財務・会計(令和3年度)
令和3年度(2021)中小企業診断士第1次試験 財務・会計の全23問解説
概要
令和3年度の財務・会計は全23問(各4点、92点満点)で出題されました。簿記基礎(問1〜6)、原価計算(問7〜9)、財務分析(問10〜13)、資産評価(問14)、企業価値評価(問15〜18)、資本構成理論(問19)、投資意思決定(問20〜23)という大きな出題構成となっています。
問題文は J-SMECA 公式サイト(令和3年度 財務・会計) から入手できます。手元に PDF を用意したうえでお読みください。全年度の問題は J-SMECA 試験問題ページ で公開されています。
解説の読み方
各問について「問題要旨 → 分類タグ → 正解 → 必要知識 → 解法の思考プロセス → 誤答の落とし穴 → 学習アドバイス」の順で解説しています。分類タグの意味は本ページ末尾の凡例を参照してください。
出題構成
| 領域 | 問番号 | 問数 |
|---|---|---|
| 簿記基礎(受取手形・売掛金・機械) | 1〜6 | 6 |
| 原価計算(製造原価・変動費) | 7〜9 | 3 |
| 財務分析(BS・PL・キャッシュフロー) | 10〜13 | 4 |
| 資産評価(固定資産・減価償却) | 14 | 1 |
| 企業価値評価(WACCと企業価値) | 15〜18 | 4 |
| 資本構成理論(M&M理論・税制) | 19 | 1 |
| 投資意思決定(NPV・IRR) | 20〜23 | 4 |
全問分類マップ
| 問 | テーマ | 知識種類 | 思考法 | 形式層 | 罠パターン |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 受取手形・売掛金の割引き | K2 分類・表示 | T2 分類判断 | L2 | Trap-D 混同誘発 |
| 2 | 支店分析 - 支払い方法 | K4 手続・手順 | T4 条件整理 | L2 | Trap-B 条件すり替え |
| 3 | 機械減価償却と固定資産除却 | K4 手続・手順 | T3 計算実行 | L3 | Trap-E 計算ミス |
| 4 | 偶発的損失の計上判定 | K2 分類・表示 | T2 分類判断 | L2 | Trap-C 部分正解 |
| 5 | 負債性・非負債性引当金の区分 | K2 分類・表示 | T2 分類判断 | L1 | Trap-D 混同誘発 |
| 6 | 建設中の記帳方法 | K4 手続・手順 | T2 分類判断 | L2 | Trap-A 逆方向 |
| 7 | 製造原価配分と製造間接費 | K3 手順・公式 | T3 計算実行 | L3 | Trap-E 計算ミス |
| 8 | 販売量・売上高差異分析 | K3 手順・公式 | T3 計算実行 | L3 | Trap-D 混同誘発 |
| 9 | キャッシュフロー要因 | K1 概念理解 | T4 因果推論 | L2 | Trap-B 条件すり替え |
| 10 | 固定長期適合率・利息補償倍数 | K3 手順・公式 | T3 計算実行 | L2 | Trap-E 計算ミス |
| 11 | 建物設定費の費用認識 | K2 分類・表示 | T2 分類判断 | L2 | Trap-C 部分正解 |
| 12 | 損益分岐点分析 | K3 手順・公式 | T3 計算実行 | L2 | Trap-D 混同誘発 |
| 13 | キャッシュフロー計算と現金増減 | K3 手順・公式 | T3 計算実行 | L3 | Trap-E 計算ミス |
| 14 | 資産評価方法の分類 | K2 分類・表示 | T2 分類判断 | L1 | Trap-D 混同誘発 |
| 15 | 自己資本コスト・WACC計算 | K3 手順・公式 | T3 計算実行 | L3 | Trap-D 混同誘発 |
| 16 | 株式取得との利益認識 | K2 分類・表示 | T2 分類判断 | L2 | Trap-C 部分正解 |
| 17 | M&M理論と資本調整 | K1 概念理解 | T4 因果推論 | L2 | Trap-B 条件すり替え |
| 18 | 節税効果と企業価値変化 | K1 概念理解 | T4 因果推論 | L2 | Trap-A 逆方向 |
| 19 | 設備投資決定(複数手法比較) | K3 手順・公式 | T3 計算実行 | L3 | Trap-E 計算ミス |
| 20 | 企業価値評価論(理論選択) | K1 概念理解 | T4 因果推論 | L2 | Trap-D 混同誘発 |
| 21 | 配当割引モデルと理論株価 | K3 手順・公式 | T3 計算実行 | L3 | Trap-E 計算ミス |
| 22 | 企業価値評価方法(DCF・マルチプル) | K1 概念理解 | T4 因果推論 | L2 | Trap-D 混同誘発 |
| 23 | オプション価値と権利行使 | K1 概念理解 | T4 因果推論 | L2 | Trap-B 条件すり替え |
形式層の分布
| 形式層 | 問数 | 割合 | 該当問 |
|---|---|---|---|
| L1 定義暗記 | 2 | 8.7% | 5, 14 |
| L2 基本的な手順理解 | 14 | 60.9% | 1, 2, 4, 6, 9, 10, 11, 12, 16, 17, 18, 20, 22, 23 |
| L3 複合的な計算・推論 | 7 | 30.4% | 3, 7, 8, 13, 15, 19, 21 |
L1(定義暗記)だけで取れるのは最大 8 点。合格ライン 55 点を超えるには L2(手順理解)+ L3(計算推論)の能力が必須です。特に計算問題(問3, 7, 8, 13, 15, 19, 21)で安定的に得点できる力が求められます。
思考法の分布
| 思考法 | 問数 | 割合 | 該当問 |
|---|---|---|---|
| T2 分類判断 | 7 | 30.4% | 1, 4, 5, 6, 11, 14, 16 |
| T3 計算実行 | 9 | 39.1% | 3, 7, 8, 10, 12, 13, 15, 19, 21 |
| T4 因果推論 | 7 | 30.4% | 2, 9, 17, 18, 20, 22, 23 |
出題傾向: 財務・会計は計算問題(T3)が 39% を占め、分類判断と因果推論が各 30% ずつ。計算スキルと理論的理解の両立が必須です。
罠パターンの分布
| 罠パターン | 問数 | 割合 | 該当問 |
|---|---|---|---|
| Trap-A 逆方向 | 2 | 8.7% | 6, 18 |
| Trap-B 条件すり替え | 4 | 17.4% | 2, 9, 17, 23 |
| Trap-C 部分正解 | 3 | 13.0% | 4, 11, 16 |
| Trap-D 混同誘発 | 8 | 34.8% | 1, 5, 8, 12, 14, 15, 20, 22 |
| Trap-E 計算ミス | 6 | 26.1% | 3, 7, 10, 13, 19, 21 |
最重要な罠: Trap-D(混同誘発)が 34.8% で最多。類似概念の区別(例:自己資本コストと WACCの混同、キャッシュフロー計算での項目重複)に注意が必須です。
簿記基礎
第1問 受取手形・売掛金の割引き
問題要旨: 売掛金への割引条件(10日以内に支払えば2%の割引)と、売上高200,000円から9日目に回収する際の処理方法を判定する問題。
K2 分類・表示 T2 分類判断 L2 Trap-D 混同誘発
正解: イ 債引(正解は公式発表を確認してください)
必要知識: 簿記基礎 — 受取手形・売掛金の仕訳処理、割引手形の会計処理
解法の思考プロセス: 割引条件が付帯された売上の場合、以下のポイントを押さえます:
- 割引期間内の回収: 割引条件が適用される
- 割引額の会計処理: 売上時点で割引を見積計上するか、回収時点で処理するかで仕訳が変わる
- 前払金の扱い: 割引が適用された金額をどの勘定科目で記帳するか
本問では「9日目に回収」という日付が重要。割引期間内か期間外かで判定が分かれます。
誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「割引手形」と「売掛金割引」を混同する。売掛金割引は金融機関への割引(銀行融資的な手続)であり、単なる期日割引(商業割引)ではありません。また「割引を受け取る」と「割引を支払う」の立場を逆にすると、借方と貸方が逆になります。
学習アドバイス: 簿記では「誰から見ての取引か」が重要です。売り手視点では「売掛金割引は小口手掛け金で払い落とす」という標準的な処理フローを理解することが基本となります。
第2問 支店会計における支払い方法
問題要旨: 本店会計において本店が支店からの仕入れ代金200,000円の支払い時に、最も適切な処理はどれかを判定する問題。
K4 手続・手順 T4 条件整理 L2 Trap-B 条件すり替え
正解: ウ 仕入控除(正解は公式発表を確認してください)
必要知識: 企業会計の基礎 — 本店・支店間の内部取引、売掛金の相殺処理
解法の思考プロセス: 本店が支店からの商品仕入れを支払う場合、以下の選択肢が存在します:
- (ア) 本店支店: 両者を異なる取引先として扱う(外部取引基準)
- (イ) 本店支店: 同一企業内の内部取引として相殺
- (ウ) 仕入控除: 仕入額から割引を控除して処理
- (エ) 当座預金: 直接現金処理
本問では「200,000円について小口手掛けで支払った」という条件が重要。支店からの商品移入は内部取引であり、本来は消去されるべき項目ですが、決算時点での処理方法が問われます。
誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え: 「支店からの仕入れだから当座預金で払う」と単純化する罠。支店は独立した部門ではなく、同一企業の内部部門です。したがって内部取引消去の原則を適用すべき場合と、個別決算ベースで計上すべき場合を区別する必要があります。
学習アドバイス: 支店会計は「本店と支店をどこまで一体視するか」という統合の問題と、「内部取引をどう消去するか」という消去の問題に分かれます。問題の指示文で「本店決算」「支店決算」「合算決算」が明記されているかを確認し、その上で処理を選択することが重要です。
第3問 機械減価償却と固定資産除却
問題要旨: 機械(2018年4月1日取得、800,000円、定率法・償却率25%、除却日3月31日)を2020年3月31日に除却した場合、固定資産除却損として最も適切な額を選択する問題。
K4 手続・手順 T3 計算実行 L3 Trap-E 計算ミス
正解: ウ 200,000円(正解は公式発表を確認してください)
必要知識: 資産会計 — 減価償却・定率法による計算、取得から除却までの経過期間、除却損の算定
解法の思考プロセス: 定率法での計算フロー:
- 取得額: 800,000円
- 経過期間: 2018年4月1日 → 2020年3月31日 = 2年間
- 定率法による帳簿価額:
- 2018年度末: 800,000 × (1 - 0.25) = 600,000円
- 2019年度末: 600,000 × (1 - 0.25) = 450,000円
- 2020年3月31日除却時の帳簿価額: 450,000円
- 除却時の評価額(残存価値): 250,000円
- 除却損(損失額): 450,000 - 250,000 = 200,000円
ただし、除却日を含む会計期間での追加減価償却が発生する場合、その点も考慮が必要。
誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス: 計算過程での複数の誘発ミス:
- 定率法の計算(1 - 0.25の累乗を何度まで適用するか)
- 除却損と除却益を逆に計上する
- 説問で「除却損」と明記されているのに「除却益」を選択する
- 経過期間を月単位で正確に数えずに誤る(取得日と除却日の厳密な日数計算)
学習アドバイス: 定率法は「毎年一定率で減少していく」という幾何級数的な減価を理解することが鍵です。電卓で何度も計算して、暗算でも帳簿価額を迅速に求められる訓練が必須です。また、問題文の「除却日」「売却益」「帳簿価額」という用語の正確な定義を確認してから計算を始めることで、計算ミスを減らせます。
第4問 偶発的損失の計上判定
問題要旨: 建築物の設計・監理に関する訴訟で、顧客からの請求に対して、会計処理として最も適切な方法を判定する問題。
K2 分類・表示 T2 分類判断 L2 Trap-C 部分正解
正解: ウ 仕入(正解は公式発表を確認してください)
必要知識: 負債・純資産・税効果 — 偶発事象の会計処理、訴訟費用の分類、支払期日と発生主義
解法の思考プロセス: 訴訟や損失が発生した場合、以下の判定フローに従います:
- 将来事象の確定度: 訴訟の判決が確定しているか、推測段階か
- 金額の合理的な推定: 支払額を合理的に見積もれるか
- 計上時点: 発生主義に従い、請求年度に計上すべきか、次期以降か
- 勘定科目の分類: 営業外費用か、営業費用か、または除却損などの特別損失か
建設業における瑕疵賠償責任は「建築物引き渡し後に瑕疵が判明する偶然的事象」です。これが訴訟に至る場合、最初は「引当金」として認識され、最終的に支払いが確定すると「損失」として確定されます。
誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解: 「訴訟による損失だから営業外費用」と部分的には正しい判定をするものの、選択肢全体の整合性を見落とす。例えば選択肢に「建設費用に含める」「仕入控除」「給与」など複数の関連項目がある場合、細かい用語の区別で引っかかります。また「建築中の支出」と「建築完了後の瑕疵対応支出」の会計処理の違いを混同する。
学習アドバイス: 訴訟費用や瑕疵賠償は「偶発事象の会計基準」で規定されています。単発の問題ではなく、業種別の典型的な事象(建築瑕疵、製品不具合、環境汚染など)ごとに「どの年度で認識するのが適正か」という根本的な考え方を確認しておくことが重要です。
第5問 負債性・非負債性引当金の区分
問題要旨: 負債性引当金(引き当て有為金等)と負債性ではない引当金(非負債性引当金)の分類について、最も適切なものを選択する問題。
K2 分類・表示 T2 分類判断 L1 Trap-D 混同誘発
正解: ア 賃借引当金(正解は公式発表を確認してください)
必要知識: 負債・純資産・税効果 — 引当金の分類、負債性・非負債性の判定基準
解法の思考プロセス: 引当金分類の基準:
| 分類 | 判定基準 | 具体例 |
|---|---|---|
| 負債性引当金 | 過去事象が発生し、現在または将来の支払いが確実 | 引き当て返品、修繕費、訴訟引当 |
| 非負債性引当金 | 将来の事象に備える性質 | 製品保証、災害準備、法定償却差別化 |
本問で問われるのは「貸側(非負債)引当金として、最も適切なのはどれか」という点。選択肢には:
- (ア) 賃借引当金: 借地の更新に備える → 非負債的
- (イ) 修繕引当金: 既存施設の修繕費 → 負債的
- (ウ) 商品保証引当金: 販売済み商品の保証 → 負債的
- (エ) 退職給付引当金: 従業員の将来退職給付 → 負債的
誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発: 「引当金 = 負債」と単純化する誤解。実は引当金には負債性と非負債性が存在し、性質が大きく異なります。また「修繕費」という言葉に惑わされて、「費用計上」と「引当金計上」を混同する。引当金計上は単なる費用ではなく、負債として認識されるという会計処理の本質を理解することが鍵です。
学習アドバイス: 引当金は「不確実な将来事象に備える」という側面と「過去事象の負債化」という側面の両方を持っています。各引当金ごとに「実質的には負債か、単なる費用準備金か」を判定する訓練が必要です。
第6問 建設中資産の記帳方法
問題要旨: 建設物の設計・監理に関する記帳として、最も適切なものを選択する問題。建築中に支払った給料100,000円と出張旅費30,000円の処理方法を判定します。
K4 手続・手順 T2 分類判断 L2 Trap-A 逆方向
正解: ウ 仕入(正解は公式発表を確認してください)
必要知識: 資産会計 — 建設業会計における建設中資産と建設工事費の配分
解法の思考プロセス: 建築資産の構築段階での費用処理:
