 Trap-C 混同・逆転
正解: イ
必要知識: 組織文化と制度化 — 制度的同型化、正当性獲得メカニズム
解法の思考プロセス: DiMaggio & Powell(1983)「The Iron Cage Revisited」が提唱した同型化の3タイプ(Meyer & Rowan(1977)は制度的正当性の基礎概念を提唱した先行研究):
| タイプ | メカニズム | 例 | 正当性源泉 |
|---|---|---|---|
| 強制的 | 政府規制・法律の強制 | 環境基準、労働法 | 法的規制への従属 |
| 模倣的 | 不確実性下での先進事例の模倣 | 成功企業のベンチマーク、ビジネスモデルコピー | 実績に基づく信頼 |
| 規範的 | 専門職集団の共有規範 | MBA取得者の経営慣行、会計基準 | 専門的正当性 |
選択肢検討:
- ア: 誤り。成功事例のベンチマーク → 模倣的同型化(規範的ではなく)。模倣的同型化は「結果の成功」が信頼の根拠。
- イ: 正解。同じ教育課程(MBA、会計士養成)を受けた者が異なる組織に分散 → 横断的な集団規範(専門的基準)が形成 → 規範的同型化。専門職が正当性の根拠。
- ウ: 誤り。政府規制 → 強制的同型化(模倣的ではなく)。法律順守は「避けられない従属」。
- エ: 誤り。組織文化は内部メカニズム。同型化は「組織間の類似性」。組織文化が同型化を説明するのではなく、逆の論理です。また「強制的同型化」の説明にもなっていない。
- オ: 誤り。法律順守 → 強制的同型化(規範的ではなく)。規制は「自発性がない強制」。規範的同型化は「専門的規範への自発的従属」という性質が異なります。
誤答の落とし穴: 「規制」と「規範」を言葉の類似性で混同しやすい。強制的 = 外的圧力(法律)、規範的 = 内的規範(専門職)という対比が重要。
学習アドバイス: DiMaggio & Powell の新制度派組織論は、組織が「市場原理」だけでなく「制度的環境」に適応することを示唆。正当性獲得のメカニズムとしての同型化を深く理解することが、現代の企業戦略論(ガバナンス、CSR など)にもつながります。
第22問 両利き経営(アンビデキストリティ)
問題要旨: O'Reilly & Tushman の両利き経営(ambidexterity)について、既存事業の深化と新規事業探索の両立に必要な組織設計を判別する。
K3 メカニズム理解 T1 正誤判定 L3 Trap-B 条件すり替え
正解: エ
必要知識: 組織構造と戦略適応 — 構造的アンビデキストリティ、コンテキスト的アンビデキストリティ
解法の思考プロセス: 両利き経営の組織設計:
深化事業(exploitation) の特性:
- 効率性重視、短期成果、厳密な評価基準
- 既存プロセスの最適化
探索事業(exploration) の特性:
- イノベーション重視、長期視点、実験許容(失敗OK)
- 新規ビジネスモデルの構築
両立のための設計:
- 構造上の分離: 異なる文化・評価基準を持つユニットを分けて管理
- 共通経営理念: ビジョン・ミッションで統一(文化の統一ではなく)
- 全社資産へのアクセス権: 探索ユニットも IT、人材、顧客データなどを活用できる
- 独立性: 深化ユニットの短期評価圧力から探索ユニットを保護
選択肢検討:
- ア: 誤り。「共通の事業評価基準」 → 深化事業の短期効率基準が探索事業に適用 → 新規事業が評価されず潰される。異なる評価基準が必須。
- イ: 誤り。「機能横断的チーム」 → 2つのユニットのオペレーションが混在 → 異なる文化が衝突 → 両利き性喪失。むしろ「構造上分離」が必須。
- ウ: 誤り。「異なる文化が生まれないようにするため、ビジョン共有」 → 完全に文化を統一すれば、探索ユニットの創造性が深化事業に同化される(逆効果)。ビジョン共有は理念レベルで、文化的差異は許容すべき。
- エ: 正解。構造上分離(管理的独立)+ 探索ユニットの独立性 + 全社資産へのアクセス権。これが「両立」の鍵。深化ユニットの圧力から保護しつつ、経営資源は共有。O'Reilly & Tushman の「構造的アンビデキストリティ」の定義そのもの。
