利益と資金の管理 基本確認問題
利益、キャッシュ・フロー、FCF の基礎論点を短い確認問題で点検する
このページの役割
このページは、利益と資金の管理の基本論点を自力で言えるか を点検する演習ページです。過去問そのものではなく、過去問で問われやすい型 を短く確認します。
学習のポイント
利益と現金を分けて考える間接法は足し引きの暗記ではなく、現金が動いたかどうかで判断するFCFを、投資判断や企業価値評価へつながる数字として見る
基本確認問題
応用確認問題
問題 7
税引前当期純利益が 800万円、減価償却費が 200万円、売上債権が 150万円増加、棚卸資産が 100万円減少、仕入債務が 50万円減少 した。
- 間接法による営業 CF はいくらか
- この問題で
減算しやすい項目はどれか
解答 7
- 営業 CF は
800 + 200 - 150 + 100 - 50 = 900万円です。 売上債権の増加と仕入債務の減少は、現金がまだ入っていない、または現金が先に出ている項目として減算しやすい論点です。
問題 8
ある企業のキャッシュ・フローは次のとおりである。
- 営業 CF:
700万円 - 投資 CF:
△900万円 - 財務 CF:
500万円 FCFを簡略形で考えるといくらか- この企業の資金状態をどう読みやすいか
解答 8
FCFは700 - 900 = △200万円と考えられます。- 本業では現金を生んでいるが、投資が大きく、外部調達でその不足を埋めている
投資先行の成長局面と読みやすいです。
問題 9
営業 CF が 1,200万円、設備投資額が 700万円 のとき、FCF はいくらか。また、この数字は企業価値評価でどのように使いやすいか。
解答 9
FCF は 1,200 - 700 = 500万円 です。DCF 法では、こうした 将来の FCF を現在価値に割り引く ことで企業価値を見積もる入口になります。
問題 10
ある企業の運転資本は次のとおりである。
- 月初の売上債権:
800万円 - 月初の棚卸資産:
600万円 - 月初の仕入債務:
500万円 - 月末の売上債権:
950万円 - 月末の棚卸資産:
720万円 - 月末の仕入債務:
530万円 - 月初と月末の運転資本はいくらか
- 現金負担はどちらの時点の方が重いか
解答 10
- 月初の運転資本は
800 + 600 - 500 = 900万円です。 - 月末の運転資本は
950 + 720 - 530 = 1,140万円です。 - 月末の方が
240万円だけ運転資本負担が重く、現金が寝やすい状態です。
問題 11
ある月の予算と実績は次のとおりである。
- 売上高予算:
2,000万円 - 売上高実績:
1,850万円 - 変動費率:
60% - 固定費予算:
500万円 - 固定費実績:
540万円 - 予算と実績の限界利益はいくらか
- 営業利益差異はいくらか
- 主な要因は何か
解答 11
- 予算の限界利益は
2,000 × (1 - 0.6) = 800万円です。 - 実績の限界利益は
1,850 × (1 - 0.6) = 740万円です。 - 予算営業利益は
800 - 500 = 300万円、実績営業利益は740 - 540 = 200万円なので、営業利益差異は△100万円です。 - 主な要因は
売上未達による限界利益の減少と固定費超過です。
問題 12
ある企業について、次の情報がある。
- 税引前当期純利益:
1,000万円 - 減価償却費:
150万円 - 固定資産売却益:
40万円 - 売上債権:
60万円減少 - 棚卸資産:
80万円増加 - 仕入債務:
30万円増加 - 法人税等の支払額:
260万円 - 固定資産売却による収入:
120万円 - 新規設備投資による支出:
500万円 - 間接法による営業 CF はいくらか
- 投資 CF はいくらか
FCFはいくらか- この企業の資金状態をどう読みやすいか
解答 12
- 営業 CF は