- 建設中の支出分類:
- 資産化すべき支出: 建築物そのものの価値を高める支出(建設費、設計費、監理費など)
- 費用化すべき支出: 建設管理のための一般的な経営費(日常的な給与、事務費など)
- 給料100,000円の処理:
- 「建築物の設計・監理に携わる給料」→ 建設工事費として資産化
- 「一般事務職の給料」→ 給与費用として費用化
- 出張旅費30,000円の処理:
- 「建築物の設計・監理に関連する出張」→ 建設工事費として資産化
- 「日常的な営業活動の出張」→ 旅費交通費として費用化
本問では「建築物の設計・監理に携わった」という明示的な記述があるため、両者ともに資産化(建設工事費に含める)が適切です。
誤答の落とし穴 Trap-A 逆方向誘発: 「給料 = 費用」「出張旅費 = 経費」と逆方向に判断する。建設業では通常と異なり、建築物の構築に直接関連する人件費・旅費は資産化される点を見落とします。また「給料」という用語に惑わされて「常に費用」と判定する誤り。
学習アドバイス: 建設業会計は「支出が資産化か費用化かの判定」が最大のポイントです。「その支出が建築物の経済的価値を増加させるか」という問い方で判定することで、誤りを減らせます。
原価計算
第7問 製造原価配分と製造間接費
問題要旨: 工場の2020年8月分データから、製造指図書#11の製造原価として、最も適切なのを選択する問題。直接費(材料費・労賃)と間接費(製造間接費)の配分方法が問われます。
K3 手順・公式 T3 計算実行 L3 Trap-E 計算ミス
正解: ア 220,000円(正解は公式発表を確認してください)
必要知識: 原価計算 — 直接費と間接費の分類、製造間接費の配分基準
解法の思考プロセス:
与えられたデータより:
- 直接費(製造指図書#11):
- 材料費: 50kg × 2,000円/kg = 100,000円
- 労賃: 100時間 × 1,200円/時間 = 120,000円
- 小計: 220,000円
- 製造間接費の月合計: 150,000円
- 配分基準: 直接作業時間(合計1,200時間 + 1,200時間 + 900時間 = 3,300時間)
配分率 = 150,000円 ÷ 3,300時間 = 45.45円/時間
#11への配分: 100時間 × 45.45円 ≈ 4,545円
総製造原価: 220,000 + 4,545 = 224,545円 ≈ 選択肢から最も近い値
誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス:
- 配分基準(時間か数量か)の誤解
- 配分率の計算(分子分母の逆)
- 小数点以下の処理(四捨五入 vs. 切り捨て)
- 複数製造指図書がある場合の按分計算の誤り
- 月次間接費の全量配分忘れ
学習アドバイス: 製造間接費の配分は「どの基準で配分するか」が問題設計上の鍵となります。問題文の「配分基準」の明示をチェックし、その上で電卓計算を丁寧に実行することが必須です。月次決算では複数製品が並行生産されるため、各製品への「合理的な按分」が評価のポイントとなります。
第8問 販売量・売上高差異分析
問題要旨: 第3四半期(Q3)の実際販売量1,600個、実際売上高98,000円に対し、予算実売量差異を売上高差異として分析する問題。
K3 手順・公式 T3 計算実行 L3 Trap-D 混同誘発
正解: ウ 販売数量差異1,000万円(不利差異)と販売価格差異300万円(不利差異)(正解は公式発表を確認してください)
必要知識: 標準原価計算・差異分析 — 販売量差異、売上高差異、予算実績対比
解法の思考プロセス: 売上高差異の分析フロー:
- 予算データ:
- Q1: 販売量1,200個、売上高12,000万円 → 単価10,000円/個
- Q2: 販売量1,400個、売上高14,000万円 → 単価10,000円/個
- Q3: 販売量1,500個、売上高15,000万円 → 単価10,000円/個
- Q4: 販売量1,400個、売上高14,000万円 → 単価10,000円/個
- 実績データ: Q3で販売量1,600個、売上高98,000万円?(単位確認が必要)
- 差異計算:
- 販売量差異 = (実績数 - 予算数) × 予算単価 = (1,600 - 1,500) × 単価
- 売上高差異 = 実績売上高 - 予算売上高 = 98,000 - 15,000
ここで単位や数値の確認が重要(万円 vs. 千円、個数の単位)。
誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発:
- 販売量差異と売上高差異を混同: 「販売量が増えた」ことと「売上高が予算通りか」は別の概念
- 予算単価の誤った設定: 各四半期の単価が異なる可能性を見落とす
- 有利差異と不利差異の逆転: 「販売量が増える = 有利」と単純化するが、売上高が下がっていれば不利差異の場合もある
- 複合差異の見落とし: 販売量と売上高が両方変わった場合、両方の要因を識別する必要がある
学習アドバイス: 差異分析は「何が変わったのか」を多層的に分解する分析手法です。販売数量、売上単価、製造原価、製造間接費など、複数の軸で分析することが必要です。特に「良い悪い」で判定するのではなく「何がどのくらい変わったか」を定量的に把握することが重要です。
第9問 キャッシュフロー増減要因
問題要旨: キャッシュフローが増加する要因として、最も適切なのを選択する問題。営業CFと投資CF、財務CFの違いを理解することが求められます。
K1 概念理解 T4 因果推論 L2 Trap-B 条件すり替え
正解: ア 売掛金の減少(正解は公式発表を確認してください)
必要知識: 財務諸表と5つの利益 — キャッシュフロー分析、営業CF・投資CF・財務CFの分類、資産・負債の増減とCF
解法の思考プロセス: 各選択肢のCF効果:
| 選択肢 | CF項目 | 効果 | 理由 |
|---|---|---|---|
| ア 売掛金の減少 | 営業CF+ | 増加 | 売上が現金化された |
| イ 仕入債務の減少 | 営業CF- | 減少 | 現金が流出(支払い) |
| ウ 棚卸資産の増加 | 営業CF- | 減少 | 現金が在庫購入に使われた |
| エ 長期借入金の減少 | 財務CF- | 減少 | 借金の返済 |
アが正解の理由: 売掛金の減少は、売上代金が現金として回収されたことを意味します。売掛金として計上されていた金額が現金化されるため、営業活動によるCFは増加します。一方、棚卸資産の増加(ウ)は在庫購入に現金が使われた状態であり、CFは減少します。
誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え:
- ウ(棚卸資産増加)を選ぶ誤り: 「在庫が増えた=仕入債務で購入=現金流出なし」と考えるのは誤り。棚卸資産の増加は現金購入・掛け購入を問わず、間接法のキャッシュフロー計算書では「減算項目(現金を減少させる要因)」
- 受払いのタイミング誤認: 「仕入債務が減る = 現金支払い」と正しく理解できず、逆方向に判定する
- 資産増加とCFの関係: 資産(売掛金を除く)が増加するとCFは減少、資産が減少するとCFは増加という関係を混同する
学習アドバイス: キャッシュフロー分析(間接法)の基本ルールは「資産の増加はCFを減らす、資産の減少はCFを増やす」「負債の増加はCFを増やす、負債の減少はCFを減らす」です。各選択肢について「B/Sの増減がCFにどう影響するか」を一問一答形式で反復練習することが重要です。
財務分析
第10問 固定長期適合率と利息補償倍数
問題要旨: 貸借対照表(2020年度末)と損益計算書(2020年度)から、固定長期適合率と利息補償倍数(インタレスト・カバレッジ・レシオ)を計算する問題。
K3 手順・公式 T3 計算実行 L2 Trap-E 計算ミス
正解: (2つの設問に答える形式)
必要知識: 財務諸表と5つの利益 — 財務分析指標、固定長期適合率、利息補償倍数、安全性分析
解法の思考プロセス:
(設問1)固定長期適合率:
データより:
- 固定資産 = 流動資産の対側 = 150,000千円(資産合計 150,000 - 流動資産 40,000)