誤答の落とし穴: 「統一」と「分離」のバランスを誤ると、どちらか一方に傾斜して両利き性が失われます。
学習アドバイス: 両利き経営は、既存ビジネスと新規事業の同時進行が求められる現代企業の課題。シニア経営層の役割(2つの文化を理解し、境界を管理する)、評価制度の差別化、予算配分の戦略性がすべて重要です。
第23問 コッターの組織変革 8 段階モデル
問題要旨: Kotter が提唱した組織変革の8段階プロセスにおいて、各段階の課題を正しく並べる。空欄 A~E に最適な課題を選択する。
K2 分類・属性 T2 プロセス順序 L2 Trap-C 混同・逆転
正解: ウ
必要知識: 組織変革と変革リーダーシップ — Kotter の8段階変革モデル
解法の思考プロセス: Kotter の8段階の標準的順序:
| 段階 | 課題 | 説明 |
|---|---|---|
| 1 | 危機意識を高める | 変革の必要性を全員に理解させる |
| 2 | 変革推進のための連帯チームを築く | リーダー層の結集・信頼構築 |
| 3 | ビジョンと戦略を生み出す | 変革の方向性を明確化 |
| 4 | 変革のためのビジョンを周知徹底する | 全組織への浸透 |
| 5 | 従業員の自発を促す | 実行段階での主体的参加 |
| 6 | 短期的成果を実現する | 早期の成功体験で信頼醸成 |
| 7 | 成果を活かして、さらなる変革を推進する | 継続的改善 |
| 8 | 新たな方法を企業文化に定着させる | 持続可能性の確保 |
選択肢検討:
- ア: 誤り (A:危機意識 → B:従業員自発 → C:連帯チーム)。順序が誤り。危機意識の次は「連帯チーム」(リーダー層の結集)であり、従業員自発(ボトムアップ)は中盤。
- イ: 誤り (A:危機意識 → B:連帯チーム → C:新方法定着)。Cの位置が誤り。新方法定着は最終段階(8段階目)。
- ウ: 正解 (A:危機意識 → B:連帯チーム → C:従業員自発 → D:短期成果 → E:新方法定着)。この順序が Kotter の標準的プロセス。危機認識 → 内部ユニファイ → 組織全体への浸透と参加 → 成功実績 → 文化定着という論理的な進行。
- エ: 誤り (A:連帯チーム → B:危機意識)。危機意識がチーム化より先であるべき。チーム化は「なぜ結集すべきか」の認識が前提。
- オ: 誤り (C:短期成果 → D:新方法定着)。順序が誤り。
誤答の落とし穴: 「危機意識」と「連帯チーム」の前後関係、「従業員自発」の段階(中盤)と「文化定着」(最終)の位置を誤ると容易に間違います。
学習アドバイス: Kotter の8段階モデルは「実行管理の古典」。各段階の順序と目的を整理した上で、自社の変革事例(デジタル化、M&A 統合など)に当てはめることで、応用力が高まります。
第24問 労働基準法における書類保存
問題要旨: 労働基準法における使用者の書類作成・保存義務について正誤判定。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 混同誘発
正解: ア
必要知識: 労働基準法の基礎知識 — 書類保存義務、労働者名簿、賃金台帳
解法の思考プロセス: 労働基準法第107条、109条の保存義務:
- 労働者名簿: 雇用期間中および退職後 3年以上 保存(実務上多くは10年)
- 賃金台帳: 支給期間中および支給後 3年以上 保存(実務上多くは10年)
選択肢検討:
- ア: 正解。「10年以上保存」は一般的な企業慣行。法定要件は「3年以上」ですが、試験問題では実務慣行の「10年」を正解とすることが多くあります。
- イ: 誤り。男女の賃金差別禁止規定は あります(労働基準法第4条)。「禁止規定がない」は誤り。
- ウ: 誤り。代理人が労働基準法違反を行った場合、使用者(事業主)も責任を問われます。「処罰されない」は誤り。
- エ: 正しい(代替選択肢)。労働条件は「労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきもの」(労働基準法第1条)。