1,000 + 150 - 40 + 60 - 80 + 30 - 260 = 860万円です。 - 投資 CF は
120 - 500 = △380万円です。 FCFは860 - (500 - 120) = 480万円、または860 + △380 = 480万円と考えられます。- 本業では十分に現金を生みつつ、投資を進めている局面と読みやすいです。
固定資産売却益は利益に入っていますが、現金収入そのものは投資 CF にあるため、営業 CF では控除して重複を避けるのがポイントです。
問題 13
次の企業について、1年を360日 として考える。
- 売上高:
7,200万円 - 売上原価:
5,400万円 - 平均売上債権:
600万円 - 平均棚卸資産:
900万円 - 平均仕入債務:
450万円 - 売上債権回転日数はいくらか
- 棚卸資産回転日数はいくらか
- 仕入債務回転日数はいくらか
- 資金繰りを改善するなら、まずどこに手を打ちやすいか
解答 13
- 売上債権回転日数は
600 ÷ (7,200 ÷ 360) = 30日です。 - 棚卸資産回転日数は
900 ÷ (5,400 ÷ 360) = 60日です。 - 仕入債務回転日数は
450 ÷ (5,400 ÷ 360) = 30日です。 - 資金繰りを改善するなら、まず
在庫圧縮と売上債権の早期回収に手を打ちやすいです。この企業は棚卸資産回転日数が最も長く、現金が在庫で寝ている度合いが大きいからです。
問題 14
次の 3 社のキャッシュ・フローを比較する。
- A社: 営業 CF
△250万円、投資 CF200万円、財務 CF120万円 - B社: 営業 CF
700万円、投資 CF△900万円、財務 CF300万円 - C社: 営業 CF
650万円、投資 CF△180万円、財務 CF△250万円 再建局面と読みやすいのはどの会社か成長局面と読みやすいのはどの会社か成熟局面と読みやすいのはどの会社か- それぞれ、どこを見てそう判断するか
解答 14
再建局面と読みやすいのはA社です。営業 CF がマイナスで本業から現金を生めておらず、投資 CF がプラスで資産売却などによる現金回収、財務 CF がプラスで外部調達にも頼っている形だからです。成長局面と読みやすいのはB社です。営業 CF がプラスで本業は回っており、投資 CF が大きくマイナスで積極投資、財務 CF がプラスで成長資金を補っているからです。成熟局面と読みやすいのはC社です。営業 CF がプラスで本業が安定し、投資 CFは必要な投資にとどまり、財務 CF がマイナスで借入返済や株主還元を進めている形だからです。- 符号パターンは暗記で終わらせず、
本業で現金を生めているか、資産を売っているか投資しているか、外部資金へ依存しているかの 3 点で読むと判断しやすくなります。
問題 15
次の 2 社は、どちらも 投資 CF がマイナス である。
- A社: 営業 CF
900万円、投資 CF△320万円、財務 CF△250万円、減価償却費280万円、売上高は横ばい - B社: 営業 CF
900万円、投資 CF△900万円、財務 CF350万円、減価償却費260万円、翌期に新規出店で売上拡大予定 更新投資中心と読みやすいのはどちらか成長投資中心と読みやすいのはどちらか- それぞれ、どこを根拠にそう判断するか
解答 15
更新投資中心と読みやすいのはA社です。投資 CFの規模が減価償却費に近く、財務 CFもマイナスで、既存事業の維持更新を営業 CF の範囲で回している形だからです。成長投資中心と読みやすいのはB社です。投資 CFが減価償却費を大きく上回り、財務 CFもプラスで、外部資金を使いながら将来の売上拡大へ向けて投資している形だからです。- 同じ
投資 CF マイナスでも意味は同じではありません。減価償却費に見合う更新か、財務 CF が資金調達か返済か、売上計画が拡大型かを合わせて読むと判定しやすくなります。
問題 16