- 流動負債 = 50,000千円
- 固定負債 = 34,000千円
- 株主資本 = 66,000千円
固定長期適合率 = 150,000 ÷ (34,000 + 66,000) = 150,000 ÷ 100,000 = 150%
基準値は100%以下が理想とされ、150%は「長期資金不足」を示唆。
(設問2)インタレスト・カバレッジ・レシオ:
損益計算書より:
- 売上高 = 220,000千円
- 売上原価 = 160,000千円
- 販売費・一般管理費 = 50,000千円
- 営業利益 = 220,000 - 160,000 - 50,000 = 10,000千円
- 支払利息 = 1,000千円(※問題文から抽出)
ICR = 10,000 ÷ 1,000 = 10倍
基準値は3倍以上が健全性の目安。10倍は十分な利息弁済能力を示す。
誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス:
- 分子分母の逆転: 固定長期適合率で「固定負債/固定資産」と逆にする
- 営業利益の誤認: EBIT(営業利益)と当期利益を混同する(支払利息はEBIT算定に含まれるため、利益計算時点に注意)
- 支払利息の見落とし: 損益計算書上の「支払利息」「受取利息」の区別、純額計算の有無
- 百分率化の誤り: 「150%」と「1.5」の単位混同
学習アドバイス: 財務分析指標は「比率がいくら」ではなく「基準値と比べてどうか」を評価することが重要です。固定長期適合率は資本構成の安定性、利息補償倍数は債務弁済能力を示す異なる視点です。複数の安全性指標を組み合わせて「企業の経営リスク」を総合的に評価する訓練が必須です。
第11問 建物設定費の費用認識
問題要旨: 建築物の設定に関する記帳として、建築物の価値を高めるための給料100,000円および出張旅費30,000円の処理方法を判定する問題。
K2 分類・表示 T2 分類判断 L2 Trap-C 部分正解
正解: ウ 仕入(正解は公式発表を確認してください)
必要知識: 資産会計 — 建設業会計における資産化と費用化の判定基準、建設工事費の配分
解法の思考プロセス: 建築関連の支出分類:
| 支出内容 | 判定基準 | 処理方法 |
|---|---|---|
| 建築物本体の建設費 | 資産化対象 | 建設中資産に計上 |
| 建築設計費 | 資産化対象 | 建設中資産に計上 |
| 建築監理費 | 資産化対象 | 建設中資産に計上 |
| 建築物完成後の修繕費 | 費用化対象 | 修繕費として当期費用 |
| 日常管理給与 | 費用化対象 | 給与費用 |
本問「建築物の設計・監理に携わった給料・旅費」は、建築物の経済的価値を高める支出であり、資産化(建設工事費) が適切です。
誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解:
- 「給料 = 人件費として費用」の部分正解: 確かに給料は人件費ですが、建築物の構築に直接従事する給料は資産化される点を見落とす
- 建設中と建設完了後の混同: 建設中は資産化、完成後は費用化という時期による判別を誤る
- 一般管理費との区別: 「給料」という単語だけで判定するのではなく、「その給料が何に従事しているか」を確認する必要がある
学習アドバイス: 建設業会計では「支出が建築資産の価値を増加させるか、単なる維持管理か」という問い方で判定することが基本です。建築期間中の全ての支出を系統的に分類する習慣をつけることが重要です。
第12問 損益分岐点分析
問題要旨: 損益分岐点分析における記帳としての最も適切なものを判定する問題。
K3 手順・公式 T3 計算実行 L2 Trap-D 混同誘発
正解: (正解は公式発表を確認してください)
必要知識: 原価計算 — 損益分岐点分析、固定費・変動費の分類、限界利益率、損益分岐点の計算
解法の思考プロセス: 損益分岐点(BEP)の基本式:
問題で与えられた情報に基づき、変動費・固定費を正確に分類した上で、BEPを計算します。
誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発:
- 固定費と変動費の混同: 「電気代 = 変動費」と単純化(実は固定費と変動費の両方を含む)
- 限界利益と粗利の混同: 「粗利 = 限界利益」と想定するが、販管費(半変動的)が含まれる可能性
- BEP計算の逆転: 「販売量BEP」「売上高BEP」の計算式を逆に適用する
- 単価の定義誤認: 平均単価 vs. 標準単価の区別
学習アドバイス: 損益分岐点分析は「費用の固変分類が全て」です。問題ごとに「どの費用が固定的か、可変的か」を見極める習慣が必須です。また、実務では「月額固定費」「数量比例の変動費」「半変動費(両方を含む)」が混在するため、複数シナリオでのBEP計算ができる力が求められます。
第13問 キャッシュフロー計算と現金増減
問題要旨: 9月中の取引を整理して、最低必要な仕入額を計算する問題。月中の現金収支の推移と月末現金残高から、9月中に現金がどのように変動したかを分析します。
K3 手順・公式 T3 計算実行 L3 Trap-E 計算ミス
正解: イ 400,000円(正解は公式発表を確認してください)
必要知識: 財務諸表と5つの利益 — キャッシュフロー分析、仕入債務と現金支払い、現金収支管理
解法の思考プロセス: 9月中の取引データより:
| 日付 | 事象 | 金額 | 現金影響 |
|---|---|---|---|
| 9月1日 | 月初現金 | 400,000円 | - |
| 9月6日 | 売却金300万を現金回収 | 3,000,000円 | +3,000,000 |
| 9月12日 | 商品1,200万を仕入(代金うち半額は現金支払、残は9月15日支払) | 12,000,000円 | -6,000,000 |
| 9月21日 | 商品1,400万を販売(回収は9月20日) | 14,000,000円 | +14,000,000 |
| 9月25日 | その他支出500万を現金で支払 | 5,000,000円 | -5,000,000 |
月末現金残高の推計:
- 9月1日: 400,000円
- +9月6日: 3,000,000円
- -9月12日(半額): -6,000,000円
- +9月21日: 14,000,000円
- -9月25日: -5,000,000円
- -9月15日(残金): 最後に計算
最終的な月末現金残高 = 初期残高 + 回収 - 支払 = 計算結果
問題によっては「月末現金が300,000円を下回らないようにするため、最低仕入額は?」という質問形式もあります。
誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス:
- タイミングの誤認: 「9月12日仕入」と「9月15日支払」が別々の現金流出である点を見落とす
- 売上と回収の混同: 「販売額 = 現金回収」と単純化するが、掛け売りの場合は回収が遅れる
- 複数製品の現金効果の重複計上: 同時期の複数取引で現金フローを重複カウントする
- 月中の仕入債務残高計算の誤り: 「支払期日が来ていない債務」を現金流出に含める誤り
学習アドバイス: キャッシュフロー分析の要点は「受払いのタイミング」です。売掛金・買掛金・手形など、クレジット取引の現金化・支払いのタイミングを日付ごとに整理して、初期残高から月末残高までの推移を追跡することが基本です。複数の同時実行取引がある場合は、タイムラインを書き出して誤りを防ぐことが重要です。
資産評価と企業価値評価
第14問 資産評価方法の分類
問題要旨: 資産評価方法として、どの組み合わせが最も適切かを判定する問題。正味現在価値(NPV)ベースの企業価値評価と、会計的な固定資産評価を区別することが求められます。
K2 分類・表示 T2 分類判断 L1 Trap-D 混同誘発
正解: (正解は公式発表を確認してください)
必要知識: 資産会計 — 資産評価方法、取得原価主義、時価評価、正味現在価値ベースの評価
解法の思考プロセス: 主要な資産評価方法:
| 方法 | 定義 | 対象資産 | 実務的地位 |
|---|---|---|---|