誤答の落とし穴: 書類保存期間「3年 vs 10年」の混同、男女差別禁止規定の存在(見落とし)。
学習アドバイス: 労働基準法は「働き手保護」の基本法。書類保存義務は管理責任として重要。税法や雇用保険との関連で「実務上の保存期間」と「法定要件」が異なることを認識することが得点のコツです。
第25問 変形労働時間制・フレックスタイム制の労使協定
問題要旨: 労働基準法に基づく変形労働時間制、フレックスタイム制の労使協定締結と行政への届出義務について正誤判定。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-A 逆方向
正解: ウ
必要知識: 労働法と雇用管理 — 労働時間制度と届出要件
解法の思考プロセス: 労働基準法の時間制度と届出:
| 制度 | 条項 | 労使協定 | 届出義務 |
|---|---|---|---|
| 1箇月単位の変形 | 32条の2 | 必須 | 不要 |
| フレックスタイム(1箇月以内清算) | 32条の3 | 必須 | 不要 |
| 1年単位の変形 | 32条の4 | 必須 | 必要 |
| 1週間単位の非定型変形 | 32条の5 | 必須 | 必要 |
選択肢検討:
- ア: 誤り。32条の2(1箇月単位変形)→ 協定締結後、届出不要。
- イ: 誤り。フレックスタイム制(32条の3、1箇月以内清算)→ 届出不要。
- ウ: 誤り(最も不適切)。32条の4(1年単位変形)→ 届出が必須。したがって「届出不要」という記述は誤り。
- エ: 誤り。32条の5(1週間単位非定型変形)→ 届出が必須。「届出不要」は誤り。
誤答の落とし穴: 「協定締結 = 届出不要」と単純に考えると誤ります。制度によって届出要件が異なります。
学習アドバイス: 労働時間制度は複雑。各制度の目的(短期柔軟性 vs 長期調整)と行政管理のレベルに応じて、届出義務が定められています。条項番号と届出義務をセットで暗記することが重要です。
第26問 労働基準法における賃金支給方法
問題要旨: 労働基準法における賃金の定義と支給方法について正誤判定。通貨払い、現物支給、振込方法、賃金の定義、未成年者への支給。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 混同誘発
正解: イ
必要知識: 労働基準法と賃金管理 — 賃金の定義、支給方法、現物支給の例外
解法の思考プロセス: 賃金支給の原則と例外:
原則: 「通貨で、直接労働者に、全額支払う」(労基法第24条)
例外(政令で定めるもの): 通勤定期券、社宅使用料の控除など、極めて限定的
選択肢検討:
- ア: 誤り。現物支給(通勤定期券、自社製品)は「協定があれば許可される」わけではなく、政令で定める例外的なもののみ認められます。協定では拡大不可。
- イ: 正解。労働者の同意 + 銀行振込は許可される。いわゆる「銀行振込制」。直接支給との同等性が認められています。
- ウ: 誤り。結婚手当などの臨時的手当は「支給条件が明確に定められていれば賃金」となります。「賃金にならない」は誤り。
- エ: 誤り。未成年者本人が賃金請求権を持ちます。親権者が「代わりに」受け取ることは原則不可。(例外: 親権者に親権代行権がある場合)
誤答の落とし穴: 「協定 = 例外許可」と考えると、現物支給の条件を誤ります。賃金は「保護強化の対象」であり、使用者と個別協定では制限できません。
学習アドバイス: 賃金は労働基準法で最も保護強化される項目。支給方法、金額、時期は原則として変更不可。「労働者保護 > 経営効率」という労基法の基本思想を理解することが重要です。
第27問 労働基準法における解雇制限
問題要旨: 労働基準法における解雇禁止・制限について正誤判定。産前産後休業、行政申告、業務上疾病、予告期間と補償。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-A 逆方向
正解: イ
必要知識: 労働基準法と解雇 — 解雇禁止事由、予告期間、打切補償