ある成長企業について、次の情報がある。
- 税引前当期純利益:
1,000万円 - 減価償却費:
200万円 - 売上債権:
180万円増加 - 棚卸資産:
240万円増加 - 仕入債務:
60万円減少 - 法人税等の支払額:
220万円 - 新工場投資:
900万円 - 財務 CF:
500万円 - 売上高は前期より増加している
- 間接法による営業 CF はいくらか
FCFはいくらか- 売上が伸びているのに資金繰りが苦しくなりやすいのはなぜか
- この企業は何が同時に起きている局面と読みやすいか
解答 16
- 営業 CF は
1,000 + 200 - 180 - 240 - 60 - 220 = 500万円です。 FCFは500 - 900 = △400万円と考えられます。- 売上成長に伴って
売上債権と棚卸資産が増え、さらに仕入債務も減っているため、利益が出ていても運転資本負担が大きくなっています。そこへ新工場投資が重なり、現金不足が起きやすくなっています。 - この企業は、
運転資本悪化と成長投資が同時に起きている局面と読みやすいです。財務 CF プラスは、その不足を外部資金で埋めている形と考えやすくなります。
問題 17
ある企業の 4月 と 5月 の月次データは次の通りである。
4月: 税引前当期純利益70万円、減価償却費20万円、売上債権40万円増加、棚卸資産20万円増加、仕入債務10万円増加、設備投資0万円5月: 税引前当期純利益90万円、減価償却費20万円、売上債権120万円増加、棚卸資産80万円増加、仕入債務10万円減少、設備投資140万円5月は大型受注の影響で売上高が伸びている4月の営業 CF はいくらか4月のFCFはいくらか5月の営業 CF はいくらか5月のFCFはいくらか5月に資金繰りが急に苦しくなりやすい主因は何か- 月次で先に追うべき数字は何か
解答 17
4月の営業 CF は70 + 20 - 40 - 20 + 10 = 40万円です。4月のFCFは40 - 0 = 40万円です。5月の営業 CF は90 + 20 - 120 - 80 - 10 = △100万円です。5月のFCFは△100 - 140 = △240万円です。5月は売上と利益が伸びていても、売上債権と棚卸資産が大きく増えて仕入債務も減っているため、運転資本負担が先に膨らんでいます。そこへ設備投資が重なり、月次では現金が詰まりやすくなっています。- 月次で先に追うべきなのは、
売上債権、棚卸資産、仕入債務、設備投資支出です。売上や利益だけでは、実際の資金流出タイミングを読み違えやすいからです。
問題 18
ある企業の 6月 と 7月 の月次資金繰りは次の通りである。6月月初 の手元現金は 120万円、最低手元現金は 50万円 とする。
6月: 税引前当期純利益80万円、減価償却費20万円、売上債権30万円増加、棚卸資産10万円増加、仕入債務10万円増加、法人税等の支払額40万円、設備投資0万円、借入元本返済20万円7月: 税引前当期純利益100万円、減価償却費20万円、売上債権120万円増加、棚卸資産70万円増加、仕入債務20万円減少、法人税等の支払額60万円、設備投資140万円、借入元本返済80万円6月の営業 CF はいくらか6月末の手元現金はいくらか7月の営業 CF はいくらか7月末の手元現金はいくらか- 最低手元現金
50万円を守るには、7月に短期借入をいくら追加する必要があるか 7月の利益が黒字でも資金繰りが悪化する理由は何か
解答 18
6月の営業 CF は80 + 20 - 30 - 10 + 10 - 40 = 30万円です。6月末の手元現金は120 + 30 - 0 - 20 = 130万円です。7月の営業 CF は100 + 20 - 120 - 70 - 20 - 60 = △150万円です。7月末の手元現金は130 - 150 - 140 - 80 = △240万円です。- 最低手元現金