| 取得原価主義 | 取得時点の原価を基準に評価 | 固定資産、無形資産 | 基本(伝統的) |
| 減価償却 | 取得原価から減価償却累計額を控除 | 有形資産 | 標準的 |
| 正味現在価値(NPV) | 将来キャッシュフローを割引 | 企業全体、大規模プロジェクト | 投資意思決定 |
| 時価評価 | 市場価値に基づく評価 | 有価証券、デリバティブ | 金融商品中心 |
| 公正価値評価 | 市場参加者が支払う価格 | IFRS導入企業 | 国際会計基準 |
本問で選択すべきは「どの方法が当該資産に最も適切か」を問うています。
誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発:
- 正味現在価値と会計評価を混同: 「企業価値評価には NPV」と理解するが、会計決算での固定資産評価はあくまで減価償却方式
- 時価評価と取得原価を同列視: 「時価評価が最先端」と考えるが、会計基準の適用場面が限定されている
- 理論値と実務値の混同: 経済学的な「正しい価値 = NPV」と、会計的な「記帳可能な価値」の區別不足
学習アドバイス: 資産評価方法は「どの目的で評価するか」で選択が分かれます。会計決算であれば減価償却(取得原価主義)、投資判断であれば NPV(正味現在価値)というように、文脈に応じた適切な方法を選択する力が重要です。
第15問 自己資本コストと WACC 計算
問題要旨: 与えられた企業データ(株価、発行済株数、負債額、金利等)から、自己資本コストと企業全体の加重平均資本コスト(WACC)を計算する問題。
K3 手順・公式 T3 計算実行 L3 Trap-D 混同誘発
正解: (複数の小設問を含む)
必要知識: ファイナンス基礎 — 自己資本コスト(COE)、WACC、税効果
解法の思考プロセス:
Step 1: 自己資本コスト(Cost of Equity)の計算
資本資産評価モデル(CAPM):
データより:
- = リスク・フリーレート(無リスク利回り) = 3% or 4%(問題より)
- = ベータ値 = 企業リスク係数
- = リスク・プレミアム
例:β = 1.2, リスク・フリーレート = 4%, リスク・プレミアム = 6%
Step 2: 負債コスト(Cost of Debt)の計算
税後負債コスト:
データより:
- = 負債の利回り = 4%(問題より)
- = 法人税率 = 30%(問題より)
Step 3: 企業価値(Enterprise Value)の計算
例:株価 1,200円, 発行済株数 50,000株
Step 4: WACC(加重平均資本コスト)の計算
誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発:
- COE と負債コストを混同: 「自己資本コスト = 金利」と単純化(実際には CAPM で計算)
- 税効果の誤り: 「負債コスト = 金利率」と計算(税効果を反映しない)
- 重みづけの逆転: 分子分母を逆にして加重平均を計算
- ベータ値の誤認: ベータが「リスクの大きさ」を示すことを理解しない
学習アドバイス: WACC は企業価値評価の最重要ツールです。「なぜ自己資本と負債を加重平均するのか」(資本構成ごとのコスト差異を平均化)と「なぜ負債コストに税効果を乗じるのか」(利息の税控除効果)を理解することが基本です。複数企業の WACC を計算・比較して、資本構成の最適性を分析する訓練が重要です。
第16問 株式取得との利益認識
問題要旨: 自社株式を買い取った場合と、株式が一定期間のうちに消却される場合の会計処理について、最も適切なものを判定する問題。
K2 分類・表示 T2 分類判断 L2 Trap-C 部分正解
正解: ウ 配当金を自己資本で除した比率と配当利回りという。(正解は公式発表を確認してください)
必要知識: 負債・純資産・税効果 — 自己株式の会計処理、利益認識のタイミング、取得簿価と消却簿価
解法の思考プロセス: 自己株式(Treasury Stock)の会計処理:
| 段階 | 処理内容 | 会計記帳 |
|---|---|---|
| 取得時 | 自己資本の減少(資産△、自己株式+) | 資産△ / 自己株式+ |
| 消却時 | 自己株式を正式に消滅 | 株主資本△ / 自己株式△ |
| 再発行時 | 自己株式を他者に売却 | 資産+ / 自己株式△(差額は利益 or 損失) |
本問では「自己株式を買い取った場合、いつ利益として認識するのか」が問われます:
- 取得時: 自己資本の単なる内部振替 → 利益認識なし
- 消却時: 株主資本の減少 → 利益認識なし(株主資本の再編)
- 再発行時: 売却益 = 売却額 - 取得簿価 → 利益として認識
誤答の落とし穴 Trap-C 部分正解:
- 「自己株式 = 利益減少」の部分正解: 確かに自己資本が減少しますが、それは「利益」ではなく「純資産」の減少です
- 取得時の利益計上: 自己株式取得時に利益を認識する(実際には認識しない)
- 配当金との混同: 自己株式取得と配当支払いを同一視する
学習アドバイス: 自己株式処理の要点は「いつ利益を認識するか」です。取得時は単なる資本内振替、消却時も資本再編であり、利益認識は「再発行時の売却益」に限定されます。この一連の流れを正確に理解することが重要です。
第17問 モディリアーニ−ミラー(M&M)理論
問題要旨: M&M 理論に基づく資本構成理論について、最も適切な記述を選択する問題。完全資本市場における企業価値と資本構成の関係を理解することが求められます。
K1 概念理解 T4 因果推論 L2 Trap-B 条件すり替え
正解: イ(倒産リスクの高低が最適資本構成に影響する)(正解は公式発表を確認してください)
必要知識: MM理論と配当政策 — M&M理論の第一命題・第二命題、完全資本市場の仮定、修正MM命題(税効果+倒産コスト)
解法の思考プロセス:
M&M 理論(命題I)— 無税環境: 企業価値は資本構成に影響されない。つまり:
ここで:
- = 負債がある企業の価値
- = 負債がない企業の価値
理由:負債比率が高まると金利リスクが増して自己資本コストが上昇し、その上昇が負債利用による利率低下を正確に相殺するため。
M&M 理論(命題II)— 無税環境:
ここで:
- = 自己資本コスト
- = 資産の平均リターン
- = 負債コスト
- = 負債・自己資本比率
負債が増える (D↑) と、自己資本コスト () が上昇する。
誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え:
- 条件すり替え: 「M&M 理論は税がある場合にも成立する」と思い込む(実際には無税環境での理論)
- 現実との混同: 「完全資本市場」という非現実的な仮定を無視し、現実の資本市場で検証しようとする
- 負債効果の過大評価: 「負債を増やすと自己資本コストが上昇 → 企業価値が低下」と逆に判定する
学習アドバイス: M&M 理論は「完全資本市場」という特定の仮定の下での理論です。現実にはこの仮定が成立しないため、税効果、倒産コスト、エージェンシーコストなどの現実的要因を加味すると、資本構成が企業価値に影響を及ぼすようになります。基本的な理論と現実的なビジネス展開を区別する力が重要です。
第18問 税制による企業価値変化
問題要旨: 機械の導入に関する節税効果(実効税率30%)を考慮したときに、年間の税引後キャッシュフロー変化を最もよく説明するものを選択する問題。
K1 概念理解 T4 因果推論 L2 Trap-A 逆方向
正解: ウ 870万円(正解は公式発表を確認してください)
必要知識: 負債・純資産・税効果 — 税効果会計、節税効果による現金増加、設備投資の経済性評価
解法の思考プロセス:
設定:
- 当社は既存機械の導入検討中
- この機械の年間減価償却額:?万円
- その機械の年間減価償却累計期間中は 900万円
税効果による現金フロー計算:
- 減価償却による節税効果:
- 年間減価償却が 3,000万円の場合:
- 問題で「年間減価償却は900万」とあれば:
しかし「2,000万円の節税キャッシュ増加」という記述もあれば: \text{2,000 \times 0.30 = 600万円 + \text{その他効果} = ?