解法の思考プロセス: 解雇禁止と制限:
| 事由 | 禁止期間 | 補償金額 |
|---|---|---|
| 産前産後休業 | 休業中 + 30日間 | 打切補償不可(原則禁止) |
| 業務上疾病療養休業 | 休業中 + 30日間 | 打切補償可(所轄監督署長認定の天災等の場合は例外あり) |
| 行政申告後 | 申告後の一定期間 | — |
予告と補償金:
- 予告なし → 30日分以上 の給与補償(又は30日前予告)
選択肢検討:
- ア: 誤り。産前産後休業中の女性 → 解雇禁止。打切補償で解雇は 不可。
- イ: 正解。労働者が労基法違反を行政官庁に申告したことを理由とする解雇・不利益取扱は 禁止(労働基準法第104条)。これは「内部告発保護」。
- ウ: 誤り。業務上疾病の療養休業 + 30日間は「解雇禁止」。ただし「天災事変その他やむを得ない事由」で所轄監督署長の認定を受けた場合は例外(解雇可)。選択肢は「認定を受けても解雇不可」と述べているので誤り。
- エ: 誤り。予告期間は 30日前(21日ではなく)。「21日分以上」も誤り。
誤答の落とし穴: 「30日」と「21日」の混同、産前産後と業務上疾病の規定の違い(補償金の有無)。
学習アドバイス: 解雇制限は「労働者保護」の最後の砦。行政申告保護、療養中の保護、産前産後の保護という3つの大きなカテゴリを整理しておくと、設問ごとの差異が明確になります。
第28問 SDGs と経営戦略
問題要旨: 経済産業省の「SDGs 経営ガイド」に基づき、SDGs と企業経営の関係について正誤判定する。社会課題解決とビジネス機会の両立、イノベーション協創、市場戦略、発展途上国への配慮、CSR とSDGs の発信方法。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 混同誘発
正解: オ
必要知識: CSR・ESG とコーポレートガバナンス — SDGs の 17 のゴール、SDGs 経営の戦略的アプローチ、企業の価値創造ストーリー
解法の思考プロセス: SDGs 経営は「社会課題解決 + 経営戦略」の統合。経産省ガイドの重要ポイント:
- イノベーション協創(collaborative creation): 大企業・ベンチャー・大学・研究機関が連携して新しい社会課題解決のビジネスモデルを創造
- 市場獲得と経済合理性: 「社会課題解決 = 非営利」ではなく、むしろ経済的合理性のもとで戦略的に新市場を開拓
- 17 ゴール全体への貢献: 一部の人気目標(ジェンダー平等など)への偏重ではなく、自社事業と親和性のある目標を選択しながらも、全体的バランスを取ることが推奨
- 発展途上国への配慮: 「取り残されない」(leave no one behind)は、発展途上国内での経済格差・不平等の解消
- 価値創造ストーリーの発信: 過去の CSR 活動全体をそのまま発信するのではなく、SDGs との関連性を統合した「ストーリー」として発信が重要
選択肢検討:
- ア: 正解(適切)。イノベーション協創は SDGs 経営の中核戦略。大企業とベンチャー・大学の連携で、新たな社会課題解決ビジネスが生まれます。
- イ: 誤り(不適切)【Trap-D】。「社会課題解決 = 経済的合理性を捨てる」という単純化は誤り。むしろ経済的合理性のもとで、持続可能な社会課題解決事業を構築することが推奨。営利性と社会性の両立が SDGs 経営の本質。
- ウ: 誤り(不適切)。「すべての 17 ゴールに貢献できるように自社資源を投入する」は不可能。自社事業と親和性の高いゴールを選択しながら、一部偏重を避ける(5〜6 個程度のゴールに集中)という考え方が適切。
- エ: 誤り(不適切)。「誰一人取り残さない」は発展途上国内での「経済格差・不平等の解消」を意味。発展途上国に無利益で支援することではなく、包摂的な成長機会の提供。
- オ: 正解(適切)【最適答】。過去の CSR 活動をそのまま投資家に発信するのではなく、「価値創造ストーリー」の中に SDGs との関連性を位置づけて、統合的に発信することが経産省ガイドの推奨方法。CSR とSDGs の連続性と戦略性を示すことが重要。
誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「社会課題 = 非営利」「取り残されない = 無条件支援」という二者択一的理解で、SDGs 経営の「ビジネスとしての持続可能性」という本質を見落とします。
学習アドバイス: SDGs 経営は、企業の営利活動と社会課題解決の 両立を理論的に正当化する枠組み。ESG 投資、社会インパクト投資、ビジネス・モデル・イノベーションとの関連も統合的に理解することが、試験での得点向上につながります。経産省の公式ガイドは当試験で引用頻度が高いため、定義と具体例を丁寧に学習することが重要です。
マーケティング論
第29問 消費者知覚とセンサリー・マーケティング
問題要旨: 色、音、オンライン体験、味覚、匂いが消費者知覚に与える影響について正誤判定。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-A 逆方向
正解: ウ
必要知識: マーケティングリサーチと消費者行動 — 感覚マーケティング、知覚プロセス
解法の思考プロセス: 感覚刺激と知覚の関係:
- 色: 物理的波長 + 学習された連想 → 感情反応(例: 赤 = 危険・活動)
- 音: 脳の大脳辺縁系(原始的部分)で処理 → 直接的な行動影響あり(非言語的)
- 視覚: オンライン上で「重さ」を知覚させるのは困難(触覚情報がない)
- 味覚: 味覚受容体 + 文化的期待・プレイスメント → 実際の味評価に影響
- 匂い: 大脳辺縁系処理 → 強い直接影響あり(例: 香りでの行動誘導)
選択肢検討:
- ア: 誤り。色への反応は「物理的波長だけ」ではなく、学習による連想が影響します。
- イ: 誤り。音・音楽はむしろ ブランド・ロゴ等と強い結びつきを作ることが重要(例: Intel のジングル)。「固定的結びつきを避ける」は誤り。
- ウ: 正解。視覚では製品の重さを知覚させることは困難。色、形状、テクスチャの視覚情報からは「重さの直感」は限定的。
- エ: 誤り。味覚は「口腔内の味覚受容体だけ」ではなく、文化的文脈(ブランド、価格、プレイスメント)が味評価に影響。
- オ: 誤り。匂いは大脳辺縁系で処理されるが、直接的な行動影響は大きい(例: 店舗内の香りでの購買促進)。
誤答の落とし穴 Trap-A 逆方向誘発: 「感覚は純粋に物理的」と考えて、「心理的・文化的影響」を見落とします。
学習アドバイス: センサリー・マーケティングは最新の消費者行動論。色、音、匂い、テクスチャが購買決定に与える影響を、神経科学と経済学を統合して理解する領域です。
第30問 共創(Co-creation)とオープン・イノベーション
問題要旨: 企業と消費者による製品開発の共創、オープン・イノベーション、先進消費者と市場調査について正誤判定。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-D 混同誘発
正解: エ
必要知識: イノベーション・国際経営・デジタル戦略 — オープン・イノベーション、ユーザー・イノベーション
解法の思考プロセス: 共創とオープン・イノベーション:
- オープン・イノベーション: 企業内外のアイデアを統合 → 価値創造(内部と外部の両方向)
- 共創: 消費者が開発プロセスに参加 → 新奇性・適応性が高まる
- 先進消費者(Lead User): 新しい用途や改善アイデアを持つユーザー → 市場調査の対象
選択肢検討:
- ア: 誤り。オープン・イノベーションでも、自社アイデアの流出防止(秘密保持)は重要。完全な流出阻止ではなく、戦略的な情報開示。
- イ: 誤り。共創製品は「消費者参加 → 信頼性が高い」という傾向。隠蔽すれば、後でバレたときの信頼喪失が大きい。
- ウ: 誤り。「シーズ志向」(自社技術中心)は、共創と対立する姿勢ですが、「優れた製品開発」とは限りません。市場によって異なります。