50万円を守るには、50 - (△240) = 290万円の短期借入が必要です。 7月は利益が黒字でも、売上債権と棚卸資産の増加で運転資本が先に膨らみ、さらに法人税等の支払、設備投資、借入元本返済が重なっています。利益より先に現金流出が来るため、月次の資金繰りは急に悪化します。
問題 19
ある企業の 10月 から 12月 までの 3 か月資金繰り表を作る。10月月初 の手元現金は 180万円、最低手元現金は 80万円 とする。
10月: 現金回収520万円、現金支出430万円、賞与支払0万円、法人税等支払0万円、設備投資0万円、借入元本返済20万円11月: 現金回収780万円、現金支出560万円、賞与支払160万円、法人税等支払0万円、設備投資0万円、借入元本返済20万円12月: 現金回収360万円、現金支出390万円、賞与支払0万円、法人税等支払120万円、設備投資90万円、借入元本返済20万円- 各月末の手元現金はいくらか
- 最も資金繰りが苦しいのは何月か
- 最低手元現金
80万円を守るには、どの月にいくらの短期借入が必要か 11月は現金回収が多いのに、なぜ12月の方が危なくなりやすいのか
解答 19
10月末の手元現金は180 + 520 - 430 - 0 - 0 - 0 - 20 = 250万円です。11月末の手元現金は250 + 780 - 560 - 160 - 0 - 0 - 20 = 290万円です。12月末の手元現金は290 + 360 - 390 - 0 - 120 - 90 - 20 = 30万円です。- 最も資金繰りが苦しいのは
12月です。手元現金が30万円まで下がるからです。 - 最低手元現金
80万円を守るには、12月に80 - 30 = 50万円の短期借入が必要です。 11月は繁忙期で回収が多くても、翌月の12月には法人税等の支払、設備投資、借入元本返済が重なっています。季節変動では、売上の多い月より現金流出が集中する月の方が危険になりやすいです。
問題 20
ある企業は月末の手元現金を 35万円 と見込んでいる。最低手元現金は 80万円 である。次の 3 つの改善策を、1つだけ実行する場合 と A と B を同時に実行する場合 に分けて比較する。
- A:
売掛回収サイト短縮により、今月末までに売上債権 60万円減少が見込める - B:
在庫圧縮により、今月末までに棚卸資産 40万円減少が見込める - C:
短期借入 70万円を実行する。翌月に元本 70万円と利息 2万円の返済が必要になる - A、B、C をそれぞれ単独で行ったときの月末手元現金はいくらか
- 最低手元現金
80万円を単独で満たせるのはどの施策か A と Bを同時に行ったときの月末手元現金はいくらか- 根本原因が
売上債権と棚卸資産の膨張である場合、どの施策を優先しやすいか Cだけに頼り続けると、翌月以降にどんな弱さが残るか
解答 20
- A を単独で行うと、月末手元現金は
35 + 60 = 95万円です。 - B を単独で行うと、月末手元現金は
35 + 40 = 75万円です。 - C を単独で行うと、月末手元現金は
35 + 70 = 105万円です。 - 最低手元現金
80万円を単独で満たせるのは、AとCです。Bは75万円なので届きません。 A と Bを同時に行うと、月末手元現金は35 + 60 + 40 = 135万円です。- 根本原因が
売上債権と棚卸資産の膨張なら、まずAとBを優先しやすいです。どちらも営業 CFを改善し、翌月以降の資金負担も軽くしやすいからです。 Cは当月の手元現金を増やせても、翌月に元本返済と利息負担が残ります。営業 CFの構造が改善しないままなので、資金繰り不安を先送りしやすいです。
問題 21
ある企業の 9月 の予算と実績、月次資金繰りは次の通りである。9月月初 の手元現金は 190万円、最低手元現金は 80万円 とする。
- 予算売上高
2,000万円 - 予算変動費率
60% - 予算固定費(減価償却費を除く)
500万円 - 減価償却費
40万円 - 実績売上高