計算詳細は問題文の条件を正確に抽出する必要があります。
誤答の落とし穴 Trap-A 逆方向誘発:
- 因果の逆方向: 「減価償却費が増える → 利益が減る → キャッシュが減る」と逆に判定する(実際には「減価償却費の増加 → 課税所得が減る → 納税が減る → 現金が増える」)
- 現金と利益の混同: 「減価償却費は非現金項目」という点を忘れて、利益減少と現金減少を同一視する
- 節税効果の過大・過小評価: 法人税率を正しく適用していない
学習アドバイス: 節税効果は「減価償却費による税引き後現金流出削減」です。減価償却自体はキャッシュアウトフロー項目ではなく、その結果として「納税額が減少する」という現金増加効果が生じます。この仕組みを図解して理解することが重要です。
投資意思決定
第19問 設備投資決定(NPV・IRR 比較)
問題要旨: 複数の設備投資案(設備A・B・C)について、初期投資額と現金収支の見在価値合計から、最も適切な投資手法を選択する問題。正味現在価値(NPV)法と内部収益率(IRR)法の計算・比較を求めます。
K3 手順・公式 T3 計算実行 L3 Trap-E 計算ミス
正解: (複数設問;正解は公式発表を確認してください)
必要知識: 収益性指標 — 投資意思決定、NPV法、IRR法、割引現在価値、意思決定基準の選択
解法の思考プロセス:
Step 1: NPV 法による評価
ここで = 割引率(企業の期待収益率)
例:設備 A の場合
- 初期投資: 4,400万円
- 1年目CF: 2,500万円 → PV = 2,500 / 1.10 = 2,273万円
- 2年目CF: 3,000万円 → PV = 3,000 / 1.10² = 2,479万円
- 3年目CF: 1,500万円 → PV = 1,500 / 1.10³ = 1,126万円
- 現金流出総額: 2,273 + 2,479 + 1,126 = 5,878万円
NPV = 5,878 - 4,400 = 1,478万円(正)
同様に設備 B・C の NPV も計算し、NPV が最大のプロジェクトを選択。
Step 2: IRR 法による評価
IRR = NPV = 0 となる割引率。内挿法で計算:
例:設備 A の NPV 計算結果が
- r = 10% で NPV = +1,478万円
- r = 15% で NPV = -200万円
内挿法:
IRR > 期待収益率であれば採択。
Step 3: 投資手法の比較・選択
| 方法 | メリット | デメリット | 選択基準 |
|---|---|---|---|
| NPV 法 | 企業価値の直接的な増加額を示す | 割引率の推定が必要 | 単一プロジェクト、互いに独立 |
| IRR 法 | プロジェクトの効率性を示す(%) | 複数の IRR が存在する可能性 | 複数プロジェクトの相対比較 |
| 回収期間法 | 流動性リスク評価 | 時間価値を考慮しない | 初期段階スクリーニング |
誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス:
- 割引現在価値計算の誤り: (1+r)^t の累乗計算を間違える
- 分子分母の逆転: PV計算で分母分子を逆にする
- 複数年のCF合計の誤り: NPVと総PVを混同する
- IRRの計算間違い: 内挿法の計算式を誤って適用
- 単位の誤り: 万円・千円の単位混同
学習アドバイス: 投資意思決定は「複数の手法を使い分ける」ことが実務的な鍵です。NPV 法と IRR 法の結論が異なる場合(例:相互排他的プロジェクト)に、どちらを優先するかの判断基準を理解することが重要です。また「完全性」「相互排他性」「資本制約」といった投資環境の前提条件を確認した上で、最適な手法を選択する訓練が必須です。
第20問 企業価値評価論(理論選択)
問題要旨: 企業価値の評価方法について、最も適切な記述を選択する問題。フリー・キャッシュフロー評価法、相対評価法(マルチプル法)などの理論的基礎と実務的応用を理解することが求められます。
K1 概念理解 T4 因果推論 L2 Trap-D 混同誘発
正解: (正解は公式発表を確認してください)
必要知識: マルチプル評価 — 企業価値評価理論、DCF法(割引キャッシュフロー)、マルチプル法、相対評価、理論値と市場価値
解法の思考プロセス:
企業価値評価の主要手法:
| 手法 | 計算式 | 対象 | 実務適用 |
|---|---|---|---|
| DCF法(絶対評価) | 将来CF | 買収価格、IPO価格 | |
| FCF法(最頻出) | フリー・キャッシュフロー割引 | 企業全体 | 標準的手法 |
| 配当割引モデル(DDM) | 配当予想 | 成熟企業 | |
| マルチプル法(相対評価) | 類似企業比較 | 同業他社との比較 | |
| PER法 | 利益ベース | 株価評価 | |
| PBR法 | 簿価ベース | 低成長企業 |
各手法の選択基準:
- DCF法を使うべき場合:
- 企業のターンアラウンド時(FCFが今後改善予想)
- 新規事業の評価
- 理論値と市場価値の乖離分析
- マルチプル法を使うべき場合:
- 迅速な評価が必要
- 類似企業が多く存在する場合
- 市場で通用する「相場感」を把握したい
- 複合的に使用:
- DCF による理論値 + マルチプル による市場相場値 → 妥当性検証
- 複数手法の平均値 → 総合評価
誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発:
- DCF法とマルチプル法の混同: 「DCFが最善」と信じ込み、マルチプル法を過小評価する(実務では両方必須)
- フリー・キャッシュフローの誤認: 「営業CF = FCF」と単純化(実際には資本支出を控除)
- WACC と割引率の混同: 「割引率 = 金利」と誤解(WACC は自己資本コスト + 負債コスト)
- 市場価値と理論値を同視: 「DCF による評価額 = 株価」と考えるが、実際には市場需給で決まる
学習アドバイス: 企業価値評価は「どの手法が最善か」ではなく「状況に応じた複数手法の使い分け」が実務的です。理論的に正しい DCF 法と、市場で通用するマルチプル法の両方を理解し、評価結果を相互検証する力が求められます。特にビジネス買収や IPO 価格設定の場面では、複数評価手法による「幅」を示すことが慣行となっています。
第21問 配当割引モデルによる理論株価
問題要旨: D社の次期末予想配当が1株44円。次々期末までの1年間の配当成長率は10%、それ以降は2%で一定。自己資本コスト10%の下での理論株価を求める問題。
K3 手順・公式 T3 計算実行 L3 Trap-E 計算ミス
正解: (公式発表を確認してください)
必要知識: MM理論と配当政策 — 配当割引モデル(DDM)、段階的成長モデル
解法の思考プロセス:
配当割引モデル(多段階成長)の標準形:
- 第1期末配当: 44円(与えられた予想配当)
- 第2期末配当: 44円 × 1.10 = 48.4円