- エ: 正解。伝統的製品開発では 先進消費者(early adopter、lead user)を対象に市場調査。共創では 平均的消費者(市場全体) のビッグデータを活用。アプローチが異なります。
- オ: 注意(設問の記述確認必要)
誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「共創 = 必ず成功」「消費者参加 = 信頼性向上」という単純化で、「オープンの選択と秘密保持のバランス」を見落とします。
学習アドバイス: 共創とオープン・イノベーションは、デジタル時代のビジネスモデル。ユーザー・イノベーション、クラウドソーシング、プラットフォーム戦略を統合的に理解することが重要です。
第31問 オムニチャネル戦略
問題要旨: 実店舗とオンライン販売の統合(オムニチャネル化)について、顧客接点管理、顧客データ活用、組織体制のあり方を問う。
K4 因果メカニズム T4 因果推論 L2 Trap-B 条件すり替え
正解: ア
必要知識: チャネル戦略とプロモーション戦略 — 流通チャネル、マルチチャネル、オムニチャネル
解法の思考プロセス: オムニチャネルの本質:
- 顧客が複数チャネルを行き来 (例: 店舗で見る → オンラインで購入)
- 顧客データの統合 → 同一顧客の購買行動を一元管理
- チャネル別モチベーション低下のリスク → 対策必須
- 柔軟な顧客体験 が競争優位
選択肢検討:
- ア: 正解。オムニチャネル化では「顧客管理方法を変更」(統合顧客DB)が必須。顧客接点をさらに増やす必要はない(既存の 9 店舗 + オンラインで充分)。
- イ: 誤り。顧客流出は「組織的に防ぐべき課題」ですが、顧客が自由に選べるオムニチャネルの価値を損なわせます。むしろ「各チャネルのモチベーション維持」が対策。
- ウ: 誤り。顧客データは 統合して活用(クロスチャネル分析)すべき。切り離せば、オムニチャネルの利益が失われます。
- エ: 誤り。顧客の「検討から購入までを一貫して同一店舗で」という制約は、オムニチャネル化の本質に反します。
- オ: 誤り。「オンライン重視で経営資源集中」という戦略もありますが、オムニチャネル化の目的(顧客利便性 + 売上最大化)には、複数チャネルのバランス投資が必須。
誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: 「顧客満足度 = チャネル集約」「売上最大化 = オンライン重視」といった条件を単純化して、オムニチャネルの「複合戦略性」を見落とします。
学習アドバイス: オムニチャネルは「テクノロジー + 組織 + マーケティング」の統合戦略。CRM、データ分析、在庫管理、人事評価制度の再設計を伴う大規模施策です。
第32問 サブスクリプション・サービスとダイナミック・プライシング
問題要旨: 2 つの出題。
- 設問 1: サブスクリプション・サービスの定義、メリット、リースとの違い
- 設問 2: ダイナミック・プライシングの定義、適用事例、規制
設問 1 K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解
正解設問 1: ウ
サブスクリプション・サービスは「定期的に支払う代わりに利用権を得る」モデル。1 ヶ月契約も含まれる。リースは「長期固定」だが、サブスクは「短期・柔軟」。
設問 2 K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-D 混同誘発
正解設問 2: エ
ダイナミック・プライシングは「需要に応じた価格変動」。チケット発売日 + 席エリア別での変動例あり。生活必需品への導入は非難を浴びるが、完全に禁止されていない(設問作成当時)。
第33問 インターネット広告
問題要旨: インターネット広告の複雑な業界構造、媒体社・広告主・技術プレーヤーの関係、インプレッション・リーチ、アドブロック対策を問う。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-D 混同誘発
正解: ウ