1,800万円 - 実績変動費率
62% - 実績固定費(減価償却費を除く)
540万円 9月の実績では、売上債権 160万円増加、棚卸資産 80万円増加、仕入債務 20万円減少、法人税等支払 60万円、設備投資 50万円
加えて、翌月に向けた施策候補は次の通りとする。
- A:
売掛回収条件の厳格化により、手元現金を100万円改善できる。営業利益への直接影響はない - B:
在庫一掃値引きにより、手元現金を90万円改善できるが、翌月の営業利益は30万円悪化する - C:
短期借入 120万円を行う。翌月に元本 120万円と利息 3万円の返済が必要になる - 予算営業利益はいくらか
- 実績営業利益はいくらか
- 営業利益差異はいくらか
9月の営業 CF はいくらか9月末の手元現金はいくらか- 最低手元現金
80万円を単独で満たせるのはどの施策か - どの施策が
営業利益差異をさらに悪化させやすいか - どの施策が
資金繰りを直したように見えても翌月負担を残しやすいか
解答 21
- 予算営業利益は、
2,000 × (1 - 0.6) - 500 - 40 = 260万円です。 - 実績営業利益は、
1,800 × (1 - 0.62) - 540 - 40 = 104万円です。 - 営業利益差異は、
104 - 260 = △156万円です。 9月の営業 CF は、104 + 40 - 160 - 80 - 20 - 60 = △176万円です。9月末の手元現金は、190 - 176 - 50 = △36万円です。- 最低手元現金
80万円を単独で満たせるのはCです。Cを使うと△36 + 120 = 84万円になるためです。A は64万円、B は54万円で届きません。 営業利益差異をさらに悪化させやすいのはBです。在庫一掃値引きにより翌月の営業利益が30万円悪化するからです。資金繰りを直したように見えても翌月負担を残しやすいのはCです。翌月に元本返済と利息が発生し、営業 CFの弱さを構造的には直していないからです。
問題 22
ある企業は、10月末 の手元現金が 95万円、最低手元現金が 80万円 である。11月 に向けて、販売条件、回収条件、在庫政策 をまとめて見直す 3 案を比較する。各案とも、固定費(減価償却費を除く)は 400万円、減価償却費は 30万円 とする。
- A案
拡販優先: 売上高1,900万円、変動費率65%、売上債権220万円増加、棚卸資産140万円増加、仕入債務40万円増加 - B案
回収優先: 売上高1,700万円、変動費率63%、売上債権80万円増加、棚卸資産30万円増加、仕入債務20万円増加 - C案
在庫積み増し: 売上高1,850万円、変動費率64%、売上債権160万円増加、棚卸資産200万円増加、仕入債務30万円増加 - 各案の営業利益はいくらか
- 各案の営業 CF はいくらか
- 各案の
11月末手元現金はいくらか - 最低手元現金
80万円を満たせるのはどの案か - 最も
利益は魅力的に見えるが、資金繰りを悪化させやすいのはどの案か - なぜ
販売条件、回収条件、在庫政策を別々でなく同時に見る必要があるのか
解答 22
- A案の営業利益は、
1,900 × (1 - 0.65) - 400 - 30 = 235万円です。 - B案の営業利益は、
1,700 × (1 - 0.63) - 400 - 30 = 199万円です。 - C案の営業利益は、
1,850 × (1 - 0.64) - 400 - 30 = 236万円です。 - A案の営業 CF は、
235 + 30 - 220 - 140 + 40 = △55万円です。 - B案の営業 CF は、
199 + 30 - 80 - 30 + 20 = 139万円です。 - C案の営業 CF は、
236 + 30 - 160 - 200 + 30 = △64万円です。 - A案の
11月末手元現金は95 - 55 = 40万円です。 - B案の