- 第3期末以降: 配当成長率 2% で計算
- 現在価値計算: 将来配当をすべて自己資本コスト10%で割引
多段階配当割引モデル:
高成長期(2期まで)と安定成長期(3期以降)に分割:
- 高成長期の現在価値: 第1期末、第2期末配当をそれぞれ割引
- 安定成長期の現在価値: ゴードン成長モデル(永続成長モデル)を適用
ゴードン成長モデル(第3期末から):
現在価値に割引:
計算:
- 第1期末配当の現在価値:44 ÷ 1.10 = 40円
- 第2期末配当の現在価値:48.4 ÷ 1.21 = 40円
- 第3期末以降の現在価値:49.368 ÷ 0.08 ÷ 1.21 = 617.1 ÷ 1.21 ≈ 510円
理論株価 = 40 + 40 + 510 = 590円
誤答の落とし穴 Trap-E 計算ミス:
- 成長率の適用順序を誤る: 「最初から2%成長」と単純化(正解は1期目は10%、2期目以降2%)
- 割引率の適用間違い: 分子に成長率、分母に割引率を逆にする
- 現在価値の計算: 「ゴードン成長モデルで出た金額をそのまま使う」(第3期末時点なので2期割引する必要あり)
- 単位のミス: 「44円」を「440円」と読み間違える
- 小数点処理: 配当成長計算での丸め誤差
学習アドバイス: 配当割引モデルは3段階のステップ:(1) 高成長期の配当列挙、(2) ゴードン成長モデルで安定成長期の価値を計算、(3) すべてを現在価値に割引。特に第n期末時点での価値をいつ割引するかが頻出誤り地点です。「現在」から何年後かをカウントする習慣をつけましょう。
第22問 企業価値評価方法(設問1・2)
問題要旨: 企業価値評価に関するテキスト読解。空欄A・B(割引率の名称、評価方法)と空欄C・D・E(評価尺度の総称、具体的な比率)に最適な語句を選択する問題。
K1 概念理解 T4 因果推論 L2 Trap-D 混同誘発
正解:
- 設問1:Aは加重平均資本コスト(WACC)、Bは DCF法
- 設問2:Cはマルチプルまたはファンダメンタル、DはPER、EはPBR
必要知識: 企業価値評価—WACC・自己資本コスト — DCF法、マルチプル法、PER・PBR
解法の思考プロセス:
企業価値評価の2大手法:
| 手法 | 割引率 | 評価尺度 | 用途 |
|---|---|---|---|
| DCF法(絶対評価) | WACC(加重平均資本コスト) | フリー・キャッシュフロー | 中・長期評価、M&A、IPO |
| マルチプル法(相対評価) | 市場相場 | PER、PBR、EV/EBITDA | 迅速評価、同業比較 |
設問1の空欄分析:
- A:「フリー・キャッシュフローを [ A ] で割り引く」→ 割引率 → WACC(加重平均資本コスト)
- B:「[ B ] 法」という方法名 → DCF法の別名 → DCF法
設問2の空欄分析:
- C:「[ C ] と総称される評価尺度」→ 類似企業の評価尺度 → マルチプル(またはファンダメンタル)
- D:「株価と1株当たり純利益の相対的な比率」→ PER(株価収益率)
- E:「株価と1株当たり純資産の相対的な比率」→ PBR(株価純資産倍率)
誤答の落とし穴 Trap-D 混同誘発:
- WACC と自己資本コストの混同: DCF法では企業全体を評価するため、負債コストも含めた WACC を使う(自己資本コストではない)
- マルチプルとファンダメンタルの混同: ファンダメンタルは「基礎的な企業価値評価」全般、マルチプルはその中の「倍数法」という細分類
- PER と EPS の混同: PER は株価/EPS(比率)、EPS は利益(金額)
- 収益還元法とDCF法の役割: テキストでは「収益還元法」と「DCF法」は「異なる」と言及しているが、実務では密接に関連
- 評価方法の選択基準: 「DCF 法が最善」と誤解。実務では複数手法を併用して妥当性を検証する
学習アドバイス: 企業価値評価は「正解は1つ」ではなく「複数手法の組み合わせ」です。DCF法(理論値)とマルチプル法(市場相場感)の両方を理解し、なぜ2つが異なるのか、どちらを信頼するかを条件的に判断できる力が試されます。PER・PBR・EV/EBITDA などの倍数も、同じく「何と何の比か」を瞬時に反応できるレベルまで習熟しましょう。
第23問 オプション価値と権利行使
問題要旨: コール・オプションとプット・オプションの価値に関する記述。権利行使価格、行使期間、原資産価格変化の影響について正誤判定する問題。
K1 概念理解 T4 因果推論 L2 Trap-B 条件すり替え
正解: ウ(プット・オプション購入時の損失は最大プレミアム)
必要知識: 投資意思決定—NPV・IRR — オプション理論、権利行使の意思決定
解法の思考プロセス:
オプションの基本構造:
| 立場 | コール・オプション | プット・オプション |
|---|---|---|
| 購入者 | 買う権利を持つ | 売る権利を持つ |
| 売却者 | 売る義務を負う | 買う義務を負う |
| 利益源 | 原資産価格の上昇 | 原資産価格の下落 |
| 最大損失 | プレミアム限定 | プレミアム限定 |
| 最大利益 | 無限大(理論上) | 権利行使価格-プレミアム |
各選択肢の検証:
ア 「権利行使価格が高いほどコール・オプションの価値は高い」 → 誤り
- 権利行使価格が高い = 買うのに高い代金が必要 = オプション価値は低下
- 逆:権利行使価格が低いほどコール価値は高い
イ 「行使期間が短いほどコール・オプションの価値は高い」 → 誤り
- 短期間 = 原資産価格が大きく変動する可能性が低い = オプション価値は低下
- 逆:期間が長いほどオプション価値は高い(時間価値)
ウ 「プット購入時:原資産価格が権利行使価格を大きく下回っても、損失はプレミアムに限定」 → 正解
- プット購入者の最大損失 = プレミアム(支払った代金)
- 原資産がいくら下落しても、売ることで損失を最小化できる
エ 「プット売却時:原資産価格が権利行使価格を大きく下回っても、損失はプレミアムに限定」 → 誤り
- プット売却者は原資産の下落で無限に損失拡大(理論上)
- 最大損失 = 権利行使価格 - プレミアム(かなり大きい)
誤答の落とし穴 Trap-B 条件すり替え:
- 買い手と売り手を混同: コール買いの損失限定(プレミアム)vs. コール売りの損失無限
- 権利行使価格と現在価格の関係: 「権利行使価格が高い = オプション価値高」は逆
- 時間価値の役割: 「残存期間が短い = より確実 = 価値高」と誤解(実は逆)
- プットの利益構造: 「プット売却でプレミアムをもらう = 損失ゼロ」と誤解(原資産が急落すると大損)
学習アドバイス: オプションは「非対称な利益/損失構造」が特徴です。購入者は損失がプレミアムに限定(安全)だが、売却者は利益も限定(プレミアム)だが損失は無限大(危険)。この非対称性を軸に「誰が得して誰が損するか」を常に問い、そこから正誤判定する習慣をつけると、紛らわしい選択肢に惑わされません。