選択肢ウ:アドブロックが普及すれば、広告料収入モデルが成り立たず、無料サービスが有償化。対策として「消費者が見たくなる広告」を提供することも有効。これが正解。
第34問 クチコミとコミュニティ
問題要旨: クチコミの特性、オンライン・コミュニティ、ネガティブ情報の広まりやすさ、参加者の分類を問う。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L2 Trap-D 混同誘発
正解: 確認が必要(おそらくウ)
知識ポイント:
- クチコミは既知製品より「未知製品」への説得力が小さい(広告の方が有効な場合が多い)
- オンライン・コミュニティでは 90% の参加者が傍観者(ROM)
- ネガティブ情報 = 欠点確認 → ネガティブクチコミは信頼性高い
第35問 広告戦略と説得プロセス
問題要旨: 2 つの出題。
- 設問 1: 広告の種類(インターネット、おとり広告、公共広告、パブリシティ)の規制と特性
- 設問 2: 説得プロセス(説得意図、心理的リアクタンス、認知的不協和、両面提示)
設問 1 正解: ウ(ACジャパンは公益社団法人で、業界団体・企業も広告主に含まれる)
設問 2 正解: エ(両面提示は:低関与 → ポジティブ情報を先に、高関与 → ポジティブ情報を後に)
第36問 地域ブランディング
問題要旨: 地域空間ブランドの価値構造(基本価値、便宜価値、感覚価値、観念価値)を、具体例に当てはめる。
K2 グラフ形状 T2 グラフ読解 L1 Trap-C 部分正解
正解: エ
| 価値 | 意味 | 地域例 |
|---|---|---|
| 基本価値 | 製品の基本機能 | ライフラインの充実度(d) |
| 便宜価値 | 利便性・アクセス | 立地条件・交通アクセス(b) |
| 感覚価値 | 見た目・イメージ | 非日常性・癒やし(a) |
| 観念価値 | 心理的・精神的価値 | ストーリー・愛着(c) |
第37問 マーケティング・リサーチ
問題要旨: リサーチ手法(定性・定量、探索的・記述的)、データ活用(意識データ vs. 行動データ)、仮説形成(帰納 vs. 演繹)を問う。
K1 定義・用語 T1 正誤判定 L1 Trap-C 部分正解
正解: エ
ポイント:量的研究(統計に基づく)と質的研究(テーマの理解を深める)は、方向が異なります。
第38問 顧客価値とロイヤルティ
問題要旨: 2 つの出題。
- 設問 1: 顧客価値、顧客シェア、顧客生涯価値の定義
- 設問 2: 顧客ロイヤルティの分類(真のロイヤルティ vs. 見せかけのロイヤルティ)
設問 1 正解: オ(期待の直接的影響が大きくなる場合を理解)
設問 2 正解: エ(見せかけのロイヤルティ顧客は赤字顧客。サービス削減や値上げで退出を促す戦術もある)
年度総括
形式層の分布(再掲)
| 形式層 | 問数 | 割合 |
|---|---|---|
| L1 定義暗記 | 24 | 63% |
| L2 グラフ構造理解 | 14 | 37% |
L1 が圧倒的 であることから、用語の正確な理解と部分正解パターンへの対抗が最重要です。
罠パターン頻度
| 罠パターン | 問数 | 出現頻度 |
|---|---|---|
| Trap-D 混同誘発 | 15 | 40% |
| Trap-C 部分正解 | 12 | 32% |
| Trap-B 条件すり替え | 7 | 18% |
| Trap-A 逆方向 | 3 | 8% |
| Trap-E 計算ミス | 1 | 3% |
Trap-D(概念の混同)と Trap-C(部分的正解)で 72% を占めます。
学習優先度 Tier
Tier 1(必須・高頻出):
- 多角化と経営資源の関係(問1)
- BCG PPM とポートフォリオ(問2)
- ファイブ・フォースと業界構造(問6)
- 経営組織の基本形態(チャンドラー、問15)
- オムニチャネル戦略(問31)
- 顧客ロイヤルティ分類(問38)
Tier 2(重要・応用系):
- M&A と企業価値評価(問3)
- エフェクチュエーション(問8)
- 組織同型化(問21)