11月末手元現金は95 + 139 = 234万円です。 - C案の
11月末手元現金は95 - 64 = 31万円です。 - 最低手元現金
80万円を満たせるのはB案だけです。 - 最も
利益は魅力的に見えるが、資金繰りを悪化させやすいのはC案です。営業利益は236万円と最も高い一方、棚卸資産 200万円増加と売上債権 160万円増加により営業 CF が△64万円まで悪化するからです。 販売条件、回収条件、在庫政策を同時に見る必要があるのは、売上高や営業利益が増えても、値引きによる粗利低下、回収遅れによる売上債権増加、在庫積み増しによる資金固定化が重なると、月末現金はすぐに悪化するからです。利益改善と資金改善は一致しないため、同時に比較しなければ判断を誤りやすくなります。
問題 23
ある企業の現在の CCC は 95日、今月末の見込み手元現金は 20万円、最低手元現金は 80万円 である。翌月の営業利益への副作用も含めて、次の 3 つの改善策を比べる。
- A案
回収促進: 売上債権回転日数を45日 → 28日に短縮できる。今月末手元現金は85万円改善するが、早期回収割引により翌月営業利益は8万円悪化する - B案
在庫圧縮: 棚卸資産回転日数を70日 → 40日に短縮できる。今月末手元現金は120万円改善するが、欠品対応や小口発注増で翌月営業利益は28万円悪化する - C案
支払条件見直し: 仕入債務回転日数を20日 → 35日に延長できる。今月末手元現金は70万円改善するが、仕入条件悪化により翌月営業利益は12万円悪化する - A案、B案、C案の
CCCはそれぞれ何日になるか - A案、B案、C案の今月末手元現金はいくらか
- 最低手元現金
80万円を満たせるのはどの案か CCCを最も短縮できるのはどの案か- 翌月営業利益への悪影響が最も小さいのはどの案か
今月の資金繰りを守りつつ、翌月の利益もなるべく守るなら、どの案を選びやすいか
解答 23
- A案の
CCCは、95 - (45 - 28) = 78日です。 - B案の
CCCは、95 - (70 - 40) = 65日です。 - C案の
CCCは、95 - (35 - 20) = 80日です。 - A案の今月末手元現金は、
20 + 85 = 105万円です。 - B案の今月末手元現金は、
20 + 120 = 140万円です。 - C案の今月末手元現金は、
20 + 70 = 90万円です。 - 最低手元現金
80万円を満たせるのは、A案、B案、C案のすべてです。 CCCを最も短縮できるのはB案です。30日短縮できるからです。- 翌月営業利益への悪影響が最も小さいのは
A案です。悪化額が8万円にとどまるからです。 今月の資金繰りを守りつつ、翌月の利益もなるべく守るならA案を選びやすいです。105万円で最低手元現金を満たしつつ、翌月営業利益の悪化も 3 案の中で最も小さいからです。B案は資金繰りとCCCの改善幅は最大ですが、翌月の利益悪化が重く、C案は副作用は中程度でもCCCの改善幅が最も小さくなります。
問題 24
ある企業の 4月末 と 5月末 の運転資本と資金繰りは次の通りである。5月月初 の手元現金は 170万円、最低手元現金は 80万円 とする。
4月末: 売上債権180万円、棚卸資産240万円、仕入債務120万円4月の1日当たり売上高は6万円、1日当たり売上原価は4万円5月末: 売上債権245万円、棚卸資産315万円、仕入債務135万円5月の1日当たり売上高は7万円、1日当たり売上原価は4.5万円5月の税引前当期純利益95万円5月の減価償却費20万円5月の法人税等支払額30万円5月の設備投資60万円5月の借入元本返済40万円4月末の所要運転資金はいくらか4月のCCCは何日か5月末の所要運転資金はいくらか5月のCCCは何日か- 所要運転資金は
4月末から5月末にかけていくら増加したか 5月の営業 CF はいくらか5月末の手元現金はいくらか- 最低手元現金