年度総括
Wiki カバレッジ
R3 財務・会計 23 問のうち、wiki の複数ノードで全問をカバーしています:
| ノード | 対応問数 | カバレッジ |
|---|---|---|
| 簿記基礎 — 受取手形・売掛金・機械 | 1, 2, 3, 6 | 4/4 (100%) |
| 簿記応用 — 偶発事象・負債分類 | 4, 5 | 2/2 (100%) |
| 原価計算 — 直接費・間接費 | 7, 8, 9 | 3/3 (100%) |
| 財務分析 — 指標計算・BS分析 | 10, 11, 12, 13 | 4/4 (100%) |
| 資産評価 — 固定資産・減価償却 | 14 | 1/1 (100%) |
| 企業価値評価 — WACC・自己資本コスト | 15, 17, 18 | 3/3 (100%) |
| 資本構成 — 自己株式・M&M 理論 | 16, 17 | 2/2 (100%) |
| 投資意思決定 — NPV・IRR・資本予算編成 | 19, 20, 21, 22, 23 | 5/5 (100%) |
全問網羅達成。教材型ノードの統合で安定カバレッジを確保。
思考法分布
| 思考法 | 問数 | 割合 |
|---|---|---|
| T2 分類判断 | 7 | 30.4% |
| T3 計算実行 | 9 | 39.1% |
| T4 条件整理・因果推論 | 7 | 30.4% |
計算実行(T3)が 39% で最多、分類判断(T2)と因果推論(T4)が各 30% ずつ。正確な定義理解と計算能力の両立が得点力の中核です。
罠パターン頻度
| 罠パターン | 問数 | 出現頻度 |
|---|---|---|
| Trap-D 混同誘発 | 8 | 34.8% |
| Trap-E 計算ミス | 6 | 26.1% |
| Trap-B 条件すり替え | 4 | 17.4% |
| Trap-C 部分正解 | 3 | 13.0% |
| Trap-A 逆方向 | 2 | 8.7% |
Trap-D(概念の混同)と Trap-E(計算ミス)が合わせて 61% を占め最多。「受取手形 vs. 買掛金」「減価償却 vs. 費用化」など、似た概念の区別と計算の正確性が最大の防御ポイントです。
学習優先度 Tier
Tier 1(必須・高頻出):
- 減価償却と資産除却(問3)
- 簿記基礎の正確な分類(問1, 2, 4, 5, 6)
- 原価計算の製造間接費配分(問7, 8)
- 財務分析指標の計算(問10, 12, 13)
- WACC と自己資本コスト(問15)
- NPV・IRR による投資判定(問19, 21)
- 投資判定基準と現在価値(問21, 22)
Tier 2(重要・応用系):
- キャッシュフロー分析(問9, 13)
- M&M 理論と資本構成(問17, 18)
- 企業価値評価論(問20)
- 資本予算編成(問23)
Tier 3(定義確認):
- 負債性・非負債性引当金(問5)
- 建築関連支出の処理(問11)
- 株式取得時の利益認識(問16)
- 資産評価方法の分類(問14)
本番セルフチェック(5項目)
試験直前と試験当日の朝に確認すべき 5 項目:
- 仕訳の基本: 勘定科目の「資産・負債・資本・収益・費用」分類、借方・貸方の方向を瞬時に確認できるか
- 減価償却計算: 定額法・定率法の計算式、取得日~除却日の経過期間を月単位で正確に計算できるか
- 現金フロー: 受払いのタイミング(売掛金の回収日、買掛金の支払日)を正確に追跡できるか
- 投資評価の計算: NPV、IRR、WACC、現在価値の計算式と単位(万円、%)を誤らず実行できるか
- 投資判定基準と制約: 複数の投資案がある場合の選択基準(収益性指数、資本予算編成)と、リスク調整の割引率を把握しているか
分類タグの凡例
知識種類(K)
- K1 概念理解: 経済学的・会計学的な基本概念(キャッシュフロー、M&M理論、企業価値など)の定義と関連性を理解する必要がある問題
- K2 分類・表示: 勘定科目の分類(資産・負債・資本、固定・流動など)や会計基準上の表示方法に関する知識
- K3 手順・公式: 特定の計算手順や公式(減価償却、差異分析、NPV など)を適用する必要がある問題
- K4 手続・手順: 会計処理の手順や作業フロー(仕訳、試算表作成など)を正確に実行する必要がある問題
思考法(T)
- T2 分類判断: 複数の項目を正しいカテゴリに分類し、会計基準に適合した処理を判定する思考
- T3 計算実行: 与えられたデータを公式に当てはめて正確に計算する思考
- T4 条件整理・因果推論: 複雑な取引条件を整理し、「X という条件下では Y という処理」という条件付きロジックをたどる思考
形式層(L)
- L1 定義暗記: 定義や分類を覚えていれば解ける問題(例:引当金の種類、勘定科目の定義)
- L2 基本的な手順理解: 標準的な処理フロー(減価償却、仕訳の作成など)を理解すれば解ける問題
- L3 複合的な計算・推論: 複数のステップを組み合わせ、多段階の計算または因果推論を必要とする問題
罠パターン(Trap)
- Trap-A 逆方向: 因果の方向を逆に述べた誤選択肢(例:「減価償却が増える → 利益が増える」)
- Trap-B 条件すり替え: 「固定資産評価は常に取得原価主義」など条件を取り違えさせる誤選択肢
- Trap-C 部分正解: 一部は正しいが、全体では誤っている選択肢(例:「給料は人件費だから必ず費用化」)
- Trap-D 混同誘発: 似た概念(受取手形と売掛金、絶対優位と比較優位など)を混同させる誤選択肢
- Trap-E 計算ミス: 計算式の分子分母を逆にする、符号をミスするなど、計算過程で誘発される誤り
分類タグ凡例
| タグ | 意味 |
|---|---|
| K1 定義・用語 | 用語の正確な意味を問う |
| K2 グラフ形状 | グラフの読み取り・形状判断 |
| K3 数式・公式 | 公式の適用・計算 |
| K4 因果メカニズム | 原因→結果の論理連鎖 |
| K5 制度・データ | 法制度・統計データの知識 |
| T1 正誤判定 | 選択肢の正誤を判定 |
| T2 グラフ読解 | グラフから情報を読み取る |
| T3 計算実行 | 数値計算を実行 |
| T4 因果推論 | 因果関係を推論 |
| T5 場合分け | 条件による場合分け |
| L1 基礎 | 基本知識で解ける |
| L2 応用 | 知識の組み合わせが必要 |
| L3 高度 | 複数ステップの推論が必要 |
| L4 最難度 | 高度な分析力が必要 |
| Trap 逆方向誘発 | 因果の向きを逆に誘導 |
| Trap 混同誘発 | 類似概念を混同させる |
| Trap 部分正解 | 部分的に正しい選択肢で誘導 |
| Trap 条件すり替え | 前提条件を変えて誘導 |
| Trap 計算ミス | 計算過程での間違いを誘発 |
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