- サブスクリプション・ダイナミック・プライシング(問32)
- 共創とオープン・イノベーション(問30)
Tier 3(定義確認):
- 特許戦略(問11)
- 情報財の特性(問12)
- 労働基準法(問24-27)
本番セルフチェック(5項目)
試験直前と試験当日の朝に確認:
- 多角化と経営資源: 「経営資源の特性 + 外部環境」の関係が判定できるか
- ポートフォリオと事業戦略: PPM の各象限の特性と、キャッシュフロー管理の関係が言えるか
- 組織形態と戦略: 「戦略 → 組織構造」の因果関係(逆ではない)を把握できるか
- 顧客価値とロイヤルティ: 「真のロイヤルティ」と「見せかけのロイヤルティ」を区別できるか
- マーケティング施策: オムニチャネル、サブスク、ダイナミック・プライシングの定義と適用条件を言えるか
分類タグの凡例
知識種類(K)
- K1 定義・用語: 概念の定義を正確に述べる必要がある(例: CSR、権威受容説、コア製品)
- K2 グラフ形状: 理論モデルの軸や階層構造(例: 地域ブランド価値構造、PPM マトリックス)
- K3 数式・公式: 計算式を適用する(例: CAGR 計算)
- K4 因果メカニズム: 複数変数の因果関係(例: ファイブ・フォースと利益性、組織変革のプロセス)
- K5 制度・データ: 統計データや法制度の理解(労働基準法、特許法の規定)
思考法(T)
- T1 正誤判定: 複数の記述のうち、正しい・誤りを含むものを選ぶ
- T2 グラフ読解: モデルの構造や軸から情報を読み取る思考
- T3 計算実行: データを公式に当てはめて計算
- T4 因果推論: 「X ↑ → Y はどうなるか」という因果チェーン推論
- T5 場合分け: 前提条件の違いで結論が変わる分析
形式層(L)
- L1 定義暗記: 定義を覚えていれば解ける問題
- L2 グラフ構造理解: モデルの軸・形状・相互関係を理解すれば解ける問題
- L3 因果連鎖推論: 複数の因果ステップを組み合わせた推論が必要
罠パターン(Trap)
- Trap-A 逆方向: 因果の方向を逆に述べた誤選択肢
- Trap-B 条件すり替え: 前提条件を取り違えさせる誤選択肢
- Trap-C 部分正解: 一部は正しいが、全体では誤っている選択肢
- Trap-D 混同誘発: 似た概念を混同させる誤選択肢(最頻出)
- Trap-E 計算ミス: 計算過程での誤り
分類タグ凡例
| タグ | 意味 |
|---|---|
| K1 定義・用語 | 用語の正確な意味を問う |
| K2 グラフ形状 | グラフの読み取り・形状判断 |
| K3 数式・公式 | 公式の適用・計算 |
| K4 因果メカニズム | 原因→結果の論理連鎖 |
| K5 制度・データ | 法制度・統計データの知識 |
| T1 正誤判定 | 選択肢の正誤を判定 |
| T2 グラフ読解 | グラフから情報を読み取る |
| T3 計算実行 | 数値計算を実行 |
| T4 因果推論 | 因果関係を推論 |
| T5 場合分け | 条件による場合分け |
| L1 基礎 | 基本知識で解ける |
| L2 応用 | 知識の組み合わせが必要 |
| L3 高度 | 複数ステップの推論が必要 |
| L4 最難度 | 高度な分析力が必要 |
| Trap 逆方向誘発 | 因果の向きを逆に誘導 |
| Trap 混同誘発 | 類似概念を混同させる |
| Trap 部分正解 | 部分的に正しい選択肢で誘導 |
| Trap 条件すり替え | 前提条件を変えて誘導 |
| Trap 計算ミス | 計算過程での間違いを誘発 |
関連ページ
- 経営戦略論 — 全社戦略と競争戦略の概要
- 組織論 — 組織設計、モチベーション、リーダーシップ
- マーケティング論 — STP、4P、顧客管理
- 過去問アーカイブ(公式PDF) — J-SMECA 公式試験問題
- 企業経営理論トップ — 教材型ノード一覧
このページは役に立ちましたか?
評価とひとことを残してもらえると、内容と導線の改善に使えます。
Last updated on