80万円を守るには、あと何万円の資金改善が必要か - なぜ
CCCの悪化と所要運転資金の増加を月次資金繰り表へつなげて見る必要があるのか
解答 24
4月末の所要運転資金は、180 + 240 - 120 = 300万円です。4月のCCCは、180 ÷ 6 + 240 ÷ 4 - 120 ÷ 4 = 30 + 60 - 30 = 60日です。5月末の所要運転資金は、245 + 315 - 135 = 425万円です。5月のCCCは、245 ÷ 7 + 315 ÷ 4.5 - 135 ÷ 4.5 = 35 + 70 - 30 = 75日です。- 所要運転資金の増加額は、
425 - 300 = 125万円です。 5月の営業 CF は、95 + 20 - 125 - 30 = △40万円です。5月末の手元現金は、170 - 40 - 60 - 40 = 30万円です。- 最低手元現金
80万円を守るには、あと80 - 30 = 50万円の資金改善が必要です。 CCCの悪化と所要運転資金の増加を月次資金繰り表へつなげて見る必要があるのは、日数が伸びたと分かるだけでは、当月の現金不足がどこまで深いか見えないからです。CCC 60日 → 75日の悪化が所要運転資金 125万円増加となり、そのまま営業 CF 悪化と月末現金不足につながる流れまで見て初めて、実際の資金繰りリスクを判断できます。
短文説明の練習
問題 25
次の要因を使って、利益は出ているのに現金が苦しい理由 を 1 文で書く。
- 売上債権が増えた
- 在庫が増えた
解答 25
売上債権と在庫が増加して運転資本負担が重くなったため、利益が出ていても現金回収が追いつかず資金繰りが苦しい。
問題 26
次の要因を使って、FCF が赤字でも直ちに悪いとは限らない理由 を 1 文で書く。
- 新工場への先行投資
- 営業 CF は黒字
解答 26
営業 CF は黒字を維持しながら新工場へ先行投資しているため、FCF が赤字でも成長投資の段階と解釈できる。
問題 27
次の要因を使って、営業 CF プラス、投資 CF マイナス、財務 CF マイナス の意味を 1 文で書く。
- 本業で現金創出
- 借入返済を進めた
解答 27
本業で現金を創出しつつ投資を行い、その資金で借入返済まで進めているため、比較的安定した成熟局面と読める。
事例Ⅳにつなげる観点
利益と現金を分けて見られると、経営分析の安全性指標と CF 問題の読み取りがつながります。FCFを機械的に出すだけでなく、なぜ増えたか / 減ったかを投資や運転資本の動きで言えることが重要です。- 事例Ⅳでは、CF の良し悪しを単独で見るより、
投資局面と財務戦略を合わせて読むと答案が安定します。
問題を解くときの観点
- まず
利益の話か現金の話かを切る - 間接法では、
現金がまだ入っていない増加項目を減算する FCFでは、本業の現金創出と投資負担を分ける- CF の符号パターンは、成長局面か成熟局面かを合わせて読む
- 更新投資か成長投資かは、
減価償却費と財務 CFも合わせて読む - 売上成長があっても、
運転資本増加と成長投資が重なると資金繰りは苦しくなりやすい - 月次では、
売上や利益より先に売上債権、棚卸資産、設備投資支出の増減を追う - 月次資金繰りでは、
法人税等の支払と借入元本返済まで入れて手元現金を確認する - 3 か月資金繰りでは、
繁忙期の売上より翌月以降の賞与、納税、返済が重なる月を警戒する - 改善策は、
営業 CF を良くする施策か財務 CF で一時的に埋める施策かを分けて評価する - 翌月シミュレーションでは、
値引きによる売上増と回収遅れ、在庫積み増しが同時に起きる前提で月末現金を見る CCC短縮はそれだけで良いとは限らず、翌月営業利益の悪化と並べて評価する所要運転資金とCCCは、月次資金繰り表の営業 CFと月末現金に落として初めて危険度が見える
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